2009/06/22
航空事情 2009年06月22日号
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------------------------------------------------------------ カナダのジム・フレアティ財務相は16日、エア・カナダがカナダ連邦政府に、 資金支援を求めていることを明らかにした。景気後退による旅客の減少と国内 線での厳しい競争から、エア・カナダは手元流動性資金が減少し、新たな資金 調達や組合との人件費削減で合意できない場合、破産法の適用申請は時間の問 題と見られている。 フレアティ財務相は、エア・カナダはカナダ輸出開発公社(EDC、カナダ連 邦政府100%出資)と、コマーシャル・ローンの交渉を進めていると述べて いる。エア・カナダは当面の必要資金として6億カナダ・ドルの調達を、複数 の金融機関と交渉していることを明らかにしているが、関係者によると、ED Cにはその3分の1の、2億カナダ・ドルの支援を要請している。 関係者によると、エア・カナダへの融資はEDCの管轄外だが、国益に相当す るとしている。また、融資は商業ベースの交渉で、政府の支援とは見なされな いとしているが、EDCは融資の管理をするだけで、リスクはカナダ連邦政府 が負担するとしている。 エア・カナダは15日、パイロット組合(ACPA)、及び客室乗務員組合 (CUPE)と、29億カナダ・ドルの年金基金への不足金積立を、21ヶ月 間猶予することで暫定合意している。また、ACPAの他3組合と、賃金など を21ヶ月間凍結することで合意している。 CUPEとも同様の合意を目指しているが、組合関係者によると経営側との隔 たりは大きいとしている。CUPEとの合意は、他の組合との合意条件になっ ている。合意によりエア・カナダの組合は、エア・カナダの株式15%を取得 し、役員をひとり選任することができる。 エア・カナダは4月末現在の手元流動性資金残高が、前月末より約1億カナ ダ・ドル減った、約10億カナダ・ドルまで減少している。年内には約6億カ ナダ・ドルの債務返済が控えている上、原油高が進行し、売り上げは減少して いる。第一四半期の損失は前年同期比39%増加の4億カナダ・ドルで、売り 上げは需要が同10.9%減少したことから、同12%減少の23億9千万カ ナダ・ドルだった。 アリタリア航空 機内誌、地図からシシリー島が消え謝罪 ---------------------------------------------------- アリタリア航空は機内誌の地図から、シシリー(シチリア)島か消されて印刷 されたことを謝罪している。シシリー島行きのアリタリア航空便に搭乗した乗 客が気付き、新聞社に伝えたことで、間違いが発覚した。シシリー島より小さ なサルディニア島などは、地図上の適切な位置に記載されていた。 60年以上に渡り国営だったアリタリア航空は、今年初めに経営破たんし、民 間企業として再スタートしている。機内誌の発行者は、「シシリー島の美しさ を紹介する特集記事を幾度も掲載している。まさかシシリー島をイタリアの地 図から消してしまうなんて、夢にも思わなかった。」としている。 ******************************************************************* 【メーカー・技術開発】 ボンバルディア社 リージョナル機、需要予測を3.9%下方修正 ------------------------------------------------------------ ボンバルディア社は15日、2028年までの20年間に、20から149座 席の民間機需要予測を、12,400機に引き下げたことを明らかにした。2 0年間で12,900機としていた昨年の予測より3.9%下方修正したこと になるが、景気後退の影響を考慮したもので、堅調な需要を確信しているとし ている。 需要の内訳は、6,900機(56%)が既存機体の後継機として、5,50 0機(44%)が新たな需要としている。現在は149座席以下の機体は、そ の71%が米国と欧州連合(EU)で運航されているが、20年後にはその他 の地域での運航が、40%にまで増えると見込んでいる。 また座席数の違いでは、20から59座席の需要を僅か300機とし、60か ら99座席を5,800機、100から149座席を6,300機と見込んで いる。 ボンバルディア社は、航空会社は座席当たりの運航コストが低い大きな機体を 求めているとして、引き続きDHC−8−Q400型(70座席)の胴体延長 型を検討するとしている。ボンバルディア社民間機部門社長のゲーリー・スコ ット氏は、「現状、十分な受注残があり、開発を急ぐ必要はないが、胴体延長 型が将来の計画になることは確かだ。」と述べている。 ボンバルディア社は100から145座席の、Cシリーズの開発を進めている。 2013年に一号機の引き渡しを予定しているが、これまでにルフトハンザ・ ドイツ航空とリース・コープ・インターナショナル社から、合わせて50機の 確定発注と、50機のオプション契約を得ている。Cシリーズは、現在はエア バス社とボーイング社しか生産していない、120座席以上のクラスに参入、 競合することになる。 ボーイング社 パリ・エアー・ショー、B787型の飛来を否定 ---------------------------------------------------------- ボーイング社民間機部門社長のスコット・カーソン氏は15日、パリ・エ アー・ショー会場で会見し、B787型のエアー・ショー会場でのお披露目を 否定し、B787型は2週間以内に初飛行を予定していると述べた。6月末ま での初飛行を予定しているB787型は、エアー・ショー会場に飛来するので はとの噂が出ていた。 またカーソン氏は、B787−9型の仕様を今年後半に固めるとし、引き続き 3機種のB787型を開発すると伴に、−10型、もしくは−10型の役割を 満たす代替機を検討するとしている。 カーソン氏は、エアバス社のA350XWB型に対抗する、B777型の派生 型の開発を検討していることを明らかにした。B787−10型の検討と平行 して、新たに設計する主翼を装備したB777型を検討するとして、需要の高 い機体を探りたいとしている。 カーソン氏は、胴体延長型のB787(−10)型や改良型の(新たに設計す る主翼を装備した)B777型のいずれも、「全く新たに機体を開発すること を否定するものではなく、それぞれがそれぞれの長所で争う。」と述べている。 ******************************************************************* 【経営戦略・関連事業・労使関係】 ボーイング社 三菱商事子会社、B737−800型2機を受注 ---------------------------------------------------------- ボーイング社は17日、三菱商事子会社のエム・シー・アビエーション・パー トナーズ(MCAP)社から、B737−800型2機を受注したことを明ら かにした。MCAP社からボーイング社への発注は初めてで、ボーイング社に とっては、15日から開催されているパリ・エアー・ショーでの、最初の受注 となった。MCAP社は発注した2機を、スカイマークにリースするとしてい る。 ******************************************************************* 【事故・安全】 エール・フランス エアバス機、速度センサーのトラブルは過去9回 -------------------------------------------------------------- エール・フランスは18日、同社の運航乗務員に宛てた内部文書で、447便 の事故以前に、A340型で8回、A330型で1回の、合計9回に渡り速度 センサーに異常があったことを、機体を製造したエアバス社と速度センサーを 製造したタレス社に報告していたことを明らかにしている。 一時的に速度データが得られないといった異常は最初、2008年5月に起こ り、同年7月に1件、同年8月には3件起きていた。同年9月と10月にも起 き、エール・フランスはエアバス社とタレス社にその詳細を報告し、対応策を 求めていた。今年3月にはA340型とA330型でも同様の異常が発生して いた。 エアバス社は4月15日付けでエール・フランスに、テストの結果、新型の速 度センサーが従来型より、氷結状態での性能が極めて高いことを報告している。 タレス社は5月26日から毎週12個のペースで新型の速度センサーが供給で きるとしたのに、エール・フランスは供給を早めるよう求めていた。 エール・フランスは19日、事故の過失を認めたものではないとしながら、犠 牲者ひとり当たり、1万7千ユーロ(約24,400米国ドル)を一時金とし て、(訴訟制限などない)無条件で遺族に支払うことを明らかにしている。 エール・フランスの保険では、犠牲者ひとり当たり10万ユーロ(約14万米 国ドル)まで付保されている。モントリオール条約では15万4千米国ドルま での死亡賠償を認めている。犠牲者の国籍は32カ国に渡っているが、犠牲者 が持っていた携帯電話の番号が連絡先になっているなど、全ての遺族の特定に は時間が掛かっている。 これまでに50の遺体が回収されたが、他に部分的な遺体も回収されている。 身元が判別できたのは、10人に留まっている。検視によると遺体は手足や腰 が骨折しているが、焼け焦げた後はなく、機体は空中で分解したと見られてい る。ブラジルの沿岸から約1千キロ離れた洋上での捜索活動には、フランス、 ブラジル、米国、オランダの他、スペインも参加している。船舶11隻、航空 機11機、ヘリコプター2機が参加、ブラジルは海軍兵761人、空軍兵25 0人を捜索活動に専従させている。 また、海中に沈んでいるブラック・ボックスの発見・回収には、フランスの原 子力潜水艦1隻の他、船舶3隻が捜索に当たっている。米国海軍の装置をフラ ンス海軍の船に積んで捜索している。墜落地点が特定されていない為、捜索範 囲は過去最大規模になると見られているが、複数の国の軍隊が民間機のブラッ ク・ボックスを捜索するのも始めてとされている。 米国海軍の水中聴音器は、海中約7千メートルまでケーブルを伸ばして、ブラ ック・ボックス(447便のものは、半導体チップにデータを記録・保存する タイプ)に取り付けられたビーコンの発信音を探査できる。発見されれば、海 中約6千メートルまで潜れるロボット・アームを装備した、フランスの深海探 査船を持ち込むことも想定されている。 過去30年間で機体が水中に沈む事件・事故は20件起きているが、ひとつも ブラック・ボックスが回収されなかったのは1件しかない。1985年のイン ド航空機爆破事件では、約2千メートルの海中から約2週間半で回収されてい る。2007年1月のインドネシア・アダム航空機墜落事故では、場所の特定 はすぐに出来たものの、1,800メートルの海底から回収出来たのは8月だ った。また、1987年11月の南アフリカ航空機墜落事故では、事故から1 4ヵ月後に約4,250メートルの海中から回収されている。 コンチネンタル航空 B777型、飛行中に機長が死亡・無事着陸 ------------------------------------------------------------ ベルギーのブラッセルからニューヨーク(ニューアーク・リバティー空港)に 向かっていた、飛行中のコンチネンタル航空61便(B777型、乗客247 人)のコックピット内で、60歳の機長が死亡した。同便は副操縦士2人の操 縦で、緊急着陸を要請したものの、現地時間の18日正午前、霧と雨のニュー アーク空港に無事着陸した。コンチネンタル航空での勤務暦が32年だった機 長の死因は、病死と見られている。 61便はブラッセルを現地時間の午前9時54分(米国東部時間午前3時54 分)に離陸、時刻表では正午の到着だが、午前11時47分にニューアーク空 港に離陸した。連邦航空局(FAA)には、米国東部時間の午前10時30分 に緊急事態が報告された。飛行中に医師の乗客を尋ねる機内アナウンスがあり、 乗客の男性4人、女性1人が応えていた。 乗客によると客室には、緊急事態が起きていることは到着まで知らされず、機 内は冷静だったと、客室乗務員の対応に理解を示している。何が起きたのかス チュワーデスに尋ねる乗客もいたが、病人が出たとしか答えなかった。ある乗 客は、「思い出せば客室乗務員が非常にいらいらしていて、不快な様子だった。 到着後の機内アナウンスも口調が厳しかったが、その理由が今、分かった。」 としている。 FAAによると、搭乗していた医師が機長の死亡を宣告し、機長はコックピッ トから乗員用の休憩室に移された。機長の死亡を宣告したのは、72歳のベル ギー人医師(心臓科、放射線科)で、機内で除細動器を使用したが、蘇生でき なかったとし、死因は心臓発作だろうとしている。 米国では洋上を飛行する便には、休憩で交代する為、機長と副操縦士の他に3 人目のパイロットが乗務することが義務付けられている。米国では1960年 に連邦航空法で定められて以来、2007年に連邦議会が満場一致で、民間機 パイロットの定年を60歳から65歳に引き上げる決議を下している。しかし 同時に、60歳を越えるパイロットには、6ヶ月毎の航空身体検査の更新を義 務付けている。 ニューアーク空港を運営するニューヨーク・ニュージャージー港湾公社による と、FAAの要請により、用心の為、消防車などの非常用車両を滑走路脇に配 備したが、必要なかったとしている。飛行中にパイロットが死亡する事態は、 2008年のジー・ビー・エアウェイズ(ブリティッシュ・エアウェイズ便と しての運航、乗客156人)、2007年のコンチネンタル航空(B757型、 乗客210人)などの例がある。 ******************************************************************* 【編集後記】 ■記事にもあまりならなかったパリ・エアー・ショーだが、MRJ以外の日本 勢がなにやら目立っていた。記事にした三菱商事(スカイマーク向け)以外に、 アイベックス・エアラインズがボンバルディア社にCRJ700NGを4機発 注したことを発表(2008年第2四半期に匿名で発注済)、フジ・ドリー ム・エアラインズがERJ175型を1機発注、ついでに宇宙航空研究開発機 構(JAXA)がサイテーション・ソヴリンを1機、研究開発用に発注してい る。 ■いつ次(ANAに次ぐ2社目)に売れるのかMRJ。市場を見誤っているこ とは申し上げたが、それでも少しは売れる筈だ。営業力がない。日本の技術力 を総動員する機体だけに、素晴らしいものになることは間違いないだろうが、 民間機の世界は売れてなんぼのものだ。競合する機体から出遅れてはいるが、 この景気後退がそれを少し補ってくれるかもしれない。 □リージョナル機の市場(路線)は、その多くが人為的に創られたもの。そこ に旅客需要があるからリージョナル機を飛ばすのではなく、自動車や他の交通 手段でも移動できる旅客を奪い取って成り立つ市場だ。運賃が高くては、旅客 は集まらない。リージョナル機には、機体そのものが安いことと、調達コスト の低いファイナンスが求められる。 ---------------------------------------------------------------- シンガポール航空で見つけた―「思いやり」という世界で一番のサービス 橋本 絵里子 価格:¥ 1,260(定価:¥ 1,260) http://www.amazon.co.jp/dp/4901491741/ref=nosim/?tag=as777com06-22 ---------------------------------------------------------------- 【お知らせ】 ★航空事情は個人的に収集・整理している航空関連の情報を、必要とされる 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