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本業は総合商社の営業マン。もと北京駐在。このメールマガジンから、エッセー集 『中国人に会う前に読もう』 と政策提言書 『日本の本領(そこぢから)』 が誕生しました。歴史雑学いっぱいの辛口時評から語学のコツまで、毎号、大脳皮質を刺激します。

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2009/04/27

<国際派時事コラム>NHKよ、さよなら! 台湾を読む、この2冊

↓ 週3回更新のブログはこちら
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi


◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
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    NHKよ、さよなら! 台湾を読む、この2冊


■■■■第266号■■平成21年4月27日発行■■■◆




 「満洲事変」という。「日満戦争」とは言いませんな。

 宣戦布告がない戦争行為のことを「事変」という。
 満州事変は、日本と中華民国間の事変だから「日華」事変
のひとつである。

 これを「日満」事変とは言わない。
 満洲国ができたのは満洲事変の後だからね。

 「日満〜〜」というのは、満州国が成立した後の事柄である。
 たとえば「日満議定書」(昭和7年)とか。

*

 4月5日のNHKスペシャル「シリーズ・JAPANデビ
ュー」で、NHKが
「1895年に日台戦争が起きました」
と言ってのけたが、いやぁ、感激しましたよ。

 NHK史観によれば、日清戦争が終わった1895年に台湾は
大陸から独立したということらしい。

 独立台湾があってはじめて、「日台戦争」あり。

 NHKが台湾独立派の急先鋒であったとは!

 涙ぐましくも反日番組の形を借りて、
「1895年(明治28年、光緒21年)台湾独立。日台戦争勃発」
と世界史年表に書き記そうと目論むNHKは、図らずも中国
共産党の路線から外れてしまったようですが……(笑)。

 “日台戦争”。
 NHK番組の放映直後の4月6日朝にはグーグル検索して
も 201 件しかヒットしなかった。

 それが、4月26日夜には 4,130 件のヒット。
 トップから3番目に、コラム子のブログが出てくる。


■『母国は日本、祖国は台湾』■


 4月5日のNHKスペシャルで最も許せないのは、
大正11年、東京は本郷の生まれの柯徳三(か・とくぞう)さ
んの談話を不公正に編集したことだ。

 プロとしての放送人の道に もとるだけではない。
 人間の行為として、やってはならないことをしたNHK。

 番組の中で柯徳三さんの談話は、自らのアイデンティティ
を奪った日本への恨み言を激しく述べ立てる老人の言として
巧妙に編集されている。

 永山英樹さんのブログに、柯徳三さんとじかに電話で話し
てインタビューの実際を確かめた様子が記されているので、
ご覧ください:

「証言の断片のみ放映 台湾の被取材者が怒る反日番組」
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-716.html

 永山さんのブログを通じて、柯徳三さんの著書

『母国は日本、祖国は台湾  或る日本語族台湾人の告白』
(発売・星雲社、1,400円+税)

を知り、アマゾンで注文したら、台湾と日本のきづなを語る
いろんな本を「これも買いませんか」と紹介されるオマケも
ついた。

 昨日ようやく柯徳三さんの本が届き、しみじみ通読した。

≪今も日本の学校では、台湾のことがきちんと教えられてい
ませんね。
教えられるとしたら、日本が悪いことをしたということばか
りです。≫

 帯に引かれた言葉からして、そのままNHKスペシャルへ
の批判である。


■ 拓殖大学で台湾語を教える ■


 柯徳三さんの祖父の柯秋潔(か・しゅうけつ)さんは、
23歳のときに日本人となった。

 当時、台北の電報局で英文電報を担当する一方、18歳の頃
から寺子屋を開いて子供たちに漢学を教えていた柯秋潔さん。

 明治44年(39歳のとき)から、東京の東洋協会専門学校
(のちの拓殖大学)に来て、台湾語の講師として大正12年
(51歳のとき)まで勤める。

 一家で東京に滞在中、大正11年に生まれたのが孫の柯徳三
さんというわけだ。

 大正12年の関東大震災にたじたじとなった一家は、翌13年
に台湾へ戻った。

≪震災さえなければ、あるいはずっと日本に留まっていたか
もしれません。
そうなっていたら、また違った人生があったでしょう。
私は台湾人だという意識をあまり持つことなく、日本人とし
て生きてきたかもしれません。≫


■『民俗台湾』と皇民化運動 ■


 しみじみ良い本なので、ぜひ買って読んでいただきたいが、
もう少し紹介しよう。

 柯徳三さんは、台北帝大医学部に入学する。
 昭和16年のことだ。

≪大東亜戦争が始まってからは、皇民化運動が盛んになり、
様々な規制が非常に厳しくなりました。
台湾語は禁止され、台湾式の神仏は廃止、各家庭には強制的
に天照大神の大麻が奉祀されました。≫

≪一方で、徹底的に台湾人の味方になってくれた先生もいま
した。
解剖学の金関教授という人は、戦時中に発刊禁止になった
『民俗台湾』という月刊誌を編集していた立石鐵臣などと共
鳴し、台湾人の土俗民族を尊重しないと、日本人はゆくゆく
は駄目になってしまうと考えていたようです。≫

≪ところが、皇民化運動というのは……(中略)……台湾人
を叩き上げて完全な日本人にするために、あらゆる台湾の臭
いは消してしまえ、と強引に推し進めていったものです。≫

≪台湾人と日本人は、元々異民族なのですから、お互いに風
俗習慣を尊敬し合ってこそ、うまくいくのです。≫

 たとえばここで金関教授のくだりを省いたら、印象が一変
する。
 かたよった編集は、おそろしい。


■ 持って帰れる財産は、ほんの僅か ■


 敗戦後、外地にほとんどの資産を遺して帰国し、個人レベ
ルで最大限の戦後賠償を遂行した何十万人もの日本人。

 日本の戦後処理の最重要部分でありながら、ドラマの導入
部の飾り物ていどにしか扱われない「内地帰還」の苦難に、
コラム子は深い関心をもっている。

≪戦後の日本人は、相当悲惨でした。
財産はなくなるし、引き揚げまで、皆、筍(たけのこ)生活
でした。
道端で、衣類や日用品を売ったり、家の骨董を持ち出して道
端で並べたりね。≫

≪日本へ持って帰ることを許された財産は、ほんの僅かでし
たから、当分食べる分だけでも物を売ったり、着物や骨董を
売ったりして、お金に替えていたわけです。≫

≪日本政府も、引き揚げ者をすぐに日本へ連れて帰る能力が
ありませんでしたから、アメリカが船の手配を整えて、それ
でも引き揚げるまでに1年かかった人もいました。≫

≪彼等の多くは、台湾が生まれ故郷なのですから、日本へ行
って、それからどうやって生活していくのか、どこへ住むの
か、途方に暮れたと思います。≫

 昭和20年の日本人を語るなら、そのいさぎよい内地帰還の
ことを忘れるなかれというのが、コラム子の思いである。


■ 訪ね歩き、調べて書いた ■


 片倉佳史(かたくら・よしふみ)さん。
 昭和44年生まれ。

 この3月に
『台湾に生きている「日本」』 (祥伝社新書) 
を出した。

 訪ね歩き、調べて書いた、付加価値・資料価値の高い本で
ある。
 コラム子も一読後、勤務先の会社の台北支店の同僚のため
に、さらに3冊買い求めた。

 片倉佳史著の第1部「台湾に生きている<日本>を歩く」。

 台湾総督府(いまの中華民国総統府)から、台湾東南部の
田舎の遥拝所の石燈籠まで、写真とともに観光ガイドのよう
に導入しつつ、ひとつひとつ歴史を掘り下げてゆく。

 圧巻は第2部
「台湾人と日本人 ―― 日本統治時代の絆を訪ねて」。

 台湾・嘉義県で義愛公として庶民信仰の対象として祀られ
ている森川清次郎巡査の話。

 はたまた、宜蘭県のタイヤル族の少女サヨン・ハヨンの哀
しい献身と、その後の物語。

 恥ずかしながら、どちらも片倉さんの本を読んで初めて知
った。
 劇的な逸話である。

 敗戦後に日本軍の将校が蒋介石軍を鍛える顧問団「白団」
として極秘裏に働いた話は、ものの本で読んだことがあった
が、まとまった知識を得られたのは片倉さんのこの本が初め
てだった。


■「ウンチャン」「そーか」■


 第3部は「台湾の言葉となった日本語」。

 片倉さんの台湾生活は10年以上になる。
 各地を旅するなかで、台湾語や先住民族の言語に生きてい
る日本語の単語を耳にしたのを、こまめに記録したもの。

 こういう同時代的記録は、案外残されないものだから貴重
だ。

 片倉佳史サイト「台湾特捜百貨店〜片倉佳史の台湾体験」
は、こちら:
http://katakura.net/


===


▲ 後記 ▼


  さいきんのコラム子のブログ記事から ――

(全文を読むにはリンクを開いてください)


鳩山由紀夫発言: 
「日本列島は日本人だけの所有物じゃないんですから」 
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200904230000/

 タイトルに掲げたくだりだけ有名になってますが、実際に
は何と発言していたのか。
 要約をご覧ください。
 

鳩山由紀夫発言のホントの問題点2つ (全文転載)
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200904240000/

 鳩山由紀夫さんのニコニコ動画発言で勉強になったことが
ある。

 外国人へ参政権を与えよという政治勢力は、もっぱら
「永住外国人」(=いわゆる在日韓国人、在日朝鮮人がほと
んど)のことを語っているものと、これまで考えていた。

 拙著『日本の本領(そこぢから)』でも232〜240頁で論じ
ているが、批判対象は公明党の主張する
「永住外国人地方参政権付与」。

 わたしの勉強不足で、鳩山由紀夫さんの言う
「定住外国人にも地方参政権を与えよ」
という主張はたんに「永住」を「定住」と言い間違ったもの
と思った。

 甘かった。

 「外国人参政権問題」というときの「外国人」の定義が、
従来の「永住外国人」(=在日韓国人・在日朝鮮人)から
ぐっと拡げられていたのだ。

 正式には ≪定住者≫ という名の 「定住外国人」 は、
インドシナ難民や日系ブラジル人、外国人配偶者の連れ子な
ど、人道的に在留を認める必要のあるときに用いられる在留
資格だ。

 つまり将来的には、大量の北朝鮮難民や中国難民も「定住
外国人」として扱われる。

 この人たちに地方参政権を与えよというのが、民主党の主
張なのだ。

 「外国人参政権」というとき、その対象が「永住外国人」
なのか「定住外国人」なのか、まずそこを質(ただ)す必要
があるということだ。

 「<永住>だけ」派と「<永住>も<定住>も」派との間
で泥沼のバトルをさせるのがよい。

 永住者と定住者の違いをまとめた表が「サイバー法律110
番」のサイトにあった。
(内容が正しいか検証していませんが、参考にしてください。)
http://www.nifty.com/clq110/sankou/pdf/gaikoku/01.pdf

*

 鳩山由紀夫発言のもうひとつの問題は、日本をいわば
「仏の国」だと言ったこと。

「仏教の心を日本人が世界でいちばんもっているはずなのに、
地方参政権への門戸が定住外国人に対して開かれないのは残
念」と。

「日本は神の国だ」と言った政治家がかつてあれだけ批判さ
れたのに、なぜ鳩山発言のこの部分が批判されないのだろう。

 屁理屈をつけるなら、鳩山発言は
「ほんものの仏教徒であれば定住外国人への地方参政権付与
に賛成すべきである」
ということになる。

 つまり、次期首相候補のひとりである政治家が、仏教寺院
関係者をはじめ広く仏教徒と自認する人々に対して、

「仏教を信じるなら、日本語を満足に使えないような難民を
含む定住外国人に対しても地方参政権を与えることに賛成す
べきであって、そういう政治姿勢を示さないのは仏教精神に
もとる」

と発言して、仏教教理に対して不当な干渉をした、というこ
とだ。

 そういう切り口で鳩山由紀夫発言は批判されるべきなのだ
が。


==


<泉 幸男 著>


   『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』 

『日本の本領(そこぢから)  国際派商社マンの辛口メモ』

               通 信 販 売 も 受 付 中
         http://homepage2.nifty.com/sai/mart/


==

■主宰   泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio)

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(旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます)
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