2009/10/01
ぶんぶん便 No.445
bunbun-bin ha tanosiina kyoumogenkini bunbunikou sore! ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■・・■ ■■■ 「ぶんぶん便」 2009/10/1 No.445 ■ ■ ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 作/者/か/ら/ とうとう十月。ゲージュツの秋ですね。 チェロを弾く友人がいます。 演奏会があるというので、行ってきました。 弦楽オーケストラです。 わたしはふだん音楽は耳で聴くだけで、目で見ないので、 とても興味深いものでした。 なぜみんなのリズムが合うのだろう、メトロノームも無いのに! 身の毛がよだつ(誉めてます)ほど美しく合ってます。 指揮者はいるけどそれにしてもぴったりと一糸乱れず… そんな素人の質問に友人は答えてくれます。 一緒に息を吸うなど、呼吸を合わせる…のだそうです。 なるほど! …すとんと納得できました。 たとえば、家族や友人と気持ちがすれちがうとき。 ちょっとだけ、相手の呼吸に合わせてみたらどうかなぁ。 合わせてみようとする気持ち。ですね。 現代は生活が多様化していて、家族の食事もバラバラになりがちですが、 昔は家族が同時にごはんを食べました。 「いただきます」のかけ声で、いっせいに食べ始めます。 呼吸、合ってましたねー。 1日最低1回は必ずそうやって、呼吸を合わせていたものです。 たったそれだけのことが、大きな意味を持っていたのかもしれません。 演奏会の時、わたしの前に座った2歳くらいの女の子が 音楽に合わせて体をくねくねさせていました。 くねくね、ゆらゆら、しまいには立ち上がり、楽しそうです。 おお!音を体感してる。すごいぞ、と興味深く見ていましたが、 おかあさんが周囲に気を使って女の子を連れ出してしまいました。 残念。でもおかあさんの気持ちはわかります…。 あの女の子、すばらしいリズム感でした。 音楽への目覚めの瞬間だったかも? 弦楽器の音色はやわらかく、疲れを癒してくれました。 またこういう時間を持ちたいです。 ─C─o─n─t─e─n─t─s───────────────── □ 今週のコラム : その色はママの弟 ○ シネマ de ぶんぶん : 『ジュリー&ジュリア』 ◎ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ その色はママの弟 ───────────────────────────────── そのとき、車を運転していたのです。 もうなんどもぶんぶん便で紹介している古いつきあいの車です。 おんとし15歳。たいした年齢じゃないと思いますが 車としては、たいした年齢らしいです。 いなもとのエサを買いに、ちょいと離れたホームセンターへ向かうところです。 いなもとはカメレオンでもニシキヘビでもありません。 猫です。しかもしぶとく健康な雑種です。 エサは歩いて2分のスーパーにも売ってます。 なのに車で30分かけて買いに行こうとしています。 なぜに? もうじき15歳の愛車とお別れなんです。 とうとう屋根に穴まで開いてしまい、考えに考えて、 手放す事にしました。さよ〜なら〜(ぐすん)。 そのことについてはいつかまた書きますね。 残りの日々をできるだけ愛車と走りたく、 だからしぶとく健康な雑種の猫、いなもとのエサなんかを おおげさなルートで買いに行こうとしているわけです。 ひまじんですか? あたりです。 さて。 二車線ですが比較的交通量の多い一般道を走っていました。 道路はやや混み気味で、ゆるゆる走行しています。 対向車線は車が少なめで、スースー走行しています。 いいなあ、すいてて。対向車線を見ていると、 その歩道を男の子が歩いて来ます。 歩道は白いペンキで線をひいただけの不確かなものです。 男の子はひとりで歩くのはアリエないような年頃です。 そう、2歳か3歳くらいの男の子がちょこまか走って来ます。 そういう場合、たいていは後方からおかあさんが「ケンタ!」とか 「ユータ!」とか叫びながら追いかけてくるものです。 が、その子はあくまでもひとりなんです。 どういうこと? その子に白い線など意味をなさず、堂々、車道に出て来ました。 対向車線の中央あたりをタシタシ走りながら、 こちら車線の車の列を覗き込んでいます。 誰かを探しているようです。 誰を? このままではまずい。そう思った途端、 男の子はころびました。 なんにもない平面でころぶ。これ子どもの得意技です。 わたしはブレーキを踏み、後続車の流れを止めました。 男の子がいる対向車線には今のところ車がいません。 こちら車線の車の流れを停めて、間違ってもひかれることのないようにし、 男の子を車道から救出する必要があります。 わたしがブレーキを踏んだとたん、 助手席の夫が道路に飛び出し、男の子を抱いて対向側の歩道に避難しました。 よっしゃ! 会話せずともやろうとする行動が同じって、やっぱー夫婦よねー とか、 ふだん動きのにぶい夫も、走ることができるんだー とか、 呑気にあれこれ考えつつ、車を端に寄せて停めました。 縦列駐車のウデが冴えます。 わたしが停めていた車の流れは無事、流れ始めました。 男の子はワーワー泣いています。 夫はしゃがんで「だいじょぶだよーもうへいきだよー」と 懸命になだめています。 わたしは駆けつけて男の子を観察しましたが、 幸い長ズボンを履いていて、怪我はないようです。 すると、男の子がやってきた方向から女性が歩いて来ました。 その女性はもう少し大きめの男の子の手をひいています。 おかあさんかと思いましたが違いました。 「その子、ずっとむこうからひとりで走ってて、 気になってたんです」と女性は言います。 そう、誰が見ても異様です。 こんな年齢の男の子がこんな道路をひとりで走る姿は。 心配だったけど、その女性は子ども連れで走れず、 すぐには声をかけられなかったようです。 「もう一度戻って、おかあさんを探して来ます」と女性は言います。 ありがたいです。男の子がやってきた方向を知っているのは彼女だけです。 「じゃあここで、男の子を見てますから、お願いします」とわたし。 女性は自分の子の手を引きながら、初めに子どもを目撃した場所へと 戻って行きました。やさしい他人がいて心強いです。 うまく解決できそうな気がしてきました。 男の子は泣き止みました。 きょとんとしています。 夫は少し手がかりを聞き出したようです。 「ママ、ママ、と泣いていた」のだそうです。 手がかりはママです。それはそうでしょう。 わたしの推測では、さらなるてがかりは車にあると思います。 男の子は車を一台一台覗くようにして走っていたんです。 たぶん、直前まで車に乗っていたのです。 わたしは男の子に「車で来た?」と聞いてみました。 男の子は「うん」と言います。やっぱしです。 でも、名前は聞いても答えてくれません。 知らない人と口きいちゃだめ、と言われているのかもしれないし、 自分の名前を覚えてないのかもしれません。 「車の色、言える?」と質問を変えました。 男の子は自信たっぷりにうなずき、「ママの弟」と言いました。 車の色はママの弟。 質問の意図がつかめない年頃なのでしょう。 しかし…ママの弟? おじさんではなく、ママの弟って言い方しますか? するとちょうどパパさんくらいの男性が走って来ました。 でもその男性はパパさんではなく、ママの弟でもなく、 目撃者といいますか、わたしが停めてある車の近くに立っていた人です。 一部始終を見ていて、みかねて声をかけてくれました。 その人も子どもを2人連れていて、道路のむこうに奥さんらしき人もいます。 さっきの女性もそうだけど、子どもがいると、 よその子どもをほってはおけません。 危険性がはっきりと認識できるからだと思います。 その男性も男の子に話しかけますが 「ママの弟」しか言いません。 すると道路のむこうの奥さんが叫びます。 「はやく通報しなよ!」 そうなんです。そりゃあそうなんですが まだ5分もたっていません。 とりあえず探しに行った女性を待ってみようと思いますが、 女性は一生懸命遠くまで探しに行ってくれているようで なかなか戻ってきません。 自分も子どもを抱えているのに、優しい人です。 とうとう男性は警察に電話をしました。 パトカーが迎えに来るそうです。 すると子連れの女性が戻って来ました。 「子どもを探している人は誰もいないんです」 この男の子はいったいどこからやってきたのでしょう? パトカーが来ることを女性に説明し、 もう大丈夫だからご自分のお子さんの手を しっかり握っててくださいねと言ってみました。 そもそも、その女性はしっかりと握っています。 離したらオシマイなくらい、ぎゅっと握っています。 それくらい危ない道なんです。 2児の父の男性と、1児の母の女性と、わたしたち夫婦は ひとりの男の子を囲み、ひたすらパトカーを待ちました。 男の子はすっかり落ち着いて、じっとしゃがんでいます。 道のむこうに駐車したままのぼろい愛車が見えます。 ここでパトカーが来て、男の子を引き渡したあと、 「コレはコレ、ソレはソレ」と路上駐車の罰金をとられたら 笑える…と思いました。 すると男性はわたしと女性に言います。 「ぼくが通報して名前も言ったので、ぼくが待ちます。 事情は聞いたから、そのことも警官に伝えます。 ですからどうぞもう、みなさんは……」 あ、そうですよね。 ここでわたしたちが素直に去った方が、女性も帰りやすいと思って、 よろしくと言って、ぼろ車に乗って去りました。 後ろ髪がひかれるって、このことです。 途中、パトカーとすれ違いました。 あの男の子、パトカーに乗れたこと、少しは楽しめるといいナ。 あの子が路頭に迷うことなく警察の管理下に置かれる安堵感はありますが それは「アガリ」ではありません。 家族のもとへちゃんと戻れるかどうかが肝心です。 戻れるに決まってるでしょうけど、それを見届けられないのが残念です。 でも見届けたいのはわたしの勝手な思いで、それは男の子の利益とは なんら関係ないので、我慢しなくてはいけません。 わたしと夫はなんとなく無口になって、 目的の店でいなもとのエサを買い、来た道を戻りました。 もちろんさっきの場所にもう男の子はいません。 あそこで泣いてたな〜と思いつつ、通り過ぎました。 その夜、ごはんを食べながらふと時計を見ると、8時です。 「いまごろおかあさんとご飯食べてるかな」 「たぶんね」 「周囲のひと、みんな一生懸命で、おんなじ思いで動いてたよね」 「そうだね」 男の子は品のある清潔な服を着ていました。 ほっそりと色白で、ころんだのにスリキズひとつなく、 なかなかの運動神経だと思います。 ハッピーエンドは間違いないでしょう。 が。 ママの弟の謎は迷宮入りです。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◯ シネマ de ぶんぶん 『ジュリー&ジュリア』 ──────────────────────────────── 公式ページ(まだ劇場公開前です) http://www.julie-julia.jp/ ジュリア・チャイルドって、アメリカでは有名な料理研究家で、 甲高い声で大女。主婦として生きながら、偶然料理に生き甲斐を見つけ、 そのレシピと生き方は伝説になっちゃったらしいです。 メリル・ストリープが大女を演じるため、周囲に小柄な俳優さんを配してます。 結果、大女というより、むしろゲイに見えます。 現代に生きる若い女性ジュリーとシンクロさせて ふたりの人生を交互に描くのですが、 メリルの怪演に惹き込まれ、もうジュリアの人生だけ見せてくれ! な心境になります。 もちろん見せ方はうまいので、やはり交互は正解なのですが。 ラスト、ちょっとした苦味を残して終わります。 監督・脚本は恋愛映画の女王ノーラ・エフロン。 わたしは予定調和が好きなので、あの苦味は余計だった気がするけど ぜんたいに面白かったです。 世の中は自立コンプレックス気味だと思う(実はわたしもです)。 人が自立する物語はよくあるけど、これは違うんです。 ジュリアのように、優しいパートナーに支えられながら、 自分も相手に合わせつつ(夫の転勤につき合いまくります)、 その環境の中で、自己実現を達成するっていう生き方が、 もう少し賞賛されてもいい気がする。 肩のチカラをふっと抜いて。 ひとりじゃ生きていけない。で、いいじゃん!的な発想。 男女問わず、親兄弟に頼り頼られ、パートナーに頼り頼られ。 そのままいけるとこまでいけばいい。 古いようで新しい、今の時代にぴったりな提案を示した映画だと思う。 くいしんぼうの方は必見。 おいしい料理がいっぱいでてきて、おなかが鳴っちゃう映画です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ お知らせ ───────────────────────────────── ぶんぶん館はひさしぶり〜に更新します。 先週のコラムがイラスト付きで読めます。 http://homepage1.nifty.com/jyk/bun.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・過去の作品からよりすぐり各8編。ぶんぶんセレクションはこちら。 http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel.html http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel2.html ・すべてのバックナンバーは下記URLでご覧になれます。 http://archive.mag2.com/0000037573/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ ご意見ご感想はこちらまで(直接JUNKOに届きます)。 rxe01422あっとnifty.ne.jp ←「あっと」を「@」に変えてください。 執 筆 者 ● 大山淳子 発行責任者 ● 吉永和夫 yoshinaga@mbe.nifty.com 連 係 HP ●『ぶんぶん館』 http://homepage1.nifty.com/jyk/ このメールマガジンは以下の配信システムを利用して発行しています。 まぐまぐ ID:0000037573 http://www.mag2.com/ melma! 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