紙と美
==紙と美 NO77 =======================
< kamitobi>
2007年8月16日発行
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■■主な項目
………▼「三十六人家集」木版複製と川面義雄
▼「三十六人家集」複製・料紙資料 新着情報
▼展覧会インフォメーション
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▽「三十六人家集」木版複製と川面義雄
以前、七條憲三謹製による木版の「三十六人家集」を紹介しましたが、七條本
を遡ること大正9年に川面義雄(1880〜1963)が「三十六人家集」を木版で複製
しています。
私はこれを所蔵していますが、原本を彷彿させる見事な複製です。
両面の画帖仕立てになっていて、全部で50枚貼り込まれています。
川面義雄は、七條憲三ほどその名がよく知られてはいないのですが、私がいちば
ん最初に川面の名を知ったのは、1942年〜49年、54年〜63年の2度にわたり「源
氏物語絵巻」の木版複製を、田中親美の依頼で制作したことです。
この木版複製は、アダチ版画研究所も関係していたようですが、なかなか精度
の高い複製です。
先年、私の知人が、これを底本にして「源氏絵巻」を復刻しました。
田中親美が信頼をしてその制作を任せたぐらいですから、川面の技術水準の高
さについては自ずから知り得ましょう。
その川面でさえ、この複製事業は何度も躊躇したらしいです。
七條本と比べて、どちらが良いかどうかということは軽はずみには言えないので
すが、一点、七條本で気になることは「から紙」の見開きが中心で継いであるも
のがあることです。
これは、版木が、原寸の半分の大きさのものを使用したのでしょうか。
色については、両複製はやはり異なります。
しかし何れにしても、今日、「三十六人家集」の木版複製を手にとって鑑賞でき
るということは有難いことです。
近年、情報が豊かになり、「三十六人家集」の画像を見ることそのものは、そ
れほど苦労しなくとも可能です。
しかし、安価な印刷ものなどで得られる情報と、木版のように「本物に接してい
る」という情感を伴うものとは天地雲泥の差があります。
この複製の冒頭は、「貫之上」の巻頭第一紙と、有名な「いかだ墨流し」の二
紙で始まっていますが、「貫之上」は、昭和50年代に名宝刊行会で全紙オールカ
ラーで複製を制作しました。
少々自己宣伝になって恐縮ですが、それと比較して、名宝版の複製もよく出来て
いるということを、今あらためて実感しました。
それは、名宝版のオフセット印刷は、あくまでも木版らしさを追求した版式にな
っているからです。
従来の、黄赤青黒の網点の集合により色を再現する手法ではない、木版と近似し
た手法を採用したからでしょう。
我々はそこにこだわりを持っていたのです。
複製というものを、手本になるかならないかという観点でしか考えられない人
が多いことは、誠に残念なことです。
書家のなかにはそういう考え方をする人が多いですが、料紙づくりをする人間に
とっても陥ってはならないところでしょう。
川面義雄という人物の名が、木版複製の歴史のなかでクローズアップされると
いうことはおそらくこれからもあまりないでしょう。
しかし七條憲三共々「三十六人家集」復刻の世界で立派な仕事を残したという事
実は、後世に伝えておかなければならないと思います。
いずれにしても、良い複製を、時々取り出して鑑賞することはまことに楽しい
ことでもあるし、また大切なことでもあると思います。
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▽「三十六人家集」複製・料紙資料 新着情報
○「国宝 西本願寺本三十六人家集」『元真集』カラー複製
昭和51年 墨水書房刊
原寸1枚毎のマット仕立て、17枚収録 布製帙入り
本体は保存良好です。
帙は経年変化によるヤケ等が若干認められます。
19,000円(税込・送料別)
○「国宝 西本願寺本三十六人家集」『躬恒集、家持集、遍照集、斎宮集、頼基
集、敏行集』カラー複製
昭和51年 墨水書房刊
原寸1枚毎のマット仕立て、17枚収録 布製帙入り
本体は保存良好です。
帙は経年変化によるヤケ等が若干認められます。
17,000円(税込・送料別)
○「国宝 西本願寺本三十六人家集」『能宣集』カラー複製
昭和51年 墨水書房刊 粘葉装仕立て・桐箱入り 限定250部
17紙収録
本体部分の一部見開き部分に剥離あり
その他は、おおむね保存良好
21,000円(税込・送料別)
○「国宝 西本願寺本三十六人家集」カラー複製
昭和55年・西本願寺刊
原寸・20葉収録
紙製たとう入り
3,000円(税込・送料別)
○「 田中親美〜平安朝美の蘇生に捧げた百年の生涯〜 」
名宝刊行会編
名宝刊行会 昭和64年 A5上製函入 272頁 美本
6,000円(税込・送料別)
自社出版物ですが、絶版本で、新刊は当会には1冊も残っていません。
これは古書です。新品同様。
○「王朝継ぎ紙」
近藤富枝著・毎日新聞社刊 昭60年
カバーに折れあり
全体的に経年変化によるヤケが認められますが、本文部分は、書き込みなども
なくおおむね保存良好です。
5,500円(税込・送料別)
○「染紙の技法」
片野孝志著 総合科学出版 1980年 初版 213頁 図版14頁
最後の余白ページに名前書き込みあり、他の状態はおおむね良好です。
2,500円(税込・送料別)
数少ない和紙染の技法書です。
和紙の折り染め、和紙のろうけつ染め、西洋の染めの手法であるフロッタージ
ュ、デカルコマ二ー他、全20種類にわたる和紙染めの手法を公開したものです。
私の料紙づくりも、この本を大いに参考にしました。。
因みに、著者の片野孝志氏は「三十六人家集」の複製も多数制作されています。
○「書-二十世紀の巨匠たち」VHSビデオ 全六巻揃 初版 新品未使用
23,940円(税込・送料別) 1996年、天来書院 定価39,140円
日本の書に黄金時代を築き上げた巨匠たち。物故作家も含め、未公開の映像も
含め、実際に作品を書いている映像を中心に収録した貴重な映像です。
第一巻 豊道春海 赤羽雲庭 西川寧 青山杉雨 上條信山 小林斗庵
第二巻 広津雲仙 村上三島 古谷蒼韻 今井凌雪 尾崎邑鵬 梅舒適
第三巻 鈴木翠軒 木村知石 小坂奇石 石橋犀水 桑原翠邦 近藤摂南
第四巻 上田桑鳩 井上有一 手島右卿 松井如流 宇野雪村 金子鴎亭 比田井南谷
第五巻 安東聖空 日比野五鳳 桑田笹舟 宮本竹逕 杉岡華邨 高木聖鶴
第六巻 熊谷恒子 森田竹華 飯島春敬 植村和堂 筒井敬玉
※ご連絡いただければ、書籍の詳細情報をお知らせします。
その他の詳細はこちらまで→http://homepage3.nifty.com/~ryoshi/kosy.htm
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▽展覧会インフォメーション
○親鸞聖人750回大遠忌記念『本願寺展』 親鸞と仏教伝来の道 -
西本願寺が所蔵している名宝の数々が展覧されます。
もちろん「三十六人家集」も展覧されます。
全会期中次の6帖が展示され、会期中に頁替えが行われます。
貫之集上・齋宮女御集・重之集・元輔集・能宣集下・小町集
(小町集は江戸時代補写)
平成19年9月22日(土)〜11月18日(日)
九州国立博物館
詳細はこちらまで
→http://www.kyuhaku.jp/exhibition/exhibition_s09.html
○『揉みから紙展〜技法とその美しさ〜』
9月3日(月)〜9月8日(土)
小津ギャラリー(東京都中央区日本橋)
主催・揉みから紙保存会
主催者の揉みから紙保存会は、最後の揉みから紙師と謳われた故・松田喜代次
の業績を保存することを目的に設立された組織です。
発足当初、この事業の発起人であったY氏が私のところに訪ねて来て協力を請
われました。
もちろん私は、松田師には大変お世話になり、恩義もありますので、喜んで協力
する旨申し出ました。
後日、私の名前が推進呼びかけ人となっていたそうです。
(なっていたそうですと言ったのは、私が関知しないところでそうなっていたと
いうことです)
しかし、この会は途中から変節し、当初の目的である松田師の業績を顕彰する
という目的から少々違う方向にいったような気がしまして、私はこの会とは距離
を置くようになりました。
松田喜代次を最後の揉みから紙師と称していながら、本城武男氏をただ1人の揉み
から紙師と言ったりし出したのです。
無論、本城武男氏は立派な揉みから紙師であることは、私も承知しています。
ただ、それとこれとは話が違います。
「最後」というのは後がないのが最後でしょう。
また、当時本城武男氏をただ1人の揉みから紙師と称することにも事実誤認があり
ます。
そういうことで私はこの会にどうも釈然としない印象を持ったのです。
こういうことを今まで公然と言わなかったのは、松田家に迷惑がかかることを心配
したからです。
それと、私は松田師が存命中、直接松田師から聞き書きを取り、当初、紙の博物
館機関誌「百万塔」に連載し、その後、拙著「新しい料紙のつくり方」に特別付録
として収録した論編があるのですが、これは当初、単行本で出版する予定で進めて
いましたが、道半ばで松田師が他界されたこともあり、単行本として収録するには
分量が不足していたのです。
そこに、たまたま料紙の本を出版する話が進んでおり、タイミングが良かったのか
悪かったのか、この本にとりあえず付録として収録しておこうということになった
のです。
これはあくまでも料紙の技法書なので、揉み紙の方はあまり目にとまらなかった
のは仕方がないでしょうね。
最近、松田師の秘蔵映像も出版しましたので、今後、松田師の業績を顕彰する材
料は整いつつあると思います。
最近、令夫人の松田いと氏にも聞き書きをとっていますので、それも併せて今後も
努力を継続したいと思います。
この展覧会の報に接し、確かこの会は、資料とビデオを配布したら会計報告をし
て解散する約束になっていたのですが、また変節したのか、その後音沙汰はないよ
うです。
展覧会を主催しているということは、また活動を始めたのでしょう。
何がどうなったのでしょうか、その後の動向はよく知りません。
まあそういうこととは別に、今回の展覧会は、揉み紙を知る一助になると思い、
ここに紹介する次第です。今回も本城氏がワークショップをされるようです。
詳細はこちらまで
→http://www.ozuwashi.net/shopinfo/index.html
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インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発行しています。
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2007年8月16日発行
発行者 鎌田敏輝
URL「料紙で彩る宮沢賢治とイーハト―ヴ」http://homepage3.nifty.com/~ryoshi/
Eメール kamata-ihatov@nifty.com
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