2009/04/23
[MM日本国の研究544]「郵政と道路公団の民営化は特殊法人改革に必要不可欠」
2009年04月23日発行 第0544号 特別 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■ 日本国の研究 ■■■ 不安との訣別/再生のカルテ ■■■ 編集長 猪瀬直樹 ********************************************************************** http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 4月21日火曜日、大阪府都市整備部の職員が猪瀬直樹のもとを訪れました。 06年の国土開発幹線自動車建設会議(国幹会議)で一部区間の着工が凍結され た新名神高速道路の整備に理解を求めるためです。 面会後、猪瀬は報道陣に「それはもう終わった話。(新名神に並行している) 京慈バイパスを第2名神と名前を変えれば済むような話。もう一本つくっても 便益が発生するとは思えない」として、新名神は不要との考えをあらためて示 しました。 * 先週のメールマガジンでお送りした「小泉改革批判への大反論」に多くの反 響をよせていただきありがとうございました。 今週のメールマガジンは『フィナンシャルジャパン』5月号に掲載された「 郵政と道路公団の民営化は特殊法人改革に必要不可欠」をお送りします。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「郵政と道路公団の民営化は特殊法人改革に必要不可欠」 ■テニスボール1個400円サービス最低だった郵貯施設 国民から集めた年金資金でグリーンピアという赤字の保養施設が13カ所つく られて大きな問題になったが、郵便貯金でも長年似たようなことが行なわれて きた。郵政民営化はこれをストップしたということで大きな意義がある。 まず、郵政官僚が天下り先としてつくり続けた施設のサービスがいかにひど いものだったかを話そう。 2005年2月、自分の目で実態を確かめるべく、メルモンテ日光霧降(栃木県 日光市)に泊まってみたときのことだ。郵貯施設は「メルパルク」の名称が多 いが、日光霧降も郵貯でつくられたメルパルク系である。 浅草から東武線の特急に乗り、1時間48分で東武日光駅に着いた。駅からタ クシーに乗ると10分ほどで有料道路に入り、メルモンテ日光霧降はそのゲート からわずか2〜3分のところにあった。たった数キロの距離で、有料道路代と して930円(当時)も取られた。施設の案内パンフには、そんな余計なお金 がかかるとは書いていない。民間の施設なら、栃木県道路公社と交渉して有料 道路代を格安にするくらいのことは思いつくだろう。お金を払いながら、この 施設はウェルカムでないなあとつくづく思った。 宿泊棟はガラス張りの6階建てで、その横には体育館があった。この体育館 は大きくて、室内テニスコートが2面あり、屋外にもテニスコートが2面あっ た。 ちょうどいい、テニスをやろうと思って係の人に尋ねたら、テニスボールを 借りるのに1個400円するという。しかも、レンタルシューズがない。売店 があったので、そこでシューズを売っているのかと思ったが、それもない。ど うやって、テニスをやれというのか。 ここの目玉は温水プールと本格クア施設だと聞いていたので行ってみたが、 これがやたらと遠い。渡り廊下を歩いて15分もかかった。せっかく温まっても、 帰りは湯冷めしてしまう距離である。レインボープールとかキッズプールとか、 巨大な温室の中にジャグジーがいくつもそろっていて、それはいかにもぜいた くなのだけれど、直線25メートルのプールがない。いい大人が水遊びもないだ ろう。 それから、直径5メートルのドームが売りの天文館というのがあった。土星 が見えるというので、天体望遠鏡を覗いてみたが、星のまわりにかすかに輪ら しきものが見えた程度だった。コンピュータ制御のこの天体望遠鏡は1780万円 だったとか。ドームは1000万円。 ロビーに行くとバーがあって、グランドピアノがあった。しかし、そこから 10メートルしか離れていない廊下脇にも、もう1台グランドピアノが置いてあ った。誰かが弾く様子もなかったし、あれは、備品の予算が余ったから予算消 化のために買ったのではないだろうか。2階のゲームセンターにも行ってみた が、誰もいなかった。 平日だったせいか、客は少なかった。おばさんのグループで20〜30人、OL 風の若い女性が数人、カップルが一組。 この豪華施設の計画は1987年にさかのぼる。同年施行されたリゾート法に基 づいて、郵政省が多目的リゾート施設をつくったのである。しかし、その後バ ブルが崩壊したにもかかわらず、計画変更せず、94年から96年まで2年間かけ て建設された。 ここは当時、郵便貯金振興会(現在はゆうちょ財団)が経営していたが、07 年3月に営業終了し売却され、「大江戸温泉物語 湯屋日光霧降」という民間 施設としてリニューアルオープンした。あれから行ったことはないが、きっと 今ならサービスも格段に良くなっているのだろう。 ■口座数5億6377万という郵貯の異常性といい加減さ 郵貯に関してはおかしなことがほかにもたくさんあった。日本郵政公社が作 ったディスクロージャー冊子を見たら、郵貯の口座数が、なんと5億6377万。 日本の人口の約5倍である。郵貯限度額は1000万円なので、限度額を超えた隠 し口座を持っていた人がたくさんいたのだろう。 当時、郵貯は230兆円もあって、メガバンクの預金額を合わせた額に匹敵 した。ドイツの郵便局は、民営化される前の郵貯残高が8兆円程度だったし、 米国の郵政公社は40年も前に郵貯を廃止した。日本の郵貯は世界にも例がない 異常な巨大さだった。 これほど膨らんだ要因の一つは、「名寄せ」がきちんと行なわれていなかっ たことだ。名寄せとは、1人の預金者が複数の口座を持っているケースをチェ ックし、これを合算して個人の預金総額を確定すること。当時、銀行の名寄せ 率は97〜98パーセントとみられていたが、郵貯のそれが何パーセントか、誰も 知らなかった。銀行並みの名寄せをしていれば郵貯は口座の数も金額も激減し ていたはずだ。 この巨大な資金は国債の購入に充てられ、そして特殊法人にもどんどん注ぎ 込まれてきた。高い金利のツケを道路公団の料金のようなかたちで国民が支払 わされてきた。構造的に考えて、郵政民営化と私が携わってきた道路公団の民 営化は、ワンセットでやらなければいけないテーマだったということだ。お金 の入口が郵政で、出口の一つが道路公団。 郵政民営化で郵貯や簡保のお金が流れ込むルートを断ってしまえば、道路公 団など特殊法人の改革はおのずと流れが見えてくるわけで、大前提として、郵 貯・簡保の巨大な資金を減らさないといけなかったのである。特殊法人へ流れ ている資金の蛇口を閉めることができるから郵政民営化は必要だったのである。 (フィナンシャルジャパン 09年5月号掲載) * メールマガジンの感想をお待ちしております。 「日本国の研究」事務局 info@inose.gr.jp 猪瀬直樹の新着情報━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■掲載情報 ・日経BPネットの好評連載「猪瀬直樹の『眼からウロコ』」最新号がアップ されました。「国と都の道路の維持管理費を初めて分析 清掃コストは国よ り都の方が25%も安いことが証明できた」はこちら。 http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20090421/148054/ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― □□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□■□□ 猪瀬直樹新番組・放映開始! ■□■ 『東京からはじめよう』(MXテレビ) ■□■ 次回放送:5月2日(土)21:00−21:55(毎月第1土曜日) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 猪瀬直樹がホストをつとめ、毎回多彩なゲスト迎えて「東京のいま」を語る トーク番組がはじまりました! (第1回放送:4月4日(土) ゲスト:丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長) 07年6月の東京都副知事就任時、猪瀬は「東京は世界との経済戦争に勝って いかなければならない任務を帯びている。日本という国の全体のためにも東京 の力が必要だろうと思っています」と語りました。 新番組『東京からはじめよう』では、日本全体を牽引する役割を担う東京都 の現状と問題点、さらにはその解決策を各分野のスペシャリストを招いて探り ます。 ■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■□■■ ――――――――――――――――――――――――――――――――――― ◆◇◆◇◆◇ 猪瀬直樹最新刊 ◇◆◇◆◇◆ ◆◇◆◇ 『霞が関「解体」戦争』 ◇◆◇◆ ◆◇◆ (草思社) ◆◇◆ 日本の権力構造のド真ん中に猪瀬直樹が切り込んだ! 地方分権改革推進委員会を舞台に繰り広げられた 官僚とのバトルを大公開。 何を、どう変えれば日本は再生するのか? この国を覆う閉塞感に風穴をあける痛快な書! 草思社の民事再生第一号です。乞う、応援。 http://www.amazon.co.jp/dp/4794216815 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ バックナンバーはこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html ご意見・ご感想はメールでどうぞ。 info@inose.gr.jp 配信解除の方はこちら。 http://www.inose.gr.jp/mailmaga/index.html まぐまぐの配信解除は http://www.mag2.com/m/0000064584.html 猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/ ○発行 猪瀬直樹事務所 ○編集 猪瀬直樹 ○Copyright (C) 猪瀬直樹事務所 2001-2009 ○リンクはご自由におはりください。ただしこのページは一定期間を過ぎると 削除されることをあらかじめご了解ください。記事、発言等の転載について は事務局までご連絡くださいますよう、お願いします。


