2000/12/18
ペヨトル工房「解散」通信
a u r e v o i r !
P E Y O T L
012
◆
Yuichi Konno
p_o_i_n_t_s_de_v_e_n_t _e
東京駅前八重洲ブックセンター本店4F、ロゴス心斎橋店でブックフェアー
を開催します! どうぞお立ち寄りください。
j_o_u_r_n_a_l
演劇と戯曲と出版
寺山修司は「上演こそが演劇である」と、ことあるごとに言っていた。
演劇は、台本によってではなく、役者の肉体によって、そして劇場によって、
そして一回性の上演によって成立するのだと考えていた。天井桟敷は、まず
言葉があるという台本優先の舞台の作り方をしていなかった。まず寺山修司
のイメージの箱書きがあり、それに従って俳優は肉体を動かしながら、
ワークショップをして舞台を構築していく。動きによって言葉が編み出され、
しだいに台本の体をなしていく。その作業を演劇として擦込まれたので、文
学として戯曲を読む習慣をあるとき失ってしまった。かつては、三島由紀夫
の『癩王のテラス』という戯曲をなんどもなんども読み返し、滅びゆく王国
を思いながら黄金のテラスに立つ、少年皇帝の姿を思い描いていた。しかし
寺山修司の上演こそが演劇という考えは、ボクを捕らえて離さなかった。
戯曲が文学として、独立した表現として、再び自分の前に立ち現れたのは、
新宿梁山泊の「千年の孤独」だった。薄蒼の闇の中、俳優たちの発する「あ
んた」「あんた」という台詞は、海峡を渡ってきた蝶が呪詛のように人々の
口を渡るように思えた。蝶を入れたケースを磨き続ける少女、「あげは」は、
「ケースを傷つけて」と男に望むが、男は傷を付けられない。傷を共有する
ことで、思いをともにしようとする「あげは」の姿は、海峡から越えてきた
蝶が、決して海峡のこちらで受け入れられないことを顕にしていた。唐十郎
の状況劇場や笹原茂朱の夜行館に日本のロマンティークを見続けたボクとし
ては、さらに深く、深く、琴線に触れる「千年の孤独」に衝撃を受けて、戯
曲の出版などそれまで一度も夢にすら思ったことがないのに、すぐさま鄭義
信のところに出かけて、「千年の孤独」を出版したいと申し出ていた。
------あげは、僕はまた待ち続けなければならないんだね。僕はいくつ、千
の昼と千の夜、千の春と千の冬を越えていかなければならないんだろう……。
でも、僕はたった一人で、待ち続けるよ。君に巡り会うために。たった一人
の千年の孤独を胸に……。
あんた
……
あんた
……
あんた
……
何だい?
渡り蝶だよ。
渡り蝶だね。
------『千年の孤独』鄭義信 小社刊
寺山修司が亡くなったあとも、天井桟敷の演劇は払拭しがたく、劇団員の若
松武と二人で劇団を作り、上演活動をしたりしていたのだが、新宿梁山泊と
出会い『千年の孤独』を出版すると、ボクと演劇の様相が少し異なってきた。
この本を出版するときに出会った、元「新劇」の編集長の畠山繁さんに誘わ
れて、一緒に湘南台文化センターのディレクターをすることになり、そこか
ら舞台の仕事が拡がっていった。畠山繁さんは、湘南台のディレクターをし
ているときに、すでに新宿梁山泊ののめり込んでいて、何とちょい役の役者
として劇団に同行するようになっていた。ちょっとした気紛れかと思ったら
真剣で、芸術監督の太田省吾から、湘南台のディレクターをとるのか、役者
をとるのかと言われたとき、役者をとって湘南台を去っていった。「江戸川
はせを」という芸名で新宿梁山泊に出演し続けて、役者としてもこれからと
いうときに、志し半ばで病没された。ジャーナリスト、ディレクター、そし
て役者という演劇人の歩みをボクは、嫉妬を込めて尊敬している。
戯曲を出版する動機は、鄭義信だったので、もちろん彼の戯曲だけを出して
いくつもりだった。『千年の孤独』に続いて『人魚伝説』も出版した。その
ころやはり新劇の編集者だった奥山富恵さんに出あった。奥山さんは、演劇
に対する思いが強く、特に戯曲に思い入れを持っていたし良く読んでもいた。
それ以上に入れ込んでいたのが、女子プロで、特に全日本女子プロレスの北
斗晶を最大限に評価していた。北斗晶の本を出しませんかと言われて目を白
黒させたが、リングサイドに連れていかれて、ほどなくボクも北斗のファン
になってしまった。そうしてまず奥山ディレクションで、北斗晶や井上貴子
の自伝がペヨトル工房から出ることになった。
演劇の話を奥山さんとするうちに、昔の天井桟敷、黒色テント、状況劇場、
転形劇場などの面白さに比べたら、現在の演劇は……などという愚痴になり、
じゃぁ再生は可能なのか、可能性があるのは何なのかということになったが、
演劇クリティックの不在がこの事態を引き起こしたという持論を述べたあと、
ボクは、戯曲は昔より良いんじゃない?と言い出した。じゃぁ、まず「夜想」
で「戯曲の力!」を出して、様子をみようということになった。成功したら
戯曲を出版すると。「戯曲の力!」はそこそこ動いたので、しめたとばかり、
「戯曲新世紀」というシリーズを刊行することにした。しかしながら、結果
的に戯曲の刊行は、ペヨトル工房の首を絞める一要素ともなった。売れたの
は、ケラリーノ・サンドロビッチの『ウチハソバヤジャナイ』だけで、これ
は完売した。売れなかったあとで、どうして売れなかったのかと分析するの
は可能だけれど、ペヨトル工房は、常に可能なことだけをしてきたわけでは
ないので深く分析してもしかたがないのだけど、一般読者はおそらくボクを
含めて、戯曲から場面を想像する力を失いつつあるのだろう。戯曲を読んで、
見ていない上演の場面を想像するはなかなか難しい。あんた……あんた……
渡り蝶だね、という鄭義信の美しい割りぜり(割り台詞)も新宿梁山泊独特の
間合いとイントネーションが聞こえてこないと、読みながらじわんとしてこ
ないだろう。
舞台すら映像的になり、映像の情報が氾濫し、言葉から読んで風景を紡ぎだ
す能力をボクも欠きつつある。良く読めば、渡辺えり子にしても鄭義信にし
ても、戯曲がすでに文学として成立していることは明白なのだが。やはり天
井桟敷ではないが、上演性ということに戻ってくるのかも知れない。戯曲の
文字は、俳優の肉体や、劇場やその劇団の演出家の肉体を通して形になるの
かもしれない。「夜想」4号の天井桟敷の上演台本「百年の孤独」を見ると、
箱書きのようなものの中からあの晴海での最後の大掛かりな演出をすぐに思
い起こすことはできるが、天井桟敷を見たことが無い人には想像もつかない
だろう。男優だけで上演して下さいと寺山修司にねだって上演となったアン
トナン・アルトーの「チェンチ一族」の台本が「夜想」6号に載っているが、
これは新劇の台本に近い文学であって、同じく激しい肉体のせめぎ合いを見
せた文芸座地下の劇場の雰囲気とはまた異なるものだ。上演性、演出も重要
であるが、戯曲の言葉がまた根底で上演を支配するということもあり、演劇
の言葉は、やはりないがしろにできるものではない。戯曲を残し、伝え、そ
して多くの演劇人が使えるようにすることは大切だ。しかしそれが紙メディ
アの使命なのかというと、出版社は、微妙に受け入れがたいものを感じてい
るかも知れない。
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戯曲新世紀★1『タイム/夢坂下って雨が降る』渡辺えり子 1942円
劇団三3○○主宰の鮮烈な言葉溢れる初期代表作二篇。
戯曲新世紀★2『明日、ジェルソミーナと/カルメン夜想曲』鄭義信 1942円
「月はどっちに出ている」で94年岸田戯曲賞を受賞した脚本
作家の幻の初期名作二篇。
戯曲新世紀★3『ラ・ヴィータ』高泉淳子 1748円
本格的に戯曲を手掛け出した記念碑的第一作。
戯曲新世紀★5『スターマン/お父さんのお父さん』岩松了 1942円
90年初頭に書かれた珠玉の二篇。
戯曲新世紀★6『御姉妹/星ノ天狗』天野天街 1748円
名古屋の演劇集団「少年王者舘」主宰。日本語のもつ美しさ
や悲しさを、カタカナ混じりの文語調で表現。
「夜想」28 【ロマンのゆくえ】1165円
寺山、唐に続く小劇場演劇の問題は、物語をいかにして紡ぎ
だすかだった。先達を乗り越えるべく、ロマンの胎動はある
のだろうか。鄭義信ほか執筆。
『北斗晶自叙伝−血まみれの戴冠』北斗晶 1942円
『北斗晶 前記録』 1942円
首の骨折、いじめなどさまざまな苦難を乗り越え、プロレス
界の頂点に立った北斗晶の作品と記録。
『傷つくもんか!』井上貴子 写真/荒木経惟 1748円
初めて語るロックシンガー貴子の本音。
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◆いよいよこの週末から始まります。チケットの手配はお早めに!
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Le soleil
dans \ l / dance/performance [こっぷノなかノ太陽]
un verre ―●―
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台本・演出.....今野裕一
出演.....片上守/中嶋みゆき(解体社)
日時.....2000年12月23日・24日・25日 6:30分開場 7:00開演
会場.....劇団「解体社」FREE SPACE カンバス
定員.....30名(各日とも)
料金.....前売\2500 当日\3000
チケットはチケットぴあ(電話:03-5237-9988)のほか、以下のページ
でもお求めになれます。
http://www.tctv.ne.jp/members/peyotl
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h o m e p a g e
http://www.tctv.ne.jp/members/peyotl/index.html
o n l i n e b o o k s h o p
http://www.peyotl.co.jp/peyotl/bookshop/bookshop.html
m a i l i n g l i s t [fan avec Monsieur Konno]
http://www.egroups.co.jp/group/peyotl
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pre'sente' par P E Y O T L F A N
h o m e p a g e
http://www.thought.ne.jp/peyotl


