2009/08/12
[Kataro Syuwa :No.116] CLって、格フレームになるよね その1
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
_/_/ メールマガジン 『語ろうか、手話について』 _/_/
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
No. 116 2009年 8月12日発行
ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ☆ミ
皆さん、こんにちは。徳田です。
だいぶご無沙汰してました。ネタ切れと、夏バテと、まぁ、色々あったので
すが、大きなトピックスとしては、引っ越しました。どことは言いませんが、
また大移動しました。そのうち、どこぞの手話サークルで会う人もいるかもし
れません。どうぞ、よろしくお願いします。
----------------------------------------------------------------------
今までは、本はダンボールに入れっぱなしだったのですが、今回は、ちょっ
と広めの場所に引っ越したので、ようやく本棚に本を入れられました。これで
小難しい本での調べ物ができるようになりました。
そんなわけで、今回から、今まで書こう書こうと思っていた言語学的な話を
書きます。ただ、本にはアクセスできるようにはなりましたが、相変わらず、
時間はそれほどあるわけでもないので、調べ方はおおざっぱ、結構、直感的に
書きます。きっと、本職の研究者がつっこみを入れてくれるだろうと期待して
アイデア中心に書き連ねていきますことをご了承ください。
一応、3回程度で終わるつもりですが、脱線するかもしれないのは、いつも
通りです。気長におつきあいください。
----------------------------------------------------------------------
さて、これから何回かで話したいことは、そんなに難しいことではなくて、
タイトルの通りなんです。つまり「CLって、格フレームになるよね」です。
これだけでは、なんのことやらさっぱりわからない人が多数だと思いますの
で、「語ろうか」の性格上、誰が読んでもついてこれるようにしたいので、か
なり回りくどい前口上から始めます。
----------------------------------------------------------------------
10年ぐらい前からの話だと思いますが、手話の言語学周辺から、CLという話
題が度々出てきます。
CL、正式にはClassifier、和訳すると「類辞」だそうです。
手話言語学研究者である国リハの市田先生のサイトでは、CLとは「名詞のク
ラスを標示する要素」と説明されています。
正直、よくわかりません。
私にはよくわかりませんが、そんな人は結構多い感じです。
はい、いきなり脱線します。
CLの話は、かなり慎重に扱わなければならないとは思います。
ですが、インターネットを検索してみると、いやはや、CLへの思いは、人そ
れぞれ。収拾がつかない事態になっているように感じます。手話のCLについて
の説明は、百花繚乱。素人が見てもすごく怪しいものも混じっています。
例えば「語彙を図像化したもの」「CLは物の形や大きさを表すもの」。この
あたりの説明は、まだ許容できるような気がします。ただ、この説明ではclass
であることがよくわかりません。
他には「日本手話の特徴である」「ろう者ならCLは朝飯前」なんて説明もあ
ります。いや、正確には単なる状況解説ですけど。これはどうなんでしょう?
素人目にも、なんか怪しい説明だなぁ、と思います。私の直感では、科学の尻
馬に乗った疑似科学のニオイがしてきます。
こんなCLの状況は、ナントカ還元水みたいな感じがします。
水は人間の体に必須な要素で、良い水が健康に必要なことは当然です。です
が、ナントカ還元水が体にいいのかどうかは微妙... ですよね。CLという言葉
にはそんな雰囲気が漂っている感じがします。
そんなわけで、CLは話題にはなっているけど、その扱いはとても慎重にした
方がいいなと感じています。
CLというものがよくわからないのは、そもそもあまり勉強していないので、
根本的原因は私の努力不足ではありますが、努力不足なりに調べてみても、そ
れでもよくわかりません。いや、正確に言えば、わかるような部分もあります
が、正しくとらえているのかどうかはなはだ不安なのです。
今回のシリーズでは、そんなCLを扱うわけですが、これは私のCLへの見解、
というよりは、斜めの方向から見て、「こういう解釈もあるんじゃない? ね、
どうでしょ?」という感じです。フェルマーの定理を解くのに、谷村・志村予
想に変換して、帰着した感じ。
それと、CLについて、もうちょっとフリーに議論したいという思いもあり、
とりあえず私がとんでもないことを言っておくと、有用な意見が掘り出されて
くるかもしれないな、と思い、口火を切ることにします。
私の話は、「群盲象を撫でる」といった感じになると思います。
かといって、でたらめと言うほどではないと思います。きっと、後世には、
ここからダイヤの原石を取り出せる人がいるのではないかと。
そのためにも、今、私の思いついたことをできるだけ書いておきます。
----------------------------------------------------------------------
だいぶ脱線しました。
一つ、興味深い論文を発見しました。これは読んでおくといいかもしれませ
ん。私が尊敬する研究者の一人、森壮也さんの論文です。
「CL型文の構造」
http://old.jasl.jp/data/jasl28/jasl28p34.PDF
この最初の当たりを読むと、CLの概念は、研究者によってブレがあることが
説明されています。やはりそうなのか。うーん。
----------------------------------------------------------------------
話を戻します。
結論から攻めていきます。
私の主張は「CLって、格フレームになるよね」です。「CLって、格フレーム
と同じ」ということを言いたいのです。いや、完全に等価ではないかもしれま
せん。でも、格フレームみたいなものだとは思います。
そこで、まずは格フレームについて説明します。
「まずは」なんて言ってますが、格フレームの説明をしたら、それでほぼや
ることは終わりなんですけどね。
格フレームは、私の大学院の時の専攻である自然言語処理学で、昔からある
超基本的な概念です。
そもそも格文法(case grammer)というものがあります。フィルモアという人
が考えたらしいのですが、それは語と語の関係を動詞を中心に、意味関係を捉
えようとした枠組み(文法)です。
学生の頃の英語の勉強で、所有格とか、目的格といった言葉を聞いたことが
あると思います。簡単に言えば、あれです。
「食べる」という動詞を例にとると、「食べる」は、「ヲ格」や「ガ格」を
とります。「ヲ格」なんて初めて聞くかもしれませんが、日本語文法では、そ
れなりにメジャーな言い方らしいので、慣れてください。
「食べる」の「ヲ格」は何を表すかというと、目的語です。「焼き鳥を食べ
る」と言えば、「ヲ格」が示すのは「焼き鳥」。これは、食べる物を示してい
ます。では、「ガ格」は何を示すかというと、主語ですね。「佐藤さんが焼き
鳥を食べる」という文の「ガ格」は「佐藤さん」。これは明らかに主語を示し
ています。
主語とか、目的語という言い方は、なんとなく曖昧です。目的語というより
「対象」と言った方が正確な感じがします。主語というより「動作主」と言っ
た方が正確な感じがします。
となると「徳田がカレーを食べる」という文の動作主は「徳田」、対象は
「カレー」です。「ガ格」「ヲ格」という考え方のすごいところは、機械的な
手順で、動作主や対象が決まるってことです。人間が考えなくてもいいわけで
す。コンピュータのプログラムで、いわゆる主語や目的語がわかるってこと。
まぁ、私の大学院時代の勉強は、そんな感じで、いかに機械的に文を扱えるか
ということをやってました。格文法は、その超基礎です。
勘の良い方は、お気づきでしょう。格フレームは、この格という仕組みを積
み上げて構築した文法です。ですので、格は、「ヲ格」や「ガ格」だけではあ
りません。無数にあります。すごい種類があります。
----------------------------------------------------------------------
久しぶりに原稿を書いていたら疲れました。この続きは、また今度。
では、次回の語ろうかをお楽しみに。
----------------------------------------------------------------------
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 を利用して
発行しています。http://www.mag2.com/ (マガジンID: 0000038270)
----------------------------------------------------------------------
■登録/解除の方法
メールマガジン「語ろうか、手話について」は、以下のURLよりいつでも
登録/解除可能です。
http://www.mag2.com/m/0000038270.htm
http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/
■バックナンバーの参照
http://www.rr.iij4u.or.jp/~tokudama/kataro/
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000038270
■掲示板
http://www64.tcup.com/6411/tokudama.html
補助的な情報を掲載しています。編集者への連絡はMailをお使い下さい。
■苦情、文句、提案、意見など
Subjectに[kataro]を入れて、以下のアドレスまでMailをお送り下さい。
個別には返事ができないかもしれませんので、ご了承下さい。
tokudama@rr.iij4u.or.jp
======================================================================
○メールマガジン「語ろうか、手話について」(月1回以上 発行)
発行: 手話サークル活性化推進対策資料室
編集: 徳田昌晃
協力: 五里、おじゃまる子、くぅ(ヘッダ作成)
発行システム: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/
マガジンID: 0000038270
■意見、文句、提案、投稿は、居住都道府県名と氏名(匿名可)を添えて
tokudama@rr.iij4u.or.jpまで送って下さい。
■メールマガジン「語ろうか、手話について」は、著作権は徳田昌晃に所属し
ますが、基本的には転載・複写自由です。有効にご活用下さい。
======================================================================


