2010/01/07
地球のささやき【No.488】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 地球のささやき Sound of the Earth ■小出良幸 【No.488:2010.01.07】 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ HomePage■ http://terra.sgu.ac.jp/earthessay/index.html E-Mail ■ y@ykoide.com 配信数:0000882 magazine ID: 0000059693 ―――――――――――――・CONTENTS・―――――――――――――――― Essay ■ 3_80 太陽風:黒点3 Letter■ 興味の赴くまま・少ない蓄積 Words ■ 明けましておめでとうございます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 明けましておめでとうございます。昨年から続いている、黒点シリーズの3 回目です。今回の極小期を調べていくうちに、いろいろ面白いことがわかって きました。そこには歴史の浅い研究もあり、今回の現象が重要な記録になって いきそうなこともわかりました。ただし、この記録が、地球に大きな影響を与 えなければいいのですが。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Essay■ 3_80 太陽風:黒点3 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無黒点という現象は、太陽の極小期には、よく起こる現象です。前回の極小 期である1996年の無黒点日は、165日ありました。ところが、2008年と2009年 の極小期には、2年に渡って260日以上の無黒点日が続いています。このように 無黒点日が長く続くというのは、珍しく異常ことになります。 前回と今回の極小期の違いを比べると、どういう違いがあるでしょうか。 名古屋大学太陽地球環境研究所の徳丸宗利さんの報告によれば、太陽風(た いようふう)に違いがあるということがわかってきたということです。 太陽風とは、太陽から吹き出している原子のことです。ただし、原子は高温 のため、電子が剥ぎ取られた粒子となっています。このような原子をプラズマ と呼びます。プラズマの量は、膨大で毎秒100万トンと計算されています。太 陽風は、地球の磁場に影響を与え、ひどいときには磁気嵐を起こします。オー ロラの原因の一つともなっています。 太陽風は、高速で飛び出し、地球の軌道付近では約300~900km/s、平均約45 0km/sになります。太陽風が太陽のどこから来るかによって、その速度に系統 的な違いがあることが、観測からわかってきました。 太陽風の速度分布を見ていくと、太陽の赤道付近からのものが低速で、両極 からのものは高速になります。その分布が、太陽の周期性に対応していること が分かってきました。 黒点の極大期には、赤道付近の低速域が極付近まで広がります。つまり、太 陽全体から低速の太陽風が吹き出していることになります。一方、極小期には、 低速域は赤道付近だけに限定され、太陽の大部分が高速の太陽風を出すことに なります。 このような太陽風の速度の分布と、太陽の黒点の周期性が一致していること がわかりました。太陽風の観測がなされたのは1692年からで、名古屋大学でも 1970年代からのことです。太陽の周期性は、太陽風に関しては、3回ほどしか 観測されていません。その3回の周期性から太陽風を比べてみると、このよう な関係が解明されてきたのです。 ところが、今回の極小期が、今までのものとは違うことがわかってきました。 過去3回の黒点の周期性は、太陽風の速度分布と一致していたのですが、今回 の極小期には、その一致が見られないのです。今回は、両極の高速域だけでな く、赤道も高速域になっているのです。そして、低速域が赤道の両側の中緯度 付近に出現しています。太陽の磁場も前回、前々回に比べて半分ほどしかない ことが分かっています。 これまで安定していた太陽活動の周期性が、今回の極小期には、今までにな い不安定な状態になっていることを示しています。これらの現象が、何を意味 しているのかは、まだ充分分かっていないようです。 このようなひどい極小期が、実は以前にもあったことが分かっています。そ れは次回としましょう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Letter to Reader■ 興味の赴くまま・少ない蓄積 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・興味の赴くまま・ 明けまして、おめでとうございます。 本年も「地球のささやき」をよろしくお願いします。 本エッセイは、正月をはずれて発行することになったので、 特別な内容を書くことなく、 淡々と進めることにしました。 今回は、昨年から続いている、 シリーズのエッセイの続きです。 このシリーズが何回つづくかわかりませんが、 興味の赴くまま、継続していきたいと思います。 ・少ない蓄積・ 太陽の観測は、古くから行われているように思いますが、 実は、それほど古くからはないことがわかります。 そもそも、科学の発祥自体が、それほど古くないので、 観測記録は、それほどたくさんないのです。 肉眼や単純な観測ですむデータですら、 数百年の蓄積しかありません。 高度な精度や測定技術が必要なものは、 数十年ほどの蓄積しかありません。 時間経過に伴う変化の詳細はよく分からないのは 仕方がないことなのかもしれません。 そのような少ない蓄積のもとに 私たちの知識のあるものは成り立っていることを 忘れてはいけません。 このエッセイを書きながらそんなことを考えました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私のホームページも、ほぼ毎日更新しています。 http://www.ykoide.com/index.html 購読の解除は http://terra.sgu.ac.jp/earthessay/regist.html できます。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ To be continued.


