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古典の名作や新作はもちろん、連続もの、艶笑噺、現在演じられないものまで、落語の全て紹介。粗筋・成立(原作や歴史)・一言(芸談や識者の感想)・薀蓄という4項目を毎週配信。

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2009/07/20

名作落語大全集#449

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   名作落語大全集#449    発行者:越智月久
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発行日:2009年7月17日(金) 

      「まぐまぐ」寄席に2151名様、
      「メルマ」演芸場に709名様
     合計2851名様にご来場いただいております。

 まずはお詫び。出張やら何やらバタバタしたために、原稿を送ったつもりで
すっかり失念。誠に申し訳ございません。
 ご来場ありがとうございます。今日は漫画の日、1841年にイギリスで『パン
チ・ロンドン・シャリヴァリ』が発売されましたが、これが絵入りの風刺週刊
誌の最初のもの。この記念日ですが、日本では、1862(文久2)年にこの雑誌
の日本版が出版され、「ポンチ絵」という言葉が生まれました。日本では既に
北斎漫画や鳥獣戯画のような作品もございました。
 さて、漫画と落語ということで、「のらくろ」の作者田河水泡の漫画をその
まま落語にした「猫と金魚」などいかがでしょうか。
 さあ、落語のご紹介も五十音の順に並べて、いよいよ今日から「け」で始ま
る落語になります。記念すべき第一作は……何と一気に4作品をご紹介します。

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1-1 芸子草(げいこそう)

【粗筋】
 植木屋が面白い草が入ったと勧める。「芸子草」といって、題を紙に書いて
鉢の下に入れると、その歌を唄うというのだ。試しに「福寿草」と書いて入れ
ると、「♪春の日の……」と唄い出した。旦那が喜んで買い取り、宴会の席へ
持参して床の間に飾ったが、紙に書いて入れても、ウンともスンともいわない。
恥をかいた旦那が、植木屋に苦情を持ち込むと、
「ああ、それは置いた場所がいけません。芸子草、床はつとめません」

【成立】
 上方噺。床の間と寝床をかけた落ち。岡場所で、床も勤める遊女と、宴席で
芸を見せる芸者とははっきり区別されていた。妙に感じるかも知れないが、遊
女の方がはるかに格が上で、芸者など足元にも寄れなかったという。


1-2 稽古屋(けいこや) その1

【粗筋】
 女にもてない野郎が兄ィに相談、
「昔から色男金と力はなかりけりというが、お前はそのどちらも持っていない、
特異体質だ。後は芸しかないだろう。唄の一つも唄えると、女がそれを聞いて
ブルブルッとくるてえ奴だ」
  と言われて唄の稽古に行く気になった。さっそく兄ィに紹介された師匠を訪
ね、試しに唄ってみるが、全く唄の素養もなく、
「お話をしていると江戸ッ子のようですけど、お唄を聞くと異国の方のようで
すね」
  と、師匠も不思議な顔をする。まず唄の文句を覚えるようにと言って、師匠
は子供の踊りの稽古を始めた。この男が子供のおやつの焼き芋を食べてしまっ
たり、立ち小便で濡れた草履を乾かして子供を笑わせたりするので、稽古も思
うように進まない。とうとう師匠が怒り出し、
「あなたいったい何しにお出でになったんです」
「何しにってェことはないんですよ。唄の一つも覚えて、色事でもしようと思
うんですがね」
「あら、それは私のところでは駄目ですよ。色は指南の外でございます」

【成立】
 音曲噺。林家蘭丸(1)の作と伝わる。師匠の唄と素人の唄を見事に唄い分
ける力量を要する。大阪噺であるが、春風亭小朝が江戸風の小粋な演出で演じ、
今は多くの人が演じている。
  春風亭小朝がNHKの新人落語コンクールで演じたのがこれ。他の演者との
力量の差は、あっけにとられるほどのものだった。師匠の色っぽさと、男の間
抜け加減……まさに大器を予感させる高座であった。当然優勝は彼の他にない。
だか準優勝は……誰がもらってもおかしくない。それだけ小朝だけが群を抜い
ていたのである。カップを手にした彼が「重いです」と言い、準優勝だった噺
家(実は今の権太郎)が「軽いです」と言ったのは自己の芸を卑下した見事な
くすぐりだった。やがて、小朝は看板30数枚を飛び越えて真打になった。その
力量からいえば当然のことであったが、古い考えの残る芸の世界では一大事で
あった。小朝は先輩や同輩の嫉妬を一身に受けて苦難の道を歩みだしたのであ
る。(以上その頃の感想文……最近ちょっとずれた方向へ進んでいるのが気に
なる)

【一言】
 コンクールというのは短い時間でいかに自分の魅力をアピールするかという
場であって、日頃の精進を察してもらう場ではありません。持ち根多が百席を
越え、席亭に可愛がられている人よりも、たとえ三席しかできなくたって決め
られた時間内で審査員の心をつかんだ者が勝つ。それがコンクールのおもしろ
いところでもあり、恐ろしいところでもあるのです。ただし、最近のコンクー
ルを見ていると、派手さだけでなんとか選ばれようとしている人が多過ぎるよ
うな気がします。(春風亭小朝)

【蘊蓄】
 噺の途中で入る三味線や笛太鼓は、その席専属の芸人がいる場合もあるが、
多くは前座の者達がやる。踊りと三味線、笛太鼓は前座の修行として重要なも
のであった。特に噺の途中で入る場合は演者と息がぴったり合わなければなら
ないので、そうした音曲の入る噺は簡単に演れるものではなかった。


1-3 稽古屋(けいこや) その2

【粗筋】
 稽古屋へ通い始め男、喜撰の「♪世辞でまるめて、浮気でこねて……」を習
うが、うまくいかず、からくり節になる。また、鳶頭は途中で木遣りになる…
…という具合に、歌がどこかでおかしくなるというものを集めたもの。節が変
わって落ちの代わりとなる。

【成立】
 柳派が演じていた音曲噺。聞いたことはない。

【蘊蓄】
 「喜撰」というのは「六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり)」という
日本舞踊の中の1曲。1831(天保2)年中村座で初演。杵屋六左衛門(10)の
長唄と清元斎兵衛(1)の清元、作詞は松本幸二。
 六歌仙に題材を取るものの、登場するのは喜撰らしい粋な坊さんと、小町ら
しい茶汲み女のお梶。本文にある有名な文句から始まり、桜の枝を担いだ坊主
が花道から軽妙に踊り出す。本舞台でお梶に見とれて茶碗を落とし、「私ゃお
前の政所(まんどころ)」と口説きに入る。みごとに振られて、花道からお迎
え坊主がずらりと勢揃い、住吉踊りを始めると、喜撰は両肌脱ぎ(もろはだぬ
ぎ)になって悪身の振り、中央で合掌して終演となる。


1-4 稽古屋(けいこや) その3

【粗筋】
 稽古屋で唄を習い、毎晩屋根へ上がって練習をしている男がいる。風の強い
晩に「♪焼け立つゥ……」と唄うと、通行人が驚いて、
「火事はどこです」
「♪海山越えてェ……」
「そんなに遠ければ安心」

【成立】
 上方噺。明治の末、笑福亭松鶴が上京して「歌火事」という題で演じ、その
後、桂小南(2)が「稽古屋」という題で演じている。古今亭志ん生(5)の
録音も残る。これは、前半は「その1」に準じて進んで行くが、「その2」の
ように様々な人の稽古が描かれ、最初の男が言葉を覚えるよう命じられてこの
落ちになる。もともと一つだったのが、バラバラになったのであろうか。

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 芸人さんの紹介です。
玉川スミ:大正9年7月17日、福島県郡山で生まれた……と思う。2歳で舞台
を踏み、オーストラリアとアラスカで公演。3歳で喜劇界初の子役、7歳で初
の座長を勤める。昭和5年民謡の成田雲竹一座に売られる。この時雲竹の相方
三味線を弾いていたのが、後の高橋竹山。昭和7年、青森の民謡一座に売られ、
ここで桂喜代楽から漫才を教わり、落語では春風亭柳好(3)から桂小豆の芸
名をもらう。昭和11年、丘乃すみれの名で歌手となるが、漫才に転向。この漫
才が大受け、翌年中川虎松の娘、中川スミ大正10年3月3日生まれとして戸籍
が出来る……今があるまで13人の親がいると語っている。
 昭和13年、浪曲に転向、戦後漫才に戻ると玉川一郎の世話で玉川一恵と名乗
る……これでも随分端折っているのだ……
 昭和33年、現在の形である三味線漫談を始め、35年に玉川スミと解明。そ
の後テレビドラマの役者、歌手としても活躍、平成3年出家……何でもやって
いるの……
 扇を何本も体に付けて踊る「松づくし」で昭和46年芸術祭優秀賞。残念なが
ら年には勝てず、100キロの扇が担げなくなって、現在は30キロを担いで踊っ
ている。平成3年勲五等宝冠章、昨年10月31日に浅草演芸ホールで芸能生活85
周年記念公演が行われた。(これでも主要な部分だけをまとめたメモから、更
に割愛して3分の1程度にしたもの……すごい)

 これから誕生日の芸人さん(現役のみ)。
7月17日:三笑亭月夢
7月19日:古今亭菊生・古今亭八朝
7月20日:橘家仲蔵・桂歌蔵・昔昔亭健太郎・三遊亭五九楽
7月21日:三笑亭可楽・柳家小さん・東京太
7月22日:柳家麟太郎

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