2009/07/04
[MM日本国の研究553]「新型インフルエンザ騒動の教訓」
2009年07月04日発行 第0553号 特別 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■ 日本国の研究 ■■■ 不安との訣別/再生のカルテ ■■■ 編集長 猪瀬直樹 ************************************************************ http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□ 猪瀬直樹新番組・放映開始! ■□■ 『東京からはじめよう』(MXテレビ) ■□■ 本日放送:7月4日(土)21:00〜21:55(毎月第1土曜日) ゲスト:竹田恒和・日本オリンピック委員会(JOC)会長 2016年の東京オリンピック招致についてじっくり語り会います! 第3回(6/6) ゲスト 増田寛也・安心社会実現会議事務局長 第2回(5/2) ゲスト 河野一郎・東京オリンピック招致委員会事務総長 第1回(4/4) ゲスト 丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長 ■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□ 猪瀬直樹は、東京副知事就任2周年を迎えました。それを受け、7月1日水 曜日の「MX NEWS」(20:00〜20:45)に生出演し、財政破綻した夕張市への都 職員派遣や、重症妊婦が複数の病院への搬入を断られた事例を受けて設置した 「周産期医療体制整備プロジェクトチーム(PT)」などをふりかえりました。 また、現在、猪瀬が座長をつとめる「少子高齢時代にふさわしい新たな『す まい』実現PT」の取り組みを紹介すると共に、今後の展望について語りました。 以下、猪瀬の発言を紹介します。 * 「いまは地方分権改革を一生懸命にやるということが僕にとっての使命だと思 っています。 また、都庁の縦割りになっている部分にできるだけ横串を刺して、課題を解 決していきたい。 7月の中旬に三重県で全国知事会の開催が予定されていて、橋下知事も参加 されますが、僕も地方分権改革推進委員として、且つ石原知事の代理としても 参加します。 地方分権をもっと盛り上げていき、霞が関を地方から追い詰めていくという かたちにしたい。そして霞が関には防衛や外交、金融など国でなければできな い政策に集中する方向にシフトしてほしい。 オリンピック招致も大切です。東京都は2020年までに2000年比で25パーセン トのCO2を削減する目標を掲げています。大規模事業所に削減義務が課され ていますが、これは世界の都市でも東京だけです。 そのなかで2016年の東京オリンピックを目指しています。1964年の東京、19 88年のソウル、そして去年の北京は、すべて発展途上国のインフラ整備型のオ リンピックでした。 一方、2016年の東京オリンピックは成熟した都市として、低炭素型社会を目 指す中で開催するスポーツの祭典です。そういう位置づけをきちんとすれば、 開催に賛成する都民も増えるでしょう」 * 今週のメールマガジンは、青山やすし・明治大学公共政策大学院教授の「新 型インフルエンザ騒動の教訓」をお届けします。青山教授は1999年から2003年 まで石原慎太郎知事のもと、東京都副知事として危機管理・防炎・都市構造・ 財政などを担当されました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「新型インフルエンザ騒動の教訓」 明治大学大学院教授 青山やすし 今回の新型インフルエンザ騒動では想定外の事態が発生し、多くの教訓を得 ることかできた。第一に、私たちの社会は強毒性ウィルスに対するマニュアル は用意してあったが、今回のような弱毒性ウィルス対策のマニュアルをもって いなかったため、関係者の対応に混乱があった。 第二に、WHOが「封じ込めは現実的でない」と言うのにわが国はウィルス の侵入を水際で食い止める作戦に力を入れたが、実はその時、すでに国内で患 者か発生していたことがあとで判明した。第三に、その水際作戦に忙殺される 一方で、発熱外来や発熱センターが不足していた。 第四に、政府と関係機関の連絡が不十分で、たとえば学校における患者の発 生状況等の把握が迅速に行われなかった。第五に、毎年発生し、相当数の犠牲 者を出している季節性インフルエンザへの対応と今回の新型インフルエンザへ の対応との関係で、予防ワクチンの生産など難しい判断が迫られた。 これらの問題点に対する対応は、自ずから可能である。秋以降に懸念される 強毒性のインフルエンザ対応に今回の教訓が生かされればそれでよしとすべき だろう。むしろ最も深刻な問題は、インフルエンザ発生に伴う流言蜚語と誹謗 中傷である。 5月1日未明、厚生労働大臣が記者会見して「疑い例」として発表した横浜 市の高校の場合は、大臣と市長のけんかに発展したが、その日のうちに新型イ ンフルエンザではないことが判明した。 しかしこの間、学校のホームページに1300万件ものアクセスがあったばかり か、「横浜の高校が試合に出るならわが校はその大会を棄権すると言われた」 「予備校の模試に来ないで下さいと言われた」などと報道された。 これらの騒ぎは、ハンセン病について、昭和6年の国会答弁で日本政府は 「伝染力は弱い」と答弁しているにもかかわらず、平成8年まで隔離政策を廃 止できなかった歴史や、関東大震災の際の朝鮮人虐殺事件などを想起させる。 政府や自治体は、新型インフルエンザに対する正しい科学知識を国民に普及啓 発しなければならない。 今、振り返ってみると、今回の新型インフルエンザに対する政府の対応には、 的確でないこともあった。それにもかかわらず、世論は政府の対応に対して必 ずしも厳しくはない。 それは、政治・行政に対する国民の評価は一般に、正しいかどうかという角 度よりも、「一所懸命取り組んでいるかどうか」という視点からなされる傾向 が強いからだ。結果もさることながらプロセスが問われるのである。 哲学者イマヌエル・カントと社会学者エミール・デュルケームの認識論は、 「人は、外部に表れた事実のみ認識する」という点で一致しているようにみえ る。インフルエンザ騒動においても、政府関係者が一所懸命対応している姿を 見せることは大切だ。今回はそれで許された。しかし、強毒性ウィルスが蔓延 する事態になったとき、再び許されると思わないほうがいい。次回は、内容的 にも的確な対応が要求される。そのことを肝に銘ずるべきだ。 ■著者略歴■ 青山やすし(あおやま・やすし) 明治大学大学院教授 1967年東京都庁経済 局に入庁。1999年石原慎太郎都知事のもとで東京都副知事(〜2003年)として 財政、都市構造、危機管理、防災等を担当。2004年より現職。2008年より米国 コロンビア大学客員研究員。主な著書に「小説後藤新平」(学陽書房)「痛恨 の江戸東京史」(祥伝社)「自治体の政策創造」(三省堂)などがある。 * メールマガジンの感想をお待ちしております。 「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp 猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・日経BPネットの好評連載「猪瀬直樹の『眼からウロコ』」最新号がアップ されました。「『小泉改革=誤り』はいつ生じたのか ことの始まりは朝日 新聞の『格差社会』キャンペーン」はこちら。 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090630/163922/ ・東京都公式ホームページに、財政再建中の北海道夕張市に派遣された東京都 職員のレポートが公開されました。ぜひご覧ください。 http://www.soumu.metro.tokyo.jp/03jinji/yuubari/index.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆◇◆◇◆◇ 猪瀬直樹最新刊 ◇◆◇◆◇◆ ◆◇◆◇ 『霞が関「解体」戦争』 ◇◆◇◆ ◆◇◆ (草思社) ◆◇◆ 日本の権力構造のド真ん中に猪瀬直樹が切り込んだ! 地方分権改革推進委員会を舞台に繰り広げられた 官僚とのバトルを大公開。 何を、どう変えれば日本は再生するのか? この国を覆う閉塞感に風穴をあける痛快な書! 草思社の民事再生第一号です。乞う、応援。 http://www.amazon.co.jp/dp/4794216815 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ バックナンバーはこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html ご意見・ご感想はメールでどうぞ。 info@inose.gr.jp 配信解除の方はこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html まぐまぐの配信解除は http://www.mag2.com/m/0000064584.html 猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/ ○発行 猪瀬直樹事務所 ○編集 猪瀬直樹 ○Copyright (C) 猪瀬直樹事務所 2001-2009 ○リンクはご自由におはりください。ただしこのページは一定期間を過ぎると 削除されることをあらかじめご了解ください。記事、発言等の転載について は事務局までご連絡くださいますよう、お願いします。


