2009/06/15
航空事情
---------------------------------------------------------------- 航空産業入門―オープンスカイ政策からマイレージの仕組みまで ANA総合研究所 価格:¥ 2,520(定価:¥ 2,520) http://www.amazon.co.jp/dp/4492761756/ref=nosim/?tag=as777com06-22 ---------------------------------------------------------------- ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ◇◆◇ 航空事情 2009年06月15日号 ◇◆◇ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ ---------------------------------------------------------------- 航空事業論―エアライン・ビジネスの未来像 井上 泰日子 価格:¥ 2,730(定価:¥ 2,730) http://www.amazon.co.jp/dp/4535555702/ref=nosim/?tag=as777com06-22 ---------------------------------------------------------------- 【目次】 ★航空会社★ カンタス航空 マイレージ・サービス、年内の上場予定なし ★航空行政・協定交渉・統計★ 航空貨物 IATA、安定化も売り上げ・利益減少・削減不十分 ★経営戦略・関連事業・労使関係★ ILFC社 A380型、CEOがキャンセルを示唆・ドイツ紙報道 ★メーカー・技術開発★ 【解説】リージョナル機市場 それは妄想、需要の見直しが必要 ★事故・安全★ FAA バッファロー事故、地方会社の訓練・規則遵守を検査へ エール・フランス 労働組合、乗務拒否を勧告・A330・A340型 エール・フランス447便 機体尾部を回収・ブラック・ボックス捜索へ ******************************************************************* 【航空会社】 カンタス航空 マイレージ・サービス、年内の上場予定なし ------------------------------------------------------ カンタス・オーストラリア航空のアラン・ジョイス氏は9日、マイレージ・ サービス部門の株式公開の可能性を尋ねられ、資金調達の必要はなく、「今年 の予定にはない。」と、計画にないことを明らかにした。カンタス航空は昨年 9月、予定していたマイレージ・サービス部門の子会社化による株式公開を、 金融市場の混乱を理由に中止している。 昨年9月より市場環境は改善されているが、ジョイス氏は「(マイレージ部門 の株式公開は)無期限延期している。株式公開の価値が出るまで、市場環境は 改善されていない。」と述べている。昨年9月の中止前、マイレージ・サービ ス部門は10億から30億オーストラリア・ドル(800億から2,400億 円)とアナリストらから評価されていた。 クレジット会社など、顧客へのサービスとして売り上げなどに応じてマイレー ジを提供する第三者に、マイレージ・ポイントを販売することで、マイレー ジ・サービスは航空会社の売り上げに貢献している。多額のマイレージ・ポイ ントが顧客に提供されるが、特典獲得には足りないなどの理由で、その多くが 使われることはなく、棚ぼた的な売り上げになっている。 カンタス航空は2月、5億オーストラリア・ドルを新株発行で調達しているが、 新たな資金調達の必要はないとしている。 ******************************************************************* 【航空行政・協定交渉・統計】 航空貨物 IATA、安定化も売り上げ・利益減少・削減不十分 ---------------------------------------------------------- 国際航空運送協会(IATA)は4日、昨年12月に最も落ち込んだ後、航空 貨物の取扱量が安定したことを明らかにしている。しかし、引き続き運賃が下 がっている為、収益は更に悪化しているとしている。世界の主な航空会社が加 盟しているIATAは、最近の原油価格上昇を懸念、航空会社の供給削減が不 十分で、利益は更に落ちているとしている。 IATAが発行する四半期ごとの貨物レポートによると、航空貨物の取扱量は 今年第一四半期に20%減少したが、ロード・ファクター(貨物スペースの稼 働率)は7%の減少に留まっている。航空貨物の売り上げは第一四半期に35 %減少したが、利益は17%の減少だったとしている。IATAは定期国際線 の93%を占める、航空230社が加盟している。 ******************************************************************* 【経営戦略・関連事業・労使関係】 ILFC社 A380型、CEOがキャンセルを示唆・ドイツ紙報道 -------------------------------------------------------------- ILFC社がエアバス社に発注している10機のA380型をキャンセルする 可能性があることを、スティーブン・ウドバー・ハジー会長兼最高経営責任者 (CEO)が述べたと、南ドイツ新聞(Sueddeutsche Zeitung)が8日の紙面 で報じている。南ドイツ新聞は発行部数44万部の、フランクフルター・アル ゲマイネと並ぶドイツの全国紙。 ウドバー・ハジー氏は同紙とのインタビューで、「2010年1月から6月ま での間であれば、違約金なしでキャンセルできる。」と述べたとしている。エ アバス社はキャンセルも、キャンセルの動きも認識していないとしている。景 気後退に伴う引き渡し延期で、エアバス社は2009年のA380型の生産を、 18機から14機に縮小している。ウドバー・ハジー氏は更に、「航空業界全 体の構造的変化が起き、それを踏まえて航空会社はA380型を検討してい る。」と述べたとしている。 クアラルンプールで開催されているIATAの年次総会に出席しているウド バー・ハジー氏は9日、A380型のキャンセルに付いて、「航空業界が置か れた世界情勢や金融環境から、我々は非常に慎重でなくてはならない。飛行機 (A380型)ではなく、航空業界が置かれた経済環境の問題で、数ヵ月後に はより先行きが見え易くなる。」と、現在はA380型をキャンセルしたり引 き渡しを延期したりする意向はないと、慎重に述べている。 親会社で米国政府の管理下にあるAIG社は、収益力のある子会社ILFC社 の売却を進めているが、一括での売却がまとまらない場合、分割売却すること を検討していると、3日付けのファイナンシャル・タイムズ紙が報じている。 プライベート・エクイティーなどで構成する3グループがILFC社の買収に 名乗りを挙げているが、AIG社が提示した50億ドルの資金支援に難色を示 し、ニューヨーク連邦準備銀行に追加支援を求めている。 連銀が追加の資金支援に応じる可能性はなく、AIG社は市中銀行や航空機 メーカーからの融資も求めている。ILFC社は数年間で90億ドルから13 0億ドルの資金需要があるとされている。LIFC社の買収には、1)トーマ ス・エイチ・リー・パートナーズとカーライル・グループ、2)オネックスと グリーンブライアー・エクイティー・グループ、3)テラ・ファーマの3グ ループが交渉を進めている。 ******************************************************************* 【メーカー・技術開発】 【解説】リージョナル機市場 それは妄想?、需要の見直しが必要 ------------------------------------------------------------ 「MRJが参入を目指すクラスのリージョナル機市場は、今後20年間、世界で約5 000機の需要が見込まれている。」と、三菱重工業はMRJの正式客先提案決 定の発表(http://www.mhi.co.jp/news/story/200710094636.html)に書いて いる。5千機のその根拠はどこにあるのか尋ねたくなる。 その需要予測は、単なる妄想に過ぎないのではないだろうか。70座席、90 座席クラス、どう頑張っても最大で108座席だそうだが、座席あたりの効率 は低く、航空会社が投入できる路線には限りがある。やはり売れ筋になるには、 130から150座席欲しい。 カナダのボンバルディア社やブラジルのエンブラエル社などの、メーカーの需 要予測に踊らされているのだろうか。メーカーが出す需要予測は、単なる経済 的な統計資料に基づいた論理的なものではなく、往々にして自社製品の販売が 伸びるとする期待(妄想)が描かれる。 嘗てエアバス社とボーイング社が出した予測は、超大型機の分野で大きな違い があった。A380型の開発・販売を進めるエアバス社は超大型機の需要を過 大に評価し、B747型の後継機がなかったボーイング社は、超大型機の需要 は限定的としていた。その時の予測に冷静だったら、ボーイング社はB747 −8型の開発には踏み切らなかっただろう。 オランダのフォッカー社は販売不振から倒産、スウェーデンのサーブ社、英国 のブリティッシュ・エアロスペース社は、リージョナル機の販売金融で財務状 態が悪化し、市場から撤退と、リージョナル機の市場環境は厳しい。ボンバル ディア社の飛行機(の所有権)を最も多く保有しているのはボンバルディア社 と言われている。 リージョナル機の市場では、発注の条件として、販売金融が付くのが当たり前 になっている。運航会社の経営基盤が貧弱で、財務内容も乏しく、買う為の資 金をメーカーなどが付けてあげないと売れない市場だ。まるでアメリカの自動 車市場のようだ。販売金融が付かなくなった途端に販売不振に陥り、自動車 メーカーは経営破たんしている。やはり妄想のようだ。 ******************************************************************* 【事故・安全】 FAA バッファロー事故、地方会社の訓練・規則遵守を検査へ ---------------------------------------------------------- 米国の連邦航空局(FAA)9日、2月12日にコルガン航空のDHC−8− 400型が墜落した事故を受け、地方航空会社で運航乗務員の訓練やコックピ ット内での規則遵守が、連邦航空法に従って実施されているか検査することを 命じた。 コンチネンタル航空の支線として、ニューヨーク(ニューアーク空港)からバ ッファローへ運航されていたコルガン航空の3407便は、バッファロー近郊 に失速し墜落、乗客・乗員49人全員と地上のひとりが死亡している。 事故に付いて先月、連邦議会で公聴会が開かれたが、国家運輸安全委員会(N TSB)は事故直前に機長(男性)と副操縦士(女性)が重ねて、重大な過ち を犯していたことを明らかにしている。 機長は重要な安全装置に付いて、実地の訓練を受けていなかったと見られる他、 コックピット・ヴォイス・レコーダーの解析から、副操縦士は着氷の恐れがあ る天候下での運航を、暫く経験していなかったことが分かっている。 また、墜落直前に機長と副操縦士は世間話をしていて、機体の速度が危険な状 態まで落ちていたことに気づかなかったと見られること、機長は履歴書に2つ の資格試験に合格していないことを、記載していなかったことが明らかにされ ている。 ふたりは、コルガン航空の規則に反して、空港内の乗員休憩室で仮眠しようと した形跡があるが、明らかに機長、副操縦士共に疲労していたことが、事故に つながったとされている。機長はフロリダ州タンパから、副操縦士はワシント ン州シアトルから、事故機が出発したニューワーク空港に、深夜便で出勤して いた。 公聴会に出席したコルガン航空の従業員は、事故機の機長は年収約5万5千ド ル、副操縦士は約1万6千ドルと証言しているが、後に同社の広報は、機長は 6万7千ドル、副操縦士は2万3,900ドルだったと述べている。 エール・フランス 労働組合、乗務拒否を勧告・A330・A340型 ---------------------------------------------------------------- エール・フランス447便の事故を受け、エール・フランスの3番目に大きい 乗員組合が、3つある速度センサーの内、少なくとも2つの交換が完了してい ないA330型・A340型への乗務を拒否するよう、パイロットに勧告して いる。しかし、別の乗員組合によると、運航への支障はないだろうとしている。 事故調査当局は、着氷により事故機の速度センサーが、適切に機能していなか った可能性に着目している。 エール・フランスによると、35機運航しているA330型・A340型の速 度センサーは、全ての機体で既に1つが交換され、内9機は2つを交換したと している。エール・フランスは6日、新たな速度センサーのA330型での有 効性は、地上での実証実験中だったので、交換を4月まで待っていたとしてい る。 エアバス社はこれまでに約600機のA330型を生産し、約70の航空会社 に引き渡している。エアバス社は2007年9月、A320型、A330型、 及びA340型に装備されている、フランス・タレス社製速度センサーに付い て、新たに開発された着氷防止型への交換を勧告している。 アイルランドのエアーリンガスは、447便の事故を受け、古いセンサーを装 備したA330型2機の改修を、最優先としたことを明らかにしている。また、 ユー・エス・エアウェイズも、運航するA330型のセンサーの交換を始めた としている。デルタ航空は447便の事故以前に改修(センサーの交換)計画 を作成し、順次進めているとしている。 マレーシア航空は昨年9月までにセンサーの交換を完了したとしている。また、 マレーシアのエア・アジア・エックスも、古いセンサーが装備されていたA3 30型1機に付いて、交換を完了したとしている。インドのキングフィッシ ャー航空は、運航するA330型5機全てが、引き渡し時から新たに開発され たセンサーを装備しているとしている。 ルフトハンザ・ドイツ航空、カンタス・オーストラリア航空、キャセイ・パシ フィック航空、エミレーツ航空、エチハド航空、フィンランド航空、スカンジ ナビア航空、シンガポール航空が運航するA330型には、エアバス社の勧告 の対象となっていない、米国グッドリッチ社製のセンサーが装備されている。 エール・フランス447便 機体尾部を回収・ブラック・ボックス捜索へ ------------------------------------------------------------------ ブラジル政府は8日、エール・フランス447便の犠牲者と思われる遺体の回 収が、これまでに24人に達したことを明らかにすると伴に、潜水士がエー ル・フランスと分かる塗装が施された、機体尾部の残骸を洋上から回収してい る様子を撮影した写真を公開した。447便が消息を絶って一週間が経ったの に、期待されたような成果が見られなかった捜索作業だが、成果が現れてきた ことで、現場の士気は高まっている。 捜索には米国海軍のP3C(哨戒機)1機も加わっているが、米国国防総省に よると、ブラック・ボックスに搭載されたアンダー・ウォーター・ビーコン (UWB)が出す音波信号を捉える、海軍が保有する装置(Towed Pinger Loc ators)2台をブラジルに送り、フランスのタグ・ボートに乗せて、現場海域 でブラック・ボックスの捜索を開始するとしている。 装置は水深6,100メートルまでの音波信号が感知できる。UWBは作動後、 30日間音波信号を出し続けるよう設計されている。1台目は10日に、2台 目は12日に捜索を開始する予定で、軍関係者と契約先の民間人19人が同時 に派遣される。447便には米国籍の乗客2人が搭乗していた。ブラック・ボ ックスの捜索には今週、フランスの潜水艦も加わることになっている。 ******************************************************************* 【編集後記】 ■リージョナル機を発注している米国の大手航空会社が、証券取引委員会に提 出した財務資料を見ると、メーカーは"確定発注"と発表しているのにもかかわ らず、引き受けの条件として「ファイナンスが付くこと。」とされている。フ ァイナンスが付かないと、引き受ける義務はないのだ。従い、最悪の場合、 メーカーがファイナンスするなり、リースすることになる □大韓航空の追加発注で"確定"受注が200機に達したA380型も、早い段 階で受注に成功したILFC社の10機が、確定からは程遠い、条件付きだっ たことが明らかになった。親会社の経営難からさびが出た格好だが、早い段階 でILFC社が発注したことは、航空会社の発注にも少なからず影響を与えた 筈だ。世の中、何も信じられない気分だ。 ---------------------------------------------------------------- ぼくは航空管制官DS(特典無し) 価格:¥ 3,450(定価:¥ 5,040) http://www.amazon.co.jp/dp/B000NJTAWW/ref=nosim/?tag=as777com06-22 ---------------------------------------------------------------- 【お知らせ】 ★航空事情は個人的に収集・整理している航空関連の情報を、必要とされる 方に公開・配信しているもので、報道を目的とはしていません。 ★このメールマガジンの内容に関しては万全を期していますが、その内容を 保証するものではありません。記載内容に関していかなる損害、トラブル等 が発生しても、その責任は一切負いません。 ★メールマガジンのアドレスに返信されても、スパム・メールが非常に多い ことから、開封しておりませんのでご注意下さい。発行者へのメールは、下 記URLからお願いします。 ★メールマガジンの購読申し込み、及び解除は、読者の方が直接それぞれの 配信元で手続きされるようお願いします。発行者は一切、購読者のアドレス を管理していません。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ □■メールマガジン航空事情(毎週月曜日発行)■□発行者 航空事情 ---------------------------------------------------------------- 発行者へメール http://www.as777.com/mail/ ホームページ http://www.as777.com/ ---------------------------------------------------------------- まぐまぐ 登録・解除 (http://www.mag2.com/m/0000060717.htm) melma! 登録・解除 (http://www.melma.com/backnumber_31379/) ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆



