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2008/03/11

「今そこにある未来」(未来工学研究所メールマガジン)2008.3.11号

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        未来工学研究所メールマガジン  Hints for the New Century
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               今そこにある未来   Clear and Present Future
                     ■ 2008年3月11日(84号) ■
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――――――――――   も・く・じ  ――――――――――――――――

 ◇ ‘なんとなく恐い’に直面する技術・サービス開発

 ◇ 携帯電話の夢は、どこまでいくのか?

――――――――――――――――――――――――――――――――

 ◇
◆   ‘なんとなく恐い’に直面する技術・サービス開発
 ◇
                              主任研究員 森 康子(もり やすこ)

■よくわからないけど不安
 「個人情報に関わるから教えられません」。昨今、そんな言葉を聞くことが多い。
平成17年に個人情報保護法が施行され、個人情報の保護に対する意識が高まった
結果ともいえる。しかし、法への過剰反応ともいえる対応を耳にすることもあり、
いまだに、情報を取扱う側、取扱われる側の両者において、漠とした不安があると
考えられる。

 ところで、情報を取扱われる側の生活者は、どの程度個人情報に関する問題に
ついて認知しているだろうか。平成18年の世論調査によれば、個人情報保護法を
知っていると回答した者であっても、その詳細項目について尋ねると、「知って
いる」と回答した者は約半数でしかない場合が多い。一方、情報漏えいなど情報の
取扱いを不安とする者は7割に達しており、個人情報に関する問題は、詳細につい
てはよくわからないが不安という生活者の姿が見えてくる。

■万人向けの「安心」の実現方法は存在するか
 「個人情報保護への不安」は、情報を取扱う側の事業者と、取扱われる側の
生活者の両者が法への理解を高めれば解決可能との論が聞かれる。事業者が
理解を高める必要があるのは無論のことであるが、生活者の理解を高める
ことは、はたして可能であろうか。
 「安全・安心な社会の構築に資する科学技術政策に関する懇談会資料」では、
犯罪、事故、災害、健康など安全・安心を脅かす要因は、ざっと数えただけ
でも150もある。このような状況下で、安心するためにその全てについて
学べと言われても、生活者は素直に「はい」とは言えないのではないだろうか。

 買物を例としてみても、人は日常生活において多くの判断を迫られている。
判断を行うためには情報が必要となるが、情報収集には手間や時間を要する。
そうなると、関心が低いことについては、それを省略するために代替的な行動が
とられることが、購買行動研究で報告されている。
 平たくいえば、関心が低いモノ・サービスの購入においては、自分で詳しく
調べる代わりに、信頼できる(と思う)人にちょっと聞く、あるいは過去の似た
ような経験で購入を決めるなど、直観的な判断を行うということである。数多く
ある不安要因についても、同様の行動がとられる可能性は高いのではないだろうか。

 そもそも、不安が解消された安心の状態は、「リスクが低いと感じる心理的な
もので個人の主観的な評価に大きく依存する」とリスクコミュニケーション研究
者はいう。つまり、安心と思える状況は、各人の価値観によって異なるというこ
とになる。

■イノベーションのために問題解決情報の提供効果や情報提供方法の研究を
 今日においては、高度な技術に基づき、数多くのパーソナルサービスが提供
されようとしている。子どもの通学路を見守るサービスや、店に入った途端に
好みの商品を探してくれるサービスなどがその例であるが、これらの技術・
サービスは、個人情報やプライバシーと密接な関係にあり、生活者の‘なんと
なく不安’と向き合うことになる。

 しかし、生活者は、たとえば乗り物のように事故が起きる危険のある技術・
サービスでも、メリットが大きければ、不安があっても利用する。危険は、
自発的に受け入れる場合、受け入れやすくなるという研究もある。
 これに照らし合わせれば、生活者に、危険が発生した際の解決方法を提供する
ことが、技術・サービスに対する受容度を高めるとも考えられる。また、生活者
に対する情報提供方法も、口コミや、マスメディアなどの使い方によって技術・
サービスに対する受容度に大きく作用するであろう。イノベーションを推進する
ためには、これらを検証する研究も、企業、国のどちらも推進すべきではないだ
ろうか。



 ◇
◆   携帯電話の夢は、どこまでいくのか?
 ◇
                主任研究員 大川 晋司(おおかわ しんじ)

 「きっとみんなが、いつでも!どこでも!だれとでも!話せるような時代が
やって来る、夢に向かって頑張ろう!」と熱く語る電話自動車電話の開発技術
者を、私は「所詮、夢でしょう」と少し冷めた目で見ていた。
 自宅電話が線から開放され移動して使えるようになった30年前のことである。
 
 その後10年経ってハンディタイプの携帯電話機が初めて登場し、2001年からは
今主流の第三世代(3G)方式のサービスが開始された。最新の携帯電話は、
通話・画像の電話機能の他・メール・テレビ・カメラ・インターネット接続・
ゲーム・電子マネー・GPS・国際ローミング等に、セキュリティやユニバーサル
デザインを考慮した多機能端末となっている。

 その結果、当初の夢に「何でも!」が加わって、携帯電話は若年層や高齢者
にも普及し、この2月には加入者が1億137万人を超えた。今や、日本は世界一の
移動端末利用国になった。
 
 ところで、最新の携帯電話のこんな事実をご存知だろうか?

 ○現在の高速伝送では、初期のデジタル携帯電話と比べて、伝送速度が36
    倍になった。
 ○色々な電波を受送信するアンテナは10本以上増えたが、工夫して実装した
 ○従来の約5倍の能力を持つリチウムイオン電池を開発し、小型軽量化
 ○携帯電話の電波を受けて接続する無線基地局が全国に7万8千局あり、
    昼夜運転
 
 「何でも!」という夢は「作リ手」と「使い手」の思いで予想以上に膨んだが、
技術者が何倍何十倍という高い目標を掲げ、部品やインフラ設備技術者の協力
を得て実現されたことにお気づきだろうか。数多くの人たちが、夢に向かって
果敢に挑み工夫し作り上げた結晶であるが、できてしまえば「今時の携帯」と
呼ばれ、また新しい夢に向かっていく。

これからどうなる、携帯電話は? 
 現在、第三世代の次の方式(Beyond3G)が検討されており、2007年に開催さ
れた世界無線通信会議(WRC)では、データの伝送速度を移動時100Mbps、準静止
時1Gbps以上の超高速大容量を特長とし、利用周波数帯も採択された。国内で
は、すでに伝送速度5Gbpsの実証実験も行われている。

 今後携帯電話は、無線LANやWiMAX等の無線システムや次世代ネットワーク
(NGN)と連携して、使うシーンを意識しない、シームレスでマルチメディアと
融合したパーソナルターミナルになっていくとみられる。

 ここで実用が期待される使い方を考えてみた。

◇ヘルスターミナルで健康管理!
 ・携帯電話に腕時計センサーも加え、血圧・脈拍その他データを自動収集。
 ・通院治療情報や投薬情報を自動的に携帯電話にデータを記録し、救急時や
  入院時に利用

◇エンターテーメントが身近に!
 ・好みの映画をまるごと1本が数十秒で携帯電話にダウンロードし、電車や
    車中で途中まで観賞。続きは友人宅でテレビに転送し、一緒に観賞

◇情報セキュリティの確保!
 ・ノートPCの持主の認証を虹彩・顔認識・静脈・指紋等でマルチに実施し、
  携帯電話を経由してサーバに接続、
  ノートPCの置き忘れや盗難による情報の流出を防止

◇レストランでお好みメニューを!
 ・アレルギー有無・食材の好き嫌いや希望摂取カロリー等のデータを携帯電話
  から自動的に店に転送、これらの情報に配慮したメニューを調理してもらう

◇ショッピング上手!
 ・店先で好みの色・形状・サイズ・希望価格等の情報を携帯電話で提示し、
  お勧め商品をセレクトしてもらう。逆に店側は商品サイズや価格情報を流し、
  好みに合わない時にはバイブレーションでそっと知らせる

 どうみても30年前に熱く語った技術者の夢とは程遠く、すぐにも実現でき
そうなPoorなものである、やはり作り手の壮大な夢は担当技術者に任せると
して、春のうららかな日に散歩に出掛けたら、しばし携帯電話を閉じて、
未来の携帯電話の姿に思いを巡らしてはいかがだろうか。


◇◆
■◇             編集後記
□■

Jリーグが開幕し、プロ野球もオープン戦真っ盛り、春本番までもう一息です。
3月は寒さや強風等々、お天気が安定しません。スギの花粉量もピークを
迎えています。また、年度末で慌しい日々をお過ごしの方が多いことと思い
ます。本メルマガで、ほんの少しリフレッシュしていただければ幸いです。
読者の皆様、くれぐれもご自愛下さいませ。

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