2009/04/07
<国際派時事コラム>NHK用語「日台戦争」の不適格
↓ 週3回更新のブログはこちら http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi ◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ NHK用語「日台戦争」の不適格 ■■■■第264号■■■平成21年4月7日発行■■■◆ 4月5日のNHKスペシャル「アジアの“一等国”」を観 ていて、 「あれ?」 と思った用語がある。 日清戦争の結果、下関条約によって台湾は日本領となった。 しかし、新来の日本勢に対して現地住民の叛乱が頻発する。 この鎮圧のために日本軍も武力行使したから戦闘となった わけだが、NHKはこれを 「日台戦争とも呼ばれています」 とアナウンサーに解説させ、あろうことか ≪日台戦争(1895)≫ という字幕まで出した。 ■「○○戦争」とは主権国家間の闘いだ ■ コラム子は「文禄・慶長の役」のことを「日明(にちみん) 戦争」と呼ぶことがある。 文禄・慶長の役は、明(みん)国という主権国家が言わば “明国・朝鮮安全保障条約”に基づき朝鮮出兵に応じ、日本 という主権国家に対して防衛戦を繰り広げた戦争だ。 「日明戦争」というのはあながち間違いではない。 国民の常識として、ふつう「日明戦争」と呼ばないことは 分かりきっている。 あえてコラムで「日明戦争」という用語を使っても人々を ミスリードすることはない。 しかし今回のNHKスペシャルでは、「日台戦争」という 用語をあたかも、いっぱしの歴史用語であるかのように番組 で使い、字幕まで使って示してみせた。 日清戦争後の台湾住民の叛乱の鎮圧は、主権国家どうしが 国権を発動して戦ったものではない。 こういうゲリラ戦やテロは学術的には「○○戦争」といっ た名づけをしないのが、社会科学の常識だ。 百歩ゆずって、住民叛乱を陰で煽っていた清(しん)国の 存在を考えれば、「日清戦争」の延長戦と言うのが正しい。 ■グーグル検索ヒット、堂々201件■ 国民のカネで運営されるNHKのアナウンサーが 「日台戦争とも呼ばれています」 と解説し、念には念をいれて ≪日台戦争(1895)≫ という字幕まで出すくらいだから、「日台戦争」という用語 はそれなりに使われているのだろうか。 コラム子はびっくりした。 台湾についてそれなりに勉強したつもりだったが「日台戦 争」などという用語は見たことがなかったからだ。 4月6日の朝7時半、“日台戦争”でグーグル検索してみ た。 わずか 201 件しかヒットしない。 (ちなみに“日明戦争”でさえ 802 件のヒットがあった。) しかもその 201 件のうち上位3件は、昨今の台湾漁船に よる尖閣列島領海侵犯がらみのイザコザを「日台戦争」と 形容しているもの。 4件目は、まさにこの4月5日のNHKスペシャルで使わ れた「日台戦争」に疑問を呈した別のブロガーの記事だった。 4月6日夜10時、同じ“日台戦争”をグーグル検索すると 213 件。 なんと2件目にコラム子のNHK批判ブログが浮上してい る。 要すれば「日台戦争」などという用語は、これまで日本国 民の辞書には無かったのである。 ■ 大学入試で使ったらペケ ■ 社会科学的にも不適格で、実際の使用例も極めて少ない 「日台戦争」。 大学入試で 「1895年には日台戦争がありました」 などと書いたらペケだろう。 なぜNHKは、国民の電波に字幕まで載せて「日台戦争」 という不適格エセ歴史用語の普及を図ったのか。 「日本が台湾を領有したのは、日台戦争という侵略戦争の 結果である。 日本は台湾人から台湾を侵略によって もぎ取った」 ―― そんな史観を広めたいのに違いない。 日本の台湾領有は、日清戦争後の法的合意に基づく。 しかし、日本を「根っからの侵略国家」呼ばわりしたい人 々は、別の歴史解釈を広めたくてたまらないのだ。 ■ 駆(か)り出し、叩きこむ ■ 4月5日夜9時〜10時15分放映のNHKスペシャルは、 シリーズ「150 年前 世界デビューした JAPAN の軌跡」の 第1回だ。 こういう偏向番組のために、これまではNHK教育テレビ の夜の時間帯が“解放区”としてあてがわれていたが、つい に総合テレビに侵略してきたようだ。 第1回「アジアの“一等国”」は、ひたすら台湾統治の負 の部分にスポットをあて、重苦しい音楽を扇情的につかって 巧妙に編集してあった。 「台湾の住民のほとんどは大陸から移り住んだ漢民族です」 という冒頭解説からして不正確。 先住民と福建省出身の漢人の混血度の高さに言及しないと、 本省人(=日本統治時代の在来台湾人)を語ったことになら ない。 NHKは漢人に対しては親切だから「大陸から移り住んだ」 と言って済ませる。 先住民が住んでいた土地を漢人が武力で奪ったから、先住 民は仕方なく辺鄙なところに住んでいるのだけどね。 のっけからこれだ。 想像どおり、今日の漢人的価値観で1世紀前を断罪しよう という姿勢で貫かれていた。 「台湾の青年は戦場に駆(か)り出されました」 「日本精神を叩き込んでいきました」 のように、使われる動詞ひとつ取っても洗脳調なのである。 ■ 後藤新平をどう解釈するか ■ 台湾総督府民政長官の後藤新平の統治方針についても、取 り上げ方が一面的だった。 叛乱鎮圧のために台湾だけに適用させた「匪徒刑罰令」。 「単なる破壊行為やその未遂でも死刑対象としたため、 条例施行後の5年間で3千人の死刑執行が行われた」 と、おどろおどろしく語って、これまで開明派として知られ てきた後藤新平を悪玉に染め上げた。 うぶな視聴者は、ころりとやられる。 しかし、時代は19世紀末から20世紀初頭である。 厳罰主義ではあるが、叛乱鎮圧を法的に行おうとしたのが 後藤新平である。 闇雲な住民射殺は許さず、あくまで死刑執行という法的方 法により最小限の犠牲で最大の叛乱抑止効果をねらった。 そう考えれば、当時のぎりぎりの状況のなかで、後藤新平 は精一杯の先進性を発揮したと言えるのではないか。 ■ 余りある償い ■ 番組では、日本統治時代に高等教育を受けた台湾人の老人 らが、当時の差別待遇の数々に恨み言を述べ、アイデンティ ティーの喪失を嘆く。 ひたすらネガティブで辛辣なことばが洪水のように受像機 から流れ出すから、反日ものに免疫のない普通の視聴者は、 ころりとやられる。 敗戦後、台湾に生涯資産のほとんどを残して日本本土へ帰 還した日本人たちがしぼった涙でもって、余りある償いがな されているのだが、75分のNHK番組はそのことに一言も言 及しなかった。 === ■「坂の上の雲」放映とのバーター説も ■ ブログへの読者書き込みから: ≪NHKは、歴史の勉強をし直して欲しい。 台湾現地へ、再度、取材して、正して頂きたい。 NHKの感性は、笑われます!≫ ≪番組中、台湾のおじいさんが日本に対して怒っていたのは、 「戦後、日本人が日本に逃げ帰った(ように彼らには見えた) せいで、国民党が好き勝手にした」 ということに対してであって、 決して「日本の統治がひどかった」からではありません。 しかし、そのように受け取れるように編集してありましたね。 本当にどこの国の放送局なんだか。≫ ≪予告編を見たときからこの番組の構成は予想していました ので敢えて見ませんでした。 台湾に長く暮らしていた親にみせるのも忍びないとの思いも ありました。 予想は完璧に当たっていたんですね。 これから3年もこんな番組が放送されると思うと暗澹たる気 分です。 「坂の上の雲」を放送するためのバーターですね。 今後「坂の上の雲」が放送される度に日本を貶める番組が並 行して流れることになるでしょう。≫ NHKの暗黒の逆襲 http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200904050000/ NHK用語「日台戦争」 不適格な “歴史用語” をテレビで普及させる気か http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200904060000/ === ▲ 後記 ▼ さいきんのコラム子のブログ記事から ―― (全文を読むにはリンクを開いてください) 行きずりの恋ができにくく http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200904010000/ 時々立ち寄っていた書店が3軒、最近2ヶ月で立て続けに、 がらんどうになってしまった。 自宅から歩いて行ける書店が消えた。 突然閉店。 デパートの閉店と違って、売り尽し大廉売はなかった ……などと冗談を言ってる場合か。 「まちづくり交付金」 が使える景観整備 松山市のロープウェイ街が、かわいい http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200903280000/ 秋山兄弟の生家の復元に、一部勢力の反対で1円も出せな かった松山市。 さぞや松山市長も無念だったろうと思うが、秋山兄弟の生 家に至るロープウェイ街の整備には予算をつけることができ た。 「回転木馬」@銀河劇場 主役ふたりの役作りがみごと http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200904010001/ コラム子がいのちを捧げてもいいと思うくらい ご贔屓の 笹本玲奈さんが主演のミュージカル。 有志一同で、笹本さんにすてきな盛り花も贈りました。 (写真も載せましたので、ご覧ください。) == <泉 幸男 著> 『中国人に会う前に読もう 第一線商社マンの目』 『日本の本領(そこぢから) 国際派商社マンの辛口メモ』 通 信 販 売 も 受 付 中 http://homepage2.nifty.com/sai/mart/ == ■主宰 泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio) http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ (旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます) http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/ (週に3回ほど更新しているブログ) ■発行者への通信は mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp いただいたメールは、引用することがあります。 引用内容が政治性を強く帯びたものについては、掲載につ いて ご本人の事前了解をいただくつもりですが、 この辺の 采配は発行者にお任せいただくしかありません。 発信者氏名は原則として公開しません。公開する際は、ご 本人の事前了解をいただきます。 掲載するメールは、発信者の居住地名(市ないし県名)を できるだけ書かせていただきたく、それについてお問合せを することがあります。 ■このメールマガジンの転送・転載はご自由にどうぞ。 ■このメールマガジンの内容は、主宰の勤務先の見解とは無 関係です。このメールマガジンは、主宰の勤務先による監修 その他のサポートを一切受けておりません。主宰の勤務先に おいて守秘対象とされる事項は一切含まれておりません。 ■メールマガジン(配信誌)のお申込み・解除は、以下のペ ージでどうぞ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/mailmag.htm ------------------------------------------------------ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐま ぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000063858) ------------------------------------------------------



