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2009/08/19

[Kataro Syuwa :No.117] CLって、格フレームになるよね その2

ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ
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No. 117                                             2009年 8月19日発行
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ

  皆さん、こんにちは。夏休みはこれからの徳田です。
  ということで、お盆も普通に会社にいました。逆に人が少なくて、通勤も楽
です。

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  しばらくCLについてのシリーズです。

  まずお詫びから。
  先週紹介した森壮也さんの論文ですが、今はアクセスできなくなっていまし
た。思わぬところで、書きかけ原稿を長く眠らせていたことがばれてしまいま
した。テヘッ。(連絡くれたchiekoさん、どうもありがとうございます)

  インターネットアーカイブというものを使うと、見えなくはないですが、
ちょっと反則技的な感じもするので、使い方は詳しくは解説しません。興味の
ある人は、以下のサイトで、論文のURLを入力してみてください。

  Internet Archive
  http://www.archive.org/index.php

  「CL型文の構造」の論文のURL
  http://old.jasl.jp/data/jasl28/jasl28p34.PDF

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  さて、CLの話ですが、それと結びつく「格フレーム」の解説の続きです。

  先週の話で、格フレームというものが、何か言語学的な仕組みであることは
なんとなくわかってもらえたのではないかと思います。
  もうちょっと詳しく言うと、動詞を中心に考えます。動詞には、それぞれ独
特の振る舞いがあって、それを格というもので規定します。

  私の手元に大修館書店の「日本語基本動詞用法辞典」というものがあるので
これを元に例を挙げますと、今、パッと開いたページに「払う」という動詞の
解説がありました。抜粋すると、

  払う
    1) 粉末状のものを手やブラシなどでたたいたり、掃いたりして落とす。
       文型: [人] {が/は} [物] を払う
    2) 相手に代金を渡す
       文型: [人・組織] {が/は} [人・組織] に [金]を([金額])払う

というように5つの意味が載っています。日本語がわかる人なら、この解説を
見れば「払うの意味としては、まぁ、そうだよね」とわかってもらえると思い
ます。

  格フレームというのは、私の解釈では、すごく一般的な概念で、この辞書の
文型の部分が格フレームのようになっています。1の意味の「[人]が」の部分
は、主語を示す「ガ格」です。

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  さて、こういうことを考えて、何が面白いのでしょうか?

  それは、単純な操作で、意味が決まるからです。

  上述の辞書によれば、「払う」という動詞には、落とす、お金を支払う、人
を去らせる、関心を向ける、横に振るという5つの意味があるそうです。

  では、「彼は友人に2000円を払った」という場合の「払った」は、どの意味
でしょうか?
  もちろん、日本語がわかる人が読めば、瞬間で「お金を支払う」の意味であ
ることはわかります。

  しかし、コンピュータの場合はどうでしょう? コンピュータは心もなく、何
かを理解するというのは、人間のようにはいきません。単なる入力と出力の関
係で、プログラムを作っていくことになります。
  心を抜きにして、言葉を処理する、それが私が専攻した自然言語処理学であ
ります。いや、そのうち心を込められるかもしれませんが、今のところは単純
な記号処理で考えることにしましょう。

  さて、「払う」の場合です。意味が5つあるのであれば、それぞれの格フ
レームを用意しておいて、文をパターンマッチさせていけば、一番しっくりく
る格フレームを、その文の意味としてみたらどうでしょう?
  著作権の関係もあると思うので2つしか引用しませんでしたが、例文の「彼
は友人に2000円を払った」は、単純な構文解析で、「彼/は/友人/に/2000円/
を/払った」と分割できます。これを1番目の意味の文型と、2番目の意味の文
型にそれぞれパターンマッチさせると、2の方がしっくりきますよね。となる
と、この文の「払う」は、「お金を支払う」の意味だ、と単純な操作だけで決
まるわけです。

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  ところで、「払う」の日本語に対応する手話は、どんなものがあるでしょう
か?

  必殺の日本手話研究所が発行している「日本語-手話辞典」によれば、次の
7つがあるそうです。

  1) 服の埃を払う
  2) 人を払う
  3) 駐車料金を払う
  4) 税金を払う
  5) 注意を払う
  6) 努力を払う
  7) 犠牲を払う

  日本語基本動詞用法辞典では、次の5つでした。

  1) 粉末状のものを落とす
  2) 人を去られる、いやな気分をすっきりさせる、下宿を去る
  3) 代金を渡す
  4) 心をある対象に向ける
  5) 手足や持った物を横に振る

  ここから先は、「日本語-手話辞典」を読みながらでないと、よくかわらな
いかもしれませんが、この2つのリストをじーーーと眺めていると、手話の方
の、3と4は、「お金」の手形が含まれています。これは、明らかに動詞用法辞
典の3の意味に当たります。

  そこで、私は思ったのです。
  
  お金という手話の形がCLという概念に当たるのであれば、格フレームをCLを
使って構成できるではないか? と。

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  なんとなく肝を言ったところで、ちょっと時間がないので、ここで区切りま
す。

  では、次回の語ろうかをお楽しみに。

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