2009/08/18
ぶんぶん便 No.440
bunbun-bin ha tanosiina kyoumogenkini bunbunikou sore! ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■・・■ ■■■ 「ぶんぶん便」 2009/8/18 No.440 ■ ■ ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 作/者/か/ら/ CDラジカセが動かなくなりました。 電源は入るのですが、スタートしません。 この夏、わたしは朝から晩までCDをかけながら書き続けました。 ひと休みする時もCDを聴き、眠れぬ夜もCDを聴きました。 ラジカセは労働法違反なほどに働いたわけです。 「くたびれちゃったのかなあ」とわたしが言ったら 「ラジカセはくたびれない」と夫は言います。 その言い方はなんていうか、冷徹(れいてつ)です。 「あなたの頭はおかしいです」という含みがあり、 「くたびれてるのはぼくです」という含みも感じます。 わたしは言い返します。 「世の中、何が起こるかわからないものよ」 オトナの発言です。 何年も前に動かなくなって、でも捨てられなかった古いラジカセをひっぱり出し、 CDを入れてスタートボタンを押したら、ちゃんと音楽が流れました。 ほらね。 何年も休んだのでそろそろ働きたくなったのでしょう。 夫は「ラジカセもくたびれるんですね」と言いました。 その言い方に妻への屈服の臭いはなく、 「そういうことにしとこ」という含みを感じます。 夫はわたしと暮らすコツとして「流す」という手法を身につけたようです。 人は学ぶのです。 動かなくなったラジカセは何年か休ませることにしました。 おやすみなさい。 みなさん、 働き過ぎにご注意くださいね。 動かなくなる前に、ちょこちょこお休みしましょうよ。 わたし? わたしは休み過ぎに注意してます。 要注意です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ 3つの懺悔 ───────────────────────────────── その日は晴天だった。 真夏の晴天はかなりコタエる。 遅れているバスを待つ間、わたしは呪ったの。 「ひとを焼き殺すつもりか」と天を呪い、 「ひとを蒸し殺すつもりか」とアスファルトを呪ったりした。 すると小学生の兄妹らしいふたりがそばを通ったの。 ふたりは小型犬を連れている。 ミニチュアダックスだ。 わたしはハッとした。 犬の肉球、やけどしないかな? そのへん、だいじょうぶなものかな? 犬を飼ったことがないのでよくわからないけど、 熱中症注意を呼びかけるテレビ番組で、 「犬の散歩は夕方涼しくなってからにしましょう」と言ってた。 「アスファルトでやけどする場合もある」と言ってた気がする。 でももう兄妹は行ってしまった。 あの犬、だいじょうぶだったかな。 わたしはバスの遅れに腹をたてるどころではなく、 どんどん心配になった。 注意すればヨカッタ注意すればヨカッタ…。 すると再びその兄妹は犬を連れて近くを通った。 やった! こんどこそと唇がふるえたが、言い出せない。 夏休み、はりきってお手伝いしようと散歩しているのかもしれない。 犬も犬で、子ども達との散歩を楽しんでいるのかもしれない。 その気持ちをサカナデしてはいけない。 なんて言えばいいかしら。 「犬、足が熱いかも…だいじょうぶかな?」と、 疑問系で言えばいいかな…そうそれよそれ… 考えている間に兄弟は行ってしまった。 結局言えないんだ! 自分で自分にがっかりした。 そしてバスが来て、わたしは乗った。 コトナカレ主義、って奴だ。 誰もわたしを責めないけど、わたしはわたしのズルを知っている。 その日は地下鉄に乗った。 地下鉄の駅のホームでセミの死骸を見つけた。 お腹を上にして、定番の「死んじまったスタイル」である。 「こんな場所にどうして入って来れたんだろう」と興味津々、 近づいてみたら、かすかに足がうごめいた。 ドキッ! 死んでないよ… こんなトコにいたらふみつぶされる… つ、つ、つかんで…はじによせなきゃ… さ、さ、さわれないよ… わたしはヘビはつまめるけどカナブンはつまめない。 昆虫類オール苦手。 すると電車が来て、わたしは乗った。 コトナカレ主義全開だ。 バスに乗っても、電車に乗っても、犬やセミが追いかけて来る。 目の前から消えても、映像は脳裏に焼き付くのだ。 地下鉄の窓に映る自分の顔がくもってて、さえない。 この顔、いつもは好きなんだけどなぁ。 それなりにかわいげがあってさぁ。 でもその日は好きになれなかった。 さてこの日の帰り。 始発のバスに乗り込み、座った。 バスは出発までまだ時間があり、停車中だった。 日差しから逃れて、やれやれと座っていると、 乗客のひとり(初老男性)が運転手にこう言った。 「クーラーつけないの?」 わたしはその客を見た。 客の顔のすぐ近くに『アイドリングストップバスです。ご協力を』と シールが貼ってある。のに。なあ。 クーラーを効かすにはエンジンをかけねばならない。 要するにカラふかししなくちゃならない。 そういうの、やめましょうという世の中なのである。 運転手は「外に比べるといくらか涼しいと思うのですが」と すまなそうに答える。 このひとは優しい。 アイドリングストップを振りかざさないのだ。 この御紋が目に入らぬか!という助さん方式をとらない。 乗客への思いやりが感じられた。 すると別の客(これまた初老男性)がイラだった大声で叫ぶ。 「暑いよ!」 なんだと? 「なにさまだよ、くそじじい。アイドリングストップなんだよ。 ちったあ、がまんしろ! バカモノ!」 わたしは以上二行を叫んだ(ただし心の中で)。 運転手は静かにこう言った。 「地球環境を考えるとあからさまにはエンジンかけずらいのですが」 そしてエンジンをかけた。 かけちゃったよ。しかも、すまなそうに。 ごめんなさい。運転手さん。 乗客がバカでごめんなさい。 バカはくそじじいじゃなくてわたしだ。 言えないんだもの。 少なくともくそじじいは自分の意見を口に出した。「暑い」と。 わたしは心の中でののしっただけ。 人間としてまっとうなのはくそじじいで、 ちゃんとコミュニケーションしてるじゃないの。 くそじじいの要求は間違ってると思うけど、間違うのはしかたない。 ひとは、間違う。 でも、思ってて言わないとか、知ってて伝えないのは良くない。 要するにわたしはめんどくさいから逃げた。 人と争ったりいがみあったりするのがめんどくさいのだ。 いつからこんなめんどくさがりになっちゃったんだろう。 反省した。 犬とセミと運転手さん、ごめんなさい。 一回の外出で3つの懺悔。って、ひととしてだめじゃん。 れっきとしたおばさんなのに、言えないって何! ノーモア懺悔。 こんど同じシーンに遭遇したら、ひとつくらいはクリアしたい。 まずは犬。 「足が熱いかも。だいじょうぶ?」このセリフだ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・過去の作品からよりすぐり各8編。ぶんぶんセレクションはこちら。 http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel.html http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel2.html ・すべてのバックナンバーは下記URLでご覧になれます。 http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000037573 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ ご意見ご感想はこちらまで(直接JUNKOに届きます)。 rxe01422あっとnifty.ne.jp ←「あっと」を「@」に変えてください。 執 筆 者 ● 大山淳子 発行責任者 ● 吉永和夫 yoshinaga@mbe.nifty.com 連 係 HP ●『ぶんぶん館』 http://homepage1.nifty.com/jyk/ このメールマガジンは以下の配信システムを利用して発行しています。 まぐまぐ ID:0000037573 http://www.mag2.com/ melma! ID:00012880 http://melma.com/ EーMagazine ID:embbb http://www.emaga.com めろんぱん ID:002791 http://www.melonpan.net/ カプライト ID:12478 http://kapu.biglobe.ne.jp/ ※当メールマガジンの無断転載・複写はご遠慮ください。 ───────────────────────────────── 「ぶんぶん便」の登録/解除は下記URLで(配信6社対応)。 http://homepage1.nifty.com/jyk/bbb.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※姉妹誌あります。『今日のいきぬき』発行人:いまむら氏 http://homepage3.nifty.com/imacha/iki/


