2007/12/09
細野豪志の国会報告 #71
細野豪志の両忘記(りょうぼうき)♯71 『日中関係』(2007/12/9) ■古都・西安より 国交正常化35周年を記念し、民主党は、議員45人、一般の方400 人を越える訪中団を送りました。 今回の主な日程は三つ。 1.交流協議機構の全体会議(両党の基本的姿勢の表明) 2.小沢代表と胡錦濤国家首席とのトップ会談 3.交流協議機構の分科会(安保、経済、文化の個別政策のやり取り) 北京での日程を終えて、あとは、明日の西安での共産党幹部との会談を 残すのみとなりました。 ■小沢代表の外交スタンス 福田総理に先立ってのトップ会談は、日本でも大きく報道されているよ うです。「アジアが平和で豊かな地域となるための要が日中関係である」 との言葉に象徴されているように、トップ会談は、基本的な信頼関係の 更なる発展を確認するものとなりました。 具体的な政策のやり取りは、全体会議と分科会で行いました。両会議で は「台湾」「ガス田」など、相当突っ込んだやり取りが行われました。 中国人の気質から言っても、「信頼関係を築いた上で、言うべきことは 言う」という小沢代表のスタンスを私も支持しています。 ■事務局長の役得 あまり大きくは報道されていませんが、興味深いのは、小沢代表の訪中 団には、中国の若手のエースが出てくることです。今回の、胡春華共青 団第一書記(若手の登竜門で、胡錦濤国家首席もこのポストを経験して います)、李源朝中央組織部部長、前回登場した李克強氏は、先日の党 大会で中央常務委員(共産党の最高幹部)になりました。 若い世代のリーダーは、大衆的な魅力も備えた人物です。国家主席との 会談に同席できることも貴重な経験ですが、それ以上に私にとってのメ リットは、若手政治家との接点を持てたことです。これが、事務局長の 最も大きな役得と言えるかも知れません。 もう一つのメリットは、会合では見えてこない水面下の「外交」を経験 したことです。3回の訪中団の事務局と、事前ミッションを2回の経験 の中で、彼らの「したたさ」に手こずりながら、少しずつ信頼関係をつ くっていく過程は、得がたいものでした。 ■内政と外交 思い起こせば最初の訪中は、2年前のちょうどこの時期の前原訪中団で した。前原さんの「中国脅威論」もあり、要人との会見が実現しません でした。北京の風が、やたらと冷たく感じられたものです。 この2年間の経験を通じて痛感したのは、国内の状況が外交に大きな影 響を与えるということです。総選挙で惨敗した直後の民主党と、力を盛 り返しつつあった昨年の小沢訪中。そして参議院選挙で大勝した後の今 回。中国側の対応は実に正直です。 個人的なキャラクターやスキルのみで、外交舞台で快挙を成し遂げるこ とは不可能です。政治家の裏づけとなる所属政党の力、そして国力がダ イレクトにものを言うのが外交です。極論すると、勝負を決めるのは 「何を言うか」ではなく「誰が言うか」です。 ■中国の抱える矛盾 もともとも、ガス田や環境問題で、中国に対して厳しい政策立案にかか わって来た私が、これほど中国と付き合うことになろうとは。今回、同 じ時期であるにも関わらずそれほど寒さを感じないのは、中国に対する 私の思いが変わったからかも知れません。 社会主義と格差、環境・エネルギー、そして壮大な歴史。中国ほど大き な矛盾と可能性を併せ持った国はありません。戦後の混乱や、公害問題を 乗り越えてきた日本の経験は参考になるものの、中国の矛盾は、日本の それとは比べものになりません。古都・西安は、せっかくの歴史の街で あるにも関わらず、息苦しいまでの砂とばい煙に包まれていました。 中国が、いかにしてこの矛盾を解決するのか、我々には見届ける責任と 関与する理由があります。中国に民主主義を導入すべしと主張するのは 簡単です。ただ、今の中国全土で選挙をやったら、一体どういうことに なるか?中国社会の混乱や分裂は日本にとっては悪夢です。 台湾問題も同様です。分科会では「民主党が台湾の国民投票を認めない ことをはっきり表明すべし」と主張する中国側に対して、私は、民主主 義国・日本の立場で反論し、中国側に自制を促しました。ただし、我々 が主張できるのは、「台湾の一方的な独立は支持しない。中国の台湾に 対する武力行使については断固反対する」というところまでです。 ■エネルギー問題を梃子に 歴史や領土問題でギクシャクしがちな日中関係を変える可能性があるの が、エネルギー、環境問題です。私の最大の関心テーマも、ここにあり ます。ただ、この問題も一筋縄では行きません。 エネルギー資源確保では、日中はライバルでありながら、その裏側の環 境問題では、一蓮托生の運命にあります。東シナ海やシベリアからのパ イプラインなどの対立するテーマと、中国国内の環境問題をパッケージ で議論しない限り、解決の糸口は見つかりません。 中国は、わが国にとっては、否が応でも付き合わなければならない隣国 です。この相手と付き合っていくのは、それこそ膨大なエネルギーが必 要ですが、政治家冥利に尽きる大きな仕事であることは間違いありませ ん。この2年間で得た経験を一つの契機に、個人的にも定期的な訪中を 計画してみたいと考えています。私は、古都・西安で、この国と格闘す ることを決意しました。


