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2009/03/16

[知らなきゃ損する面白法律講座] 第475号

                      http://www.hou-nattoku.com/
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     □□   知らなきゃ損する!面白法律講座   □□

             週1回発行(月曜日)


2009年 3月16日                         第475号
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 発行部数: 21,830部(まぐまぐ 16,181部、melma! 5,413部、Yahoo! 236部)
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■ 目 次
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  □ 小説で読むおもしろい判例
    「その方法で殺せますか?― 不能犯の成否」 第四回

  □ 法律クイズ 第149回 【問題】
    「弁護士が書類を紛失したら!?」
    http://www.hou-nattoku.com/quiz/0286.php

  □ 裁判員のための刑法入門
    「その6 〜正当防衛〜」

  □ なっとく! 法律相談 第464回
    「個人のお金の貸し借りにも利息制限法の適用はある?」
    http://www.hou-nattoku.com/consult/809.php

  □ 法律クイズ 第149回 【解答】



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■ 小説で読むおもしろい判例
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  「その方法で殺せますか?― 不能犯の成否」 

                             神村 春生

  第四回 介護の光景

  夫が入院する病院は、高齢患者を対象とした療養医療を提供する、いわ
 ゆるコミュニティタイプである。
  初めて倒れたときに運び込まれた救急病院では、「長期入院は3ヶ月ま
 でしか引き受けられない」と説明された。そして、同一グループの療養型
 病院へ、転院を勧められた。入院患者一人について、行政から病院へ幾許
 かの補助金が出されるらしいが、それが4ヶ月目からは減額される。つま
 り、病院にとって儲からない患者ということになるのだ。

  療養医療とは、特別の加療を必要としない養生型医療のことである。た
 だ、リハビリなど、現にある身体機能の回復を目的とする緩やかな措置は
 行うから、脳梗塞の貞一郎に適しているとはいえた。しかしそれは、完治
 の見込みがほとんどないという意味でもあった。
  最近は病院経営も厳しさを増しているという。そのため、患者や家族の
 満足を得るべく、転院先でもアット・ホームな対応がされていた。昔と違っ
 てスタッフの応対は丁寧で、物腰も柔らかいことに、あつ子は安心した。
 しかし、入院生活が長引くに連れ、介護士たちの仕事ぶりには違和感を持
 たざるを得なかった―。
  たとえば、患者たちのささやかな楽しみである食事は、午前8時・正午・
 夜6時の3回、各々のベッドに運ばれる。一人で食事が取れない患者には、
 介護士がついて食事をさせる― しかし、老人、特に人を識別できなくなっ
 た患者に対する彼らの態度には、やはり嘲笑と冷淡が見え隠れするような
 のだ。その様子を目にするたび、あつ子は気持ちが冷えた。

 「はい、おじいちゃん、口開けてー。あ〜ぁ、ダメじゃん、こぼしちゃ
  ・・・チェッ、しょうがねえなぁ」

  また、老いた慢性病患者の多くは、回復の見込みもないままに退屈な
 日々を送っている。女性患者同士は病室を訪問しあったりして、それなり
 に楽しそうでもある。しかし、男性患者はいかにも淋しげであった。所在
 なく雑誌を読み、疲れると居眠りをする。リハビリの時間が来ると介護士
 に付き添われ、億劫気に病室を出て行く。

 「はいはい、足元に気をつけてネー、階段上がろうネー。ジイちゃんった
  ら・・・ダメだぁ、こりゃ」

 エネルギーと自尊心のかたまりだった夫が、あんな扱いを受けるー。そし
 て、本人にはそれが分からない。いや、感じているのかもしれない、怒り
 や喜びがあるのかもしれないが、それすら私には分からない。そして、見
 守り続けなければならないのだ。それはいったい、いつまで続くのだろう
 か・・・。


                              (続く)



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■ 法律クイズ 第149回 【問題】
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 「弁護士が書類を紛失したら!?」

  Aさんは、弁護士のB先生に、離婚裁判に関する訴訟手続を行ってもらい
 ました。それから4年が経過した後、Aさんは、訴訟の相手方であった元夫
 と、再度トラブルになってしまったため、訴訟を提起しようと考えました
 。そこで、B弁護士に「前回の訴訟のときに先生にお渡しした資料を、も
 う一度使いたいのですが。」と言ったところ、B弁護士から、「つい先日
 大掃除をしたときに、どこかに紛れてしまったようで、書類が見当たりま
 せん。」と言われてしまいました。このとき、B弁護士は、Aさんの書類を
 紛失したことについて、損害賠償の義務を負うのでしょうか?

 1. 損害賠償の義務を負う
 2. 損害賠償の義務を負わない


 ▼ 解答は、メールマガジン下部にあります。 ▼



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■ 裁判員のための刑法入門
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 「その6 〜正当防衛〜」

 第6回目の今回は、「正当防衛」について説明します。

 「正当防衛」という言葉については、日常会話でも使われることがあるた
 め、比較的イメージしやすいのではないでしょうか。「相手がいきなり殴
 りかかってきたので、やむを得ず応戦した」ような場合を、正当防衛の例
 として想像される方も多いと思います。

  刑法における正当防衛が成立するためには、(1)急迫不正の侵害に対し
 て、(2)自己または他人の権利を防衛するために、(3)やむを得ずにした行
 為、であることが必要です。「急迫不正の侵害」とは、「不正な差し迫っ
 た攻撃」のことですが、いくつか例を挙げてみましょう。

  まず、喧嘩の場合に正当防衛が成立するかについては、原則として成立
 しないとされています。確かに、喧嘩の一場面だけをみれば、一方がもっ
 ぱら防御に終始するような場面があり、その場面での反撃が正当防衛とな
 るようにみえることがあります。しかし、全体としてみたときに、喧嘩状
 態が継続しているとみられる場合には、「差し迫った攻撃」があったとは
 いえないため、正当防衛が成立しないというわけです。

  次に、攻撃を予期していた場合にも、「差し迫った攻撃」といえるかに
 ついては、単に「攻撃されるかもしれない」という程度の予期であれば、
 その予期の通りに攻撃があったとしても、「差し迫った攻撃」といえるの
 に対し、攻撃を予期して反撃のための武器を用意していたり、攻撃の機会
 を利用して相手を攻撃しようとした場合には、「差し迫った攻撃」とはい
 えないと判断されています。

  また、不正な攻撃に対する反撃だからといって、何をしてもよいという
 わけではありません。自己または他人の権利を防衛するために必要最小限
 度のものであることが必要です。この程度を超えてしまった時には、「過
 剰防衛」となり、無罪とはなりません(情状により刑が減軽され、または
 免除されます)。

  過去の例では、(1)素手による攻撃に対してナイフで反撃した場合、(2)
 空手の有段者が一般人に対して回し蹴りをした場合、(3)攻撃が止んだに
 もかかわらず、さらに攻撃した場合、などに過剰防衛の成立を認めていま
 す。

 次回は、「緊急避難」について説明します。


 ○Q&Aコーナー

 Q 刑の免除は無罪とは違うのですか?

 A 刑の免除は、罪となるべき事実があることを裁判所が認定したうえ
   で、「被告人に対し刑を免除する」との判決をするもので、罪となる
   べき事実が存在しない無罪の判決とは異なります。刑に処されたわけ
   ではないので、再度罪を犯した場合であっても累犯としては扱われま
   せんが、有罪判決の一種ですので、犯歴となり、資格制限を受ける可
   能性があります。この資格制限は、刑の免除判決を受けてから2年間、
   罰金以上の刑に処せられなければ解除されます。

   似た概念として「刑の執行の免除」がありますが、こちらは有罪判決
   で確定した刑について、その執行のみを免除するものです。こちらは
   刑に処されたことになるので、再度罪を犯した場合は累犯として扱わ
   れます。



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■ なっとく!法律相談 第464回
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 「個人のお金の貸し借りにも利息制限法の適用はある?」

 □相談□

  個人のお金の貸し借りにも利息制限法を適用できますか?また、債務者
 本人が病気や精神病などで債務整理をする意志があっても出来ない場合の
 代理人手続きはどうすればいいのでしょうか?

                        (年齢不詳:性別不明)

 □回答□

  個人のお金の貸し借りにも利息制限法の適用があります。

  まず、利息制限法とは、お金の貸し借り一般について、利息の最高限や
 賠償額予定の制限に関する基本原則を定めた法律です。
  貸主が、法人であっても個人であっても、また、事業者であっても非事
 業者であっても適用対象となります。
  すなわち、個人同士のお金の貸し借りであっても、利息制限法の適用が
 あるのです。
  利息制限法による最高限(元本が10万円未満の場合は、年2割、元本が
 10万円以上100万円未満の場合は年1割8分、元本が100万円以上の場合は年
 1割5分)を超えた利率を定めても、この制限を超える部分については無効
 となります。
  また、利息制限法の制限を超える利息を任意に支払ったときは、元本に
 充当されるというのが裁判所の判断です。元本を完全に支払ってしまった
 場合は、すでに支払った利息制限法の規制を超える利息の返還を請求でき
 ます。
  なお、個人としてお金を貸す者であっても、年109.5%を超える割合に
 よる利息の契約をすると、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に
 処し、又はこれを併科される可能性があります(出資法5条1項)。

  次に、債務者本人が病気や精神病であったとしても、自ら有効な意思表
 示ができるのであれば、有効に代理人を選任して債務整理をすることがで
 きます。
  つまり、債務整理をしようという意思をもつだけの知能があれば、有効
 に代理人を選任することができるのです。
  自ら有効な意思表示ができないのであれば、「成年後見制度」を利用し
 ましょう。後見開始の審判は、本人だけでなく、配偶者や、4親等内の親
 族なども申し立てることができます。
  法定代理人として成年後見人が選任されれば、成年後見人が、弁護士な
 どに債務整理を依頼することになります。

  なお、債務整理をする場合、相手が個人にとどまらず、プロの貸主も含
 まれるのであるならば、弁護士などの専門家に任されたほうが良いでしょ
 う。


  [関連情報]
  ・借りたお金には必ず利息がつく!?
   http://www.hou-nattoku.com/quiz/0120.php



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■ 法律クイズ 第149回 【解答】
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 「弁護士が書類を紛失したら!?」

 □解答□
 
 2. 損害賠償の義務を負わない

  弁護士又は弁護士法人は、事件が終了した時から、公証人はその職務を
 執行した時から「3年を経過した時」は、その職務に関して受け取った書類
 について、その責任を免れるとされています(民法171条)。

  本問では、Aさんと元夫との離婚裁判からすでに4年が経過しています。
 そのため、B弁護士が最近、Aさんの訴訟資料を紛失してしまったとしても、
 B弁護士は、損害賠償の義務を負わないことになります。

 証拠書類として弁護士に提出したもので、後日必要と思われるものは、あ
 らかじめコピーを取っておくか、訴訟終了後、早めに返還してもらう必要
 がありますね。



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