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古典の名作や新作はもちろん、連続もの、艶笑噺、現在演じられないものまで、落語の全て紹介。粗筋・成立(原作や歴史)・一言(芸談や識者の感想)・薀蓄という4項目を毎週配信。

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2009/07/10

名作落語大全集#448

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   名作落語大全集#448    発行者:越智月久
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発行日:2009年7月10日(金) 

      「まぐまぐ」寄席に2145名様、
      「メルマ」演芸場に708名様
     合計2853名様にご来場いただいております。

 ご来場ありがとうございます。今日は納豆の日、もちろん7・10が「なっ
とう」という洒落でございます。さあ、そこで今日お勧めの落語は納豆を扱っ
たものということになるはずですが……あまりないんですねえ。
「新聞記事」……(上方の『阿弥陀池』を改作したもの。殺された男が剣術、
やっとうをやっていたというので、『やっとうやっとう、おかずは納豆』とい
う台詞がある。
「豊竹屋」……朝食を食べようとして義太夫をうなるが、おかずがおつけと納
豆。
「明烏」……朝になって振られた男が甘納豆を食べる……あ、本当の納豆じゃ
ないや……ダメですかねえ。
 さて、本日は「く」で始まる落語の最終回。この作品でございます。

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28 桑名舟(くわなぶね)

【粗筋】
 伊勢詣りの二人連れが、尾張熱田から桑名までの船にのったが、沖へ出ると
鮫に囲まれて船がぴたっと動かなくなった。船頭の話では、めいめいが自分の
持ち物を海に入れ、それが沈んだものが犠牲になって船を救うのだという。人
身御供に選ばれたのは講釈師で、死ぬ前に一席やりたいとの申し出に船の者も
承知し、講釈が始まった。これが次々と演題が変わっていくという滑稽講釈。
ところが話が佳境に入ると鮫が皆逃げ出し、舟も動くようになったので、無事
向こうに着いた。後で鮫たちが集まって、
「おい、どうしてあの講釈師を食わなかったんだい」
「えっ、講釈師だったのか。あんまりポンポン叩くので蒲鉾屋だと思った」

【成立】
 元は上方の「東の旅」の一つだが、上方では「兵庫舟」という。上方の「桑
名舟」は東京の「巌流島」という噺(その項参照)。「伊勢詣り」という題で
呼ぶこともあるが、「夢八」「三人旅」なども同じ題名で呼ばれるのでややこ
しい。東京でも旅を描いた連作などの一部だったのかも知れない。
  滑稽講釈は「狼講釈」「素人講釈」なども同じ趣向で、講釈のテンポが全て。
芸がなければ聞けたものではなくなる。
  蒲鉾を作るのに練り合わせて叩くのが落ちにつながっている訳だが、これは
1811年(文化8)、十返舎一九の『宮島参詣続膝栗毛』二編上にある。他の落
ちも演じられたことがあるので紹介しておく。

1  巡礼の娘が見入られたので、着物に錨を巻き付けて投げ込み、引き上げて
みると、フカの腸(はらわた)がかかっていた。
「ワタが無くなったら、フカはどうなるやろう」
「袷(あわせ)になって流れるやろう」
 着物の綿の洒落。1768年(明和5)『軽口春の山』の「鰐の見入れ」。
2  一人の男が船端を叩くと逃げてしまい、
「わしはざこ場(魚市場)の蒲鉾屋だ」
3  一同が「桑名と伊勢の真ん中で、あらかん回向をしてやった」
 と言うと、フカが「こんなくせえ婆のんだことねえ」
 婆が「死金三両ただ捨てた」
  これは仙台節というものが流行し、その歌詞「大阪天満の真ん中で、からか
さ枕にしてやった。こんなくせえぼぼしたこたねえ。ちり紙三帖ただ捨てた」
の地口。「夏の医者」のくすぐりにも使われたことがあるという。聞いたこと
はないけれど……

【蘊蓄】
 蒲鉾は白身の魚をすり身にし、調味料や片栗粉を加えて練り、板につけたり
簀巻(すまき)にして蒸し、茹で、あぶり焼きにしたもの。古くは竹輪蒲鉾が
多かったらしく、色形が蒲の穂に似ているのでこの名がついた。板についたも
のが一般的になると、「幕が開いた時に舞台にいる役者」、「机にかじりつい
ている人(ガリ勉)」、「教師」を「かまぼこ」というようになった。いずれ
も「板(教師は黒板)についている」という洒落。
 「板につく」と表現すると、本来は芝居用語。板張りの舞台で、役者が舞台
と調和していることから、姿形、態度がぴったりしてよく似合っている様子を
いう。落語でも高座に似合うようになるのが、実感としてよく分かる。

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 噺家さんの紹介。
 桂才賀:7代目。1950(昭和25)年7月12日生まれ、本名は谷富夫。桂文治
(9)に入門を申し込むと、「自衛隊にでも入って鍛えて来い」と言われ、断
りの言葉と思わずに実際に入隊してしまった。笑点メンバーになって人気にな
るが、沖縄に避暑に行った折、暇つぶしに少年院を慰問すると、これがきっか
けとなって、全国の刑務所や少年院を回った。人相が悪いから、少年院でお世
話になったんでしょうといわれる……とはお馴染みのくすぐり。名刺には、法
務省少年院面接委員の他、自衛隊統幕学校常任講師など、6つの肩書きが並ん
でいる。少年院訪問千回突破を記念して「子どもを叱れない大人たちへ」、刑
務所通いを記念して「刑務所通いはやめられねぇ」を出版。公演なども行って
いる。

 これから誕生日の芸人さん(現役のみ)。
7月10日:桂文太・田辺南北・三浦昌朗(ロケット団)
7月11日:入船亭扇里
7月12日:三遊亭楽春・神田織音
7月13日:春風亭柳好・三遊亭金遊
7月14日:隅田川馬石
7月15日:柳家喬史郎・桂枝女太
7月16日:桂三枝・林家きく麿

ご意見ご希望はこちらまで mailto:meisakurakugo@yahoo.co.jp 
HP「名作落語大全集」はこちら。http://esaki-ochi.hp.infoseek.co.jp

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