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2009/06/29

<国際派時事コラム>大川隆法氏の、とんだ「頭の体操」

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◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
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      大川隆法氏の、とんだ「頭の体操」


■■■■第271号■■平成21年6月29日発行■■■◆




 新聞の上半身(記事部分)ではさっぱり取り上げられない
が、下半身(広告部分)でうごめく“政党”に幸福実現党と
いうのがある。

 うちの近所にも政党のポスターが増えてきたが、もっとも
地味なのが自民党で、きれいな印刷の大判ポスターをど〜ん
と貼っているのが幸福実現党だ。

 新聞に折り込みビラも入りはじめている。

 国軍創設をうたうところは保守党ふう、
 消費税ゼロを掲げるところは共産党ふう。

 宗教法人 「幸福の科学」 の潤沢な資金で、大衆受けする
メニューを宣伝すれば、比例区で何議席か獲得しかねない現
実的脅威だと思う。

 自民党政権延命のために連立与党に加わる赤じゅうたんが
敷かれることにもなりかねない。


■ 日本を共和国にする ■


 これまで票を投じてきた自民党に今回は入れたくないが、
さりとて小沢一郎見えみえの民主党にも、池田大作見えみえ
の公明党にも入れたくない……という層の、票の受け皿にな
る現実的な可能性がある。

 そういう方のために、幸福実現党がいかに恐ろしい集団か、
参考までにご説明しておこう。

 資料は、6月21日に産経新聞に掲載された全面広告。
 「幸福の科学」総裁の大川隆法氏による“新・日本国憲法”
試案だ。

 幸福実現党が自ら打った広告である。
 「憲法とは いかに あるべきか」が 端的にわかる、とんだ
頭の体操が待っていた。

*

 大川隆法氏の「試案」は、日本を日本共和国にして、大統
領による独裁政治を行おうというものだ。

 いまの日本国憲法では、 諸外国で 国家元首が行うことを
天皇が行う規定になっているが、大川「試案」は第4条で

≪大統領は国家の元首であり、国家防衛の最高責任者でもあ
る。≫

と定める。

≪行政は、国民投票による大統領制により執行される。
大統領の選出法及び任期は、法律によってこれを定める。≫
(第3条)

 大統領は、公選制である。一見、まともである。

 ところが、いったん大統領が選ばれると、恐ろしいことが
起きるのだ。


■ 全能の「大統領令」■


 大川「試案」の大統領には、「大統領令」というオールマ
イティ(全能)のカードがあるのだ。

 第6条に、

≪大統領令以外の法律は、国民によって選ばれた国会議員に
よって構成される国会が制定する。≫

とある。

 つまり、「大統領令」は法律の一部なのだ。
 行政の最高責任者が「大統領令」という名の法律を制定す
ることができる。

 ここからが恐ろしいところだが、第7条にいわく

≪大統領令と国会による法律が矛盾した場合は、最高裁長官
がこれを仲介する。
2週間以内に結論が出ない場合は、大統領令が優先する。≫

 立法府による法律を無視して、大統領に都合のよい大統領
令を公布できる。
 「矛盾」を 指摘されても、2週間だけ黙んまりを決め込め
ば、自動的に大統領令が優先して、国会による法律は滅ぶ。

≪大統領の選出法及び任期は、法律によってこれを定める。≫

という第3条の規定を思い出していただきたい。

 「大統領の選出法 及び任期は、国会が制定した法律によっ
てこれを定める」と書かれておれば、国会が牽制力を保持で
き、辛うじて歯止めができるが、そうではない。

 大統領令によっても、大統領の選出法及び任期を規定し直
すことができるのだ。
 大統領令とは、法律の一部だから。

 だから、大統領の終身制や世襲制を大統領の一存で決める
ことも合法的にできる。

 議会が全会一致で反対しても、大統領令が勝つ。


■ テロでしか改正の道がない憲法 ■


 この邪悪な大川“憲法”を改正しようという声が世に満ち
満ちたとして、第15条の改正条項を見て国民は絶望する。

≪本憲法は大統領の同意のもと、国会の総議員の過半数以上
の提案を経て、国民投票で改正される。≫

 大統領の同意がない限り、憲法は改正され得ないのだ。

 こうなると、国家を正すための唯一の道は、大統領および
その法的後継者をテロにより暗殺し、暴力革命で新たな憲法
を立ち上げるしかない……

 ……と、ここまで考え進んで気づくこと。

 近代憲法とは、ある人(々)、ある集団がオールマイティ
のカードを持たぬよう権力分立の仕組みを設計したものなの
だと。

 テロや暴力によらずとも、国の権力構造を正せる仕組みを
設計したものなのだと。

 大川“憲法”は、大統領の独裁制を貫徹できる仕組みにな
っており、とうてい近代憲法とは言えない。

 こういう座標軸をもった集団が国会に「国民の代表者」と
して居座ることになったら、空恐ろしい。

 ホンネはさておき、建前上は日本国憲法擁護を唱える日本
共産党や社民党のほうが、100倍もマシであろう。

 「幸福の科学」を集票マシンとして“利用”したと伝えら
れる千葉県知事も、それが事実とすれば十分、辞任に値する。


■「神仏の心」の定義なし ■


 大川隆法「試案」は、ひとことで言えば噴飯ものだから、
論壇からも相手にされていないが、ヒトラーだって最初はそ
うだったのだ。

 ドイツの知識人もまた、ヒトラーの座標軸の根本的欠陥を
攻撃しそびれ、むしろその表面的な経済政策の成功に酔った。

 一見もっともらしい公約をちりばめた幸福実現党の宣伝ビ
ラを前にして、ナチス誕生のころもこんなふうだったのでは
ないかと思えてくる。

*

 大川「試案」の前文にいわく

≪われら日本国国民は、神仏の心を心とし、……(中略)…
…神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、
ここに新・日本国憲法を制定する。≫

 「神」も「仏」も、宗教の宗派の数だけ定義がある。
 これを法源(=法の根本原理の出発点)と定めるとは仰天
だが、大統領サマが「神」「仏」を定義してくださるのであ
ろう。

 第2条に

≪信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。≫

とあるが、つまるところ

「信教とは <幸福の科学> を指す」

と大統領令で定められ、不信心の自由は一切認められない
(=幸福の科学の信者にならなければ国民扱いされない)と
いうことになるのがオチだ。


■ 革命憲法を志向する大川隆法氏 ■


 かくも欠陥だらけの憲法が、日本国憲法の改正手続きによ
って制定される可能性はゼロだが、

大川「試案」の第15条にいわく

≪本憲法により、旧憲法を廃止する。≫

 つまり、日本国憲法の改正手続きによらず、革命憲法とし
て制定することを目指したのが大川「試案」なのだ。

 ちなみに日本国憲法は、その実際の経緯は別として、大日
本帝国憲法の第73条に定めた改正条項に従って制定された。

≪朕は、……(中略)……枢密顧問の諮詢及び帝国憲法第73
条による帝国議会の議決を経た帝国憲法の改正を裁可し、こ
こにこれを公布せしめる。

御名御璽
昭和21年11月3日≫

 日本国がいまも Republic(共和国)ではなく Empire(帝
国)である所以である。

=

 今回のコラムへのご意見は、以下のブログに書き込んでい
ただくことができます。
 なお、内容によっては一切の説明なしに削除させていただ
く場合があることをお断りしておきます。

大川隆法「試案」という独裁共和国の提案書 
噴飯ものと侮ってばかりもいられないかも 
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200906230000/


===


▲ 後記 ▼


  さいきんのコラム子のブログ記事から ――

(全文を読むにはリンクを開いてください)


リニア新幹線の南アルプス迂回ルート(諏訪市経由ルート)
ごり押しは、長野県の恥だ
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200906210000/

 暗愚の殿様に判断を仰ぐとき家臣らは、通すべき本案の他
に、どう見ても問題外の愚案を並べて上呈し、

「愚かな私どもでは判断がつきませぬ。
殿、いかがいたしたものでありましょう」

「ほほぉ、それは、こちらが良いのではないか」

「ははぁっ。目のうろこが取れた思いにござります」。

 リニア中央新幹線の3つのルート案を知って、暗愚の殿様
につきつけられた本案と愚案を見るような思いがした。


人材派遣会社という業態を崩壊させる社民党・国民新党案を
民主党が丸のみ 
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200906260000/

 人材派遣会社という業態が崩壊すると、いま人材派遣会社
でもって雇用を確保している人が正社員になれるハッピーな
世の中になります、と社民党や国民新党が本気で思っている
としたら大バカだ。

 企業が勤労者を30代や40代で正社員として中途採用すると
き、大卒新人の給与レベルでというわけにはいかず、年齢相
応の給与を支払うのが一般的だ。

 だから、それに見合ったスキルがあると見なされる者だけ
が、中途採用の狭き門をくぐる。

 人材派遣会社がなくなると、人材派遣会社を通じて何とか
職を得ていた人々のうち、スキルの乏しい人(=社民党や国
民新党が考える「弱者」)は雇用を完璧に失う。

 大卒新人にとっては有利だろう。
 今まで人材派遣会社がまかなっていた労働力を、安い若手
の労働で穴埋めするべく、新卒採用が増えることが予想され
るからだ。

 人材派遣会社は、派遣する前にコンピューターの使い方や
会社生活の常識などを必要に応じて講習させることが通例だ。
 その意味で、雇用促進の研修機関としての役割も果たして
いる。

 社会の必要が生んだ業態を、狭い見識に基づく政治がつぶ
しかねない好例(?)だ。


==


<泉 幸男 著>


   『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』 

『日本の本領(そこぢから)  国際派商社マンの辛口メモ』

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