2009/05/15
名作落語大全集#440
rakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugo
名作落語大全集#440 発行者:越智月久
rakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugorakugo
発行日:2009年5月15日(金)
「まぐまぐ」寄席に2191名様、
「メルマ」演芸場に712名様
合計2903名様にご来場いただいております。
ご来場ありがとうございます。
今日はストッキングの日。1940(昭和15)年の今日、アメリカのデュポン社
がナイロン製のストッキングを発売するや、大変な人気になりました。それま
では日本の絹で作られていたのだそうです。戦後の日本でも女とストッキング
が強くなったといわれました。1930(昭和5)年には、アメリカ、ボーイング
社が世界で初めての女性客室乗務員を採用、1232(昭和7)年には日本で女性
専用の煙草「麗」が発売と、女性に関する話題の多い日です。そこで今日のお
勧め落語は「洒落小町(口合小町)」「厩火事」「仔猫」などいかがでしょう
か。純粋に女性が主人公の落語って少ないですねえ。
さて、今日はこの名作をどうぞ。
********************************************************************
20 蔵丁稚(くらでっち)
【粗筋】
芝居好きで今日も使いに出て遅く帰った丁稚の定吉、旦那にまた芝居を見て
いたかといわれて、
「芝居なんて大嫌いです」
と答えたが、
「今度の『忠臣蔵』では、中村鴈治郎が猪の前足、片岡仁左衛門が後足をやる
そうやな」
「成駒屋と松嶋屋が猪の足なんて、そんなあほな」
「お前は何も知らへんねん。わしは佐助はんに聞いたんやで」
「番頭はんに聞いたって駄目です。わたいら、現に今まで見てたもん」
と、芝居に行っていたことがばれてしまった。
「謀る謀ると思いしに、かえって茶瓶に謀られた」
とくやしがる定吉、蔵に放り込まれてしまった。腹が減って仕方がなく、泣
いてわびを言うが相手にしてもらえない。今日もこんなに遅くなるつもりでは
なかったのだが、芝居を見ていると隣にいた年寄りに、
「この四段目の判官切腹は名場面や。ここ見ていかなんだら、何を見に来たか
分からん」
「次の五段目が評判の幕や。見て行きなはれ」
「六段目の勘平の切腹は、判官と同じ役者やが、大名と侍で腹の切り方を変え
るのや。これ見なんでは役者が可哀相や」
……てなこと言われて遅くなってしまったのだ。しかし、やはり何といって
も判官切腹の場面がよかった……
判官が刀を腹に突き立てるのと同時に大星由良助が花道から駆け込んできて、
七三の所で平伏する。石堂右馬之丞から、
「聞き及ぶ国家老・大星由良助とはそのほうか。苦しゅうない、近う、近う…
…」
と声を掛けられ、由良助が判官の傍へ進む。
「御前」
「……ゆ、由良助か」
「ははッ」
「待ちかねたァ」
と一人で演じていたが、
「……と、ええとこやけど、お腹すいてきたがな。旦はーん、ご飯食べさせと
くなはれ」
腹が減ってどうにもならないが、芝居の真似をしているとちょっとの間は空
腹を忘れることができる。幸い蔵の中なので、旦那が義太夫を語る時の肩衣、
神様にお供えする三宝、葬式に使う葬礼差しという刀を見付け、『忠臣蔵』四
段目の判官切腹を演じることにした。
これを見た女中が、本当に切腹をしようとしていると思って旦那に知らせる
と、旦那も驚いてすぐ飯を持って行き、蔵を開けてお櫃を差し出した。
「御膳(御前)」
「……く、蔵の内でか」
「ははッ」
「待ちかねたァ」
【成立】
1788年(天明8)『千年艸』の「忠信蔵」。東京では「四段目」という題が一
般的だがめったに演じられない。三遊亭円歌(2)は野球に改定して「野球小
僧」を演じていたという。
【一言】
古くは、飯の「まま」にかけて、
「まま、待ちかねた」
と言っていたというが、そこまで念押しすると、現代のお客には「くどい」
という感じを与えることになろう。「御前」と「御膳」を合わせただけでも充
分とすべきであろう。「ごぜーん」と言うところでお客がサゲと思って拍手し
てしまうことがある。ここを無事に通過しても「ハハーッ」で頭を下げるとこ
ろでサゲと思われる第二関門がある。本来のサゲにたどりつくまで、途中で拍
手をさせない努力が演者には必要だ。(小佐田貞雄:実は『千年艸』の原作で
は「まま」がついている。書いた物と聞く物との違いという気がする。)
【蘊蓄】
「謀る謀ると思いしに」は『一条大蔵卿』の八剣勘解由がはく台詞のもじり。
*******************************************************************
さて、噺家さんのご紹介です。
昔昔亭桃太郎:1945(昭和20)年5月20日生まれ。出囃子は「桃から生まれた
桃太郎」、独演会などでは「桃太郎さん、桃太郎さん」も聞こえる。こちらも
ラジオで聞いた時は何だかよく分からなかった。それが寄席では大爆笑。世界
を変えてしまうのだ。客をネタにし……私もネタにされましたが、後で楽屋に
呼ばれてCDにサインをいただきました……茶碗がせこいとネタにし……ニュ
ースを小噺にするという導入パターン。最近ニュース解説を聞いていない。ネ
タは「金満家族」、「受験家族」、「代書屋」からの転とも感じる「結婚相談
所」といった自作が多い。荒唐無稽な世界が、桃太郎ワールドでは生き生きし
て来るから不思議。他の人が演じたら……多分おかしくなるだろうな。それか
ら古典の傑作「寝床」をやはり桃太郎ワールドに変えてしまう。大筋を変えず、
ちょっとしたところに加わるネタが実に新鮮。実は聞く度にその時節やニュー
スに合わせて、必ず新しいものが加わっているのだ。滑舌が悪いから、嫌いな
人はどこまで行ってもダメだろう。とにかくすごい噺家であることは疑いない。
これから誕生日の芸人さん(現役のみ)。
5月16日:桂伸之介・夢月亭清麿
5月17日:立川志遊
5月19日:三笑亭夢吉・神田陽子(講釈)
5月20日:林家ぎん平
5月21日:三遊亭白鳥
ご意見ご希望はこちらまで mailto:meisakurakugo@yahoo.co.jp
HP「名作落語大全集」はこちら。http://esaki-ochi.hp.infoseek.co.jp
----------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん
『まぐまぐ』 http://www.mag2.com/ (マガジンID:0000053879) と
『melma!』 http://www.melma.com/ (マガジンID:m00038897)
を利用して発行しています。
----------------------------------------------------------------------



