2009/11/16
ぶんぶん便 No.448
bunbun-bin ha tanosiina kyoumogenkini bunbunikou sore! ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■・・■ ■■■ 「ぶんぶん便」 2009/11/16 No.448 ■ ■ ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 作/者/か/ら/ 先日のコラム『とくべつな時計』の後日談ですが、 あの時計、なんとも…とほほ。 再び止まりました。 正確には動いているんです。 飛行機に操縦士が乗っているデザインで、 その操縦士がカチカチと音をたてて前後して、動いているのです。 コレ↓ http://homepage1.nifty.com/jyk/js2/bbp039.html そいつが動いてやがるのに、長針も短針も止まってやがる。 心音がするのに「死んでる」というのは いろいろな意味でわたしとしては納得がいきません。 わたしはその状態を「生きている」と感じます。 だからすぐに処分せず、そのまま様子を見ていました。 案の定、生きている証拠を見つけました。 時計は5時47分で止まり、5日ほどそのままでしたが ある日ふと気がつくと、8時36分を指してます。 こっそりと進んだのです。 こっそりは一度しかなく、もう何日も8時36分を指したままです。 「どうだ? 動いてるか?」父からの電話に 「動いてるよ」とわたしは答えます。 飛行士は動いているのですから、嘘ではありません。 電話を切ったあと、複雑な思いで時計をじっと見つめていました。 せっかく直してくれたのに、もう止まったとは言えません。 すると夫が言います。 「こんどは夫がなんとかしようと言っていると ぶんぶん便に書いてくれないでしょうか」 そうきましたか。 前回のぶんぶん便の面目躍如(めんもくやくじょ)というわけですね。 はい。ちゃんとこのようにまんま書きました。 夫は「こんどは自分の出番だ」と、いいところを見せようと 思っているようです。思っているのと、実際成し遂げるのとは 雲泥(うんでい)の差があります。けれども、雲と泥って、 どっちがいいんだかよくわからないという意味では同じようなものなので まあ、夫の勇姿を楽しみに、どっちでもいいやな気持ちで、 見守りたいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ じゃんけんのむこうがわ ───────────────────────────────── あれは小学校低学年の頃のこと。 わたしが低学年で、兄は高学年だった。 夕食を終えて、テレビを観ても良い時間になった。 その日はプロ野球中継も時代劇もなくて、 子どもにチャンネル権のある、珍しい夜だった。 わたしはナニか観たいものがあった。 ナニが観たかったのか今となっては覚えてないけど、 それは兄が観たいものとは違っていた。 そこで兄とわたしはじゃんけんで決めることにした。 わたしはハナイキ荒く、両手を合わせてねじってその中を覗いて、 それがなんのタシになるかわからないけど、そうやって何を出すか決めて、 大声で「じゃんけんぽ!」と叫んだ。 なぜ「じゃんけんぽ」だったかというと、「ん」を言い切らないうちに 父が「やめろ」と怒鳴ったのだ。 見ると父は「なんかヤだな〜」という顔をしていた。 「じゃんけんでものを決めるのはやめなさい。 家族なんだから、もっと違う方法で決められないのか」 具体的にどうしろとは言わなかった。 兄だから妹に譲れとか、妹だから兄に遠慮しろとか言わなかった。 ようするに、「考えろ」と言っている。 わたしと兄はぽかんとした。 兄妹喧嘩をせず、公平な方法で平和的に行動していたのに、なぜか怒られた。 わたしと兄はどうしたらよいかわからず、テレビを見るのをあきらめた。 そんなことがあって、わたしはあの日以来、兄とじゃんけんをしていない。 叱られるから、というのもあるけど、 わたしはあのとき、幼いながらに感じるものがあった。 世の中では公平と合理的は大事なことだけど、 公平とか合理的のむこうに、もっと深いあいまいなナニかがあって、 そのあいまいなナニかのほうが、人間らしいのではないか。 以上のことを言葉ではなくて、もっと稚拙な「感覚」みたいなもので、 受け取ったんだと思う。 とはいえ、その後も家の外ではじゃんけんをした。 学校で。公園で。子どものコミュニティで平和を維持するのに じゃんけんは非常に便利なツールなのだ。 道具も要らず、いつでもどこでもできる。結果即決。 これは人類の偉大な発明だと思う。 世界三大発明は、印刷、火薬、方位磁針と言われるけど、 じゃんけんの発明のほうがだんぜん、上だと思う。平和だし。 わたしは中学生になった。 中学生になっても、じゃんけんをし続けた。 こころおきなく、じゃんじゃんしていた。 あるとき、席決めを生徒が自由にやってもいいことになり、 じゃんけんで勝った人から順に好きな席を選ぶ事になった。 わたしは両手を合わせてねじってその隙間をニラみ、 ハナイキ荒く「さあ!」「さあこい!」とやる気まんまんだった。 狙うは窓際うしろから二番目。いい位置でしょう? するとひとり、女の子がじゃんけんに加わらない。 「どうしたの?」と聞くと、 「わたしどの席でもいい。余ったところでいい」と言った。 ドキッとした。 みんなは「やった、ひとり減り〜」と単純に喜んでいたけど、 わたしは急にテンションが落ちた。 にこにこ笑って傍観者になっている、その女の子がまぶしかった。 その子は笑ってたけど、ふと思い出したのは父のゆがんだ顔で、 「もっと違う方法で決められないのか」と言いながら 「ヤだな〜」という顔をしていた。 叱られたとき、なにかを感じ取った記憶は確かにあるのに、 わたしは他の方法を見つけられずに中学生になっていた。 その席決めじゃんけんにも結局は参加して、勝者となり、 窓際のうしろから二番目を確保した。 わたしの席からは運動場が見えるので、授業中も気分がいい。 そして黒板を見ると、彼女が見えた。 あの女の子は中央の一番前という最低最悪な席になったのだ。 わたしが黒板を見るたびにその女の子の背中が見えた。 じゃんけんしないから、最低最悪の席になっちゃって。 わたしはそう思おうとしたけど、思えなかった。 彼女自身はその席を最低最悪だと思っていないのだ。 彼女の幸福は席の位置などには左右されないのだ。 席の位置で幸不幸を感じたりする自分が、 ちっぽけな、つまらない奴に思えてきた。 「わたしはどの席でもいいよ」いつかそう言える人間になりたい。 それは理想で、目標になった。 中学生の時に抱いた理想だけど、今も同じ理想を持っている。 理想に近づいたかというと、まだなかなか難しい。 おとなになると、じゃんけんする機会ってあまりない。 そういえば、夫とは一度もじゃんけんをしたことがない。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・過去の作品からよりすぐり各8編。ぶんぶんセレクションはこちら。 http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel.html http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel2.html ・すべてのバックナンバーは下記URLでご覧になれます。 http://archive.mag2.com/0000037573/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ ご意見ご感想はこちらまで(直接JUNKOに届きます)。 rxe01422あっとnifty.ne.jp ←「あっと」を「@」に変えてください。 執 筆 者 ● 大山淳子 発行責任者 ● 吉永和夫 yoshinaga@mbe.nifty.com 連 係 HP ●『ぶんぶん館』 http://homepage1.nifty.com/jyk/ このメールマガジンは以下の配信システムを利用して発行しています。 まぐまぐ ID:0000037573 http://www.mag2.com/ melma! ID:00012880 http://melma.com/ EーMagazine ID:embbb http://www.emaga.com めろんぱん ID:002791 http://www.melonpan.net/ カプライト ID:12478 http://kapu.biglobe.ne.jp/ ※当メールマガジンの無断転載・複写はご遠慮ください。 ───────────────────────────────── 「ぶんぶん便」の登録/解除は下記URLで(配信5社対応)。 http://homepage1.nifty.com/jyk/bbb.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※姉妹誌あります。『今日のいきぬき』発行人:いまむら氏 http://homepage3.nifty.com/imacha/iki/



