競馬の文化村「もきち倶楽部」 No.867 桜花賞
競馬の文化を発信するメール・マガジン 2008 年04月11日発行
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競馬の文化村「もきち倶楽部」 No. 867
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▼目 次▼
■ 第68回桜花賞
マイルよりも中距離向きの持続力が武器のトールポピー 樋口榮一
武兄弟の弟幸四郎の騎乗馬リトルアマポーラ 立川健治
上昇度は全馬の中で一番、ソーマジック 風元 正
ブサックが“はなればなれに” 伊与田翔
禁欲生活を送る父ウォーエンブレムにささげる桜花賞 山本一生
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■ 第68回桜花賞
13日 阪神11R 芝 1600 m 発走 15:40
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マイルよりも中距離向きの持続力が武器のトールポピー
樋口榮一
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今年が 2 回目となる外回り B コースでの桜花賞、昨年が能力通りの決着だっ
たように、阪神のマイル戦は以前に比べると紛れづらくなったような気がする。
コーナーが緩く直線が長くなったので、枠順によるアドヴァンテージを騎手が
意識せずに競馬するようになった。そのためというばかりではなかろうが、昨年
は前半 47 秒 8 、後半が 45 秒 9 という近年の桜花賞では最緩ペースだった。
ウオッカの勝った一昨年の阪神 JF(前半 46 秒 3)、昨年のチューリップ賞(
47 秒 6)に比べても遅い。
今年は1枠デヴェロッペの逃げか。前走 3 角手前から主導権を取ったエアパ
スカル、行かせればいちばん速いエイムアットビップ、アーリントンCで折り合
いのつかなかったポルトフィーノの先手という可能性もあるが、どれが逃げるに
してもつぶし合うような速いペースにはならないような気がする。良馬場として
たぶん 47 秒台前半くらいの平均ペース、決め手よりも持続力が要求されるので
はないか。
チューリップ賞は前半が 48 秒 7 のスローペース。エアパスカルがトールポ
ピーをハナ差凌いで逃げ切ったが、ノーマークの漁夫だったことは否めない。行
くつもりはなかったようだが、スローを見越して早めに動いた藤岡佑介の好判断
だった。
阪神 JF 以来となるトールポピー、オディールは勝てる状態に仕上がっていた
と思う。ただ、内枠に入ったトールポピーは、前々で競馬してどのくらい走れる
かを試したかったし、オディールはタメてどれだけ切れるかが課題だった。なに
がなんでも権利を取らねば桜花賞出走のないエアパスカルに比べれば気持ちの上
で余裕があった。
2 歳女王トールポピーに期待したい。特別切れるわけではないが、緩かろう
が速かろうがいずれのペースにも対応できる。マイルよりも中距離向きの持続力
が武器、マイルのトライアルで主役として振舞えた自信は大きい。
オディールはチューリップ賞で上がり 33 秒 5 の決め手を見せた。好位から
早めに動いた阪神 JF とは対極の競馬で自在性を増したことはたしか。3 連覇の
かかるアンカツ騎乗は魅力だが、テンションの高い馬だからどう御すかが難しい。
控えるとは限らないと思う。
フィリーズレビューの前半4 F は 46 秒 7 。チューリップ賞よりは 2 秒早
いが、アストンマーチャンが好位から抜け出した昨年の 46 秒 5 と比べて格段
に速いペースではない。
にもかかわらず勝ちタイムは 1 分 22 秒 5(昨年は 1 分 21 秒 8)と平凡で
先行した馬は総崩れ、レベルの高い競馬ではなかった。このメンバーで唯一問題
になるのはエイムアットビップ。1400 のトライアルに色気があったことはたし
かだが、一週前の熱発は誤算だった。先行する馬で奇襲策があるとすればこの馬。
別線の馬に魅力がある。皐月賞の主役マイネルチャールスを物差しにすると、
フラワーC勝ちのブラックエンブレムは葉牡丹賞でマイネルにクビ差 3 着、ク
イーンC勝ちのリトルアマポーラは京成杯で 1 馬身差の 4 着だった。
前走やけに細く見えたので馬券を買う気の起こらなかったリトルアマポーラよ
りも、ブラックエンブレムにプラスアルファを感じる。中距離タイプの馬でトー
ルポピーほどの時計はないが、展開には左右されない。エルプスの木藤以来勝っ
たことのない関東の騎手が乗るのをマイナス材料ととるか、そろそろか。
リトルアマポーラは見かけより走ったという点と、阪神実績を評価する。
名牝エアグルーヴ産駒のポルトフィーノは見かけは立派な馬だが、ペースの速
かったアーリントンCがまるで脆かった。大物感はあるが現状で走るという裏付
けはない。
◎トールポピー
○ブラックエンブレム
▲リトルアマポーラ
△エイムアットビップ
△オディール
晴雨にかかわらずということでいえば上位の3頭が無難かと思う。
<馬券>
馬 連 トールポピー・ブラックエンブレム
馬 連 トールポピー・リトルアマポーラ
馬 連 トールポピー・エイムアットビップ
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ブログ:「書斎の競馬」元編集長のひとりごと
http://blog.goo.ne.jp/goo0927eh
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武兄弟の弟幸四郎の騎乗馬リトルアマポーラ
立川健治
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私が、初めて桜花賞の馬券を買ったのは、1974年、横浜の場外だった。タ
カエノカオリが勝ち、サクライワイが2着だった。何を買ったのか思い出せない
が、近くの掃部山公園の桜が、満開だったことは覚えている。
その年のオークスはトウコウエルザが勝ち、パーソロン産駒4連覇、嶋田功の
3連覇となった。当時ビギナーだった私の贔屓騎手は弟の潤で、クラシックで兄
弟馬券をと思っていたが、一度も実現しないままに引退、調教師になってしまっ
た。
その嶋田潤調教師の姿を、調教馬ではなく所属する内田博幸騎手と絡めた話題
ではあったが、久し振りに見ることになった。
管理馬は先週まで0勝、頑張れ。
嶋田兄弟の潤を贔屓にしていたのを思い出したのも何かの縁ということで、今
回は、武兄弟の弟幸四郎の騎乗馬リトルアマポーラを本命とする。
祖母ルイジアナピットといっても、ポルトフィーノの母、祖母の実績の前には
影が薄くなってしまうが、ポトルフィーノと豊のコンビは前走で歯車が狂ってし
まったような気がする。となれば、その祖母の血も強調材料に加えることができ
ると思う。
対抗はマイネレーチェル。
理由は、高松宮記念で書いたように内田騎手をしばらく買い続けるということ。
そして、先週のもきち倶楽部で青森の闇競馬を紹介する順序となったのも青森産
馬を買いなさいという何かの啓示だろう。
あとはすでに「桜花賞」に出走したマダムルコント。
ローレル賞、東京二歳優駿牝馬以上の走りをして、その上で芝向きであるかも
知れないという可能性にかけてみたい。
◎リトルアマポーラ
○マイネレーチェル
△マダムルコント
<馬券>
単 勝 リトルアマポーラ
馬 連 リトルアマポーラ・マイネレーチェル
複 勝 マダムルコント
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上昇度は全馬の中で一番、ソーマジック
風元 正
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先日、将棋の名人戦を観戦する機会を得た。ホンモノの対局場に入るのははじ
めてで、なにもかもが珍しかったが、なかでも、たった一局の将棋にこれだけた
くさんの人が関わっているのか、という実感を得たのが収穫だった。
やっぱり、名人戦は一局一局がとても重い。そして、たくさんの人がよってた
かって検討する環境の中で、力量差などないに等しい森内・羽生の二人が、二日
間かけて雌雄を決するという状況は、考えようによっては、かなり残酷だという
気がしないでもない。
同じように、サラブレットの淘汰というのも、考えてみれば、理不尽な話だ。
馬の身になって考えれば、ぜんぶの馬を抜いて1着になるのがいいことである、
という人間側のルールを理解するだけで、たいへんな難事であろう。一緒に走っ
ていると楽しい、と考えて、いつも中団にいる奴だっているはずだ。とくに、種
牡馬になることが期待される牡馬の選別方法は、人間に当てはめれば、とても承
服できるようなものではない。
その点、桜花賞には夢がある。出走馬の子、あるいは孫や親戚がどんどん出世
してゆく可能性がもっとも高いレースで、たとえ負けてもみな、価値がある。早
熟なスピードというのは、競走馬にとってはもっとも重要な資質の一つであり、
満開の桜の下で未来へ遺伝すべき能力を競い合うのは、夢があってよろしい。
◎ソーマジック
○リトルアマポーラ
▲トールポピー
△エイムアットビップ
予想の基本は、阪神2歳牝馬Sの力関係は変化なしということ。これは、トラ
イアルの着順にも現れており、勝ち馬が変わるだけで、上位陣の顔ぶれは実は同
じである。
その上で、何を重視したか。
ウォーエンブレムとクロフネの子を消したのだ。どちらも、スムーズなレース
ができないと惨敗する傾向があり、先行馬が多い今回の乱ペースは、明らかにマ
イナスである。
◎ソーマジックは、490 キロを越える雄大な馬格を誇り、スケールが違う。シ
ンボリクリスエス産駒には連勝癖があり、上昇度は全馬の中で一番である。買い
時は一線級と対決していない今と見た。
○リトルアマポーラは、阪神 1600 の鬼。
▲トールポピーは、兄貴がG1で崩れていなかったら本命にしたかもしれない。
ジャングルポケットの子供は、G1で爆発した父とはどうも傾向が違うようだ。
△エイムアットビップは、人気がなくなると怖いアグネスデジタルの娘で、あ
のイットーのひ孫である。
馬券は、◎から○▲△への馬連3点。
<馬券>
馬 連 ソーマジック・リトルアマポーラ
馬 連 ソーマジック・トールポピー
馬 連 ソーマジック・エイムアットビップ
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ブサックが“はなればなれに”
伊与田翔
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おそらくは、父クロフネからの連想なのだろう。昨年のファンタジーSを制し
たオディールは、チャイコフスキーの三大バレエに数えられる『白鳥の湖』の黒
鳥の名から採られたのだという。が、フランコフィルの身としては、シュルレア
リスト、レーモン・クノーの小説の題名の方が馴染み深い。
『オディール』の発表は 1937 年。1920 年代のパリを舞台に、数学教師だった
主人公が、アンドレ・ブルトンと思しきシュルレアリストの首領と出合って決別
するまでを、恋愛を絡めて描いた一種の私小説である。その主人公の恋愛相手が、
オディールの名を持つというわけだ。
クノーといえば、映画化され、人気を呼んだ『地下鉄のザジ』が有名だが、こ
ちらの作品は、ヌーヴェルヴァーグ四天王のひとり、ゴダールが愛読したことで
知られる。
ゴダールは、1964 年に発表され、日本では、数年前、リヴァイヴァル上演さ
れた『はなればなれに Bande a part』のヒロインの名に、オディールの名を与
えている。
ちなみに、オディールと三角関係を男性ふたりは、フランツ、アルチュールの
名を持つ。おそらく前者は、『変身』の作者カフカ、後者は、『酔いどれ船』の
詩人ランボーのファーストネームを拝借したものだろう。
難解をもって鳴るゴダール作品だが、『はなればなれに』は珍しく、エンター
テインメント色の強い佳品だった。
ロシアバレエから、シュルレアリスムやヌーヴェルヴァーグに到るまで、コノ
タシオンを示す馬名も見事だが、オディールは、その血統がまた素晴らしい。
父親こそ、期待ほどの産駒成績を挙げられていないクロフネだが、母は、阪神
ジュヴェナイルフィリーズで、鬼脚を披露(2 着)したキュンティアだからであ
る。
ちなみに、キュンティアとは、ギリシア語で、豊饒の女神アルテミスを指す。
いかにも、オディールの母にふさわしい名だ。
またキュンティアの母の姉は、世界最強マイラーとして君臨した女傑ミエスク。
世界の名牝が揃うわが国の生産界だが、さすがに、このレベルの牝馬は、稀少な
存在だ。
個人的には、母の父が仏ダービー馬ダルシャーンである点も気に入っている。
この大種牡馬ミルリーフの代表産駒の牝系を遡ると、9 代目にフリゼットなる基
幹牝馬に到達する。フランスの名馬産家マルセル・ブサック氏が育てたこの名繁
殖からは、ミスタープロスペクター、シアトルスルー、パーソロンが輩出。現代
競馬においても、依然、大きな影響を保っている。
そんなブサック血統では、ほかに女傑ザリバが名高い。クイーンCを制して駒
を進めてきたリトルアマポーラのボトムラインは、このブサック・ファミリーも
う一方の柱を牝祖に持つ。祖母自身も重賞ウイナーであり、近親には桜花賞 2
着のアズマサンダースがいる。常に一発大駆けの底力を秘めるのが、ザリバの血
を享けた者たちの特徴である。
今年の桜花は、ブサックゆかりの両馬を中心視。内と外から“はなればなれに
”追い込むシーンを夢想している。
これに和製名牝の筆頭格イットーを曾祖母に持つエイムアットビット、やはり、
母の背景に世界水準の名血を享けたトールポピー、レジネッタらが絡んだ展開に
期待したい。
◎オディール
○リトルアマポーラ
▲エイムアットビップ
△トールポピー
△レジネッタ
<馬券>
馬 連 オディール・リトルアマポーラ)
馬 連 オディール・エイムアットビップ
ワイド オディール・レジネッタ
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禁欲生活を送る父ウォーエンブレムにささげる桜花賞
山本一生
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NHKで放映されているアメリカで評判のドラマ「ダメージ」が面白い。
リーガル・サスペンスだが、見始めて数分すると、これまでのどんなドラマと
は、作りが違うことに気が付く。ドラマとしての、文法が違うのである。
たとえば、A〜Zがあったとき、一般的なドラマはAから始まって、DBCと
かHGDCとか変化をもたせてストーリーを紡いでいく。それが「ダメージ」で
は、とりあえずAから始まるが、次は25文字がシャッフルされていて、何が続
いているのかわからない。結果的に、毎回、毎回、1ショット、1ショット、ま
ったく先が読めない。ストーリーがサスペンスなのはもちろん、作りがサスペン
スになっているのだろう。
これほど刺激的なドラマといえば、最近では宮藤官九郎の傑作「ぼくの魔法使
い」ぐらいしか思い当たらない。先が楽しみなドラマである。
さて桜花賞である。
ドラマだけではない、競馬もアメリカだといわんばかりにアメリカの二冠馬ウ
ォーエンブレムの牝馬が2頭出走してきた。
もっともアメリカの二冠馬といってもあまり珍しくはない。90年代には6頭
いて、そのうちの5頭は日本で種牡馬生活を送ったことがある。ただ2000年
以降は二冠馬は5頭いて、ファニーサイドは去勢馬なので、種牡馬となったのは
4頭だが、そのうち導入されたのはウォーエンブレムしかいない。
その期待の二冠馬、どうやら日本がお気に召さないのか、産駒は初年度が4頭、
二年目が33頭、三年目は5頭しかないいという。種付けを嫌がれば、そのうち
アメリカに帰してくれると思って、禁欲生活を送っているのかもしれない。
だがしかし、33頭の現3歳世代で、早くも3頭の重賞勝馬を出し、クラシッ
ク有力馬を輩出したとなると、それも難しそうである。「能ある鷹は爪隠す」と
いうが、あまりにも能力がありすぎると、隠しようはない。
2頭のうちでは、フラワーカップを快勝したブラックエンブレムに期待したい。
葉牡丹賞では、マイネルチャールズにクビの差、フラワーカップも、翌日のス
プリングSとコンマ6秒差なら、牝馬としては十分にクラシック水準に達してい
る。
不安があるとすれば、追い切りを行わないことだろうが、調教師はブログで次
のように説明している。なかなか好感の持てるコメントである。
http://s-kojima-stable.at.webry.info/200804/article_3.html
相手は、もちろんエアパスカル。
桜花賞のダブルを機会に、ウォーエンブレムも帰国をあきらめて、種牡馬生活
を再開してくれることを祈りたいものである。
◎ブラックエンブレム
○エアパスカル
▲トールポピー
<馬券>
単 勝 ブラックエンブレム
馬 連 ブラックエンブレム・エアパスカル
馬 連 ブラックエンブレム・トールポピー
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競馬の文化村「もきち倶楽部」 No. 867
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【発行者】 安部俊彦
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【編集人】 山本一生
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【WEB】 http://www.bunkamura.ne.jp/mokichi-club
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【MAIL】 mokichi-club@bunkamura.ne.jp
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