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平安時代のシンデレラ物語とも言われる古典文学「落窪物語」を今風京言葉でお届け。美しい姫、男らしい少将、溌溂とした侍女阿漕…いきいきとした平安の若者たちが古典文学を身近に感じさせてくれます。

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2005/04/09

現代若者京ことば訳「落窪物語」

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■  落  ■           ■ 現代若者京ことば訳 ■ ■
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■  窪  ■   ■ ■  落 窪 物 語  ■ ■     ■
■■   ■■                         ■
■  物  ■       ■   67   ■         ■
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■  語  ■              ■ 訳/綾大 鈴 ■ ■
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■■■  現代若者京ことば訳「落窪物語」巻之二 2     ■■■
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   阿漕は、部屋の戸が開いたんを知って、例の三郎君を呼んで、

  「よう言うてくれてはったから頼むんですよ。これを北の方の見て

  はらへんうちに姫君に渡してください。絶対気づかれたらあきませ

  んよ」

  て言うたら、三郎君は、

  「わかった」

  て言うて手紙を受け取った。

   部屋に入って、姫君のそばに座って、笛を持って見たりとかして

  遊んでるふりして、姫君の着物の下に手紙を差し入れた。

   姫君は、「なんとかして手紙を読も」思てて、袋縫い終わって、

  それを北の方が蔵人の少将に見せに持っていってる間に、やっと読

  んで、恋しくてしかたあらへんようになってしまわはった。

   硯も筆もあらへんから、あるもんでなんとかするしかあらへん、

  針の先で、ただこう書かはった。

   

   

      人知れず思ふ心もいはでさは露とはかなく消えぬべきかな

        (人知れず思ってるこの心もつたえられへんまま、

                  露みたいに消えてしまいそう)



     て思いますんが、辛うてたまりません。

  



   その手紙もすぐに託すこともできんと、自分で持ってはった。

   

   北の方がきて、

  「さっきの袋、よう縫えてました。ここの戸開けたん、お殿さん叱らはっ

  たわ」言うて、戸を閉めて錠をさそうとする。

  「できたら、『私の部屋にある箱持ってきて』て、阿漕にお願いしたい

  んですけど」て姫君が言うと、北の方は閉めんのをやめて、

  「あの櫛の箱持って来て欲しいみたいえ」て言うから、阿漕はあわてて

  持って来た。

   箱を部屋の中に入れる手に、姫君が手紙を入れはったから、阿漕はそ

  れをそっと隠してその場を離れた。

   

  「なんとか。北の方が姫君に御笛の袋を縫うてもらおて、戸を開けはっ

  た間に」て言うて、針の先で書いたその手紙は少将のもとに届いた。

   少将は姫君がかわいそうでしかたがあらへんかった。



  

  


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■■■ 後記 
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    幼い三郎君は何の疑いも躊躇もなく無邪気に阿漕と姫君
   の味方になってくれていますね。
    筆もなく針で書いた手紙は、受け取る側にもとても衝撃
   のはず。



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