名作落語大全集#390
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名作落語大全集#390 発行者:越智月久
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発行日:2008年5月30日(金)
「まぐまぐ」寄席に2347名様、
「メルマ」演芸場に835名様
合計3182名様にご来場いただいております。
ご贔屓様で、お礼申し上げます。
26日(月)、久し振りの寄席、今年初めてのお江戸日本橋亭へ行って参り
ました。年間平均で、月2回、合計24回は寄席や落語会に行きたいと思って
いるのですが、今年は早くも16回目。出掛けると、もっと行きたいという欲
求がつのる……やっぱり本物はいいですねえ。
6月2日(月)は寄席の日。上野鈴本、浅草演芸ホール、新宿末廣亭、
池袋演芸場の入場券が半額、しかも林家今丸師匠がデザインした団扇がもらえ
るという……ぜひお出掛け下さい。ただし、池袋の夜席は通常料金です。
さて、本日はまったく演じられなくなった作品をご紹介いたします。
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11 甲子まつり(きのえねまつり)
【粗筋】
ケチな男が夢を見た。信仰している大黒様が甲子の日に帰り支度をして、代
わりに貧乏神がやって来る。その貧乏神が、
「お前の親は正直者であったが、お前は年端もいかぬ奉公人を牛馬のように扱
い、なぐったりする。だから親の徳が残って安楽に暮らせたのも今日限りじゃ」
と言う。苦しんで目を覚ますと、のたうち回っている自分を介抱しているの
が、普段つらく当たっている小僧の定吉。多くの奉公人が逃げ出したのに、こ
の小さな子は忠実に仕えている。それを疑問に思った主人が聞くと、家が貧し
く帰っても居場所がない、主人のもとで修行をして立派な商人になり、親に孝
行をしたいという。この言葉に改心した主人は50円を包んで親に届けるように
言う。そうしているうちに夜が明け、定吉が戸を開けると、屋根で烏が、
「コウコウ(孝行)」
【成立】
明治期の新作か。「忠孝」とも呼ばれるが、これは古い記録で落ちの前に鼠
が出て来て「チュウ(忠)」と鳴くから。くどいので省略されたらしい。
夢にも小僧の告白にも意外性も目新しさもなく、落ちは最低と言ってよい。
要するに明治の頃にはこの程度であっても「人情噺」を演じることが求められ
ていた訳である。内容から落ちまで陳腐なものだが、当時の寄席の圧迫された
世界を伝える噺として記録されている。まあ、当然のことであるが、現在演ろ
うという人はいない。
【蘊蓄】
隔月に、大黒様を祭る日が「甲子」の日。大黒天に二股大根、黒豆飯、七色
菓子等を備える。「甲子」はもちろん十干の「甲」と十二支の「子」が重なる
日。60通りの組み合わせで一巡する干支の最初にあたる。松尾芭蕉の「甲子吟
行」は「かっし」と、野球場の「甲子園」は「こうし」と読むが、いずれも干
支を取ったものである。
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さて、寄席の言葉を紹介する『落語大事典』、今日からは「ふ」で始まる言
葉を紹介いたします。
ふかがわ【深川】 隅田川沿いで、吉原に最高級の遊女がいるのに対し、川を
下るにつれてどんどん質が落ちた。深川では逆にそれを売り物にし、女たちは
江戸の男言葉、べらんめえ口調を使うので威勢が良く、男勝りで売り出した。
江戸の中心部から南東に当たるので「辰巳(巽・たつみ)」と呼ばれたる。
ぶす【附子】 元々はトリカブトから作られた毒。砂糖を隠していた主人が、
家来共に食われないように、これは附子という猛毒だから、臭いをかいだだけ
でも死ぬと脅して出掛ける。残った家来は怖い物見たさにのぞくが、これが砂
糖だったので全部なめてしまう……というそのまま『附子』という題名の狂言
があり、三遊亭圓窓師匠が『留守番小坊主』という落語に仕立てている。
醜い女性にこれを用いたのは、「臭いをかいだだけでも死んでしまう」から。
『三十六歌仙絵巻』で、美女の小野小町が後ろ姿なのは、見る人が想像力を働
かせるためであるが、清少納言が横顔なのは、彼女がブスだったからといわれ
ている。清少納言は夜の間だけ教育係としてお仕えしており、他の人との人間
関係がわずらわしいのを嫌っていた。朝になって帰ろうとした時に、中宮が冗
談に「化け物だってまだ戻りませんよ」と言ったのが、彼女がブスだったとい
う伝説になってしまった。本当のブスならとても言えない冗談のはずである。
江戸時代には醜女(しこめ)を表すのには「ふぐ」「ぼたもち」が用いられ
ている。落語には、「一円玉(これ以上くずせない)」「夏の火鉢(誰も手を
出さない)」などの言葉も登場する。
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