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売れないフリーランスライターの真魚が日々の生活の中で感じた喜怒哀楽(不平不満?)を綴った極私的コラム。

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2008/03/18

Hibi no Awawa 2008/03/18

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● Mail Magazine 日々のあわわ         2008年03月18日(火) 第179号 

〜○。今日のあわわ〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。

 蘇る金狼

〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜

 かねてより待ちこがれていたジーン・ウルフの『新しい太陽の書』シリーズ
(早川書房)の関連本『The Urth of the New Sun』の翻訳が、この夏、で
るそうです。『新しい太陽の書』は『拷問者の影』『調停者の鉤爪』『警士の
剣』『独裁者の城塞』の4部作で完結しているのですが、『The Urth of the 
New Sun』は主人公のその後が描かれ、4部作中の謎がいくつか解明されると
いう、一種の補完的な作品です。邦訳決定というアナウンス(『SFマガジン』
2007年4月号)があってから1年あまり、そろそろなんとかしてくれよとは思
っていたら、この吉報。何はともあれめでたい。生きてて良かったです。
 ただし、一つ、困ったことが。なんと、早川書房では『新しい太陽の書』シ
リーズを4月から新装版にして、順次刊行していくというのです。「何で、今
頃?」と思ったのだけど、『The Urth of the New Sun』の翻訳が出るから、
この機会に新装版でシリーズ全てを揃えようということですよね。ということ
は、私の本棚には「新しい太陽の書」が3セット並ぶことになるのか? うわ
あ……。
 実は、私はこの『新しい太陽の書』については、早川書房に振り回されっぱ
なしです。2004年に出た『ケルベロス第五の首』(国書刊行会)を読んで、
遅ればせながらジーン・ウルフを知り、『新しい太陽の書』シリーズを読んで
みたいと思いました。ところが、当時、早川書房は『SFマガジン』2004年10
月号でジーン・ウルフ特集まで組んで、『新しい太陽の書』を文庫の写真入り
で紹介しておきながら、版元品切状態のままにしていたのです。図書館で借り
て読むだけでは飽き足らなくなり、Yahooオークションにまで手を出して、古
書で全巻を揃えました。
 すると、間の悪いことに1年後の2005年秋、早川書房創立60周年記念リバイ
バル・フェアで『新しい太陽の書』が復刊。どうせ出すなら、『The Urth of 
the New Sun』も加えた上で、全5冊、新訳で出してほしかったのですが、そ
れでも、初版の間違いが訂正されているし、つい4冊まとめて買いました。
 そのときは「いいカモだよな、私って」と自己嫌悪に陥ったのに、それなの
に、今度は新装版。装丁はどうでもいいのですが、解説が『ケルベロス第五の
首』を翻訳した柳下毅一郎さんというのが気になって、また、買ってしまいそ
うです。あああ、早川の馬鹿! 私の大馬鹿! 本当にいいカモだよ。
 今回の新装版の表紙は『ヒカルの碁』や『デス・ノート』などのヒット作を
手がけた小畑健さんだそうです。表紙が小畑さんということは、早川書房はあ
の『人間失格』の顰みに倣って、売る気まんまんで力を入れているってことで
しょうか。ただ、『新しい太陽の書』は面白いんだけど、『デス・ノート』の
ような分かりやすい面白さではないんですよね。中世の異世界ファンタジーか
と思ったら、徐々にSFの構図が透けて見えてくるという見事な構成。単なる
冒険譚として読んでいくこともできるのだけど、ふと、「ここは間違っていな
いか?」と気づき、主人公は意識的にせよ無意識にせよ、信用できない語り手
なのではないかと疑い始めたら、どつぼにはまってしまう。そこで、「分から
ん」と放り出すか、虜になって何度も読んでしまうかに別れていくような気が
します。小畑さんの絵にひかれて手に取ったはいいが、困ってしまって死屍累
々という結果になりそうな予感が……。
 でも、たとえ表紙目当てであっても、たくさんの人が手に取ってくれれば、
新しい読者層を開拓できるということですよね。それに、なんであれ、売れた
という実績ができれば、ウルフの翻訳が続々とでるようになるかもしれません。
そうやって良かった探しをしながら、発売日の4月23日を楽しみにしている愚
かな自分を慰めています。

〜○。あわわ後記〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜〜○。〜○。〜
 
 今後、『The Urth of the New Sun』以外の翻訳は国書刊行会から『The 
Wizard Knight』、未来の文学第3期で短編集『ジーン・ウルフの暦』が予定
されています。『The Book of the Long Sun』『The Book of the Short Su
n』『Latro』など、未訳の本はまだまだいっぱいあります。特に『新しい太
陽の書』に関するエッセイ『The Castle of the Otter』と短編『Empires of 
Foliage and Flower』『The Cat』は読みたくてたまりません。早川書房の新
装版が売れるように祈っています。
 次回は2008年3月30日(日)を予定しています。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。
 
                    真魚
              e-mail:92104094@people.or.jp

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