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2008/08/01

名作落語大全集#399

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   名作落語大全集#399    発行者:越智月久
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発行日:2008年8月1日(金) 

      「まぐまぐ」寄席に2353名様、
      「メルマ」演芸場に845名様
     合計3198名様にご来場いただいております。

 ご来場ありがとうございます。とうとう8月ですねえ。実は私、海外出張に
出ておりまして、これは1週間前に作った原稿なのです。向こうでネットがう
まくつながるかどうか、不安なので……もしこの間に世の中が動いて、内容が
変わってしまっていたら、申し訳ないことです。
 10日の日曜日は、円朝まつり。命日の11日を前に、落語家さんのグッズ
販売や料理、飲み物の店が並びます。贔屓の噺家さんを見つけてサインさせる
のも、写真を撮るのも、この日はチャンス。私も帰国していますので、必ず参
加します。お楽しみに。私もサインしますよ……え、いらない……あ、そう…
…さあ、本日の出し物は、年末に取り上げられる作品です。

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20 狂歌家主(きょうかいえぬし)

【粗筋】
 年末になって金がないので 300文だけお供え用に餅を買うという貧乏夫婦、
溜まった家賃の支払いにも困り、大家の好きな狂歌なので、自分も狂歌に凝っ
て仕事が手につかないという言い訳をすることにした。
 この大家はある結婚式で、三三九度の時に嶋台の足が一本折れて座が白けた
折、他の足も全部折ってしまい、
    悪き(足木)ことみな取り捨てて世の中に良きことばかり残る嶋台
  と詠んで喝采を受けたことから「狂歌家主」と呼ばれているらしい。
  さて、店子は貧乏という題で詠んだ歌を披露する。
    何もかもあるだけ質に置き炬燵掛かろう縞(暇)の布団だになし
    貧乏の棒も次第に太くなり振り回されぬ年の暮れかな
    貧乏をすれば悔しや裾綿の下から出ても人に踏まるる
    貧乏をしても下谷の長者町上野の鐘(金)の唸るのを聞く
    貧乏をすれどこの家に風情あり質の流れに借金の山
  と並べ立て、
「えぇ……貧乏……」
「お前のは貧乏ばかりだな」
「今度は大家さんのを伺いましょう」」
「先日搗米屋を頼んだがなかなか来ない。文句をいうのも何だから、歌で催促
をしたよ。
    二度三度(二斗三斗)人をやるのになぜ来ぬか(小糠)
  嘘を付きや(搗屋)で腹が立ち臼
  と詠んだら、すぐ来てくれたよ」
「あっしも酒屋に借金があって、歌で催促されました。
    貸しますと返しませんに困ります現金ならば安く売ります」
「なるほど、『升』づくしだね。私なら返歌をするが、どうした」
「もちろん、やりましたよ。
    借りますと貰ったように思います現金ならば他所で買います」
「ひどいもんだ。どうだ、私が上をやるから、お前が後をつけてごらん。
    右の手に巻き収めたる古暦
  というのはどうだい」
「そうですか……こういうのはどうです。
    餅を三百買って食うなり」
「おいおい、それじゃあ、上につかないよ」
「つかないから、三百買いました」

【成立】
 「掛取万歳」の一部を独立させたもの。「狂歌やぬし」とも。狂歌を並べて
切ることも多いが、落ちまで演じる場合は「狂歌の餅」「三百餅」という題も
も用いる。この落ちは1692年(元禄5)『かるくちばなし』の「買もちはいか
い」。家主が搗米屋の「二度三度」の歌を言うと、自分もまったく同じ歌をや
ったと繰り返し、
「それじゃお前も搗きにやったのかい」
「いいえ、つかないから三百買いました」
 という落ちもよく演じられる。
  速記は多く残っているが、(特に上方では)いずれも「屁」「大便」「性病」
の歌が並んでおり、どうもいただけない。ここでは落ち以外は「掛取万歳」の
狂歌のやり取りと、そこから膨らました三遊亭円楽が演じたものを並べた。例
えば「貧乏の棒も次第に」は『万載狂歌集』にあるが、自作の物も加えるのも
演者の手腕となる。

【蘊蓄】
 狂歌は古くから歌人や連歌師の手で作られていたが、元禄・享保(1688〜
1736)の頃に専門狂歌師が出、安永・天明(1772〜89)頃に流行した。1783(天
明3)年の『万載狂歌集』が大ヒットとなり、作者も、四方赤良(よものあか
ら)・朱楽菅江(あけらかんこう)・宿屋飯盛(やどやのめしもり)など、洒落
た名前を付けた。

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 さて、寄席や落語の言葉を紹介する『落語大事典』、今日からは「ま」で始
まる言葉でございます。

ましゃくにあわない【間尺に合わない】 割が合わない。

まっぴら 元は副詞で「ひとえに」の意味。「まっぴらごめんねぇ」などと用
いる。「まっぴらごめんだ」ということから嫌だの意味に転じ、「そんなことは
まっぴらだ」などと用いるようになった。

まどろっこしい だるいに接頭語の「ま」がついて強調したもの。「まどろし
い」とも。

まら【魔羅】 男の性器。仏教の用語で、修行の邪魔になるモノという意味を
持っているらしい。気品だけが取り柄の私にはよく分からない。

まわし【回し・廻し】 一人の遊女が多くの客を相手にすること。順次回って
行くことからその名があるが、もちろん夜を共にするのは一人だけ。吉原の風
習で、上方では「抱きっきり」といって廻しはない。その方がいいのだろうと
思うが、江戸の方では客の多い中を自分の所へ来てくれたという見栄があって、
なかなか来ないのを辛抱する。江戸っ子は実際には辛抱強いのかも知れない。

ご意見ご希望はこちらまで mailto:meisakurakugo@yahoo.co.jp 
HP「名作落語大全集」はこちら。http://esaki-ochi.hp.infoseek.co.jp

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