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2008/06/29

『催眠療法・最前線』 第61号 2008年6月29日

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   『催眠療法・最前線』               第61号  

                                   
                   2008年6月29日
                                   
                 http://hypnoforest.at.infoseek.co.jp/  
                                   
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    ■ 催眠療法(ヒプノセラピ−)についての様々なこと(1)
       〜インナ−チャイルドの多様性と、それを活かす姿勢について〜





    一般的に行われている、催眠療法(ヒプノセラピ−)には、いくつかの方法が
  あります。
  それらについて、あまり伝えられていないこと、知ってほしいことを書いてい
  きたいと思います。
  今回は、『インナ−チャイルド』を取り上げたいと思います。



  インナ−チャイルドについては、今までも何回かこのメルマガで取り上げてき
  ましたが、もう少し違うことをお伝えしたいとも思います。


  まず、基本的なことを確認をしたいと思います。


  インナ−チャイルドとは、Inner Childです。文字通り、『内なる
  子供』という意味です。
  ……といっても、実際に子供が自分の中に住んでいる?わけではありません。
  インナ−チャイルドというひとつの人格を設定したときに、どういう子供が現
  れてくるのか?が、その人の子供の心の部分がどんな状態なのかを知ることに
  つながると考えます。もちろん、これで全部がわかるわけではありません。あ
  くまでもごく一部です。ごく一部ですが、ヒントのようなものを感じられるこ
  とが多いですし、またなんといっても実際役立つことになれることが多いです。

  
  その現れた子供と会って、その気持ちを聞いたり、一緒に遊んだりしていきま
  す。
  また、その子供が遊びたい方法で、大人の自分が一緒に遊んであげたりします。



  セラピ−の主な目的は、誰の中にも住んでいる内なる子供を大人の本人が癒す
  ことです。
  いわば、インナ−チャイルドというイメ−ジを介して、自分の心のある部分と、
  関わっている、対話していることになります。


  イメ−ジは、無意識からの表現です。言語という表現手段を持たない無意識は、
  『イメ−ジ』と方法で、何かを表現しようとするのです。
  ですから、現れたイメ−ジの子供と関わることは、自分の無意識とコミュニケ
  −ションを取れることになります。日常生活の中ではなかなか自覚できない、
  無意識という領域に、何らかの変化を起こすことができます。無意識の中で生
  まれた変化は、顕在意識にいい影響を及ぼすことができます。
  セラピ−でしていることは、インナ−チャイルドと話したり、遊んだりなので、
  どことなく他愛ない印象がありますが、実は心の深い部分に影響するセラピ−
  になれる可能性を持っています。確かに、しばしば画期的な影響があります。
  

  
  さて、今回の主題ひとつめです。
  インナ−チャイルドの多様性についてお伝えしたいと思います。


  本なども含めて、インナ−チャイルドについて書かれたものを見るとかなり限
  定されてしまっている印象を受けることが多いです。ある意味、パタ−ン化さ
  れてしまっているところがあるなと私は感じます。


  いわば、インナ−チャイルドとは、

  ○その人と「同性」の「3歳から5歳」くらいの「子供」で、
  ○気持ちとしては、「寂しがったり」「不安」に思うと訴えてきて、「泣いて」
   いたりして、
  ○「会いにきてほしかった」、「会いたかった」と伝えてくる、

  というようなものです。


  もちろん、こういうこともありますし、少なくないですが、違う場合も多々あ
  ります。それを知っていただけたらと思います。
  インナ−チャイルドといったときに、あまり限定してとらえてほしくないと思
  います。


  といいますのは、そのような固定観念のようなものを持ってしまうと、自分の
  インナ−チャイルドを探ろうと思ったときに、限定してしまう可能性があるか
  らです。
  「インナ−チャイルドはこういうもの」という思い込みに基づいた体験になっ
  てしまう可能性があります。知らず知らず限定してまうことになるかもしれな
  いです。
  あるいは、自分なりのとてもオリディナリティあふれる体験が出てきても、こ
  れは違うとよけてしまうことになってしまうかもしれません。
  ですから、幅の狭い理解をしてしまうと、それ以外のことを捨ててしまうこと
  にもなりかねないです。だとしたら、あまりにももったいないと思います。


  (ここでは、クライアントとして体験される場合のことを主に書いていますが、
  もしもセラピストがインナ−チャイルドとはこういうものなどと、限定して思
  い込んでいたとしたら、その思い込みはクライアントにどこかで?伝わってし
  まい、体験を限定してしまう可能性があります。無意識的な交流をしていると
  ころがあるからです。あるいは、セラピストが教科書通りのことしか知らない
  と、そうではないことが起きたときにその体験をセラピ−として活かすことが
  むつかしいかもしれません。)
  

  催眠の体験には、正解のようなものがあるわけではありません。正しいも間違
  っているも、何もありません。
  出てきたものがどのようなものであろうとも大切にし尊重してこそ、その方に
  とって、ほんとうの意味で役立つことになれると私は思います。
  

  ですから、今回の内容を読んで、インナ−チャイルドについて、何か思い込み
  があるようなところがありましたら、見直していただけたらと思います。
  どこまでも、「ニュ−トラル」であってほしいと願います。ご自分が体験する
  ときには、なにひとつ想定せずに、現れてくるものをただ受け取るという姿勢、
  いわばゼロの状態で体験するのがいいと思います。



  では、詳しく、インナ−チャイルドの多様性についてお伝えしましょう。

  
  
  まず、インナ−チャイルドの性別についてですが、ご本人と一致していないこ
  ともあります。
  女の人のインナ−チャイルドが、男の子のこともあります。男の人のインナ−
  チャイルドが女の子のこともあります。
  また、性別が中性的でどちらでもないことも、よくわからないことも、ありま
  す。
  年齢も、赤ちゃんだったり中高生だったり20代から80代?まで様々な年齢層で
  現れてくる可能性があります。
  また、まるで鏡に映っているかのように、いま現在の自分自身だったりもしま
  す。
  


  人であっても、大人の本人と異なる地域にいたり異なる人種のこともあります。
  異なる時代のこともあります。
  例えば、ご本人が日本人であっても、インナ−チャイルドは、金髪で青い目だ
  ったり、中国人ぽかったり、ネイティブアメリカンだったり、ラテン系だった
  りします。
  ヒマラヤ山脈にいたり、南の島にいたり、海の中にいたりします。
  江戸時代だったり、原始時代だったり、中世ヨ−ロッパだったりもするのです。



  人の形をとっていないこともあります。多いです。ぜんぜんかまいません。
  人がいいとか、人でない方がいいとかも、全くないです。
  バ−ビ−やピノキオやひな人形やだるまなどの人形だったり、犬や猫やうさぎ
  や熊などのリアルな動物だったり、同じ動物でもぬいぐるみだったり、木や花
  などの植物だったり、石や鉱物だったり、アニメのキャラクタ−だったり、お
  ばけだったり、霧でできていたり光でできていたり透明だったりすることも、
  円や立方体などの図形でできていることも、あります。
  とても小さかったり、とても大きかったりすることもあります。



  感情としても、実に様々です。イライラしていたり、怒っていることもありま
  す。批判的だったり、攻撃的だったりすることもあります。暴れたりすること
  もあります。あまり感情を表さないで、無表情なこともあります。
  また、いわゆるネガティブな感情でないこともあります。元気でたのしそうな
  こともあります。上機嫌で、大笑いしていることもあります。ひたすら静かで
  無口でおとなしいこともあります。様々です。


  会いに来てほしかった、会いたかったというばかりではありません。
  関わりたくないことを無言で全身で伝えてくることもあります。逃げていなく
  なってしまうこともあります。どうしてきたんだ?帰れといわれることもあり
  ますし、会いたくないといわれることもあります。無視をされることもありま
  す。どうでもいいというか、無関心な感じのこともあります。
  また、一応は会ってはくれるけど話したり遊んではくれるけど、仕方なくつき
  あってくれているだけで、本当は気が向かないらしい、こともあります。



  いつも何かを明確に言葉で伝えてくるばかりではありません。
  どちらかというと、言葉を話さないことの方が多いくらいです。



  大人の本人に頼るような、言動をするときばかりではありません。
  逆に、大人の本人にとても気をつかうこともあります。過剰なほどに親切にし
  てくれることもあります。果たしてどちらが癒されているのかわからない程の
  こともあります。
  また、対等に関わってくる場合もあります。様々です。

  

  また、子供のときの自分がそのまま出てくるのでは?というようなことを思っ
  ている方がときどきいらっしゃいますが、子供のときの自分と似ていることも
  ありますし、全く似ていないこともあります。
  これもまたどちらがいいというようなこととは無関係です。



  ひとりだと思われているふしがありますが、複数のこともあります。
  ふたりのこともありますし、もっと多いこともあります。
  ひとりではないときにはそれなりの理由があるのだと思います。



  テキスト的には、インナ−チャイルドの遊びたい方法で大人の本人も一緒に遊
  ぶというのが、ひとつの流れです。ですが、インナ−チャイルドが「遊びたく
  ない」と伝えてくることは多いです。
  遊びたくないといわれたときには遊ばなくていいです。ここで大切なのは、イ
  ンナ−チャイルドの希望を叶えることです。
  大人の本人が(あるいはセラピストが)、インナ−チャイルドの希望を大切に
  せずに、無理に遊ぶ方に引っ張ってしまうのは、よくありません。そうしてし
  まうと、インナ−チャイルドの自然な気持ちを押し込めさせ我慢させ、さらに
  傷つけてしまうことになりかねません。


  インナ−チャイルドが、何をしたいのか、どういう時間を過ごしたいのかの、
  「本心」を感じるようにするのが大切です。
  ひたすら寝ていたいと希望することもあります。本を読んで欲しいと希望する
  こともあります。何か食べたいということもあります。外には出かけたくない
  と強い希望を持っていることもあります。


  
  上記にお伝えしてきたような、インナ−チャイルドにまつわる多様な表現は、
  ひとつひとつが、その方の心の『何か』を現しているのです。
  何か必然性があって、そうなっているのです。そうでなければ表現できないも
  のがあると思った方がいいです。明確な理由というか、背景があって起きてい
  ることなのです。


  その多様な表現に対して、どのように対する姿勢が適切なのでしょうか?
  これがふたつめの主題です。活かす態度についてお伝えしたいと思います。


  まずは、現れてきたひとつひとつのことを丁寧に受け取ろうと思うことが、大
  切です。

  
  また、現れてきたイメ−ジの意味を解釈しない方がいいかと思います。
  イメ−ジの意味がわかると、その価値がわかり、丁寧に受け取るのがたやすい
  のかもしれませんが、イメ−ジの解釈は、そう簡単ではありません。
  あまりにイ−ジ−に意味づけをしてしまうことが、イメ−ジの与えてくれるゆ
  たかさを損なうことになりかねません。つまり、これはこういうことなんだ、
  と、「理解」して決めてしまうことで、そこでおしまいになってしまう可能性
  が出てきます。


  イメ−ジが現しているのは、シンプルなことではないです。もっとずっと多元
  的なこと、複雑なことです。深いものです。
  例えば、「ブランコ」というものが出てきたとしたら、それはその人のブラン
  コでの今までの体験や記憶、その時々の様々な気持ちや思い、一緒に関わった
  人たち、などをすべて投影しています。また他の遊び道具では表現できないも
  のがあるはずです。鉄棒やジャングルジムなどでは表現できない、プランコで
  なければならない理由があるはずです。
  

  このイメ−ジの意味は、こういうことかな?と思うことが例えあっても、それ
  を結論のようにしてしまうのは体験後の影響をとても狭めてしまいます。
  何か思うことがあっても、あくまでも仮説として、保留にしておく態度が適切
  です。

 
  その意味がわからなくても、心が与えてくれた価値のあるものであると認識し、
  ただただひたすらそのままを尊重し受け取ろうとする姿勢がいいです。


  これは、セラピ−の場合にはクライアントの方もセラピストも同様です。
  偏った意味づけや間違った解釈をしてしまった場合には、体験と同じような印
  象の夢を見ることがあります。無意識のせめてもの抵抗なのだと思います。
  「違う」と伝えているのだと思います。人と人とのコミュニケ−ションでも誤
  解があったときには、その誤解を解きたいと思いますよね?それと同じなのだ
  と思います。


  無意識が与えてくれる、イメ−ジという贈り物に、敬意を評して、真摯に受け
  取ろうとする態度が大切です。
  そのような態度で受け取ろうとしていることが、無意識にも伝わり、必要なと
  きには、より多くのゆたかなものを与えてくれるようになります。これもまた
  人と人との関係ととても似ています。



  無意識は自分の心の一部なのですが、いい関係を築くためには、あたかも外側
  に存在するかけがえのないものとして尊重するのが効果的です。
  それこそが、アインシュタインやゲ−テが自分の無意識を研究や創作の源とし
  て役立てていた姿勢です。
  










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『催眠療法・最前線』 第61号  2008年6月29日 岸僚子
 
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