2009/08/19
航空事情 2009年07月27日・08月03日号
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◇◆◇ 航空事情 2009年07月27日 08月03日号 ◇◆◇ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ 【目次】 ★航空会社★ エア・カナダ 10億カナダ・ドルを調達、融資や増資に機材売却 サウスウエスト航空 ムーディーズ社、格付け引き下げ・適格は維持 BA 4~6月期、初めての営業赤字転落・売り上げは12%減 ★メーカー・技術開発★ ボーイング社 B787型、初飛行は来年か・主翼繊維層が剥離 ★航空行政・協定交渉・統計★ EU 紛失手荷物、規則見直しを検討・一日1万個が紛失 インド航空連盟 政府に支援を要求、18日の運休で迫る ★空港・保安★ サウジアラビア メッカ巡礼、インフルエンザ対策に550人体制 ★事故・安全★ エール・フランス447便 BEA、ブラック・ボックスの捜索を継続 ******************************************************************* 【航空会社】 エア・カナダ 10億カナダ・ドルを調達、融資や増資に機材売却 ------------------------------------------------------------ エア・カナダは29日、一連の交渉結果として、10億2千万カナダ・ドルの 資金を調達したことを発表した。7億カナダ・ドルの融資をGEカナダ・ファ イナンス、カナダ輸出開発信用公社(EDC)、アエロプラン、ACEアビ エーションから受けた他、新たな資本調達として、それら貸し手が株式の引き 受け権約2億2千万ドル分を引き受けた。 他に主要なクレジット・カード会社の一社との条件を見直し、機材3機のセー ル・アンド・リースバック契約を締結、ボーイング社との新規機材購入契約を 見直したとしている。エア・カナダは破綻を回避するには、6億カナダ・ドル の資金が必要としていたが、これで当面の運転資金が確保できたと期待されて いる。 サウスウエスト航空 ムーディーズ社、格付け引き下げ・適格は維持 -------------------------------------------------------------- 米国の格付け会社ムーディーズ社は22日、短期間に格付け相当の収益力や手 元資金残高を回復することは難しいとして、サウスウエスト航空が発行した無 担保優先社債約30億ドル分の格付けを、Baa1から投資不適格に一段階手 前の、Baa3に引き下げたと発表している。米国の航空会社として唯一、サ ウスウエスト航空は投資適格を維持している。 燃料のヘッジ取引による一時的に出た大幅な差益で黒字化したユナイテッド航 空を除く、大手航空各社が第2四半期に赤字だった中、サウスウエスト航空は 黒字を確保していたが、需要の減少や燃料費の不安定さから、第3四半期の黒 字維持は難しいとの見解を明らかにしていた。サウスウエスト航空は4%に相 当する従業員1,400人の早期退職を募っている。 BA 4~6月期、初めての営業赤字転落・売り上げは12%減 ---------------------------------------------------------- ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)は31日、2009年第1四半期(4 ~6月期)の最終損益が1億600万ポンドの赤字だったことを発表している。 前年同期は2,700万ポンドの黒字だった。事業を取り巻く環境は引き続き 厳しく、目に見える改善の兆候はないとしているが、需要は著しく減少してい るから安定化してきているとし、夏の繁忙期にはいくらかの改善の兆候も示さ れたとしている。営業経費は前年同期比6.6%削減できたが、引き続き経費 の削減を進めるとしている。 営業損益は前年同期3,500万ポンドの黒字に対して9,400万ポンドの 赤字で、BAが繁忙期の4~6月期に営業赤字に転落したのは初めてだとして いる。同期の売り上げは19億8千万ポンドで、前年同期比12.2%の減少 だった。先に業績発表したエール・フランスKLMの同期売り上げは20.5 %、ルフトハンザ・ドイツ航空は19.5%のそれぞれ減少だった。BAでは 冬季スケジュールに、22機の機材を運航停止にするとしている。 BAは29日、飛行時間2時間半以下の短距離便エコノミー・クラスでの食事 サービスを止めることを明らかにしている。ライアン・エアーやイージージェ ットは機内で食事を販売しているが、BAでは安売り航空会社とは客層が違う として、機内で食事の販売はしないとしている。これまでボトルで提供してい た水は、プラスティック・カップでの提供にし、朝食と茶菓子や飲み物のサー ビスは続けるとしている。BAによると短距離路線での食事サービスは、その 3割が無駄になっているとしている。 BAはエアバス社に発注しているA380型の引き渡しを繰り延べることを発 表しているが、ボーイング社とはB787型の前払い金の支払いに付いて交渉 していることを明らかにしている。A380型に付いては、2012年のロン ドン五輪までには運航したいとしている。ボーイング社は7月21日現在、年 初から106機を新規に受注しているが、その間に89機がキャンセルされた 為、実質的な新規追加受注数は17機に留まっている。 ******************************************************************* 【メーカー・技術開発】 ボーイング社 B787型、初飛行は来年か・主翼繊維層が剥離 ---------------------------------------------------------- 主翼と胴体の接合部分を強化する必要があるとして、6月23日に初飛行を延 期したボーイング社が開発中のB787型ドリームライナー機は、問題を解決 するのに4~6ヶ月間掛かるとされ、年内の初飛行は難しいとみられている。 既に完成した機体の改造は困難ともされているが、問題を修正した主翼の取り 付けに3~4ヶ月間掛かるが、最初は地上試験機に取り付け、成功したとして 試験には1~2ヶ月間掛かり、それから実際に飛行する試験機に取り付けるこ となる。 エバレット工場内で5月に実施された地上での主翼耐久試験で、主翼上面に1 7本あるストリンガー(骨組み)と主翼外板パネルの炭素繊維強化プラスチッ ク(CFRP)の繊維層が、胴体に近い負荷部分で剥離を起こしていた。 素材の剥離で航空機が壊滅的な状態に陥ることはないとされているが、航空会 社は継続的な点検と高額とされる修理費を負担しなくてはならなくなる。薄利 が起きたのは、想定される最大負荷を超えた時点で、連邦航空局が要求する1. 5倍の負荷が加えられる前だった。また剥離は主翼側と中央翼側の双方で同様 に起きていた。 主翼を製造した三菱重工業、中央翼を製造した川崎重工業に落ち度はなく、接 合部分は設計したボーイング社が責任を負うことになる。ボーイング社はスト リンガー・エンドを2枚に整形し、チタン合金製の装具に負荷を分散させる改 良を検討しているとされている。これまでにB787型は、2機の地上試験機 を含む、10機が完成、他に30機が様々な段階での製造過程にある。 ******************************************************************* 【航空行政・協定交渉・統計】 EU 紛失手荷物、規則見直しを検討・一日1万個が紛失 ---------------------------------------------------- 欧州連合(EU)のアントニオ・タヤーニ副委員長(運輸担当委員)は28日、 EUが航空会社による紛失手荷物に関する規則の見直しを検討していることを 明らかにしている。現在、EU域内の規則では、手荷物を紛失された乗客は航 空会社に最大で1,100ユーロの損害を請求できるが、手続きは煩雑となっ ている。 一日に世界中で9万個、欧州だけでも1万個の航空会社に預けた手荷物が紛失 しているが、ターヤニ副委員長は、「信じられないほど深刻な数だ。乗客にと ってきわめて不愉快なことである他、航空会社には著しい負担となってい る。」と述べている。 欧州委員会では問題を更に検討し、2010年に計画を示したいとしているが、 対応は検討結果によるとしている。ターヤニ副委員長は、「犯罪がらみの紛失 もあるが、主な原因ではなく、どれも同じ原因ではない。不断の努力が欠如し ているのかもしれない。」と述べている。 欧州航空連盟(AEA)は、2007年冬季には乗客一千人当たり紛失した手 荷物は15.5個だったが、2008年冬季には13個に減ったとしている。 2008年1月から9月までに、欧州27ヶ国の空港で、460万個の手荷物 が遅れて到着している。 インド航空連盟 政府に支援を要求、18日の運休で迫る ---------------------------------------------------- インドの民間資本の航空5社で構成するインド航空連盟(FIA)は31日、 景気後退で経営環境が悪化する中、政府の支援が得られなければ、18日に国 内線を運休すると政府に迫っている。航空5社は2009年の第2四半期に、 インド国内線の83%、1,100万人を輸送している。 航空5社は運航コストの4割を占める燃料に付いて、州により異なるが平均で 26%の燃料税を一律4%に引き下げることや、空港の着陸料、航行支援料の 引き下げも求めている。航空5社は2009年から2010年までの1年間で、 21億米国ドルの損失が見込まれている。 インド国営のインド航空も、連邦政府に支援を求めている。これまで民間航空 会社への支援をしてこなかったインド政府は、インド航空への財務的な支援を 検討している。増資による資本注入と一般融資を検討しているが、株式公開 (IPO)は市場環境が悪く現実的でないとしている。 ******************************************************************* 【空港・保安】 サウジアラビア メッカ巡礼、インフルエンザ対策に550人体制 ------------------------------------------------------------ サウジアラビア政府は29日、11月25日から29日までのメッカ巡礼(ハ ッジ)期間中、新型インフルエンザ対策としてジェッダ空港の巡礼者用ターミ ナルに20台の温度カメラを設置、昨年の2割増しとなる550人からなる医 療体制を敷くことを明らかにしている。しかし、それでも感染の拡大を完全に 封じ込めるのは期待できないとしている。温度カメラで症状が確認できるのは 最大で7割に留まり、3割以上の潜伏者は通過してしまうことから、空港近く に最大で500人収容可能な隔離施設を設けるとしている。 サウジアラビア政府は、期間中に約160ヶ国約2百万人の海外からの巡礼者 を含め、メッカへは約3百万人の巡礼者があると見込んでいる。27日には初 めてとなる新型インフルエンザ感染による国内での死亡が出たことを明らかに し、これまでに約300人が国内で発症したとしている。タミフルの在庫を2 割増やし、世界保健機構(WHO)が勧告している量の2倍を確保するが、巡 礼者には季節性インフルエンザ・ワクチンの接種や、準備ができ次第、新型イ ンフルエンザ・ワクチンを接種するよう呼びかけている。 ******************************************************************* 【事故・安全】 エール・フランス447便 BEA、ブラック・ボックスの捜索を継続 ---------------------------------------------------------------- フランスの航空事故調査当局(BEA)は30日、6月1日にリオデジャネイ ロからパリ向かう途中の大西洋上で墜落した、エール・フランス447便のブ ラック・ボックスの捜索活動を継続することを明らかにしている。またBEA は、エアバス社が第三段階の捜索に、1,200万から2,000万ユーロの 資金拠出を申し出ていることを明らかにしている。エアバス社は優先するべき は安全であり、事故から学ぶことができるとしている。 ブラック・ボックスの捜索は7月10日に、墜落から1ヶ月間は音波を発信し 続けるとされる、アンダー・ウォーター・ビーコンの発信音を海上から探知す る第一段階の作業を終了し、小型潜水艇2隻を使った第二段階に入っている。 エアバス社は447便の事故後、広範囲な飛行データの転送技術を含む、事故 を起こした機体からの、飛行記録の回収方法を研究することを明らかにしてい る。現在のところ、飛行中の民間機から、フライト・データ・レコーダーに記 録されるような、広範囲な飛行データを逐次、地上に送信する手立てはない。 ACARS(空地デジタル・データ・リンク・システム)が整備に必要なデー タを地上に自動送信しているが、与えられた周波数帯は幅が狭く、広範囲な データは送れない。ブラック・ボックスはエアバス社でもボーイング社でも製 造しておらず、また用途が事故調査に限定される為、機体の他の機能とは関連 付けられておらず、業界が協力して取り組まなくてはならない課題とされてい る。 エール・フランスは31日、事故の要因とされている速度センサーに付いて、 エアバス社の勧告に従い、A330型、及びA340型の、3つあるセンサー の内2つを、これまでのフランス・タレス社製から米国グッドリッチ社製に交 換することを明らかにしている。エアバス社は全ての運航会社に対して予防的 な勧告を出しているが、欧州航空安全委員会(EASA)も近く、3つのセン サーの内2つをグッドリッチ社製に交換するよう、法的拘束力のある命令を出 すと発表している。 447便の事故は75年のエール・フランス史上、最悪の事故で、乗客・乗員 228人が搭乗していたが、これまでに収容された遺体は51人に留まってい る。 ******************************************************************* 【編集後記】 ■供給の削減が、需要の減少に追いついていない。更に機材の削減が必要とな る。また原油相場が相変わらず不安定で、将来を見据えて燃費のいい機材への 更新も必要となる。メーカーは相変わらず増産を維持しているが、株価の下落 から金融機関からの資金には限りがあり、燃費の悪い古い機材にまでは回らず、 古い機材の価格はスパイラル的に落ちている。 ■MRJ関係者に、少しはいいことも書いてくれと言われた。既に少しはいい ことも書いている。日本人が造るのだから、素晴らしい飛行機が出来ることは 間違いないと書いた。しかし、必ずしもいい飛行機だからといって、売れるわ けではない。国家プロジェクトだけに走り出してしまうと、誰も方針転換や止 めることを言えないのだろう。残念ながら売れる飛行機には程遠い。 ■2回分の内容で、しかも7月の出来事で済みません。兎も角、配信しました。 8月前半分も近日中に追いつきます。 【お知らせ】 ★航空事情は個人的に収集・整理している航空関連の情報を、必要とされる 方に公開・配信しているもので、報道を目的とはしていません。 ★このメールマガジンの内容に関しては万全を期していますが、その内容を 保証するものではありません。記載内容に関していかなる損害、トラブル等 が発生しても、その責任は一切負いません。 ★メールマガジンのアドレスに返信されても、スパム・メールが非常に多い ことから、開封しておりませんのでご注意下さい。発行者へのメールは、下 記URLからお願いします。 ★メールマガジンの購読申し込み、及び解除は、読者の方が直接それぞれの 配信元で手続きされるようお願いします。発行者は一切、購読者のアドレス を管理していません。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ □■メールマガジン航空事情(毎週月曜日発行)■□発行者 航空事情 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