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2008/04/01

競馬の文化村「もきち倶楽部」   No.864

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競馬の文化を発信するメール・マガジン       2008 年04月02日発行
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    競馬の文化村「もきち倶楽部」          No. 864

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▼目 次▼

■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第14回         飯田正美

   失意のまま、深夜の床についた


■ 馬の名前に文化を読む 第313回            森本 健  

   レベル ステークス:Sierra Sunset 牡3歳


■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第540回   編:山本一生  

   競馬ノート15:競馬切抜帳(40)
     競馬ブームで漫画家に・・よしだみほさんのこと 


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■ 飯田正美の競馬よろず雑記帳  第14回         飯田正美   
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  失意のまま、深夜の床についた
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 土曜日夜は早めに晩酌と食事を済ませ、深夜 0 時に目覚ましをセットして、9 
時ごろには床の中。午前 12 時に始まるドバイワールドカップの実況中継を生で
観るためだ。
 中継は一部、二部と分かれていたが、UAE ダービーに出走するイイデケンシン
は期待薄。ほかのレースと一緒にリプレイを観ればいいと判断して、一部はパス。
なにしろ、ぶっ通しで中継を観たら、翌日の競馬場が大変。寝ぼけ眼で外れ馬券
をボンボン買ってしまわないとも限らない。

 ドバイ・デューテイーフリーのウオッカは、前半少しかかり加減。それでも、
終始 4 番手につける積極的な競馬で、一瞬は勝つかの見せ場。4 着に終わった
が、収穫は十分だった。
 アドマイヤオーラは、直線包まれ加減で不完全燃焼の 9 着。まだ、海外GI
で勝ち負けする力はつけていない印象も残った。
 ワールドカップはカーリンの強さばかりが際立っていた。期待のヴァーミリア
ンは、前半から行きっぷりが悪く 12 着の殿り負け。煩雑な検疫に、長距離輸送。
結果的にみると、直前の追い切りがハードすぎたかもしれない。当方はこのヴァ
ーミリアンには、別の期待もかけていただけに正直がっかり。失意のまま、深夜
の床についた。

 平成 20 年度顕彰馬の投票締め切りが、4 月 20 日 ( 皐月賞当日 ) と迫って
いる。投票委員は最大2頭まで推薦でき、二百数十名の委員の票の三分の二以上
を獲得すれば選定される規則になっている。
 テイエムオペラオーの選定に関して物議をかもし、少しハードルが下げられた
のが数年前のこと。しかし、エルコンドルパサーは、過去 3 年連続1位の 119 、
108 、135 票を獲得しながらも落選している。顕彰馬の選定には、現役時代の競
走成績のほか、種牡馬成績も加味される。エルコンドルパサーを毎年推薦してき
た当方は、産駒ヴァーミリアンのドバイワールドカップでの好走に期待をかけて
いたのだ。残した産駒は 3 世代のみ。今年が最後のチャンスかもしれない。

 なぜ、エルコンドルパサーが選ばれないのか ? それがどれほどの影響を与え
ているのかは分からないが、推測される理由はある。
  1999 年度のJRA年度代表馬はエルコンドルパサー。しかし、この年の記者
投票 1 位はスペシャルウィーク。それが、規定の票数を獲得していなかったた
め 8 人の専門委員でなる「受賞馬選考委員会」の審議の結果、逆転決定された
のだ。当然、スペシャルウィークに投票した記者からは不満、疑問の声が上がっ
た。
  8 人の委員は、東京競馬記者クラブ代表 2 名、民放競馬記者クラブ代表 1 
名、日本競馬新聞協会・東京競馬新聞協会代表 2 名、関西競馬記者クラブ代表 
2 名、中央競馬関西放送記者クラブ代表 1 名。
 ちなみに、当社・日刊競馬会長・谷真翁も古くからの委員の一人。毎年、会議
の資料作りのお手伝いをさせてもらっている。

 競馬の知識も見識も深い委員の集まりで、その 8 人が慎重に協議を重ね、規
則にのっとって逆転決定したのだ。
 当方は、その過程も結果も、まったく異論を挟む余地はないと思っている。そ
れは、当方がエルコンドルパサーに投票したという理由からだけではない。あの
年は、当方も迷いに迷った。まったく逆の形でスペシャルウィークが選ばれてい
たとしても、当方は納得していた。
 しかし、問題はそう簡単ではなかった。当時、某社の某記者が、エルコンドル
パサーの集票に動いたという噂が広まったのだ。事実関係は知らない。それに、
( 関係者に依頼されてのものなら論外だが ) 自身の信念で集票活動をするのな
ら、それは責められるべきことではないと当方は思っている。
 しかし、この噂がダービーニュース本紙予想・長谷川仁志氏を始めとするスペ
シャルウィーク派の心を、より頑なにさせたことは想像に難くない。年度代表馬
と顕彰馬の投票記者は、かなりの部分ダブっている。スペシャルウィーク派が、
そのスペシャルウィークを差し置いて、エルコンドルパサーを推薦することはま
ずない。ヴァーミリアンが、ドバイワールドカップでカーリンを破って勝つよう
なことでもない限り…。
 この年スペシャルウィークは、春秋の天皇賞、ジャパンCに勝ち、宝塚記念、
有馬記念がグラスワンダーの2着。一方のエルコンドルパサーは、すべてフラン
スで戦い、サンクルー大賞典、フォワ賞1着、イスパーン賞、凱旋門賞が2着。
 どちらが年度代表馬にふさわしいかは、記者それぞれの競馬観によるし、だか
らこそ記者投票の意味がある。騎乗した武豊騎手が間違ってガッツポーズまでし
てしまった有馬記念で、もし勝っていたとしたら、当方もおそらくスペシャルウ
ィークに投票していた。
 ちなみにこの年は、スペシャルウィーク、グラスワンダーの2頭が特別賞を受
賞。JRA賞の決定方式も、記者投票の三分の一以上の得票をもって決定、得票
数が三分の一に達する馬がいない場合、最も得票が多かった馬についてのみ選考
委員会で審議し決定すると、その後変更されている。

 参考までに、歴代の顕彰馬の馬名を列記しておく。
 クモハタ、セントライト、クリフジ、トキツカゼ、トサミドリ、トキノミノル、
メイヂヒカリ、ハクチカラ、セイユウ、コダマ、シンザン、スピードシンボリ、
グランドマーチス、ハイセイコー、トウショウボーイ、テンポイント、マルゼン
スキー、ミスターシービー、シンボリルドルフ、メジロラモーヌ、オグリキャッ
プ、メジロマックイーン、トウカイテイオー、ナリタブライアン、タイキシャト
ル、タケシバオー、テイエムオペラオー ( 馬名は選考順 ) 。

 今年からディープインパクトも選定対象に入り、選ばれることはほぼ確実。エ
ルコンドルパサーにとっては票を食われることになり、さらに厳しい戦いになり
そうだ。



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♪♪ 近衛文麿、志賀直哉から“日本のマザーテレサ”まで、
   吉田絃二郎、柳田国男から松根東洋城まで、
   多彩な登場人物が織り成す、華族社会の桎梏のドラマ!

   有馬記念の“父”が遺した恋の日記。
   行間から現れた意外な事実とは・・・
   東京大学名誉教授・伊藤隆氏推薦の本格歴史物。


  山本一生著『恋と伯爵と大正デモクラシー 有馬頼寧日記 1919』

                四六版上製 368 頁:税込 2,100 円
                       日本経済新聞出版社
 http://www.nikkei-bookdirect.com/bookdirect/item.php?did=16636

「日記とはもともと、その周辺の人々の物語の集合体なのかもしれない。
 有馬日記の人々について調べながら、たびたび奇妙な感覚に襲われたのは、
 そのためだろうか。これは日記ではなく、創作ではないか、との感覚であり、
 私が興味を抱いているのは、有馬頼寧という人間ではなく、有馬日記という
 物語ではないか、との思いである」
                         (「あとがき」より)

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■ 馬の名前に文化を読む 第313回            森本 健  
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   レベル ステークス:Sierra Sunset 牡3歳
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 アーカンソー ダービーの前哨戦ともいえるレベルS G2 ダ 8.5F)は 3 月 15 
日オークローン パーク競馬場で行われ、Sierra Sunset が勝った。
 同レースは 1961 年に創設され、当初はハンディキャップレースでもあり、あ
まりクラシックに直結するレースではなかった。
  1983 年に Sunny's Halo が、このレースの勝ち馬として最初にケンタッキー
ダービーに勝ってから、徐々にクラッシクへの路線の一つとして認識されるよう
になり、90 年代には Pine Bluff や Victory Gallop がレベルS勝ち馬として
クラシックを取り、ここ数年でも Smarty Jones 、 そして昨年の Curlin と勝
ち馬の活躍が目立っている。 


  Sierra Sunset (牡 3 歳 父 Bertrando 母 Toot Sweet)

  Sierra Sunset の Sierra はスペイン語の「山」であるが、ここでは Sunset 
という英語が後についているように、英語としてそのまま取り込まれた言葉と解
釈してよい。つまり意味としては「山の日の入り、稜線に沈む夕日」といったイ
メージである。
  Sierra はスペイン語の原義は「鋸」だそうで、それからすると高くて険しい
山の稜線を鋸の歯に見立て、「山」という意味が派生したということらしい。カ
リフォルニア州のシエラネヴァダ山脈は州を縦断する長さで、最高峰ホイットニ
ー山は 4400m を越えるほどである。

 父親 Bertrando は、 Bertrand という男の名前のイタリア語での表記である。
  Bertrand の元の意味を調べると、「知的なカラス」なのだそうだ。日本では
カラスは不気味なものというイメージが強いが、西洋では知的なイメージがある。
 ウィキペディアの記事によると、鳥の中ではもっとも賢いという位置づけだそ
うで、動物でいうと狼の知性に似ているのだとか。ハリーポッターのシリーズの
中にも、ホグワーズの寮に名を残す 4 人の偉大な魔法使いの一人が、レーヴェ
ンクロー「カラスの爪」になっているのは、こうした背景がある。
 ノーベル賞作家バートランド ラッセルの場合も、「知性」を意識した名前で
あったろう事は想像に難くない。

 わざわざこのカラスの話を書いたのは、Bernardo の父親が Skywalker「空を
歩く人」であり、母の父が Buffalo Lark「バッファローの(ような)ひばり」
と、いずれも鳥と関係する名前だからである。そこまで意識して名付けたのかど
うか、実際のところはよく分らないが、結果としてこうした繋がりが後から見つ
かることはよくある。
 鳥のイメージが沸いてきた上であらためて Sierra Sunset の名前を見ると、
そこには夕日の沈む稜線に、カラスか何か黒い影を残して飛んでいる鳥の姿を思
い描くことが出来るだろう。

 母親 Toot Sweet はスラングで、「ビュッと迅速な、ヒューと素早く」という
意味である。
  Toot は「ヒュー」というような笛などの音、Sweet はこの場合「甘い」から
派生した「快適な、心地よい」で、強調の意味合いで使われている。
  Toot Sweet の父親 Pirate's Bounty「海賊の報奨金」も何となく関係ありそ
うだが、やはり意味の継承は母親 Kay Ho からだろう。
 実は Kay Ho の意味自体は不明なのだが、多分これは意味が無くて Hay Ho「
ヘイホー」という掛け声を捩ったものだろうと思われる。この「ヘイホー」が 
Toot という笛などの音を連想させたはずである。

  Kay Ho の父親 Quid Pro Quo はラテン語の慣用句で、原義「何かに対して何
か」から「等価交換」の意味で使われる。この言葉の持つ Q=K の音を Hay Ho 
の最初の H に被せたのだと推測される。
  Kay Ho の母親は Cloud Ho なので、音としてはここからより厳密に K+H を
引き継いでいる。意味は「雲のホー」となり良く分らないが、両親の名前を単に
組み合わせただけのようだ。その両親は母 Cloud High「高曇り」父 Cohoes は
ニューヨーク州の町の名前である。


  Sierra Sunset の成績は 11 戦 4 勝 2 着 3 回 3 着 1 回、2 歳時に 2 度
ステークスを勝っているがいずれも G 外で、重賞は初勝利である。
 前走サウスウェストSでも 2 着と健闘しており、レースを積み重ねるに従っ
て身が入ってきたようだ。こういう馬が本番では怖いと思っていたのだが、左前
肢の骨に髪の毛状の亀裂が見つかり、どうやらクラシック戦線からは離脱した模
様である。



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■ 佐藤正人著『わたしの競馬研究ノート』 第540回   編:山本一生  
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   競馬ノート15:競馬切抜帳(40)
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 競馬ブームで漫画家に・・よしだみほさんのこと 
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 競馬漫画ブームについては、前回に紹介したが、こんどは、競馬ブームに刺激
されて、競馬漫画を書くようになったある女性の話を紹介しょう。
 この話は、夕刊フジ(90/11/14)に、「ルドルフの雄姿にひかれて」という見
出しの記事による。


「よしだ みほ」さんで、本名は吉田美穂、昭和36年8月19日、東京生まれ。
「とにかく馬が好きだった。小さな時から、馬を見ているだけで幸せでした」。
 という彼女は、6年前のある日、何気ない気持でテレビを見ていたら、偶然に
スタート前のシンポリルドルフと対面。それが競馬との出合いで、ルドルフの強
さよりも、姿、馬名の美しい響きにグイグイひかれていった。
 ピアノの調律師になるため学校を卒業したのに、いつの間にか友人の手助けで
始めたイラストが本業となり、「優駿」のイラストコーナーへ、馬の絵を投稿す
るようになった。
「まるで、本能がそうさせた。そんな感じですね。馬を描け、と体全体から命令
を受け、それが指先に伝わってくるのだから本当に不思議」という。
 そうしたうちに、ドドッと競馬ブームが押し寄せてくる。昨年8月、友人と
「こんなのがあってもいい」と『天才・ユタカの元気の出る競馬』を自費出版。
用意した500部がアッという間に完売。
 それが引き金となって、さまざまな雑誌、新聞から依頼が殺到。月曜から金曜
日まで宅配されるスポーツ紙で、たっぷり競馬の知識を吸収。土、日のレースを
観戦し、コンテを練りあげる。あくまでも取材はせずに、想像力で勝負! 現在
は、週3、4本程度の連載をテキパキとこなしている。


 以上フジの記事から抜書きで紹介したのだが、彼女にも健全な競馬を理解させ
るような作品を、これからはどんどん描いてもらいたいものである。

                               (9/ 5)


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  日本競馬史に永久に残るだろう『競馬研究ノート』シリーズのどのページ 
  を開いても、未踏の時代を先駆者として生き抜いた温厚な教養人の魅惑的 
  な低音が聞こえてくる。
  ぼくらはそれに育てられた

                             石川喬司

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♪♪ 童話から専門書までを駆使して、あなたを興奮の坩堝に誘うミステリアス
な競馬ワールド。「競馬学への招待」から三年、いま競馬学は冒険となる!

  山本一生著 『競馬学の冒険』 毎日新聞社 1600 円


    競馬がいる         競馬の消えた日
    二着の不在、物語の空白   をみなごたちの春
    マッチレースへの憧れ    エッチンゲンのめまい
    競馬場のカストラート    ワンダーランドの昨日、今日、明日
    ケンタッキーの呼び声    天国に最も近い競馬場


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  競馬の文化村「もきち倶楽部」              No. 864 
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  BACK NUMBER http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000042700
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【発行者】     安部俊彦 
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【編集人】     山本一生 
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【WEB】     http://www.bunkamura.ne.jp/mokichi-club
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【MAIL】     mokichiclub@bunkamura.ne.jp
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【制 作】     (有)ケーズオフィス 
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【WEB】     http://www.kz-office.co.jp
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Copyright(C)2000-2008 もきち倶楽部 許可無く転載することを禁じます。

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