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2008/12/30

『催眠療法・最前線』 第62号  2008年12月30日 

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   『催眠療法・最前線』               第62号  

                                   
                   2008年12月30日
                                   
                 http://hypnoforest.at.infoseek.co.jp/  
                                   
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    ■ 催眠療法(ヒプノセラピ−)についての様々なこと(2)
            〜年齢退行でのネガティブな感情の扱い方について〜







  催眠療法(ヒプノセラピ−)について、知ってほしいことを書いていきたいと
  思います。



  今回は、『年齢退行での感情の扱い方』を取り上げたいと思います。その問題
  点についてまとめたいと思っています。今まで書いて来たことと一部重複する
  ところもありますが、ご了承ください。
  また、少し専門的な話になるところがあるかもしれません。
  ですが、できるだけわかりやすく書いていきます。どうぞおつきあいください。

  

  …と、その前に少し。
  催眠療法の方法について否定するようなことを書くのは、私は決してしたいこ
  とではないのです。しかし私が見ている範囲ではあまり書いてないことのよう
  です。催眠療法(ヒプノセラピ−)を受ける人にとって、判断材料のひとつに
  なればいいなと思います。どう選ぶかはもちろん、ご本人が自由に決めること
  だと思いますが。
  どれだけの人の目にとまるのかはわかりませんが、ただ書いておかなければな
  らないと思いました。自分が知っていることについて明確に伝えることが私の
  責任であると感じます。決して大袈裟なことではないと自分では思っています。
  


  
  まずは、本題に入る前に、年齢退行についての、基本的なことをお伝えします。
  年齢退行は、文字通り、今まで生きてきた人生の中で、過去のどこかの時点に
  戻るものです。
  子供の頃に戻ることもあれば、つい最近のところに戻ることもあります。
  何らかの体験や出来事を思い出すことが多いです。あるいは、場所の記憶や感
  情だけ体感だけということもあります。あるいはもっと微細でわかりにくい体
  験であることもあります。
  ネガティブな感情もポジィティブな感情もあります。(何がネガティブで、何
  がポジィティブなのかは微妙なこともありますが)あるいは、明確な感情を特
  に感じずに淡々としていることもあります。



  このような体験の内容や体験の仕方が最もいい、というようなことは全くあり
  ません。いつの時点の体験でもかまわないし、どのような感情でもかまいませ
  ん。感情が強くなくても全くなんの問題もありません。五感すべてで体験して
  いる方がよりいいということも全くありません。
  (年齢が低いほど記憶が曖昧になり、感覚的体感的なものが強くなる傾向があ
  ります。おそらく認識そのものがまだ発達していないからだと思われます。)
  体験の内容や仕方で、セラピ−としての効果にはっきりとした違いが出てくる
  ものではありません。体験内容と効果の間には、明確な関連性はありません。
  ということをわざわざ私が書くのは、年齢退行というと、幼い頃の強いネガテ
  ィブな感情を伴った体験でなければだめだ、今あたかも体験しているかのよう
  なリアルな体験でなければだめだ、と思い込んでいる方が少なくないからです。
  
  

  唯一大切なのは、その方の心から出てきたことを尊重して丁寧に体験していく
  ことです。


  退行催眠の興味深いところは、今現在のその人にとって必ず役立つ体験になる
  ことです。
  ですから、いってみれば、扱っている材料は「過去」なのですが、実は、心が
  フォ−カスしている時制としては「今現在」ということができるのかもしれま
  せん。



  年齢退行の目的は、わかりやすくは、過去の感情の解放だと思います。
  ですが、実際には、そうシンプルではありません。一口ではいえないくらいに、
  実に様々です。結果的に、多種多様の目的を達成することができます。   
  ですから、その方の潜在意識が年齢退行を行うのに同意した場合には、明確な
  何らかの目的があるのだろうと思って大丈夫です。
  年齢退行、過去生退行などの退行催眠を行う場合には、潜在意識に行っていい
  のかどうかを聞いた方がいいです。感情に直接触れることが多いために効果的
  なことが多いのですが、催眠後の好転反応も強いことも多いからです。
  また、潜在意識が同意しなかった場合には決して行わないことです。ご本人に
  したいという意志があるのを知った上で、潜在意識が反対するのですから、余
  程のことと思った方が賢明です。
  


  どういう体験に戻るのかは、潜在意識に任せます。ご本人が顕在的に問題と感
  じていることがあったとしても、その原因に戻るというようなことは、年齢退
  行を何回か行ってからがよい、とされています。といいますのは、最初に顕在
  的に戻るところを決めてしまうと、潜在意識の方で問題としていたものが出る
  きっかけを失うことがあるから、とされています。ご本人が自覚的に問題と思
  っていることと潜在的に問題としていることは一致しないこともあるからだと
  思います。



  さて、今日の本題です。



  私が約18年前、初めて催眠療法(ヒプノセラピ−)を学んだときに、年齢退
  行の方法として、教わったことについて書きたいと思います。
  私は、そこで学んだ、年齢退行の感情の扱い方については、大きくふたつ問題
  があると思っています。
  私がこの方法を知ったのは、その講師の方が、デモンストレ−ションとして受
  講生のひとりに行っていたときです。 
  私は催眠療法(ヒプノセラピ−)のことはまだ何も知らなかったですが、とて
  も違和感を持ちました。セラピ−として適切なのか?と疑問を持ちました。



  違和感と疑問を感じた私は、それをどうしても確かめたくて、いろいろな先生
  に催眠療法(ヒプノセラピ−)を学ぶことになりました。
  しかし、私がその後学んだ何人もの先生は、どなたもそのような方法を取って
  いなかったのです。驚きました。むしろ年齢退行のリスクをよくご存じで、行
  うことについては慎重な先生ばかりでした。
  私が最初に知った方法は、心理療法の世界では、一般的なやり方などでは全く
  なく、ごく特殊な偏ったやり方だと知りました。誰ひとりとして、そのような
  方法を取っている先生はいなかったのです。その事実からも、どれだけ特殊な
  方法なのかをお分かりいただけると思います。



  しかし、現実的にはその先生に教わった人がとても多く、開業しているセラピ
  ストも多いです。ここで学んだ人がまた催眠療法(ヒプノセラピ−)を教えて
  いるケ−スも多いようですから、催眠療法(ヒプノセラピ−)の「テクニック」
  として、受け継がれてしまっている可能性が高いです。5、6年前にも、これ
  らの方法のまま教えていることを聞きました。あたかも、催眠療法(ヒプノセ
  ラピ−)の手法として、一般的な、オ−ソドックスな方法であるかのように普
  及してしまっているために問題が大きいのです。
  自分で疑問を持ったり、あるいは他の先生にも催眠療法(ヒプノセラピ−)を
  学んで心理療法としての慎重な手法を学んでいれば、今回お伝えするようなこ
  とはしていないと思います。現に私は一回もしていません。
  しかし、あまり疑問に思わずにこの方法を続けている方も多いと思います。困
  ったことに、セラピ−をする立場では、自分がとてもセラピ−を行った気にな
  れる方法でもあるからです。
    


  どのくらいに偏った方法なのかをまずお伝えしたくて、前置きが長くなりまし
  たが、具体的にお伝えしたいと思います。
  

  
  問題点のひとつめは、今までも再三お伝えしてきましたが、セラピストが感情
  を煽ることです。とても危険性が高いことなのです。感情を煽るとは文字通り
  のことです。
  例えば、家で留守番をひとりでしていて寂しい気持ちでいる、というような体
  験が出てきたときに、セラピストがその感情を意図的に大きく強くするような
  言葉をかけることをさします。
  例えば、「あなたはひとりなのね。ひとりぼっちでいるのね。あなたを家でひ
  とりにしておくなんてお母さんはひどい人ね。」などと言っていきます。(こ
  の言葉は私が考えたのではありません。そのデモンストレ−ションの際に実際
  に講師の方が使っていた言葉です)
  このようにすると、少し出てきた感情でも、大きく強くなっていきます。これ
  をして、「感情の解放を完了させる」という説明でした。



  催眠という意識の状態で過去のことを思い出しているときには、その当時の気
  持ちに近くなっています。
  ですから、このような感情を増長させるような言葉をかければ、そのように反
  応していってしまう可能性が高いです。


  そのデモンストレ−ションのときにも、セラピストの言葉かけによって、その
  クライアント役の参加者は、火がついたように泣きはじめました。
  私は痛々しく感じました。残酷だと感じました。怖いとも思いました。とても
  不快になりました。
  例えは悪いですが、刃物を振り回しているような印象を受けました。繊細な人
  の心というものに、そういう形でどんどん介入していくようにしか見えません
  でした。暴力的だと感じました。
  私には、その人が自然に泣いているのではなく、セラピストによって「泣かさ
  れている」ように見えました。講師のセラピストはどこか得意気に見えました。
  これもまた私を不快にさせました。 
  
  

  催眠療法(ヒプノセラピ−)というものは、ほんとうにこんな風にしないとい
  けないのだろうか?これがごく一般的な方法なのだろうか?と疑問に思いまし
  た。
  果たしてこれが、「セラピ−」といえるものなんだろうか?と思いました。  
 


  そして、このあといろいろな先生に催眠療法(ヒプノセラピ−)を学んでわか
  ったのは、この方法の最も問題な点は、感情が心の許容量以上に不必要に出過
  ぎてしまい、その後の好転反応が強くなる可能性が高いことでした。まかり間
  違えば、ご病気になってしまう可能性もあるとのことでした。私はとても納得
  しました。そうだろうなと感じました。
  年齢退行自体にも慎重な考え方で、ある先生は「潜在意識が同意しなければ決
  してしてはならない。厄介なことになる。」とおっしゃっていました。またあ
  る先生は「初めて会った人にすることではない」とおっしゃっていました。ご
  参考までお伝えしたいと思います。

 

  また、私がセラピ−をしてきて、問題点として上げられることがいくつかあり
  ます。
  ひとつの感情を感じているうちに、その背後の感情が出てくることがあります。
  感情が感じているうちに、自然に移行していくのです。悲しみを感じているう
  ちに怒りが出てきたり、怒りを感じているうちに悲しみが出てきたりします。
  最初に出てきた感情にあまりに焦点を合わせてしまうと、背後にある感情が出
  てこれない可能性もあると思います。
  また、とてもわかりにくい微細な感情を感じていることもあります。わかりに
  くくて微細なのには理由があり、いろいろなことを含んでいるからなのだと思
  います。明確になりにくい感情を明確にしてしまうと、そこにある何か大切な
  ものが抜け落ちてしまう可能性があると思います。
  いずれにしても、とても人工的な方法だと思います。



  また、私たちが日常生活のなかで、悲しい気持ちを感じたときでも、その感情
  表現は様々です。
  声をあげて号泣することもあれば、しくしく泣くこともあります。薄っすらと
  涙を浮かべていることもありますし、涙は出てこずに悲しい気持ちを重く感じ
  ていることもあると思います。
  セラピストが感情を煽ってしまうと、それらの自然な感情表現は奪われ、どん
  な場合でも、ひとつの方向に引っ張ぱられていってしまうと思います。実際の
  感情ではなくなってしまう可能性もあると思います。



  このメルマガを読んでいる方の中で、催眠療法(ヒプノセラピ−)を行ってい
  る方がいらっしゃるかもしれません。上記のような方法でしている方がいるか
  もしれないと思います。他の情報を持っていないかもしれません。
  感情の扱い方について、ではどうすればいいのか?という疑問を持つかもしれ
  ません。私がいいと思う方法、実際に行っている方法をお伝えしたいと思いま
  す。もしもそれがいいと感じたら、ぜひ取り入れてください。
  それは、感情が出てくるままに自然に、僅かな感情でもそのままあるがままを
  ただ感じるだけです。しばらく感じていると、その感情が変わってきます。そ
  れが「解放」です。
  セラピストはそれをただ静かであたたかい心で待っていればいいです。煽るよ
  うな言葉をかける必要は一切ありません。過度な同情も禁物です。
  感情が解放されていけば、ごく自然と変わっていきます。感情⇒思考⇒行動と
  いう具合に、です。



  また、感情の扱い方の問題点として、もうひとつあります。
  このことについては、私は書いたことはありません。今回が初めてです。

  

  年齢退行を行う場合、ネガティブな感情が出てきたときには、セラピストは、
  「クライアントの感情的な認識を、論理的な説明によって傷を癒す」のがいい、
  ということでした。またそのプロセスが「セラピストの腕の見せ所」というこ
  とでした。



  「クライアントの感情的な認識を、論理的な説明によって傷を癒す」とはどう
  いうことでしょうか。具体的にお伝えしたいと思います。
  つまりは、感情的になっていることに対して、論理で説明していく、というこ
  とだそうです。
  例えば、子供の頃にお母さんに強く怒られてとても悲しいという記憶を思い出
  したとします。そのような場合に、セラピストが「世の中は厳しいところで、
  親も私たちが期待するようには完全ではない」というような伝えることをさす
  そうです。

  
  いってみれば、ネガティブな感情が出てきたときには、セラピストが論理的に
  説明して、そのネガティブな感情を頭で納得して、手放してもらいましょう、
  という方法です。



  上記のデモンストレ−ションの際にも、講師がクライアント役の参加者に、
  「親も私たちが期待するようには完全ではないのだから」というような言葉を
  かけていました。
  私は、ついさっきまであれだけ泣いていて悲しい気持ちを感じていたのに、心
  はついて行けるのだろうか?と思いました。とても不自然に感じました。言い
  聞かせている、説得しているようにしか見えませんでした。
  また、その言葉を断る選択肢は与えられていませんでした。たとえいやでも受
  け入れざるを得ない道筋になっていました。自由意志を考慮されないセラピ−
  って一体何なんでしょうか。



  これがどれほど、不自然な方法かを感じて、考えてほしいと思います。



  ご自身が、過去のつらい感情を思い出したと、想像してみてください。
  あるいは、特に過去のことでなくてもかまいません。ごく最近、悲しかったり、
  怒ったりしたことがあったときのことを少し思い出してみてください。
  あなたが悲しい気持ちでいるときに、「完全な人はどこにもいないように、そ
  の人も完全ではないのだから」などと言われたらどんな気持ちでしょうか。
  あなたが怒っているときに、「完全な人はどこにもいないように、その人も完
  全ではないんだから仕方ないよ」などと言われて、納得できる、気持ちが納ま
  るのでしょうか。それで、癒されるのでしょうか。



  そもそも「親も私たちが期待するようには完全ではない」というのが「論理」
  と呼べるものなのかどうかも私にはよくわかりません。単なる「説教」に思え
  てしまうのですが、いかがでしょうか。
  また、「親も私たちが期待するようには完全ではない」というのは、確かに正
  しいかもしれません。しかし、正しいことというのは曲者(くせもの)です。
  正しいことを言われてしまったら、言われた方は逃げ場がなくなりはしないで
  しょうか。素直に感じた心の行き場はどこにあるのでしょう?


 
  感情が出てきたときに、この様な説明をされてしまったら、感情をまたさらに
  押し込めてしまうようにならないか?というのが、私の大きな疑問です。
  せっかく解放されようとしている感情なのに、解放のために出てきてくれた感
  情なのに、と思います。



  「親も私たちが期待するようには完全ではない」と説明されたときに、どう感
  じるのかは、人それぞれ、ケ−スバイケ−スだと思います。納得できる場合も
  あるかもしれません。
  ただし、その時のその人の心と、そぐわない場合には、心の状態としては、よ
  り複雑なことになってしまう可能性があると思います。



  片方では、率直に感じている気持ちがあり、もう片方では、その説明を受け入
  れなければいけない、となる可能性があると思います。
  いわば、ダブルバインド(二律背反)になってしまうのではないかと危惧しま
  す。

 
  心のセラピ−をしているのですから、「腑に落ちる」ことが肝要です。
  頭でナットクしても、心がほんとうに実感として「そうなんだな」と感じない
  ことにはなんの意味もありません。素直に感じた気持ちを押し込めてしまうと、
  心はより複雑なことになってしまうと思います。

  

  場合によっては、「人は誰でも完全ではないのだから、そのような気持ちは持
  ってはいけないものなんだ。」「そう感じた自分がよくないのだ。自分が足り
  ないのだ。」と感じてしまうかもしれません。これは、自己否定が強くなる方
  向です。
  また、心の中では「そんなことを言われたって」と思っても口に出せないかも
  しれません。表面上はセラピストに合わせてしまう可能性もあると思います。



  また、催眠療法(ヒプノセラピ−)で体験したことは、その後影響していきま
  すから、何かネガティブなことを感じても、どこかで「感じてはいけないこと
  を感じている」と思い、自分の素直な気持ちを我慢してしまうようになるかも
  しれません。



  心理学的に心を「子供の心」と「大人の心」とに分ける考え方がありますが、
  その言い方でいえば、素直にネガティブな感情を感じているのは、子供の心で
  す。論理的な説明を聞いているのは、大人の心です。
  大人の心が、子供の心に言い聞かせることになります。
  年齢退行の最中には、気分的にもその当時の気持ちに近くなっていることが多
  いですから、心に過剰な負担を余計に強いることになります。



  どう考えても、不適切だと私は思います。
  


  悲しかったら、そのときの自然な悲しさをあるがまま感じる。怒っていたら、
  そのときの自然な怒りをあるがまま感じてこそ、解放になると思います。
  解放とはそれだけで十二分です。心が残っていたから、過去にとどまっている
  だけですから、感情が解放されれば、自然とそこから離れることができます。
  そして、そのあとは、何もしなくても、ごくごく自然に、ご本人の心が動いて
  いきます。



  「論理的な説明によって傷を癒す」とある様に、言葉では「傷を癒す」とあり
  ますが、実体は、傷を深くしてしまうこともあるのではないかと思います。



  また、「人を責める思考パタ−ンを取り除き」「許しという新しい観点に考え
  を変えさせ始めるのが重要」とも、教わりました。



  とても悲しいことがあったり、怒って当然のことがあれば、人を責めたい気持
  ちになるのは、ごくごく自然だと思います。
  責めて、責めて、責めて、その結果、違う気持ちが出てくるのではないでしょ
  うか。
  それを暗に、人を責めるのはよくないことと伝え、「許し」の方向に持ってい
  くのは、違うのではないか?と思います。
  催眠療法中は、セラピストのリ−ドについていきやすいところがありますから、
  ほんとうはまだ「許したくない」「許せない」のに、「許させて」しまう可能
  性もあります。
  「許し」というのは、人にどうのこうの言われてすることではないと私は思い
  ます。自分の心の中でのことだと思います。許せればそれに越したことはなく
  ても、そう簡単に許せないこともあるのではないでしょうか。許すのだったら、
  ほんとに許せないと意味はないと思います。
  きちんと解放をしていけば、自然とその方向に心は向くときには向くものだと
  思います。また向かないのであればそれも自由だとも思います。それが自然な
  心の流れを尊重していることだと私は思います。



  これらふたつの感情の扱い方は、セラピストがセラピ−のシナリオを書き、道
  筋を作り、ゴ−ルを決めていると感じます。心を方向づけ、不自由にさせてい
  ると思います。体験自体を制限していると思います。
  あたかも先にマニュアルがありきで、マニュアルに合わせて個々の体験を加工
  してしまっていると感じます。個々の体験を大切に尊重せずに、ひとつの流れ
  に統一しようとしていると思います。「こうでなければならない」感じです。
  そういうセラピストの気配をクライアントは敏感に感じると思います。安易に
  まるくおさめようとしているようにも感じます。セラピストにとっては都合が
  いいことが多いだろうとも感じます。
  1回の催眠療法(ヒプノセラピ−)の中で何もかも解決していく必要はありま
  せん。何もかも解決できればいいとは思いますが、できないならば、そのでき
  ない心を大切に扱うのが、私は、「セラピ−」だと思います。

  
 

  さて、もしもあなたが催眠療法(ヒプノセラピ−)を受ける際、感情の扱い方
  として今回書いたような方法を望まないのであれば、催眠療法(ヒプノセラピ
  −)を受ける前に、そのセラピストに、催眠療法(ヒプノセラピ−)のなかで、
  感情をどのように扱っているのかを聞くといいと思います。扱い方やそのセラ
  ピストの考え方、実際にどういう方法で行っているのか、を聞けるといいと思
  います。誠実な方ならば、教えてくれると思います。(もしも必要であればこ
  のメルマガを利用してくださってもかまいません。そのようなときに使ってい
  ただけるのならば、多少面倒なことになっても本望です)




  また、あなたが催眠療法(ヒプノセラピ−)を受けていて、上記のようなこと
  があったときの対応策について書いておきたいと思います。
  まずは、大前提として、その時自分の感じていることを大切にすることだと思
  います。いやなことは「いやです」と、したくないことは「したくないです」
  ときっぱり伝えてください。
  催眠という意識の状態で、心を偽り無理をすることほど、害を及ぼすものはな
  いのです。
  感情的に煽られたら、そのセラピストに対して、ストップをかけるといいかと
  思います。「ただ静かに感じたいので黙っていてほしい」と伝えましょう。そ
  れでも黙ってくれなければ、心の中で1から10まで数を数えて、手や足を動
  かして、深呼吸してから、目をあけてしまう選択さえあります。
  「親も私たちが期待するようには完全ではない」と説明されて気持ちを納めさ
  せようとされても、納得できなければ「納得できない」と伝えるのがいいと思
  います。
  また、同様に、許させる方向に誘導されたとしても、その段階でまだ許したく
  ない、許せないという気持ちが本心だとしたら、それを大切にしてください。
  「そんな気持ちになれない自分を大切にしたい」といってください。



  あなたの心を催眠療法(ヒプノセラピ−)のマニュアルに合わせる必要はあり
  ません。合わせないとセラピ−がうまくいかないというような心配は全くない
  です。むしろ無理をして合わせてしまった方が、心にとっては害になります。
  セラピストに遠慮して無理に合わせる必要など全くないです。あなたの素直な
  感じたままを大切にすることが、あなたのセラピ−となります。



  催眠療法(ヒプノセラピ−)のことをよく知らないと、何か違和感があること
  を言われても、「これはこうするものなんだ」「こうしないとだめなんだ」
  「プロがしているのだから大丈夫なはず」とそのまま受け入れてしまうかもし
  れません。
  でも、心に素朴な疑問が浮かんだら、それを逃さずにしっかりと大切にしてほ
  しいと思います。それこそが、最も重要なことです。



  セラピ−は、その人のものです。その人の心のためのものです。これがどうあ
  っても、大原則だと思います。その人の心を尊重しないことがセラピ−足り得
  るわけはないと思います。



  自分自身のこととして、これらの方法がセラピ−といえるものなのか?適切な
  ことなのか?を少しでも考えてくださるとうれしいです。
  
 











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『催眠療法・最前線』 第62号  2008年12月30日 岸僚子
 
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