ペヨトル工房「解散」通信  RSSを登録する

ペヨトル工房主宰・夜想編集長、今野裕一のメルマガ。プロデュースの書籍、アートイベントなどの紹介。一時、解散したときからの継続。今、夜想もペヨトル工房も復活している。

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2006/06/12

Flash*Memory

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   ペヨトル工房 メイルマガジン  http://www.2minus.com/
  
  フラッシュ・メモリー 
   
   2006年6月10日  復刊vol.2

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■コンテンツ
	● 	「メディア・バロックと光を孕む黒」      今野裕一(夜想 編集長)
	● 	「原画の魅力」/山本タカト展覧会を終えて   ユキミドリ(夜想スタッフ)
	● 	「肉体の花」/『夜想#耽美』によせて       21歳・学生(読者投稿)
	● 	「夜想と出逢って」              恋月姫(人形作家)  
	● 	次回メルマガへの投稿募集

■「メディア・バロックと光を孕む黒」          今野裕一
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久しぶりにゲ−ム機(ニンテンドーDS)を手に入れて、
何をやろうかとヨドバシに行って「スウドク」と「テトリス」をゲットした。
ふと気がつく。なんだ10年前と一緒じゃないか。「スウドク」は「ピクロス」だけど。
もっと言えば、テトリスが初めて日本にはいってきた頃、今ポケモンの石原さんと、
はまりまくって本まで出版したことまで遡る。進化してないな…。
スウドクを始めたのだが、スピ−ドが上がらないのでちょっと、いらっとしている。
4つの数字を頭のフラッシュメモリ−に入れてキ−プできないのだ。仮想数字は3つまで…。
これじゃぁ難問は解けないや。数学は得意なんだけど、もともと数字ゲ−ムは余り得意じゃなかったけど、
『ピクロス』はやっているうちにすらすら解けるようになって、全問解いて石原さんに自慢したら、
「時間潰しのゲ−ムをクリエ−タ−がやっちゃ駄目ですよ」と諭されてしまったけど、いま、その面影もない。困ったな。

機械を買うのはゲ−ムボ−イ以来、ソフトはポケモン以来。なんでDSを買ったかというと、白くてi-podみたいで可愛かったから。
ただそれだけの理由。何かちょっと使いたいという気持ちになったから。
「ポケモン」が世界を席巻したとき強く意識したのだが、ソフトがハ−ドを完全に越えた、
つまりあるソフトがしたいからマシンを買うという逆転が起きたのだ。
もちろんそれまでも起きていたのだが、「ポケモン」がそれを明白にしたということだ。
内容が優先する時代になったんだなと感慨深かった。
そして今、0年代に入って如実なのは、i-podを始めとして再びハ−ド優先になっている。
ハ−ドを買ってからいろいろ考える。i-podもそうだった。
ただよく考えてみれば、ハ−ドの機能ではなくハ−ドのデザインやメディア性が選択の基準になっている。
実は、これをハ−ドの復活とはとらえにくい。もともと根がミ−ハ−なので、自分からしたいことは何もない。
表現したいものもない。何か触発されるものがあると、それをブロ−アップするのが好きだった。

それは人であるときもあれば、メディアであるときもあった。若い作家がいると応援したくなったりする。
今も若いスタッフと仕事をしているが、彼ら/彼女たちが、できるようなことが増えると、では…と動きを拡大する。
秋から浅草橋に倉庫を借りてその一部をギャラリ−にするが、それもこの2年一緒に育ってきたスタッフがいるからこそで、
やりたいことは後からついてくる。
メディア・バロックとでも言えば良いのだろうか。メディアに欲っして何かをする。それがとても好きなんだろうと思う。
携帯の写真、それはブレたり色が滲んだりするけど、それをブログと組み合わせると何か表現する形体が生まれる。
それが表現や作品にとって良いことなのか、おそらくそうではないような気もする。例えばi-podの音は、
やっぱり貧しいとしか言いようがないが、それでも慣れてしまうとそれでOKになるし、他の機能の魅力で使い込んでしまう。
そのとき音楽、という形体や概念が壊れてしまうという可能性もある。

その危惧をもちながら、でも…ボクはメディアに淫して、何かをしようとする。少し前の10年、ボクは退屈しきっていた。
退屈して自分を傷つけて時間を過ごしていた。その陰鬱な気分に比べれば、少々の危なさをこなしても、
メディアの特性を生かして何かをしてみたいと思っている。
現在まで存続しているメディアは、95年を境に何かの変化を突きつけられている。本はグ−テンベルグ以来の変化を。
それを受け止めて変化しない限りメディアとしては生きていけない。本はその意味でかなり遅れてしまった。
変化とは簡単な意味ではない。本をデジタルにしたら良いという安易なことではない。
それは、流通を含めたもっとソフトに近い部分だろうと思う。もちろん有効な変化が何であるか、それははっきりとは分からない。
意外にも紙に淫するなどというところから変化を可能にできるかもしれない。
i-podをオ−バ−スペックしようとして失敗している日本の電気メ−カ−は、過去の呪縛に囚われている。
エンジンを回して勝とうとしているホンダにしてもだ。

山本タカトの黒
ト−キングヘッズの編集長が、hpでタカトの黒について面白いことを書いていた。
「印刷物の方が元の作品よりも劣ることが多いのだが、山本タカトのは、印刷されて色合いがフラットになったもの
(つまり、微妙なグラデーションが印刷では再現されないこと)の方が、感触としていいなぁ、という気がした。
原画には原画の良さがもちろんあるのだが。」

夜想三号『夢野久作+竹中英太郎』特集の時に、『新青年』の挿絵家、竹中英太郎氏を取材して、
お話を聞いたり、新発見の原画を見つけたりした。名前を変えて『新青年』の大部分の挿絵を一人で描いた号もあるという、
竹中英太郎氏の原画は、ざくっとした黒の色使いだった。印刷にしてちょうどよい感じ、
印刷が細かく黒のニュアンスを拾えないことを熟知して、
それでも印刷上でグラディエ−ションが出るような濃淡をつけていた。

印刷でマットな感じを出して深みを見せる。それが挿画の一つの方向だと思う。
山本タカトの黒も印刷ではどちらかというと少しマットに潰している。
原画を見て驚いたのは、タカトの原画は印刷用に描かれたものではない。
黒の中にいろいろなニュアンスがあって、それはぎりぎり印刷で拾えるか、拾えないかの微妙さだ。
現在は、原画の方が印刷効果を考えた描き方をそれほどしなくとも、デザイナ−の指定でどうにでもなる。

タカトの描線はエッジがたって光を孕んでいる。それはタカト独特の描き方による。(『夜想』耽美に詳細)
その線を極めるように黒が独特の光りかたをしている。
その光を見ると確かにフラットな印象があるが、その奥には印刷でも拾えないような黒のうねりがある。
マット=深みという印刷の文法に慣らされてしまっているぼくらには、タカトの黒が表層的に見えるかもしれないが、
そこがそうではないところがタカトの原画の良さだ。

フラットということを否定的に使っている訳ではない。雪岱の挿絵や浮世絵がフラットでありながら、
不思議な奥行きをもっているということを踏まえて言えば、タカトの絵も充分フラットである。
その中にある不可思議な黒の奥行き、それは北斎版画の藍色の深みとも似た、独特の挿絵的世界である。
それが絵画と異る挿絵の魅力である。
タカトはその意味でも挿絵画家であり、印刷技術の極端に進んでいる現代に現れた新規の挿絵画家なのだと思う。



■山本タカト展によせて―「原画の魅力」     ユキミドリ(スタッフ)
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山本タカトさんの絵について、
この方の画集は最初の画集が出たときにすぐ買って、
それ以来ファンなのですが、本物を見る機会もなく
印刷されたものが完成形だと思って過ごしてきました。
現在、夜想のボランティアスタッフとして活動していて、
ちょうどよく運命が廻ってきたというべきか、
今回の「月逍遊戯」展ではタカトさんの本物の絵を間近に見ることが出来ました。

・・・驚きました。
こ、この線の美しさは!?緻密さは?!
何よりも驚いたのが描き込みのスケール感。
コンマ一ミリ以下のレンジの使い分けがそこにはあります。
今までは印刷にしたときにある程度縮小して
細かさを強調しているものだと思っていたのですが、
本物のほうがはるかに細かい印象でした!

画集やウェブなどの原画より解像度の落ちたメディアでも
その精神性は決して劣化するわけじゃなく、充分に美しさを感じ取ることが出来ます。
ですが原画を生で見た感想は、言葉にならない感動を与えてくれます。
例えて言うならオーケストラをCDで聴くのと
生演奏をホールで聴くくらいのダイナミックレンジの差があるかもしれません。

そして、コンサートホールでのリバーブ感や箱鳴りの臨場感などの
音楽世界における生演奏のプラス要因を例えるなら、
今回の展示では会場のルーサイトギャラリーが重要な役割を持っていました。
闇の中に浮かび上がる照明、少女の顔。
燃え上がる障子は血のようだ。
生のタカトの絵がひしめきあう元市丸邸は
画集では感じられない空気感を醸し出していて
その完成度は作品と空間がお互いが引き立てあう
必然の出会いとも言える展示だったと思います。

最後にこの展示の設営、運営に関わる事が出来た幸運を
関係者その他の皆様に感謝いたします。

展示スタッフ ユキミドリ


 ◎展覧会詳細はこちらから
www.2minus.com/0605takato.html
(この展覧会は終了いたしました)

◎山本タカト・オフィシャルホームページはこちらから
http://www.yamamototakato.com


■『耽美』によせて―/「肉体の花」         (21歳・学生)
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「耽美」特集、とても心に残りました。
本全体を流れている花のイメージに囚われました…
松井冬子さんや山口小夜子さん、内藤礼さんの睡蓮、タカトさんの薔薇…。
なかでも、楠本まきさんの版画と花の血の物語、漫画とは違う引っ掻いたような線と
ラストの頁が途切れたような謎掛けが素敵でした(答えはまだ見ていない人のために控えます(笑))

三島由起夫『癩王のテラス』の、暁に例えられた花びらの形の痣を想い出しました。
彼は、肉体は生き生きとした花で芸術は不朽の造花だと言いましたが…
個人的にはちょっと引っ掛かります。。なぜでしょうか。。
三島由紀夫の「死の美学」特集も、知らなかった事が多く、とても面白く読みました。


†『夜想#耽美』
日本の土壌のなかで、ヨーロッパで起こった耽美というイズム本来のものと
まったく異なった特殊な発展を遂げた日本の「耽美」、その日本の「耽美」にせまる特集。
美しいものに心奪われることを恐れず、現代の耽美に耽溺する。

◎本書内容・購入お申し込みはこちらから
http://www.2minus.com/y03_n.html


■夜想と出逢って                     恋月姫
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 いつの頃からか、気が付いた時には暗い影を潜めた美しいものに心を惹かれるようになっていました。
地下演劇、シュルレアリスム芸術を愛し、自ら何かを制作しながら生きてゆくことこそ私の生きる道なのだと決めておりました。
当時は寺山演劇やテント劇場が地方に来る事もまずあり得なく、楽しみなのはたまに誰かが主催するフィルムの上映と
雑誌で知識を得ることくらいでした。身近な中に好きな物はなかなか存在しなく、本により気になる情報を得るにつけ、
自身の求めるものを考える日々となりました。そして「夜想」はまさにその時代に生まれていました。
思えば(一方的ですが)リアルタイムで夜想と出逢っていたわけです。その割には店の本棚にあった新刊に手を延ばすことはありながら、
どういうわけか近寄り難くページを捲ってみたものの、一歩下がってその場で買って帰ることは少なかったように思います。
現在所持しているものは後にバックナンバーで買っているものが多く、読んだのも忘れてまた同じ本を買ってしまっていたりします。
 
 そんな「怖いけれど美しいもの」であった「夜想」に再び出逢ったのは、復刊された「夜想Yaso」2号のDoll特集で、
初めて作品を取り上げていただいた時です。昔感じた「近寄り難い世界」の中に自らが入ることになったのですが、
ひとつ驚いたのは、編集長の今野さんは私とほぼ同じ年齢であったことでした。
思うのは、「夜想」という一つの紙の媒体に宿るモノを想起させるかのような生命感というものに、私達が心を重ねて
動いてゆくという体験をしながら、高尚なる闇の文化を提唱し続けることに、その存在の大切さを求めている気がします。
 
 Doll特集では表紙やグラビア写真を撮るために、セッティングをしていただき、制作の現場を共有し、
勢いで出来上がったコンセプトドールの展覧会を開催することが出来ました。
その生まれゆく場に立合えることが楽しいと言われる今野さんの言葉は、
人形を一つの生命体の象徴として制作する側のこころをまた動かしてゆくのでした。

                                                *Koitsukihime*



■メイルマガジンへの投稿募集
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「フラッシュメモリー」では、まだまだ読者・観客の方からの投稿を募集しています。
小社の新旧の書籍そして夜想主催のイベントへの、ご意見ご感想をお寄せください。
字数は300字程度とし、採用させていただいた方には小社のグッズ(Tシャツ、缶バッチなど)を
プレゼントさせていただきます。

宛先は sachi@ka6.koalanet.ne.jp まで、件名を「メイルマガジン投稿」とし、
ご氏名、年齢、電話番号、住所、メールアドレスを明記の上ご応募お願いいたします。



■イベントスタッフ募集
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夜想復刊第二号『夜想#ドール』からは数々の展覧会が生まれ、各地を巡回しました。
恋月姫《月の神殿》《月迷宮》《翠迷宮》、三浦悦子《義躰標本室》《義躰廃工場》…。
それらの展覧会をつくり、支えてきたのが全国のボランティアスタッフの力です。
『夜想#耽美』特集でも、誌面から生まれた作品を中心に展覧会を企画していきます。
チラシ撒きから現場での設営、作品の展示、会期中の運営をはじめ、どんなことでも
スタッフとして積極的に参加、ご協力いただける方を随時募集しています。

 ◎スタッフご希望の方はこちらまで
info@2minus.com

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