2008/12/19
<国際派時事コラム>中国民主改革の道標「08憲章」全文和訳(4)
↓ 週3回更新のブログはこちら http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi ◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ 中国民主改革の道標「08憲章」全文和訳(4) ■■■■第253号■平成20年12月19日発行■■■◆ 平成元年の天安門事件(6・4事件)のころ、コラム子も ちょうど北京に駐在していました。 5月後半になると、学生デモのようすを客観的に詳報する 新聞あり、1面に思い切った政治腐敗批判を掲載する『人民 日報』あり。 「中国でもフツウの新聞が出せるんだ……」 と新鮮に思ったものでした。 改革派を勝ち組ととらえた付和雷同が社会を覆いはじめて いました。 6月4日未明までは……。 今回の「08憲章」の周囲に、あのときの熱気はない。 だからコラム子もこの連載の冒頭で ≪これから十数年後、毛沢東の肖像が天安門から下ろされる とき、「08憲章」が中国史のマイルストーンであったと、 顧みられるときがきっと来るはずです。≫ と、十数年かかる「終わりの始まり」現象のひとつだと書い たわけです。 きょう12月19日の産経新聞1面の日替りコラムでも、同紙 中国総局長の伊藤 正さんが「08憲章」のことを取り上げて います。 ≪憲章への署名者は当初の 303人が1週間で 5,000人を越え たが、学生はほとんどいない。≫ ≪中国指導部は、憲章のネット情報をほとんど規制しておら ず、一党独裁を揺るがすことはないと踏んでいるようだが、 署名者が何万にもなったらどうするか。≫ ネット規制が弱い割には、付和雷同現象も起きていないわ けで、ちょっと不思議な展開です。 (だから、どうせまた改革派あぶり出しの陰謀では? と いう説も出てくるわけですが。) 中国語の原文は以下のサイトで読むことができます↓ http://chinainperspective.net/ArtShow.aspx?AID=92 和訳は、以下のサイトに掲げられた労作を原文と照らし合 わせながらコラム子がかなり推敲の手を入れました↓ http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/597ba5ce0aa3d216cfc15f464f68cfd2 見やすいように、一文ごとに行替えしてあります。 段落の切れ目は2行空けました。 * * * 「0 8 憲 章」 三、我々の基本的主張(つづき) 13.国民教育: 一党統治に奉仕し、イデオロギー的色彩の濃厚な政治教育と 政治試験を廃止し、普遍的価値と市民的権利を基本とする国 民教育を推進し、国民意識を確立し、社会のために役立つこ とを国民の美徳とする考え方を広める。 14.財産の保護: 私有財産権を確立し保護する。 自由で開かれた市場経済制度を実施し、 創業の自由を保障 し、行政による独占を排除する。 最高民意機関に対して責任を負う国有資産管理委員会を設立 し、合法的に秩序立って財産権改革を進め、財産権の帰属と 責任者を明確にする。 新土地運動を展開し、土地の私有化を推進し、国民とりわけ 農民の土地所有権を確実に保障する。 15.財税改革: 財政民主主義を確立し納税者の権利を保障する。 権限と責任の明確な公共財政制度の枠組みと運営メカニズム を構築し、行政区分の各段階の行政機関の合理的な財政分権 体系を構築する。 税制の大改革を行い、税率を低減し、税制を簡素化し、税負 担を公平化する。 一般社会による選択(訳注: 住民投票を指す)や民意機関 (訳注: 議会を指す)の決議を経ずに、行政は恣意的に増 税や新規課税を行ってはならない。 財産権改革を通じて、多元的市場主体と競争メカニズムを導 入し、金融参入の敷居を下げ、民間金融が発展できるよう地 ならしをし、金融システムの活力を充分に発揮させる。 16.社会保障: 全国民をカバーする社会保障制度を構築し、国民が教育・医 療・老人福祉・就職などの面で少なくとも最低限の保障を得 られるようにする。 17.環境保護: 生態環境を保護し、持続可能な開発を提唱し、子孫の世代と 全人類への責任を果たす。 国家と行政区分の各段階の官吏がそのために必ず相応の責任 を負わねばならぬことを明確にする。 環境保護への民間組織の参画と監督機能を発揮させる。 18.連邦共和: 平等・公正の態度で地区(訳注: チベット、内蒙古、ウイ グル自治区を指す)の平和と発展を維持し、責任ある大国ら しいイメージを体現できるようにする。 香港・マカオの自由制度を維持する。 自由民主の前提のもとに、平等な協議と相互協力により海峡 両岸(訳注: 中国と台湾のこと)の和解の道をさぐる。 叡智を集めて各民族の共同の繁栄が可能な道と制度設計を探 求し、立憲民主制の枠組みの下で中華連邦共和国を樹立する。 19.正義の転換: これまでの度重なる政治運動で政治的迫害を受けた人々とそ の家族の名誉を回復し、国家賠償を行う。 すべての政治犯と良心の囚人を釈放する。 信仰により罪に問われたすべての人々を釈放する。 真相調査委員会を設立し歴史的事件の真相を解明し、責任を 明らかにし、正義を称揚する。 これを基礎として社会の和解を追求する。 四、結語 中国は、世界の大国として、国連安全保障理事会の5つの 常任理事国の1つとして、 また人権理事会のメンバーとし て、人類の平和事業と人権の進歩のために貢献すべきである。 しかし遺憾なことに、今日の世界のすべての大国の中で、た だ中国のみがいまだ権威主義政治のもとにある。 またそのために絶え間なく人権の災禍と社会危機が発生して おり、中華民族の本来あるべき発展を縛り、人類文明の進歩 の制約となっている。 このようなありかたは絶対に改めねばならない! 政治の民主改革はもはや先延ばしにはできないのである。 そこで我々は、市民精神を勇気をもって実行に移し、 「08憲章」を発表する。 同様の危機感・責任感・使命感を共有するすべての中国国民 が、朝野の別なく、身分にかかわらず、小異は脇において大 同につき、積極的に市民運動に参加し、中国社会のみごとな 変革をともに推進し、できるだけ早く自由民主憲政国家を打 ち立て、百年余にわたり先人がたゆむことなく追求しつづけ た夢を実現すること、これが我々の希望である。 (全文おわり) * * * 第19項にある ≪真相調査委員会を設立し歴史的事件の真相を解明し、責任 を明らかにし、正義を称揚する。≫ ははぁ、20年近く前の天安門事件のことを言ってるな…… と、ぴんと来ます。 そこからさらに遡(さかのぼ)るべき歴史的事件もいろい ろありますが。 20年前の熱気を武力鎮圧したトウ小平の罪が論じられ、そ して、失脚させられた趙紫陽の文章が刊行されるようになる とき、中国現代史に「けじめ」をつけるための長い、長い過 程が始まるのだと思います。 === ▲ 後記 ▼ さいきんのコラム子のブログ記事から ―― (全文を読むにはリンクを開いてください) 都市鉱山の前線 「リサイクル・コンビナート」構想 http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200812130000/ 稀少金属の意図的な輸出制限を、遠からず中国が外交の武 器にするに違いないから、稀少金属の備蓄と社会的な再利用 システムの確立は国家的課題。 そこに、1世紀に及ぶ日本の産業界の技が生かされるとい う、いい話 半世紀後、結衣(ゆい)ちゃん、結愛(ゆあ)ちゃん、大翔 (ひろと)くんは…… http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/200812140000/ すみません。もうすでにこの命名をしてしまった方は、読 まないほうがいいです。 けっこうアクセスをいただいた辛口日記です。 == <泉 幸男 著> 『中国人に会う前に読もう 第一線商社マンの目』 『日本の本領(そこぢから) 国際派商社マンの辛口メモ』 通 信 販 売 も 受 付 中 http://homepage2.nifty.com/sai/mart/ == ■主宰 泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio) http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ (旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます) http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/ (週に3回ほど更新しているブログ) ■発行者への通信は mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp いただいたメールは、引用することがあります。 引用内容が政治性を強く帯びたものについては、掲載につ いて ご本人の事前了解をいただくつもりですが、 この辺の 采配は発行者にお任せいただくしかありません。 発信者氏名は原則として公開しません。公開する際は、ご 本人の事前了解をいただきます。 掲載するメールは、発信者の居住地名(市ないし県名)を できるだけ書かせていただきたく、それについてお問合せを することがあります。 ■このメールマガジンの転送・転載はご自由にどうぞ。 ■このメールマガジンの内容は、主宰の勤務先の見解とは無 関係です。このメールマガジンは、主宰の勤務先による監修 その他のサポートを一切受けておりません。主宰の勤務先に おいて守秘対象とされる事項は一切含まれておりません。 ■メールマガジン(配信誌)のお申込み・解除は、以下のペ ージでどうぞ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/mailmag.htm ------------------------------------------------------ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐま ぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000063858) ------------------------------------------------------


