2008/12/18
<国際派時事コラム>中国民主改革の道標「08憲章」全文和訳(3)
当誌「国際派時事コラム・商社マンに技あり!」は 今年の「まぐまぐ大賞」の 「行政・政治・地域情報部門 第2位」を頂きました。 http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/#pol 応援していただいた読者の皆様、 ありがとうございました。 ↓ 週3回更新のブログはこちら http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi ◆■■■国際派時事コラム「商社マンに技あり!」■■■◆ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ 中国民主改革の道標「08憲章」全文和訳(3) ■■■■第252号■平成20年12月18日発行■■■◆ 昨日に引き続き、中国の一党独裁終結と民主改革の道を示 した知識人たちの宣言「08憲章」の全文和訳と解説を配信 します。 中国語の原文は以下のサイトで読むことができます↓ http://chinainperspective.net/ArtShow.aspx?AID=92 和訳は、以下のサイトに掲げられた労作を原文と照らし合 わせながらコラム子がかなり推敲の手を入れました↓ http://blog.goo.ne.jp/sinpenzakki/e/597ba5ce0aa3d216cfc15f464f68cfd2 きょうの第3章「我々の基本的主張」は、19項目からなる 分かりやすい各論です。 いささか長いので、第12項の「宗教の自由」までを掲載し ます。 第13項の「国民教育」から第19項の「正義の転換」までと 第4章の「結語」は、明日に譲ります。 見やすいように、一文ごとに行替えしてあります。 段落の切れ目は2行空けました。 * * * 「0 8 憲 章」 三、我々の基本的主張 ここに我々は、責任ある建設的な市民精神にもとづき、国 家政治制度と市民的権利および社会発展の諸問題について、 具体的に以下のような考えを表明したい。 1.憲法改正: 前述の価値理念に基づいて憲法を改正し、現行憲法の中の主 権在民原則にそぐわない条文を削除し、憲法を本当の意味で の人権保証状ならびに公権力行使の許可書たらしめ、いかな る個人・団体・党派も違反してはならない実施可能な最高法 規とすることにより、中国の民主化の法的な基礎を固める。 2.権力分立: 権力分立の現代的政府を作り、立法・司法・行政三権分立を 保証する。 法に基づく行政と責任政府の原則を確立し、行政権力の過剰 な拡張を防止する。 政府は納税者に対して責任を持たなければならない。 中央と地方の間に権力分立とチェック・アンド・バランスの 制度を確立し、中央権力は必ず憲法で授権の範囲を定められ なければならず、地方は充分な自治を実施する。 3.立法民主: 行政区分の各段階の立法機関は直接選挙により選出される。 立法は公平正義の原則を堅持し、民主主義にもとづいてこれ を行う。 4.司法の独立: 司法は党派を超越し、いかなる干渉も受けず、司法の独立を 徹底し、司法の公正を保障する。 「憲法裁判所」を設立し、違憲審査制度をつくり、憲法の権 威を守る。 行政区分の各段階に設けられている共産党の政法委員会が、 国の法治を深刻に脅かしているが、これを可及的速やかに解 散させ、公器の私物化を防ぐ。 5.公器公用: 軍隊の国有化を実現する。 軍人は憲法に忠誠を誓い、国家に忠誠を誓う。 政党組織は軍隊から引き揚げさせる。 軍隊のプロフェッショナルなレベルを高める。 警察を含むすべての公務員は政治的中立を守る。 公務員任用における党派差別を撤廃し、党派にかかわらず平 等に任用する。 6.人権保障: 人権を確実に保障し、人間の尊厳を守る。 最高民意機関(訳注: 国会に相当する機関)に対して責任 を負う「人権委員会」を設立し、政府の公権力濫用による人 権侵害を防ぐ。 とりわけ国民の人身の自由は保障されねばならず、何人(な んぴと)も 不法な逮捕・拘禁・召喚・尋問・処罰を受けな い。 「労働教護制度」を廃止する。 (訳注: 中国語で“労働教養”と呼ばれるこの制度は行政 罰としての懲役。犯罪を犯した18〜25歳の青年を収容し、生 産労働と政治教育を通じて更正させることが目的とされてい る)。 7.公職選挙: 全面的に民主選挙制度を実施し、一人一票の平等選挙を実現 する。 行政区分の各段階の行政首長の直接選挙は制度化され段階的 に実施されなければならない。 定期的な自由競争選挙と、法によって規定された公職への国 民の選挙による参画は、奪うことのできない基本的人権であ る。 8.都市と農村の平等: 現行の、都市と農村の二元的な戸籍制度を廃止し、国民一律 平等の憲法上の権利を実現し、国民が自由に転居する権利を 保障する。 9.結社の自由: 国民の結社の自由権を保障し、現行の社団登記許可制を届出 制に改める。 結党の禁止を撤廃し、憲法と法律により政党が行う行為を定 め、一党独占の統治特権を廃止し、政党活動の自由と公平競 争の原則を確立し、政党政治の正常化と法制化を実現する。 10.集会の自由: 平和的集会・デモ・示威行動および表現の自由は、憲法の定 める国民の基本的自由であり、政権党と政府は不法な干渉や 憲法に反した制限を加えてはならない。 11.言論の自由: 言論の自由・出版の自由・学術研究の自由を実現し、国民の 知る権利と監督権を保障する。 ニュース報道法と出版法を制定し、報道の規制を撤廃し、現 行の刑法中の「国家政権転覆扇動罪」条項を廃止し、言論の 処罰を根絶する。 12.宗教の自由: 宗教の自由と信仰の自由を保障する。 政教分離を実施し、宗教活動が政府の干渉を受けないように する。 国民の宗教的自由を制限ないし剥奪する行政法規・行政規則 ・地方条例を審査し撤廃する。 行政が立法により宗教活動を管理することを禁止する。 宗教団体(宗教活動場所を含む)は登記されてはじめて合法 的地位を獲得するという事前許可制を撤廃し、これに代えて いかなる審査も必要としない届出制とする。 (「我々の基本的主張」の章、次号へつづく) * * * 第5項の「公器公用」のなかの ≪軍隊の国有化を実現する。≫ という一文に、いったいこれは何なんだ?! と疑問を持た れた方も多いと思います。 中国軍(いわゆる“人民解放軍”)は、国家に属する軍隊 ではなく、中国共産党に属する軍隊なのです。 (ですから、当コラムではしばしば「中国共産党軍」という 用語を使っています。) これを「自民党が自衛隊を持っている、ようなもの」と例 えてみても、さっぱりイメージできないと思うので、 いささか不本意な比喩ですが、こんな姿を想像してくださ い。 明治維新の際の戊辰戦争で西郷隆盛が率いた「官軍」。 じっさいは薩摩藩・長州藩の軍隊でしたね。 西南戦争という、ある意味での親殺しの儀式を経て、「い わゆる官軍」が「国軍」へと完全に脱皮したのが日本の近代 軍でした。 明治維新のとき、我々日本人は西郷隆盛という無私のひと に恵まれました。 もし西郷隆盛が「官軍」の最高指揮者の地位に固執し、こ れを「薩長党」の軍隊として保持しつづけ、薩・長勢力によ る国政独占の後ろ盾として利用しつづけたとしたら、どうな っていたでしょう。 そのとき官軍は日本国家の軍隊ではなく、薩・長勢力の私 物として利用される存在となる。 日本は薩・長勢力による専制国家となり、士農工商の身分 制度も克服できなかったでしょう。 (おそらく国民的支持を得られず、明治維新は瓦解したでし ょう。) 中国の場合、中国共産党が中国国民党に武力で勝利するた めに所有した中国共産党軍、“人民解放軍”が、脱皮するこ となくそのままずるずると形を変えずに今日まであるわけで す。 ですから、中国軍の究極の指揮者は、中国共産党中央軍事 委員会の主席であって、中国国家の首相でも国家主席でもな い。 四川省地震の際、温家宝首相が現地指導しても軍が動かな かった理由に挙げられています。 これはあたかも自衛隊の最高指揮者が、首相ではなく、自 民党内の防衛委員会の委員長だ、といった状態です。 さいわいにも、日本はそういう道を歩みませんでしたが、 毛沢東という巨魁が軍を私物化した中国は、今日に至るまで 課題を引きずってきたわけです。 === ▲ 後記 ▼ 配信会社「まぐまぐ」が、毎年末にメールマガジン(配信 誌)表彰イベントを行っています。 今年も、読者の皆さまのご推薦のお蔭で「まぐまぐ大賞」 の「行政・政治・地域情報部門」第2位となりました。 http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/#pol まぐまぐのサイトに掲載の推薦コメントとしては ≪・テーマとその見方が大変ユニーク。 また、昨今、この世界で流行りの「正義」だの「人権」だの 「弱い者の味方」だの、口先だけのきれいごとを言わないの が大変良い。 ・某総合商社マンである、筆者の旬の話題がいい。 政治家などとは違う真理を追究したコメントなど、参考にな る事が多いから。≫ 読者の皆様の応援、ありがとうございました。 == <泉 幸男 著> 『中国人に会う前に読もう 第一線商社マンの目』 『日本の本領(そこぢから) 国際派商社マンの辛口メモ』 通 信 販 売 も 受 付 中 http://homepage2.nifty.com/sai/mart/ == ■主宰 泉 幸男(いずみ・ゆきお Izumi Yukio) http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/ (旗艦ウェブサイト。これまでの号もここで見られます) http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/ (週に3回ほど更新しているブログ) ■発行者への通信は mailto:t-izumi@f5.dion.ne.jp いただいたメールは、引用することがあります。 引用内容が政治性を強く帯びたものについては、掲載につ いて ご本人の事前了解をいただくつもりですが、 この辺の 采配は発行者にお任せいただくしかありません。 発信者氏名は原則として公開しません。公開する際は、ご 本人の事前了解をいただきます。 掲載するメールは、発信者の居住地名(市ないし県名)を できるだけ書かせていただきたく、それについてお問合せを することがあります。 ■このメールマガジンの転送・転載はご自由にどうぞ。 ■このメールマガジンの内容は、主宰の勤務先の見解とは無 関係です。このメールマガジンは、主宰の勤務先による監修 その他のサポートを一切受けておりません。主宰の勤務先に おいて守秘対象とされる事項は一切含まれておりません。 ■メールマガジン(配信誌)のお申込み・解除は、以下のペ ージでどうぞ http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/mailmag.htm ------------------------------------------------------ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐま ぐ』を利用して発行しています。 http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000063858) ------------------------------------------------------


