競馬の文化村「もきち倶楽部」 No.874
競馬の文化を発信するメール・マガジン 2008 年04月30日発行
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
競馬の文化村「もきち倶楽部」 No. 874
●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●
▼目 次▼
■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳 第18回 飯田正美
記者席ではいつでもどこでも小バクチの材料がゴロゴロ
■ 馬の名前に文化を読む 第317回 森本 健
アーカンソー ダービー:Gayego 牡3歳
■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第548回 編:山本一生
競馬ノート15:競馬切抜帳(48)
オグリのプレゼント
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳 第18回 飯田正美
-----------------------------------------------------------------------
記者席ではいつでもどこでも小バクチの材料がゴロゴロ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
賭け事好きの国民といえばイギリス人。なんでも賭け事の対象にしてしまうブ
ックメーカーの存在はあまりに有名だろう。しかし、そのイギリス人もびっくり
というのが競馬専門紙の記者席。それこそ、何でもかんでも賭け事の対象にして
しまう。
普通の世の中と同じで、高校野球、大相撲はもちろん一大イベント。いくつも
の胴元が、趣向を凝らして客を勧誘し、一人で何口も申し込むのは当たり前で、
中には宝くじよろしく、グループ買いするものたちもいる。
年間を通じて行なうペーパーオーナー・ゲームも盛んなら、ペーパー・ジョッ
キー、ペーパー・トレーナーというのもある。
ペーパー・ジョッキーもペーパー・トレーナーも、前年のランキングの下位数
人をそれぞれメンバーで持ち合い、馬が勝つたびにその単勝配当金を払い戻すシ
ステム。大穴ジョッキー、あるいは人気薄で勝つことの多い一発厩舎などは人気
が高い。もちろん、指名が重なればジャンケン勝負ということになる。
ワールド・ジョッキー・シリーズなんかも、小バクチの格好の対象となる。出
場ジョッキーをメンバーでそれぞれ持ち合い、勝ったものが賞金を総取り。レー
ス観戦にも、自然力が入る。
ほとんど同じ要領で、デビュー間近の騎手候補生の模擬レース、さらには何年
前だったか、夏の福島開催の昼休みのイベントで行なわれる相馬野馬追いにまで
賭けが成立したときには、さすがにおいらも驚いた。
騎乗停止処分で武豊騎手のスタートが遅れた去年、一つの賭けが成立した。そ
れでもやっぱり武豊騎手がリーディング・ジョッキーになるか、それとも他の騎
手がなるか。だが、その一方の当事者である他の騎手の方に賭けていたトラック
マンが、その夏の函館出張中に無免許運転で事故を起こし、会社を退職。賭けが
成立したのかどうか、結末は知らない。
「差したね。外が届いたね」
「何言ってんですか。内が粘りましたよ」
「よし、外に500円!」
「受けた!」
といった具合に、記者席ではいつでもどこでも小バクチの材料がゴロゴロ。
「同着に 200 円 !」
中には、その小バクチに割って入るものまでいる。
テレビ観戦の関西のレース。向こう正面に入ったころ、いきなり声がかかる。
「8 番の単勝 100 円、誰か呑んで !」
「いいですよ。その代わり10番の複勝を呑んでくださいよ」
すぐに、どこからか返事が返る。
ローカル開催の福島のレースを観ていると、新人・三浦騎手が鮮やかな勝利。
「ホント、うまいねえ。これなら、今年 30 勝は楽々行くでしょう」
「行かないね!」
即座に反応する S トラックマン。
「賭けるか ? 競馬には落馬もあれば騎乗停止だってある。オレは 30 勝無理だ
と思うね」
うまや育ちで、実弟は元騎手で現調教師。話し好きで世話好きで、ついでに小
バクチ好きで、若手に人望のある名門ダービーニュースの名物トラックマンだ。
ヒカルイマイ = ハーバーローヤルで決まった昭和 46 年のダービーを◎ = ○
で当てたのが自慢。ことあるごとに話題にしたものだから、最近は若手にことあ
るごとに話題にされて冷やかされる。
ラジオの放送中、人気薄が 1 、2 着。思わず言ってしまった。
「マンシューですねえ」
「S さん、マンシューと言っても視聴者には何のことか分かりませんから、今度
はちゃんと万馬券といってください」
放送終了後、アナウンサー氏にそう言われてしまった。エピソードには事欠か
ない。
「S さん、三浦騎手これで 10 勝目ですよ」
これは当方。
「え、え〜、そうなの。オレはまだ 5 〜 6 勝だとばかり思っていたよ。まずい
な、これは」
一瞬、沈黙。続けて、
「いや、無理、無理。ホラッ、競馬には落馬だって騎乗停止だってあるんだから。
分かった。M( 後輩トラックマン ) 、二千円な」
「え〜、そうですかあ〜。こんなの、普通一万円じゃないですか。少なくったっ
て五千円ですよ」
不満そうな、M 後輩トラックマン。余計な口を差し挟み、儲けを目減りさせて
しまったかもしれない…。
いつも、話の輪の中にいてニコニコしている S トラックマン。競馬記者の中
枢をなしてきた団塊の世代で、もうそろそろ定年の話しが出る年頃。しばらくは
残るのか、それともスパッと辞めてしまうのかは知らない。しかし、もし S ト
ラックマンがいなくなると記者席はさびしくなる。日々成立する小バクチの数も、
グンと減ってしまうに違いない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 馬の名前に文化を読む 第317回 森本 健
-----------------------------------------------------------------------
アーカンソー ダービー:Gayego 牡3歳
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1936 年に創設され、ケンタッキー・ダービーへの有力なステップレース、ア
ーカンソー・ダービー(G2 ダ 9F)は 4 月 12 日オークローンパーク競馬場で
行われ、Gayego が勝った。
Gayego (牡 3 歳 父 Gilded Time 母 Devils Lake)
Gayego という単語は実は存在しないのだそうだ。この馬の名前は、本当は
Gallego がスペルとしては正しく、スペイン北部のガリシア地方 Galician の人
たち、あるいはそこで話されている言葉である。
ただこれを英語で発音すると、地元の発音(ガイェゴくらいの音)にはならな
いので、オーナーが名前を登録する際に、元の音に近づくよう ll を y に変え
て申請した。オーナー夫妻は 30 年ほど前のキューバからの移民であるが、とも
にルーツを探すとスペインのガリシア地方であることから、この名前を付けたそ
うだ。
父親 Gilded Time は「輝かしい時代」、父親 Timeless Moment「時間のない
瞬間」と Gilded Lily「金色の百合」の組み合わせになっている。
「時間のない瞬間」とは、そのまま「時間がない」と解釈することも出来なくは
ないが、普通は「名残惜しくも時間が来てしまった」様子や、「あっという間に
過ぎてしまった」楽しい時間のことを指す。この馬の場合、母親が Hour of
Parting「出発の時間」だから「名残り惜しい」感じがぴったり来る。
「輝かしい時代」は一般に、「古きよき時代」をイメージするであろうから、オ
ーナーの先祖をたどって、Gayego という名前を付けたのには、Gilded Time と
いう名前が一役かっていたような気がする。
母親 Devils Lake は「悪魔の湖」は、多分地名であろう。アメリカのノスダ
コタ州にその名の湖があり、付近に同名の町があるようだ。
Devils Lake の父親は Lost Code「失われた暗号」、その父 Codex「(聖書
などの)写本」とくると、なにやらダヴィンチ・コードを連想させるが、この馬
は 1984 年生まれなので、本よりは早くこの世に出た。
ちなみに、Codex の父親は Arts and Letters というつながり、母親は Lost
or Gain「失うか、取るか=いちかばちか」であるが、そのまた母親が Gain or
Lost である。コメントは不要かと思う。
Gayego はこれで 5 戦 3 勝 2 着 2 回である。2 歳時は、2 戦 1 勝だった
が、年明けて G 外のステークスを勝ち、前走サンフェリペ S(G2)でも 2 着に
来て、力のあるところを見せていた。
アーカンソーダービーでは 1 番人気でしっかり勝ち、今年の混沌としたダー
ビー戦線のトップグループに食い込んできた。
今年の予想が難しいのが、有力といわれた馬たちが不可解な大負けをしたこと
にある。したがって、予想の多くは、大負けをしていない馬に集中するのだが、
大負けした馬もそこまでは極めて順調だったわけで、ここまで順調だからといっ
て、今回大負けしないとは限らないだろうと、疑心暗鬼になっている。
私はブルーグラス前に、本命と思っていた Pyro をもう一度推したい。
ブルーグラスの負け方は確かに良いところがなく、人気が下がるのも分らなく
はないが、逆に無理をしなかったとも取れるのではないか。10 着から巻き返せ
るのかと聞かれて、大丈夫という材料は何もないが、かといって他に「コレ」と
いう馬がいないので、もう 1 回だけ見てみたいと思う。
対抗は Tale of Ekati でどうか。巻き返しはすでにウッドメモリアルで果た
したので。力を出せれば上位に来るだろう。
無敗の Big Brown は勝つときはあっさりだろう。だが揉まれて力を出せない
可能性もあり、単穴評価に最も相応しい。
その他の馬は上げていたらきりがないので、3 頭だけにする。今回どの馬が勝
っても驚かないし、最下位になっても驚かない。3 連単当てるのは至難の業で、
単勝勝負が妥当である。
◎ Pyro
○ Tale of Ekati
▲ Big Brown
========================================================================
♪♪ 近衛文麿、志賀直哉から“日本のマザーテレサ”まで、
吉田絃二郎、柳田国男から松根東洋城まで、
多彩な登場人物が織り成す、華族社会の桎梏のドラマ!
有馬記念の“父”が遺した恋の日記。
行間から現れた意外な事実とは・・・
東京大学名誉教授・伊藤隆氏推薦の本格歴史物。
山本一生著『恋と伯爵と大正デモクラシー 有馬頼寧日記 1919』
四六版上製 368 頁:税込 2,100 円
日本経済新聞出版社
http://www.nikkei-bookdirect.com/bookdirect/item.php?did=16636
「日記とはもともと、その周辺の人々の物語の集合体なのかもしれない。
有馬日記の人々について調べながら、たびたび奇妙な感覚に襲われたのは、
そのためだろうか。これは日記ではなく、創作ではないか、との感覚であり、
私が興味を抱いているのは、有馬頼寧という人間ではなく、有馬日記という
物語ではないか、との思いである」
(「あとがき」より)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第548回 編:山本一生
------------------------------------------------------------------------
競馬ノート15:競馬切抜帳(48)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
オグリのプレゼント
-----------------------------------------------------------------------
次の記事は、朝日(90/12/29)にのったものである。
有馬記念でドラマチックな花道を飾ったオグリキャップの馬主近藤俊典さん
(56)と瀬戸口勉調教師(54)が、28日、朝日新聞東京本社を訪れ、優勝
賞金の一部の300万円を同厚生文化事業団に寄付した。 近藤さんらは、「祝
賀パーティーに大金を使うより、恵まれない子供たちのために役立ててほしい」
と、オグリキャップの名前を書き入れた包みを手渡した。
子供たちもきっとオグリキャップの名前を忘れないにちがいない。
また、朝日新聞(90/12/27)に、この標題のような見出しのついた読者の投書
が「声」という欄にのっていた。
引退する中央競馬の“怪物”オグリキャップが、有馬記念レースに優勝し、有
終の美を飾った。
地方公営の岐阜・笠松競馬でデビューしたこの馬が、一流馬をなぎ倒して中央
競馬で20戦12勝の成績を上げ、競馬ファンはもとより、多くの人々に血をわ
かせた素晴らしい足跡は、人間なら「国民栄誉賞」に値する。
そして、まだ優勝できる余力を残して「惜しまれて去る」その引き際は、権力
の座につくと、いたずらにその座にしがみついて引き際を誤る政治家諸氏や企業
経営者に、お手本を示したようである。
この功績に対し、中央競馬会で「オグリキャップ基金」を新設し、天寿を全う
させるとともに、そのスタートの地、笠松競馬場に等身大の銅像を建立してほし
いと切に望む。
オグリの引退は、ちょうど良い時であったので、特に見事な引き際というほど
のことはなかったであろうし、その引退を政治家の引退と比較するのもどうかと
思うが、筆者の気拝は良く分かる。
私は、朝日新聞が、このような読者の投稿を取り上げたことを評価したいので
ある。
========================================================================
日本競馬史に永久に残るだろう『競馬研究ノート』シリーズのどのページ
を開いても、未踏の時代を先駆者として生き抜いた温厚な教養人の魅惑的
な低音が聞こえてくる。
ぼくらはそれに育てられた
石川喬司
========================================================================
♪♪ 童話から専門書までを駆使して、あなたを興奮の坩堝に誘うミステリアス
な競馬ワールド。「競馬学への招待」から三年、いま競馬学は冒険となる!
山本一生著 『競馬学の冒険』 毎日新聞社 1600 円
競馬がいる 競馬の消えた日
二着の不在、物語の空白 をみなごたちの春
マッチレースへの憧れ エッチンゲンのめまい
競馬場のカストラート ワンダーランドの昨日、今日、明日
ケンタッキーの呼び声 天国に最も近い競馬場
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
競馬の文化村「もきち倶楽部」 No. 874
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
BACK NUMBER http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000042700
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【発行者】 安部俊彦
------------------------------------------------------------------------
【編集人】 山本一生
-----------------------------------------------------------------------
【WEB】 http://www.bunkamura.ne.jp/mokichi-club
------------------------------------------------------------------------
【MAIL】 mokichiclub@bunkamura.ne.jp
------------------------------------------------------------------------
【制 作】 (有)ケーズオフィス
------------------------------------------------------------------------
【WEB】 http://www.kz-office.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C)2000-2008 もきち倶楽部 許可無く転載することを禁じます。


![転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出 転職なら[en]社会人の転職情報!転職成功者続出](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/sya.gif)
![派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報 派遣のお仕事探しなら[en]派遣のお仕事情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/haken.gif)
![アルバイト探しは[en]本気のアルバイト アルバイト探しは[en]本気のアルバイト](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/baito.gif)
![就職サイトは[en]学生の就職情報 就職サイトは[en]学生の就職情報](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/gakusei.gif)
![転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に! 転職なら[en]転職コンサルタントキャリアを活かした転職に!](http://kamogawa.mag2.com/bn/recommend/consul.gif)