2009/04/27
カエルニュース 340号
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社民党衆議院議員・小児科医・阿部知子のメールマガジン
\^o^/「カエルニュース」 340号 2009/4/27 \^o^/
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★☆暴走国会、壊されていく「個人の尊厳」「平和」☆★
15日から始まった海賊対処法案の審議はわずか25時間で終結、
野党が反対する中、委員会での採決が行われた。同日、本会議
に緊急上程、恒久法として自衛隊単独の海外派遣があっという
間に与党の賛成多数で可決された。小沢問題での民主党の低迷
が「凪の国会」を生んだ後、今度は与党による暴走国会が再現
されている。
この海賊対処法案の拙速審議だけでなく、いまだ一度も審議
されたことのない臓器移植法改正案をめぐる早期採決の表明な
ど、日本社会を大きく変えかねない事柄についても、とにかく
まず採決ありき、自民党・公明党が多数を持っているうちに決
めてしまえと言わんばかりに与党が突き進んでいる。行きがけ
の駄賃ならぬ解散前の駆け込みを狙う意図があまりに露骨であ
る。民主党にはこれを止めようとする意思も勢いもない。
5月から始まろうとする裁判員制度にしても、国民には「拒否
する権利」や「良心の自由」も保障されないまま、密室の取調
べで作られた「犯人像」に基づいて極刑を科す判断に動員され
かねない。
臓器移植法改正案も与党が主張A案では、もっぱら医師が専権
事項で「脳死」を判定、それを人の死とした上で家族の同意の
みで臓器摘出を可能とするもので、かけがえのない個人の意思
の尊重という現行法の枠は取っ払われてしまう。「個」にとっ
て真の意思表明も「拒否する自由」もどんどん狭められていく
社会はあまりにも息苦しい。
そしてそれらを総仕上げするために、憲法改正―国民投票に向
けた憲法調査会を動かそうと運営規定づくりが提案されている。
投票者の年齢など多くの検討課題は積み残したままで、動かす
のはおかしい。そもそも国民投票は憲法改正について個々人の
判断を問うための仕組みであるが、現憲法の基本原理を大きく
変更する改正内容まで国会が発議することは出来ないはずであ
る。
しかし事態はそのような方向に確実に進み始めている。本当の
主権者である国民の意思を聞く構えがない国会議員があまりに
も多く、憲法改正も「人の死の判断」も自分達が国民から委ね
られていると思い込んでいる節さえある。逆に形式だけは国民
投票としても、その実は国民の自由な選択をあらかじめ封じて
おく地ならしをしているのが現在の国会かもしれない。
私が強くこだわる「本人意思に基づく臓器の提供」に関して言
えば、実は医学解剖を目的とした遺体の献体もこれまで全て個
人の生前の意思と家族の同意の下に行われてきた(白菊会)。
それよりはるか手前である脳死段階で、なぜ家族の意思だけで
提供を可能とするのか?私からみれば身体や個人への冒涜にも
等しい。
私たち医師は、学生時代にまずこの献体された遺体を解剖させ
ていただく時に、人の身体の尊厳と遺志に自ずと手を合わせる。
人の身体は物ではない。しかし医学という場では、個々の臓器
を相手とすればする分それは「物体」となっていく。その感覚
をかろうじて繋ぎ止めるのが個人の遺志への敬意であった。そ
れ故、脳死からの臓器提供は言うに及ばず、心停止後の腎臓や
角膜さらには骨や皮膚という組織の提供も本人の書面による事
前の意思表示を前提にすべきと考える。
「平和」の問題も、私は究極には「個の尊厳」にあると思う。
一人一人の人間が理不尽に「生」を奪われることなく、自由に
思索し他を傷つけない、これが平和の中味である。戦争に向け
て挙国一致といわれた時代、この個が奪われ、全体主義が支配
していたことは記憶に新しい。「戦争をしない国」であるため
にも、生命の主人公としての意思を保障できる社会が不可欠で
ある。
阿部知子
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