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編集長猪瀬直樹。混迷する現代の諸問題への処方箋を経済を中心に提示します。コンセプトはジャーナリズムと歴史的視点の新しい融合。30歳代の現場人間による寄稿、座談会、書評等で構成しています。

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2009/06/25

[MM日本国の研究552]「“国と東京都”の対決 直轄事業負担金問題最終局面へ」

                  2009年06月25日発行 第0552号 特別
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 ■■■    不安との訣別/再生のカルテ
 ■■■                       編集長 猪瀬直樹
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              http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html

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 東国原英夫・宮崎県知事は23日火曜日、古賀誠・自民党選対委員長からの出
馬要請に対し、「東国原知事を次期総裁候補として衆院選に臨むこと」、「全
国知事会でまとめあげた3つの提言を、自民党のマニフェストに盛り込むこと」
などを要求しました。
 
 猪瀬直樹は当日23日の報道ステーションにVTR出演し、「自民党の総裁を
やらせてくれというのは当然OKがでるわけじゃない。ていのいいお断わりを
彼はとても上手にやりながら、全国知事会の3つの提言をアピールした」とコ
メントしました。
 
 メディアは東国原知事が提示した条件のうち、「次期総裁選候補」ばかりに
注目していますが、猪瀬が指摘したように、全国知事会の提言の実行を迫った
点こそが重要なのです。
 
 全国知事会の提言は「国と地方の財源配分を五対五にすること」「直轄事業
負担金の廃止」「全国知事会と国の定例協議会の開催」などを柱としています。
 
 しかしながら自民党、民主党ともにそれに応えてはいません。両党とも地方
分権改革についての政策提案はあいまいな表現にとどまっています。本来は次
期衆院選に向けて、お互いがもっと具体的に議論を闘わせ、国民の信を問うべ
きなのです。
 
 猪瀬は先週17日水曜日に報道ステーションに出演し、直轄事業負担金をテー
マに、国交省と東京都の闘いの最前線を解説しました。今週のメールマガジン
はその抄録をお届けします。

                *  

 昨日24日水曜日、名古屋市鶴舞中央図書館から、猪瀬の著作「霞が関『解
体』戦争」(草思社)の朗読テープが届きました。目の不自由な方のためにつ
くられたものです。
 
 猪瀬の著作はそのほとんどがすでに音源化されていますが、図書館同士のネ
ットワークが不十分なため、重複で作られたものもあるようですし、猪瀬作品
のテープがない図書館もあるでしょう。

 朗読テープは市民の要望を受けて作成されますので、必要とされる方が近く
にいる場合は、ぜひ近くの図書館に伝えてください。

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「“国と東京都”の対決 直轄事業負担金問題最終局面へ」

       (テレビ朝日『報道ステーション』09年6月17日水曜日放送)

●古舘伊知郎○ 東京都の猪瀬直樹副知事におこしいただきました。よろしく
        お願いします。ちょっと前に猪瀬さんが話してくれたことを
ふっと思い出したんですが、「民間だったら決算というものがあるから大変な
んだ。予算だけの世界となるとひどいもんだよ」と前におっしゃいました。

●猪瀬直樹○ 民営化すると決算が重視されますが、役所は予算の世界です。
       しかし予算重視でも決算は一応あるわけですからその数字があ
いまいではいけない。我われ地方は負担を求められているわけですからね。地
方が出したお金がどういう風に使われるのかわからなければ、こんどは東京都
が都民に説明ができません。

●古館○ 猪瀬さんや橋下さんが要求して直轄負担金の明細がでましたが、余
     計にわからなくなっちゃっているような、とんでもない話じゃない
ですか。

●猪瀬○ 橋下さんは「ぼったくりバー」だと言ったんですが、国と地方が、
     主人と奴隷のようになっていることがおかしい。つまり国は地方に
お金を出させる際に、使い道の明細は出しませんが、国から地方に補助金をよ
こしたときには1円でも全部出させるのです。これは主人と奴隷の関係じゃな
いかと思う。今までは明細がなくて地方が出したお金の使い道がわからなかっ
た。

 それで「わかるようにしろ」といったら、09年度分をまず4月末にもってき
て、「だめだから」と疑問をだした。今度は08年度分を5月末に持ってきて、
5月末といっても5月29日金曜日の午後11時半ですよ、30日、31日は土日だっ
たからぎりぎりです。夜中にもってくるんだよね。
 
 その中身が「またおかしいぞ」、といったら昨日、東京都に説明にきました。
それから昨日、全国知事会のプロジェクトチームをやって、もうとにかく全都
道府県ががんばって、「こんなのは払えないよ」ということをきちんとやろう
じゃないかと取り組んでいるところです。

●古館○ 具体的にですね、国の直轄事業のうち、整備(建設)費の3分の1
     を地方が負担しています。3分の1といってしまえば簡単ですが実
は複雑です。猪瀬さんは「こういう風に切り拓こう」と主張していることがあ
りますね。説明してもらえますか。

●猪瀬○ 整備費の3分の1を負担するというルールですが、本当に建設のみ
     に使うということであれば地方は適正な受益者(地域)負担として
払いますよ。しかしながら、退職手当や国家公務員共済組合負担金、宿舎営繕
費なども整備(建設)費の中に入っている。これらは建設に使うものはないで
しょう。なぜ地方が国家公務員の退職金や宿舎、一般で言う社宅みたいなもの
の営繕費を地方が払わなければいけないのか。

 整備費の中にそういうものがまぜこぜにはいっているから、明細を出してそ
れらをのぞいてはっきりさせましょうということを打ち出しています。

 それからすでにできている直轄国道の維持管理費はもう払わない。維持管理
費は45パーセントを地方が負担していますが、国が直轄管理している国道にな
ぜ地方が45パーセントを払う必要があるのか。これは本来管理主体である国が
全額負担すべきものだ。「建設費は払うが、維持管理は払わない」。全国知事
会ではこういう方向にまとまってきています。

 本来はですね、国道は国が管理するのではなくて、地方に渡せばいいわけで
す。地方に渡せば、維持管理費は地方が払いますが、地方に渡さないなら維持
管理の負担金は払わない、そこをはっきりさせたい。

●古館○ 直轄負担金をただ「払わない」とだけ言っていると、国の権力拡大
     につながってしまうから、きちっと切り分けるということですね。

●猪瀬○ 具体的にいうことが大事なんです。「地方が直轄負担金をまったく
     払わず、国が日本の道路を全部つくりますよ」ということになると、
今度は霞が関の権限が強くなって、族議員が跋扈するようになる。

 ですから地方が一定額負担するということは当然あってしかるべきですが、
それは地方の主体性を確保するという意味ですね。でもそれは上納金を出すや
りかたじゃなくて、きちんと国の税源や財源を地方に渡せば、本来はこんなも
のはださなくていいわけです。そういう方向にいくのが地方分権だと思います。

●古館○ 霞が関改革と地方分権は一対になっていると思うんですね。麻生さ
     んも、二重行政の問題とか、行政改革ともいっているわけだし、民
主党の鳩山さんも「無駄を省く」と言っているのですから、今日の党首討論で
も格好のテーマだったはずですよね。国の直轄事業の地方負担金問題は。

●猪瀬○ 党首討論で議論してもらいたかったですね。つまり、麻生さんは国
     の出先機関を廃止するという方向を言っていたわけですから、地方
分権をテーマにしてほしかった。鳩山代表も「無駄遣いはいかん」というなら、
具体的なところを攻めていかないといけない。

 霞が関をコントロールするといっても、そう簡単にコントロールできるもの
ではありません。「具体的にこれはダメだ、あれはダメだ」、「ここは不正じ
ゃないか、ここは間違っているじゃないか」とやっていかないと、霞が関は改
革できません。

 霞が関は簡単に解体もコントロールもできません。実際に「この出先機関は
地方に渡す」、「この財源は地方に渡す」ということで霞が関が小さくなって
いくことが「霞が関改革」なんです。
 
 霞が関には安全保障や外交、金融をやってもらって、日常的に我々の生活に
関係あるものは全部地方に渡してもらう。霞が関の解体というのは、地方分権
で権限委譲していくことによってしかできないんです。

●古館○ いきなり「霞が関の岩盤をぶっ壊す」といって、ぶっ壊せる代物で
     はない。だからこそ、霞が関を縮小させるためには具体的にひとつ
ひとつつぶしていかなければいけない、ということですね。

●猪瀬○ おっしゃるとおりです。

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