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2009/06/29

航空事情 2009年06月29日号

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【目次】

★航空会社★
フィッチ格付け デルタ航空を引下げ・AA、UA、USは破綻懸念
デルタ航空 新型インフルエンザ、Q2は2億5千万ドルの減収
ルフトハンザ航空 EU当局、ブラッセル航空の買収を承認

★メーカー・技術開発★
ボーイング社 B787型、初飛行を再延期・胴体部分の強化必要

★機材計画★
カンタス航空 B787型、15機キャンセル・15機延期・株価上昇

★事故・安全★
NTSB A330型、東京着のノースウエスト機でも速度計に異常
エール・フランス447便 ブラジル軍、海上の捜索活動から撤収
エール・フランス447便 仏ル・モンド紙、ビーコンの音波を探知

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【航空会社】

フィッチ格付け デルタ航空を引下げ・AA、UA、USは破綻懸念
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格付け会社のフィッチ・レーティングス社は25日、引き続き短期的な資金繰
りが悪化しているとして、デルタ航空の格付けをBからBマイナスに引き下げ
たことを明らかにしている。需要の減少に伴う供給削減から、昨年に続き20
09年も著しく手元流動性資金が減少するとしている。

昨年の秋以降、手元流動性資金残高の減少が続いていることから、比較的に資
金残高の厚いデルタ航空ではあるが、資本市場からの資金調達環境が改善しな
い限り、2010年の29億ドルを含む、2011年までの50億ドルを超え
る債務返済に耐えられるか危ぶまれるとしている。

またフィッチ社は、既に格付けをCCCまで引き下げているアメリカン航空、
ユナイテッド航空、ユー・エス・エアウェイズに付いて、いずれも業績傾向が
安定しない(赤字幅が収束しない)と、冬季前には法的な再建手続きを強いら
れる可能性があるとしている。

米国の航空会社は、太平洋や大西洋路線でのファースト・クラス、ビジネス・
クラスの予約状況が振るわず、目前に改善の兆しすら見えないまま、客単価は
この第2四半期、前年同期比で急落している。需要の後退に伴う運賃の割引で、
夏季の収入は抑えられ、今年後半での資金繰り改善は厳しい情勢と言える。

デルタ航空 新型インフルエンザ、Q2は2億5千万ドルの減収
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デルタ航空のリチャード・アンダーソン最高経営責任者(CEO)は22日、
ニューヨークで開催された年次株主総会で、新型(H1N1)インフルエンザ
の影響で、2009年第2四半期の売り上げが2億5千万ドルの減収になるだ
ろうと述べている。

デルタ航空はメキシコ、中南米路線で著しく供給を減らし、2003年のSA
RS感染の記憶が残るアジア路線でも削減している。デルタ航空は減らした供
給を他に振り替えるとしている。

デルタ航空は6月初め、証券取引委員会に提出した業績見込みでは、新型イン
フルエンザの影響は第2四半期に1億2,500万ドルから1億5千万ドルの
減収になると記載していた。

ルフトハンザ航空 EU当局、ブラッセル航空の買収を承認
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欧州連合(EU)の独占禁止当局は22日、ルフトハンザ・ドイツ航空による
ブラッセル航空(破綻したサベナ航空の路線を継承)の買収を、独占状態にな
る路線への競合他社による参入を促すことなどを条件に承認した。

買収により独占状態になるブラッセルからフランクフルト、ハンブルグ、チ
ューリッヒへの路線に他社が参入出来るよう空港の発着枠を売却する他、共同
運航やマイレージ・サービスへの参加も認める。

EU域内でのナショナル・フラッグ・キャリアによるナショナル・フラッグ・
キャリアの買収は、両国間の路線で独占状態が起きる為、独占禁止当局の承認
を得にくい。EUの独占禁止当局は2007年に、ダブリンを発着する便で独
占状態が起きるとして、ライアン航空によるエア・リンガス(アイルランド航
空)の買収を否認している。

ルフトハンザ航空は、ブラッセル航空の持ち株会社株式の45%を、6,50
0万ユーロで6月末までに取得、残りの株式を2011年以降購入選択できる。
買収額の上限は2億5千万ユーロで、2010年などの業績により減額される
こともある。

EUの独占禁止当局は5月、ルフトハンザ航空による英国BMI(旧ブリティ
ッシュ・ミッドランド航空)の買収(既存の株式29%に、株式51%を追加
取得、残り20%はスカンジナビア航空が保有)を承認しているが、オースト
リア政府が保有するオーストリア航空の株式41.56%の取得も承認申請し
ている。

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【メーカー・技術開発】

ボーイング社 B787型、初飛行を再延期・胴体部分の強化必要
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ボーイング社は23日、6月末までに予定していたB787型ドリームライ
ナー機の初飛行を、主翼と胴体をつなぎ合わせる部分で、18ヶ所の不具合が
見つかり、補強する必要があるとして、延期したことを明らかにした。地上で
のテスト結果に満足が得られるまで、延期することを先週末に決定していたと
している。延期はこれで5度目になる。

暫定的な改良で初飛行は可能だったが、恒久的な改良を施して全てのテスト・
フライトを実施することを最終的に決めたとしている。このような改良は新た
な機体の開発では異例ではなく、使用する素材の選択、組み立てや設置方法の
問題ではないとしている。

新たな初飛行や一号機の引き渡し予定を決めるまで、数週間掛かるとしている。
B787型の初飛行は当初、2007年後半を予定していた。また全日空への
一号機引き渡しは、2010年第一四半期を予定していた。B787型はこれ
までに、56社から865機を受注している。

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【機材計画】

カンタス航空 B787型、15機キャンセル・15機延期・株価上昇
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カンタス・オーストラリア航空は26日、ボーイング社に発注している15機
のB787−9型(2014〜2015年に引き渡し予定)をキャンセル、1
5機のB787−8型の引き渡しを4年繰り延べたことを明らかにしている。

供給調整の一環で、ボーイング社とは数ヶ月に渡り協議したことで、今週発表
された更なる初飛行延期によるものではないとしている。最大で50機のB7
87型を導入する権利を残すが、資本投資は30億ドル抑制されるとしている。

発表後、カンタス航空の株価は2.8%上昇している。

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【事故・安全】

NTSB A330型、東京着のノースウエスト機でも速度計に異常
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米国の国家運輸安全委員会(NTSB)は25日、2機のA330型で起きた
速度計と高度計の異常に付いて調査していることを明らかにした。エール・フ
ランスのA330型が墜落した原因が速度センサーにあったのか、NTSBは
フランスの事故調査当局に協力している。

NTSBはブラジル・タム航空の8091便、マイアミ発サンパウロ行きのA
330型(登録記号:PT−MVB)で5月21日に起きた異常と、ノースウ
エスト航空の香港発東京行きのA330型(登録記号:未確認)で23日に起
きた異常を調べている。いずれも無事、目的地に着陸している。

タム航空8091便で起きた異常は、外気温の表示が突然下がり、速度と高度
の情報を表示するコンピューター・システムが停止し、自動操縦とオートスロ
ットルも停止している。乗員はバックアップ・システムに切り替え、速度計と
高度計の表示は約5分で復旧している。8091便での異常は、ブラジル政府
経由で最近になってNTSBに伝えられた。

NTSBはノースウエスト航空で起きた異常に付いて詳細を明らかにしていな
いが、速度計と高度計の表示が失われる、同様の異常だろうとしている。NT
SBは当該機のフライト・データ・レコーダー、コックピット・ヴォイス・レ
コーダー、ACARS(空地デジタル・データ・リンク・システム)などの飛
行記録を収集し、気象データなどと伴に解析を進めている。

ノースウエスト航空はエール・フランス448便の事故が起きる前から、A3
30型の速度センサーを改良型に交換する作業を始め、事後発生後、作業を予
定より前倒し、この夏の終わりまでには完了するとしている。ノースウエスト
航空はNTSBの調査に、全面的に協力するとしている。

エール・フランス447便 ブラジル軍、海上の捜索活動から撤収
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ブラジルの海軍と空軍は26日、これ以上の回収は難しいとして、エール・フ
ランス447便の犠牲者と機体残骸の回収作業からの撤収を命じた。フランス
軍は撤収の予定はなく、ブラジル海軍によると、フランス海軍はブラック・ボ
ックスの捜索活動を継続するとしている。

これまでに犠牲者51人の遺体と、機体の残骸およそ600点が海上から回収
されている。ブラジル海軍は、最後の遺体が収容されてから9日が経過したと
し、同空軍は、事故からかなりの時間が経過し、更に海上で遺体や残骸が回収
されるのは難しいとしている。

エール・フランスは25日、収容された遺体の中に、パイロットひとりと男性
客室乗務員ひとりを確認したことを明らかにしている。乗客・乗員228人の
国籍は32ヶ国に渡り、フランス人は61人、ブラジル人は58人含まれてい
る。

エール・フランス447便 仏ル・モンド紙、ビーコンの音波を探知
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フランスのル・モンド紙は23日、海底に墜落したエール・フランス447便
のフライト・データ・レコーダーからの弱い音波を、フランスの探査船が探知
し、発見の為に22日、深海探査船が海中に潜航したと報じている。

しかし、フランスの事故調査当局(BEA)は、これまでにも海底からの様々
な音が探知されているが、フライト・データ・レコーダーのものか特定できて
いないと、報道を否定している。エール・フランスも報道の内容は確認できて
いないとしている。

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【編集後記】

■乗客・乗員全員が生還しハドソン川の奇跡と言われた、ユー・エス・エアウ
ェイズのバード・ストライクによる水面への緊急着水だが、どんな賞賛を受け
ようとも、一瞬でも死の危険に直面した乗客のトラウマは簡単には消えない。
事故後、ユー・エス・エアウェイズは業者を通じて、搭乗半券からスーツケー
スに至るまで、乗客の全ての所持品を乾かして手元に返している。事故責任は
ユー・エス・エアウェイズにはなく、保険会社が法的に認められた損害賠償を
代行している。しかし、ある乗客はセラピー代にすら十分ではないとしている。

■衛星の洋上発射子会社が倒産、年金の最高責任者が退職、開発中の将来型陸
上戦システムを国防総省が中止に、B787型の初飛行延期、カンタス航空に
よるB787型キャンセルなどなどと、先週のボーイング社は悪魔に取り付か
れたような一週間だった。B787型は本当に"ドリーム"ライナーになったと
まで言われている。

■2009年の引き渡し数を18機から14機に減らしたエアバス社のA38
0型、これまでに200機を受注し、15機を引き渡し、2010年には10
機以上を引き渡すとしているが、採算すら危ぶまれている。MRJもそうだが、
A380型は技術者らが開発したくて造った機体で、航空会社の需要など見も
せず、気にもしていない。

□エアバス社は昨年2月に発表した需要予測で、A380型クラスの超大型
機は、2007年からの20年間で旅客型1,283機、貨物型415機、合
計で1,698機の需要があるとしていた。なんとこれが堅く見積もった数字
だそうで、空港の混雑状況によっては旅客型約1,800機、貨物型を含める
と2,200機程度の需要を見込むとしていた。

□いかに適当なことを見込んでいるか、明白だ。景気が改善しても、冬になれ
ばワクチンの生産が追いつかない、新型インフルエンザがまた流行する。残念
ながら、大は小を兼ねない。機体ではなく、旅客需要から考察すべきだろう。
商用、観光、個人の需要、景気が後退すると乗らなくなる需要などなど、航空
会社の経営に与えるインパクトを見積もる必要があるだろう。

■148座席配列のアメリカン航空のB737−800型は、今年引き渡し分
からは160座席に増えている。横6座席の2列分増えているが、単純に座席
間隔を詰めたのではなく、幅の狭い背もたれの座席を採用したり、ギャレー位
置を変更したりと、快適さの犠牲は最小限に留めたとしている。150座席
(客室乗務員が3人か4人か)を挟んで、収益最大化の攻防が続く。

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