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2008/02/06

カエルニュース 第296号

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  社民党衆議院議員・小児科医・阿部知子のメールマガジン
 \^o^/「カエルニュース」 第295号  2008/1/25  \^o^/
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 ★☆ あまりにも不毛、患者と医療者の対立と相互不信 ☆★

 先週のメルマガは一度は書いてホームページ上にアップしよ
うとはしたのですが、十分に意を伝えられないように思って急
きょ取りやめにしたので、二週間ぶりです。

テーマは、最近医師仲間からもたくさんメールをいただく厚労
省主導の「医療事故調査委員会」に関してです。

 1980年代以降、医療が専門分化・高度化・複雑化して、頻発
するようになった医療事故やミスに対し、メディアの報道が十
年一日の如く続けられてきました。そんな中で、1999年に起き
た横浜市立大学病院での患者取り違え事件は、大学の附属の特
定機能病院として厚生労働省からもランクの高い病院と認定さ
れている病院で、にわかには信じがたいほどの初歩的ミスが起
こった事案として、現代医療は常に事故やミスと背中合わせで
あることを広く世の中に知らしめるところとなりました。

 それまでの医師個人の技術や知識の低さ、あるいは「悪徳」
か否かの問題以前の事故発生の構造が、ここには見られます。
こうした事態を私たち医療者は「医療のシステムエラー」と言
い、医師や看護師や他の医療スタッフの個人的ミスというより
も、診療現場そのものが少ない人員配置によって安全配慮に欠
けてしまうことが原因と考えられます。

 しかし、被害を受けた患者さんや御家族はもちろんのこと、
これを報道するメディアは、担当した医師や看護師の「素質」
や「性格」そして「犯罪性」を指摘することに傾きがちです
(慈恵医大青戸病院での内視鏡手術による失血死)。確かに被
害を受けた患者・家族はひたすら「真相」を求めて、医療の閉
鎖性と闘いながら裁判で闘ってきたという歴史があります。被
害を受けたという事実以上に、医師の不誠実さや不適切な対応
に怒り、医療不信は極限に近くなっている場合も多いのです。

 2006年2月福島県立大野病院において警察が「事件」として突
然医師を逮捕するような事態が生じるに至って、医療事故やミ
スに関して患者・医療者・警察それぞれの立場からの論議が沸
き起こりました。

 しかし、残念なことに医療事故やミスを経験した現場をどう
再生させるのかという視点は、今もってごくわずかです。お互
いの不信や不満、とりわけ医療者と患者・家族(団体)との間
には、未だに深い溝があるように思えます。

 厚生労働省が「試案」として発表した「医療事故調査委員会」
では、真相究明という視点から患者・医療者の双方から調査の
依頼を受けて活動が始まることになっています。ところが、そ
の調査報告をどういう形で利用するのかは、論議が不十分です。
事故やミスに対して行政処分や刑事罰に問われることになれば、
調査は「取り調べ」のようになってしまい、医療側は本当のこ
とを隠すようになりかねません。

 確かに被害者となった患者さん側は、白黒をはっきりさせて
欲しい(処罰を求める)気持を捨てきれないことでしょう。し
かし、事故の原因をはっきりさせることと同時に大切なことは
再発防止ですから、調査報告は処罰・処分とは離れて医療現場
の改善にこそ活用されるべきと私は考えます。

 ここでの調査は、あくまで立ち入り調査と是正勧告、特に
「是正」に力点が置かれるべきです。また「是正」のために、
被害にあった患者・家族と加害の立場に立たされた医療者の相
互理解・意見交換の場も必要でしょう。そうした取り組みを枚
方市民病院ではすでにやっておられるとも聞きます。

 今や医療は内側からの崩壊(士気の低下、萎縮医療、「人間」
への無関心)へと向かっていると思います。その「再生」のた
めには、医療サイドはまずきちんとした情報公開に取り組むべ
きです。患者・家族にも恩讐を超えてから、医療をどうより良
いものとするかを考えてみて欲しいと思います。そうした相互
の歩み寄りを一歩でも進めるためには、対立を煽るようなメデ
ィアの姿勢も是非改めるべきことをあえて付け加えます。

                     阿部 知子 


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                 ◎ 編集・発行: 阿部知子事務所
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