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2008/05/28

競馬の文化村「もきち倶楽部」   No.886

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競馬の文化を発信するメール・マガジン       2008 年05月28日発行
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    競馬の文化村「もきち倶楽部」          No. 886

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▼目 次▼

■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第22回         飯田正美

   本日はちょっと変わった日。オークスが少し心配になった


■ 馬の名前に文化を読む 第321回            森本 健  

      ケンタッキーオークス: Proud Spell  牝3歳


■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第556回   編:山本一生  

   競馬ノート15:競馬切抜帳(56)

     悲観の包囲網、オグリ不安説ますます高まる


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■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第22回         飯田正美   
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   本日はちょっと変わった日。オークスが少し心配になった
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 GIの行なわれる日は、各競馬場の発走時間が変わることになっている。2場、
あるいは3場で開催があるときは、GIレースが各場メイン・レースの最後に来
るようになっていて、その直前は馬券が売れるようにと、間隔がたっぷりとって
ある。普通なら新潟、東京、中京の順でレースがスタートするが、東京競馬場で
オークスが行なわれるこの日は、新潟、中京、東京の順。スタート時間が変われ
ば、馬券発売の締め切り時間も当然変わる。いつの間にか締め切られていて、狙
い込んでいたレースを買い逃すのがこんな日だ。

 記者室からふと外のコースを眺めると、合図の赤旗が振られ、2レース出走の
各馬がゲート近くに集合している。当方は、いつもこれを機に記者室を出て、レ
ース観戦用机に着席することにしている。しかし、この日はいつもとちょっと違
っていた。一度集まった馬が、再び三々五々2コーナー奥の日除けに戻って行っ
たのだ。
「あれ、どうしたんですかね? 一度集合したのに、また戻って行っちゃいまし
たよ」
「さあ、どうしたんですかね」
 隣の席のK社Sトラックマンも怪訝そう。

 ゲート付近を見ていると、見間違いかどうかスターターらしき人がスタスタと
スタート台に向かい、台上に。しばらくすると、再びスタスタとゲートあたりに
戻って行った。その頃、ようやく集合の赤旗が振られ、各馬再びゲート後方に集
合。時計を見てみると、発走時刻 10 時 30 分の少し前。
「もしかすると、時間を間違えたんですかね。ほら、いつもは 25 分発走ですか
ら」
「そうですね。たぶん間違えちゃいましたね」
 K社Sトラックマンも相槌を打つ。
 穏やかな気温の時季で良かった。これが、寒風吹きすさぶ2月の開催だったら、
5分も早く外に出た当方は風邪を引いてしまうところだった。

 その2レースは無事終了。さてその後は、ラジオNIKKEIの「特別レース
展望」の時間。3レースの実況を挟んでオークスの展望をしゃべり終え、次は一
緒に出ている競馬ブック・松本憲二さんの解説の番。
「お話の途中ですけど、一頭放馬しているようですね。これはどの馬でしょう。
2番のハードトゥセイのようです」
 突然、松本さんの解説に割って入る白川次郎アナウンサー。
「どうしたんでしょう。田中勝春騎手のフェアープロも一緒に走っています。蛯
名騎手はどうでしょうか。あっ、立ち上がっていますね。大丈夫のようです」

 馬場を見ると、田中勝騎手のフェアープロが先導する形で、放馬したハードト
ゥセイがその後を追走している。
 一見すると、放馬したハードトゥセイを田中勝騎手が誘導しようとしているか
のように見える。しかし、途中でハードトゥセイが交わし、今度はこれをフェア
ープロが追い、しばらくするとまた交わして先頭に立つ。
「まずいですね。フェアープロはこれで3周目に入りますよ」
 これは松本憲二さん。どうやらフェアープロは、返し馬から折り合いを欠いて
暴走し、これに、放馬したハードトゥセイが絡んだらしい。
 2頭で負けん気を出すものだから、どこまで行っても止まらない。おまけに、
一頭には田中勝騎手が騎乗しているものだから、例の旗付きロープ ( 効果のほ
どは疑わしい ) で通せんぼするわけにもいかない。飛び越えようとして落馬す
ると、大怪我につながりかねない。

 というわけで、延々4周して疲れ果て、2コーナー手前で 2 頭そろっておと
なしく捕まった。
「いやあ、良かったですね。今日中にレースが出来るか、心配しましたよ」
 松本憲二さんの冗談は、当方初めて耳にした。
 2レースといい、このレースといい、松本さんの冗談といい、本日はちょっと
変わった日。オークスが少し心配になった。

 悪い予感は的中するもの。かなり自信があった本命のソーマジックは、最後伸
び切れず8着。ゴール前確かに不利があったが、あの脚色では勝ち負けは無理だ
った。1着トールポピー、2着エフティマイア、3着レジネッタの、△ヌケ△の
決着で大惨敗。今年のGI戦線は、よほど気を引き締めてかからないと痛い目に
遭わされてしまう。このコラムで何度も書いてきたことだが、レースが終わるま
でコロッと忘れてしまっていた。

 記者室では、ゴール後しばらく喧々諤々。もちろん、勝ったトールポピーの内
斜行に関してだ。
「アウトでしょう。あれだけ他馬の妨害したら降着ですよ」
 祈るような気持ちで某社Tトラックマン。4着ブラックエンブレム絡みの馬券
は持っている。
「セーフ、セーフ。こんなの、ぜんぜん平気だよ」
「けっこう邪魔していますよ。画面に映ってない、これからもう一度やっていま
すから危ないですよ」
 レース・リプレイを観ながら、当方。

「○○ちゃんはいないの?」
 これは某社Nトラックマン。あまりの意見の割れように、写真判定では必ず逆
を言うと、記者席一部で定説となっている某社Sトラックマンのご託宣がほしい
という冗談。もしSトラックマンがいれば「アウト!」といったのだろうか、ト
ールポピーはセーフの判定。とはいえ、池添騎手はダービーの週2日間の騎乗停
止処分。限りなくアウトに近いセーフだった。

 当方も、何を隠そう、必ず逆を言うと茶化されている某社Sトラックマン・タ
イプ。先週号ではゴルフの石川遼選手の年齢を間違えた ( ごめんなさい ) ぐら
いだから、アウト、セーフの微妙な判定なんぞ、簡単に間違えてしまいます。



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■ 馬の名前に文化を読む 第321回            森本 健  
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   ケンタッキーオークス: Proud Spell  牝3歳
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  134 回目を迎えたケンタッキー・オークス(G1 9f)は、ケンタッキー・ダー
ビーの前日 5 月 2 日に同じチャーチルダウンズ競馬場で行われ、Proud Spell 
の完勝だった。


  Proud Spell (牝 3 歳父 Proud Citizen 母 Pacific Spell)

  Proud Spell は直訳すると「誇らしげな呪文」ということであるが、これで
は何のことやら分り難い。「見事な魔術」とでも言った方が、イメージが沸くだ
ろう。Proud は「誇れる」から派生して、「見事な、立派な」の意味を持ち、ま
た Spell も「呪文」からその結果起こる「魔法、魔術」までの意味を含んでい
る。
 恐らくは、「レースにおいて、まるで魔法でも演じたかのように見事に勝つ」
ことを願っての命名であろう。
 この馬の名前が、両親の名前から合成されたのは明白である。

 父親 Proud Citizen は「立派な、誇るべき市民」であるから「名誉市民 
Honorary Citizen」と同様の意味と解釈できるが、この馬の場合、母親が Drums 
of Freedom「自由のドラム(太鼓)」であり、父親も Gone West「西部に行った
(若者)」なので、南北戦争あるいは西部開拓で活躍した英雄をイメージしてい
るのだと想像できる。
 ちょうど今週の月曜日 5 月 26 日はそうした戦いに参加し戦死した人たちの
栄誉を祝う Memorial Day の祝日であった。この日は、それこそ私の住んでいる
ような小さな町でもパレードが行われ、鼓笛隊が先導してバグパイプが吹かれた
りする。下の娘は高校でマーチングバンドの所属していたから、毎年パレードに
参加しバグパイプを吹いていた。
 ちなみにその高校はスコットランド風のマーチングバンドが有名で、 4 年に
一度は必ずスコットランドに遠征するし、またかつて 70 年代にはマーチングバ
ンドの全国大会で優勝したことがあり、その翌年はプリークネス・ステークスに
呼ばれてレース前に演奏行進したそうだ。正確に年を覚えていないが、Affirmed 
三冠の年であったような気がする。

  Drums of Freedom の母親は Danseuse Etoile 、フランス語で「星の(よう
な)ダンサー」だからそのまま「スター」ということだろう。それだけだと何と
言うこともなさそうだが、この馬の命名者は多分この「星」に「星条旗」を重ね
てみていると思われる。
 アメリカの人たちが「自由、栄誉」ということを口にする場合、その象徴とし
ての「星条旗」の三色(赤白青=フランスと同じ)とこの「星」は相当な重みを
持っていることが多い。

  Proud Spell の母親 Pacific Spell も、直訳して「太平洋の呪文・魔法」で
は一体何のことか良く分からないが、一方で適当な訳も見つけられない。強いて
言うなら「太平洋に面した魔法のような住居」だろうか、ここは母親の名前と合
体してイメージしてもらうのが一番のようだ。

  Pacific Spell の 母親は Malibu Magic である。Malibu はご存知の人も多
いかと思うが、ロサンゼルス北西郊外の太平洋に面した超高級住宅街マリブで、
マイケル・ジャクソンをはじめ常識を超えるような金額を手にした人たちが、こ
れまた常識を超えるような金額で建てた家が並んでいる。
  Malibu Magic は単に「マリブの魔法」だが、マイケル・ジャクソンが自宅を
「ネバーランド」と名づけているように、町自体がすでに「魔法の国」の世界で
あるから、町そのものあるいは並んでいる家々のことを指していると考えても大
きく外れていないだろう。

 レース・コンディションは、天候こそ曇りだったが半分水の浮いた状態の馬場
で、中には気にする馬もいたのではないだろうか。
  Proud Spell はすんなりと出て好位置に付け、向こう正面で 2 番手に上がる
と、3 コーナー過ぎでは先頭に並びかける勢い、直線を向いて難なく抜け出すと
あっさりと後続を突き放し、最後は 5 馬身差をつける圧勝だった。

 昨年無敗で BC に挑戦して Indian Blessing の 2 着となったが、今年も緒戦
でその前年チャンピオンに敗れて 2 着だった。2 戦目のフェアグランド・オー
クス(G2)では 3 度目の正直、ついに雪辱を果たして勝ったものの、前走で不
覚を取って 3 着と必ずしも順風満帆ではなかった。今回はライヴァル Indian 
Blessing が回避し、さらには Eight Belles がダービーに回ったことなどもあ
り、1 番人気だった。
 牝馬でトップクラスに居ることは間違いなく、出来ることであれば Indian 
Blessing との対決を秋にも見せて欲しいものである。


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「日記とはもともと、その周辺の人々の物語の集合体なのかもしれない。
 有馬日記の人々について調べながら、たびたび奇妙な感覚に襲われたのは、
 そのためだろうか。これは日記ではなく、創作ではないか、との感覚であり、
 私が興味を抱いているのは、有馬頼寧という人間ではなく、有馬日記という
 物語ではないか、との思いである」
                         (「あとがき」より)


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■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第556回   編:山本一生  
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   競馬ノート15:競馬切抜帳(56)
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 悲観の包囲網、オグリ不安説ますます高まる
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 すでに90年の有馬記念にオグリキャップが勝ったのに、今さらこんな記事を
紹介するのもおかしな話にちがいないが、オグリキャップが、こんな状況の下に
勝ったのだということを紹介しておくのも、これだけの名馬に関する逸話として
再録する価値は充分にあると思う。
 とほ言え、本当のことを言うと、私のスクラップブックには、スペースの関係
で、この記事が、オグリの勝った記事より後に貼ってあったから、こんなことに
なったのである。
 サンスポ(90/12/20)にのったものである。


 闘争心が消滅? オグリキャップ(栗東・瀬戸口厩舎、牡6歳)をとりまく状
況は依然厳しい。有馬記念(23日、中山 GI 、芝2500m)での奇跡の復活
はやはり無理なのか。
 昭和63年春の中央デビュー以来、オグリキャップを被写体として追い続けて
いる本紙・倉内カメラマンの目にも怪物は変調をきたしているように映るという。
「カメラをのぞけば、のぞくほど迫力がないんだ。どこがどうのとはいえないが、
昔はレンズに飛び込んでくるような勢いがあった」。
 馬を見る目は素人でも、いったんカメラを手にすればプロ。立体的な視点もあ
る。レンズの向こうで起こった怪物の異変は否が応でも察知されるのだ。
 調教終了時刻が、ホワイトストーンとほぼ同時。引き揚げてくるオグリを見た
ホワイトの高松調教師が「怪物恐るるに足らず」と怪気炎をあげれば、2頭の姿
をじっと見守った国枝調教師もこう言う。
「体重はオグリのほうが50キロぐらい重いんだけど、ホワイトストーンのほう
がはるかに大きく見える。ストーンの今の充実ぶりほすごいね。それに比べると
オグリはだいぶ小ぢんまりしちゃったという印象だ」。
 午後の厩舎では運動後、池江厩務員が日課となったマイクロレーダーを全身に
当てながら、カイバ桶に首を突っ込んだオグリを見つめていた。
「この一戦が最後と思うと、なにか寂しくてな。だから引退レースぐらいはオグ
リらしい競馬を見せてほしい。こいつもこれが最後だと思って、気合をいれてく
れればいいんだが……」
 中央入りして以来、1日として休むことなく、オグリの世話を焼いてきた池江
さん。来年2月でもう93年になる勘定だ。目に見えて衰えを見せるオグリをよ
みがえらせるのは大恩人の願い、祈りに頼るしかないのだろうか。
 武豊が乗る注目の追い切りは今日行われる。


 こんな状況にあって、オグリキャップは、あのようにすばらしい勝ち方をした
のである。
 野平祐二調教師は、サンスポ(90/12/24)の「祐ちゃんの目」というコラムで、
次のように言っているのは、正に当を得た見方であろう。

「はっきりいって競走馬としてのピークは過ぎていたと思う。しかし、ピークを
過ぎたからといって力がゼロになるわけではないのだ。私がジョッキー時代に乗
って有馬記念を連覇したスピードシンポリは、7歳、8歳での優勝だった。彼は
当時、競走馬としてのピークを過ぎていた。しかし、それでもまだ他馬より能力
は上回っていた。
 オグリキャップの場合も、まだ他の馬より力が上だったのである。その力を武
豊騎手がみごとに引き出してみせた。・・・スローペースがオグリキャップに味
方したともいえるだろう。本質的にはオグリキャップはマイラーである。実質、
残り1600mの競馬になり、身上の瞬発力を最大限に発揮できたと思う」


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  日本競馬史に永久に残るだろう『競馬研究ノート』シリーズのどのページ 
  を開いても、未踏の時代を先駆者として生き抜いた温厚な教養人の魅惑的 
  な低音が聞こえてくる。
  ぼくらはそれに育てられた

                             石川喬司

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  競馬の文化村「もきち倶楽部」              No. 886 
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  BACK NUMBER http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000042700
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【発行者】     安部俊彦 
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【編集人】     山本一生 
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【WEB】     http://www.bunkamura.ne.jp/mokichi-club
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【MAIL】     mokichiclub@bunkamura.ne.jp
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【制 作】     (有)ケーズオフィス 
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【WEB】     http://www.kz-office.co.jp
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Copyright(C)2000-2008 もきち倶楽部 許可無く転載することを禁じます。

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