国際派時事コラム「商社マンに技あり!」  RSSを登録する

本業は総合商社の営業マン。もと北京駐在。このメールマガジンから、エッセー集 『中国人に会う前に読もう』 と政策提言書 『日本の本領(そこぢから)』 が誕生しました。歴史雑学いっぱいの辛口時評から語学のコツまで、毎号、大脳皮質を刺激します。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2009/03/09

<国際派時事コラム>移民を受け入れるのなら

↓ 週3回更新のブログはこちら
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi


◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆
          http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/


        移民を受け入れるのなら


■■■■第260号■■■平成21年3月9日発行■■■◆




 3月2日の『ニューヨーク・タイムズ』紙のオピニオン面
に、玉本 偉(たまもと・まさる)さん(昭和31年 生れ)の
寄稿が載っていた。

 題して「日本の情念危機 (Japan’s Crisis of the Mind)。
http://www.nytimes.com/2009/03/02/opinion/02tamamoto.html

 世界中からよりすぐりの寄稿が届く同紙のオピニオン面に
掲載されることがいかに至難の業(わざ)か、ニューヨーク
領事館の広報担当の人から聞いたことがある。

 玉本さん、おめでとう。


■「いいとこ取り」を夢想しても…… ■


 日本は、受動的・消極的な官僚国家におちぶれ、100万人の
ヒキコモリを抱えて少子高齢化の絶望的な状況にあり、解決
への出口は「移民受入れ」しかない、というのが論旨。

 評論のクライマックスの一節を読んで、椅子からずり落ち
た。

≪我々が国 (nation) として生き延びたければ、我々は移民
受入れへの根深い抵抗感を捨て去らねばならない。

日本を「純血」(pure) に保たねばという偏見が広く行き渡
っているが、そうではなく、我々は何としても我らの血を薄
めねばならないのだ。

老齢化するわが国は、大学教育を受けて高い生産性を身につ
けた中流移民を何百万人も必要とするであろう。

それらの人々は、根を下ろして家族を育(はぐく)み、その
矜持と成功が新たな日本の価値観を築くこととなろう。≫

 「大学教育を受けて高い生産性を身につけた中流移民 
(university-educated middle-class immigrants with high
productivity)」が、移民の主要部分を占めるなら結構な話。

 だが、それは夢物語だろう。
 門戸を軽率に開けば、もっと下流の層が多数を占めると考
えるのが自然ではないか。

 上流・中流層は米国を目指す、のが現実だ。


■ ぞっとする「血」へのこだわり ■


 読みながらコラム子がぞっとしたのは、

≪... we desperately need to dilute our blood.≫

という箇所だ。 

 「我々は何としても我らの血を薄めねばならない」だって?

 アドルフ・ヒトラーと逆のことを言っているように見えて、
「血」へのこだわりぶりはヒトラーと紙一重ではないか。

 コラム子の勘違いだったら教えてほしいが、現代日本の
「保守派」が日本人の「純血」なるものにこだわっていると
は、とうてい思えないのである。

 国際結婚で生まれた子どもが、日本の風景にすっかり溶け
込んでしまうことでも分かるように、もともと日本人の
「血」は多様なのだ。

 韓国人50名、中国人(漢人)50名、日本人50名を並べたら、
間違いなく日本人グループの顔立ちが一番バラエティーに富
む。

 古代から多様な民族が時間をかけて融合した藝術品こそ、
日本人だ。

 カネや安逸のみを求めるのでなく、日本のどこかに惚(ほ)
れて日本語を身につけ、どうしても移民したいという人々の
ことまで拒否したいという発想は、日本政府にもないはずだ。


■ 生まれたところで夢を実現できれば、最高 ■


 大学出の優秀な人材も含め、およそ人というのは本来、
生まれ育った文明圏のなかで夢を実現できれば一番しあわせ
なはずだ。
 そう、コラム子は信じている。

 生まれた場所で夢を実現できないから、移民する。

 日本に惚れてくれた殊勝な人々には、ぜひ日本に来て住ん
でもらいたい。
 日本こそが、夢を実現するのにふさわしい場所なのなら。

 以上を前提にして、きれいごとめいた理想論を言うなら、
我々の役目は「移民受入れ」ではなく、むしろ

「ひとつひとつの開発途上国が、国外移民しなくても夢を実
現できる空間となるための手助けをすること」

なのではないか。

 それが、ODA(政府開発援助)の本旨だ。
 そう、コラム子は信じている。


■ 移民を「方便」扱いする失礼 ■


 ゆっくりと移民受入れを進めることは、日本の古代からの
国柄にもかなっているのだから、コラム子も賛成だ。

 ところが、世の中の移民受入れ派の言説が えてして不愉快
なのは、移民のことを、将来の介護労働力と福祉財源確保の
数合わせの方便としてしか考えていないように聞こえるから
だ。

 とんでもない話であって、介護にたずさわる人々の給与水
準を上げれば、移民に頼らずとも労働力は必ず確保できる。

 高所得を得られる労働は、完璧な日本語力ないし英語力が
なければ従事できない。
 アジアの開発途上国からの移民はこの条件をすぐに満たす
ことが難しく、自ずと低所得(=所得税ゼロ)、ヘタをする
と生活保護対象者となる。

 日本のような、消費税率が低く所得累進課税の中級福祉国
家は、開発途上国からの移民受入れには不向きなのである。


■ 新日本人のための言語教育・常識研修 ■


 逆に言えば、移民を希望する人々を日本語能力試験で選別
する仕組みを作り、さらに日本での言語教育・常識研修を徹
底充実させるのが、移民政策のカギだと思う。

 さらなる移民受入れをと言う前に、もっか一部の地域で社
会問題化している「ブラジル日系人移民の教育」で成功を収
めるのが先だ。

 古くは、中国残留孤児の帰国後の言語教育・常識研修にも
みごとに失敗している日本である。

 万一 民主党政権ができて、移民受入れを本気で推進しは
じめるのに備えて、ものの順序というものを書かせていただ
いた。


===


▲ 後記 ▼


  さいきんのコラム子のブログ記事から ――

(全文を読むにはリンクを開いてください)


おそるべし、滋賀県 県民所得ランキング第4位
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200902170000/

 劇場公演でもらう来日公演オペラのビラに、滋賀県立芸術
劇場びわ湖ホールで開催のものがときどきあって驚く。

 なんで、滋賀県でオペラなんだ?!
と、関西の地理に疎いわたしは思ったものでした。

 2月13日の日経に平成18年度の1人当たり県民所得のラン
キングが出ていて、滋賀県が4位だったので、2度ビックリ
した。



ダーウィンの「進化論」発表は、黒人奴隷制を止めさせたか
ったからだ、という説 
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200902200000/

 轟々たる非難の嵐のなかでダーウィンが進化論を掲げつづ
けたのは、彼が奴隷制を何とかして止めさせたかったからだ
という説がある。

 19世紀半ば、当時一流の学者らは
「人間というのは、いくつかの種(しゅ)から成り立ってい
る」
と考えていたのだという。

 たとえば当時尊敬を集めていたハーヴァード大学の学者
Louis Agassiz は、「人類とは、8つの種(しゅ)から成る」
と考えていた。

 「2つの種」説から「63の種」説まで、さまざまな説があ
ったが、いずれにせよ白人と黒人はそもそも生物として別の
種(しゅ)なのだ、というのが当時の知的世界の常識だった
というのだ。

 これに叛旗を翻したのがダーウィンの進化論だった。


==


<泉 幸男 著>


   『中国人に会う前に読もう  第一線商社マンの目』 

『日本の本領(そこぢから)  国際派商社マンの辛口メモ』

               通 信 販 売 も 受 付 中
         http://homepage2.nifty.com/sai/mart/


==

■主宰   泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio)

http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/
(旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます)
http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/
(週に3回ほど更新しているブログ)

■発行者への通信は mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp
 いただいたメールは、引用することがあります。
  引用内容が政治性を強く帯びたものについては、掲載につ
いて ご本人の事前了解をいただくつもりですが、 この辺の
采配は発行者にお任せいただくしかありません。
  発信者氏名は原則として公開しません。公開する際は、ご
本人の事前了解をいただきます。
  掲載するメールは、発信者の居住地名(市ないし県名)を
できるだけ書かせていただきたく、それについてお問合せを
することがあります。

■このメールマガジンの転送・転載はご自由にどうぞ。

■このメールマガジンの内容は、主宰の勤務先の見解とは無
関係です。このメールマガジンは、主宰の勤務先による監修
その他のサポートを一切受けておりません。主宰の勤務先に
おいて守秘対象とされる事項は一切含まれておりません。

■メールマガジン(配信誌)のお申込み・解除は、以下のペ
ージでどうぞ
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/mailmag.htm

------------------------------------------------------
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐま
ぐ』を利用して発行しています。
http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000063858)
------------------------------------------------------ 
最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る