2009/06/23
ぶんぶん便 No.433
bunbun-bin ha tanosiina kyoumogenkini bunbunikou sore! ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■・・■ ■■■ 「ぶんぶん便」 2009/6/23 No.433 ■ ■ ■■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 作/者/か/ら/ ぶんぶん便は来月で9周年なのです。 ホームページ『ぶんぶん館』とメルマガ『ぶんぶん便』の二人三脚。 旧式な方法でここまできて、このまま〜な感じでゆきます。 あ! そうそう、配信会社メルマ!さんの第30回score! ランキングで、 カテゴリ別トップに輝きました! 以下3行はメルマ機関誌からの転載です。 *アート&カルチャー NO.1 「JUNKOのワザありコラム「ぶんぶん便」」 http://www.melma.com/backnumber_12880/ アートでカルチャーだったんですね、ぶんぶんて。汗、汗。 メルマ!で登録しているみなさん、クリック投票ありがとうございました。 そしてなんと、配信会社カプライトさんでは「本日のおすすめメルマガ」に! 以下4行はカプライト機関誌からの抜粋です。 ▼JUNKOのワザありコラム「ぶんぶん便」 │ http://cl.biglobe.ne.jp/t/e090616z1t03 << 詳細はこちら │ └ 文職人JUNKOの職人芸を御賞味ください。常識のウソ、社会の 矛盾、笑いと元気と、ついでに自分も、発見しよう。 メルマガソムリエ山中さんのご推薦ですって。ありがとうございます! ゆるゆるペースのぶんぶん便にあたたかいご配慮、いたみいります。 ご配慮にあぐらをかき、このままゆるゆるゆこうと思っちゃった次第です。 ブログの開設予定はありませんが、よそさまのブログは楽しませていただいてます。 いろいろ、拝読しています。 うちには猫がおりますので、『猫ブログ』もあちこち読んでます。 人気の猫ブログは、猫そのもののスター性というよりも、 猫を見つめる作者の心模様に特徴があるようです。 読者は猫を通じて作者を見てるんですね。 作者のみなさんはみな真摯でユーモアがありなおかつあたたかい。 そして猫をこよなく愛しています。 一方わたしはどうでしょう。 「お前はどういう気持ちで猫飼ってるんだ?」と。 わたしはわたしに問うてみました。 みぞおちがズキンとして、頭が斜めになりました。 斜めの方向はご想像におまかせします。 ぶんぶんスタート時にはいなかったわがやの猫。 出会いのてんまつはその時々に載せましたが、 9周年を前に、もういちど猫との関係をきちんと振り返ってみました。 書きながら、苦しかったです。 いたらないというか、いたらなすぎる。 かたつむりを飼うように猫を飼っていたわたしがいます。 猫、ごめん。 かたつむりもごめんね。引き合いに出しちゃって。 がんばって、書きました。 がまんして読んでください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ □ いなもととわたし ───────────────────────────────── いなもとは、うちの猫です。 あと二週間で6歳になります。 誕生日はわからないので、「推定6歳」ってことですが。 6年前の夏、某所でカラスにつつかれているところを 当時高校生だった娘が見つけて保護しました。 娘は帽子に入れて自転車のかごに乗せて学校へと運びました。 通学途中だったので、下校時まで職員室で預かってもらい、 下校途中に動物病院に連れてゆきました。 ってヒトゴトみたいですが、この流れにわたしも関わっています。 学校にいる娘から何度も電話があったんです。 「猫、ひろた」 「けがしてる、病院連れてゆく」 「金ない。もってきて」 そのたびに 「捨て置け」 「捨て置け」 「捨て置け」と。 ヒステリックに返事をしたわたし。 気がついたらお財布持って娘と落ち合い、病院へと向ってました。 娘の帽子におさまってる毛のかたまりを見た瞬間、 捨てては置けないと納得。 やつは赤ちゃんで、片目がつぶれていたんです。 やせやせでヨタヨタでした。 猫に不慣れなわたしは正直キモチワルかったです。 ところが動物病院での獣医さんの第一声は「かわいい!」でした。 「これが、かわいい?」とびっくり。 拾いモンで、よそモンだけど、妙にうれしかった。 今思うとそれって獣医さんの『誘導』だったのかもしれません。 「拾ったからには飼いなさいね」と。 動物は好きですが、犬や猫を飼った経験はありません。 ましてや弱った赤ちゃん猫です。 正直ヤッカイモノです。 第一、ペット不可のマンション住まいです。 『このマンションで犬猫を飼うのは厳禁です』のポスターが ぺたぺた貼ってある集合住宅です。 なのになぜかその猫は今もわがやにいます。 ペット不可のマンションなのにごめんなさい。飼ってます。 つぶれたように見えた目は治療で治りました。いたって健康です。 予防接種、さぼってます。全然だいじょうぶです。 雄で、和洋折衷のごっちゃごちゃな雑種らしいです。 わたしは子どもの頃から犬が好きでした。 でも飼えない環境でした。飼うのが夢でした。 猫を飼う夢は見たことがありません。 身近に猫はいませんでしたから。 キリンは好きだけど、飼うってピンとこないのと同様、 猫はわたしにとってピンとこない存在でした。 猫を飼っている人にトイレ事情やエサ事情を教わり、 猫の飼い方の本をざっと読み、猫との暮らしが始まりました。 教えてくれた人は同じマンションの同じフロアの隣人です。 ペット不可のマンションですが、けっこうみなさん飼ってるみたいで。 名前は娘が付けました。 いなもとだって。ナンダソレ。 でも娘の猫ですから。娘に命名権があります。 わたしは「家の中に猫がいることを許容した」だけなんです。 それが当時のわたしにできる精一杯だったんです。 実は触るのも怖かったの。 ひきとったばかりの頃、家でわたしといなもとだけになる時間は、 娘の部屋にいなもとを入れて、トイレもエサも置き、閉じ込めました。 「ふたりきり」が怖かったんです。 猫好きな人にはわからない感覚でしょうが、ゾクゾク、としてしまうんです。 虎と同居する、って想像してみてください。 ゾクゾクしませんか? かじきまぐろと同じ水槽で泳ぐ、って想像してください。 ゾクゾクしませんか? そんな感じです。 愛情はありました。でも怖くて触れないのです。 閉じ込めてしまうと、いなもとの様子は見えません。 鳴かない猫なので心配です。 わたしはベランダに出てガラス窓から娘の部屋をのぞきました。 いなもとは人恋しかったのでしょう、 わたしの姿を見ると飛んできてガラス越しにコチラを見つめました。 そのときの瞳をよーく覚えています。 太陽の光を浴び、瞳孔はゴマのように小さくて、そのほかの部分は水色で、 血管が網のように浮いて見え、それはそれは気味の悪いものでした。 うわっ、ムリムリムリ。いやだあ。 いなもとは口をすぼめてじっとわたしを見ています。 不気味な目で。 ゾッ……。 ゾッとしてごめん。ガラス越しに謝った自分を覚えています。 それからほどなく慣れました。猫と暮らす生活にです。 いなもとは自由になり、わたしは抱いたり撫でたりできるようになりました。 ショッパナ冷たかったわたしに 、いなもとはヨソヨソしく、 抱かれるのを嫌いました。 猫はそっけない動物と聞いていたので、そんなもんかなと思ってました。 去年のことです。 わたしは坐骨神経の激しい痛みで歩行困難になり、 一時期、寝たきりになりました。 家の中を歩くのはなんとかできますが、外出は無理、 病院に行く以外はひきこもりの日々でした。 仕事もできない状態でわたしの落ち込みぶりは激しく、 夫は介護のために自分の仕事部屋をリビングに移しました。 そんなある日のことです。 痛い足をひきずりながら部屋を横切ると、グサッと。 ふくらはぎに鋭い痛みが走りました。瞬間、 うめぼし大の肉が持っていかれた!と感じました。 見るといなもとはうなり声を上げ、逃げて行きました。 肉はちぎれていませんでしたが、穴が3つ、開いていました。 もともといなもとは噛み癖のある猫でした。 でもその時はいつもと違っていたのです。 じゃれる域を超えて、しとめる域でした。 傷はざっくりと深く、その夜、足が腫れ上がりました。 わたしの落ち込みは最高潮に達します。 神経痛の痛みに化膿の痛み。痛みと恐怖で泣きながらベッドに臥せっていました。 いなもとの気配がするだけで体が震えました。 怖かったんです。 前よりずっと怖くなってしまいました。 夫は言います。 「里親を捜そう」 わたしは言います。 「この猫は噛みますので里親を募集しますって?」 夫は言います。 「じゃあ、捨てて来る」 捨てる? 思えば娘がいなもとを拾った時、わたしは「捨て置け」と言いました。 そんなことばを平気で言っていたのです、わたし。 今では考えられないことです。 それに、夫は誰よりもいなもとと仲良しなんです。 妻の体や心を気遣い断腸の思いでの言葉でしょう。 腫れる足を冷やしながら天井を見て考えました。 この一ヶ月のわがやの変化を。 娘の独立。 わたしの病気。 夫は妻の介護に専念、家の様相は一変しました。 室内飼いのいなもとにとって、わがやは世界のすべてです。 世界が一変したのです。 誰も何も説明してくれません。 どんなに心細かったことでしょう。 拾ってくれた女の子はいない。 親友である夫は妻にかかりきり。 女主人は足をひきずって、寝てばかり。 「いったいどうなってんだ?!」不安は最高潮だったでしょう。 翌日、動物病院に電話をしました。 猫の噛み癖について相談しました。 拾った時のカルテがあって、「去勢すれば落ち着くかもしれません」と 獣医さんは言いました。 いなもとが一才になった時、去勢についてこの病院に相談したのです。 完全室内飼いの場合必要ないでしょうとのことで、しませんでした。 避妊や去勢は一般的には常識のようですが、 わたしはいなもとの体ににメスを入れるのにやや抵抗がありました。 将来環境が変わればお嫁さんをもらっていなもとの子どもに会えるかも。 そんな夢もありました。 去勢に躊躇するわたしに獣医さんは言います。 「ペットは人に癒しを与えてくれる存在。 ペットに恐怖を抱くようでは、飼っている意味が無い」と。 わたしを思っての言葉でしょうが、違和感がありました。 わたしは癒されたくていなもとを飼ったわけじゃありません。 見捨てられずにしかたなくひきとったんです。 とはいえ一緒に暮らせば自然と家族になります。 家族って癒しを与えてくれる存在でしょうか? 癒しを与えてくれるのは結果で、オマケで、目的ではありません。 家族は家族。いやがおうにも家族なんです。 わたしはふくらはぎの傷を見ました。 傷は膿み、腫れた足は熱をもっています。 いなもととわたし。このまま一緒に暮らせるでしょうか? 「個体差があるので去勢手術をしても攻撃性は改善されないかもしれないです。 噛み癖が治らず安楽死という選択をせざるをえなかった犬もいます」 と獣医さんは言いました。 数日後、いなもとは夫に連れて行かれました。 翌日、帰宅しました。 いなもとは少し腰を落として不安そうな顔をしてました。 わたしは「ごめんね」と言ってみましたが いなもとは眠そうです。麻酔が抜け切らないのでしょう。 たっぷり寝て、その後はいつものいなもとになりました。 術後半年すぎるくらいから、落ち着き始めました。 その頃にはわたしの体も回復し、日常が戻っていました。 ある日、いなもとはわたしの膝の上に乗り、寝ました。 そんなことは初めてで、いなもとの体温に胸がキュンとしました。 手術で性格が変わったかというと、そういうことではないようです。 少し落ち着きましたが、いなもとはいなもとなのです。 変わったのはわたしの意識かもしれません。 いなもとの行動には意味がある。と気付き、 その意味を考えるようになったんです。 それまでのわたしはいなもとに良い猫砂(トイレ)を与え、 良いエサを与え、新鮮な水を与えていましたが、 いなもとの心に目を向けていなかったように思います。 いなもとの行動には意味がある。と気付いてから、 いなもとはおだやかになりました。 最近いなもとは、わたしが冷蔵庫を開けると一緒に覗きます。 予測するのが好きなようで、「女がキッチンに入る→冷蔵庫が開く」とか 「ピンポンが鳴る→玄関が開く」のを確認しに来ます。 冷蔵庫を覗いてフムフム、という顔をして得意げです。 5回に1回くらいは、牛乳をほんの少し、与えます。 猫用のではなくて、人間の低脂肪乳です。 厳密には人間用は猫にはよくないのかもしれませんが、あげてます。 わたしはいなもとと意思疎通を図りたいのです。 「欲しい?」 「ムーフ」 小皿に牛乳をたらすと、たらすそばから飲み始め、 後頭部がびちょびちょです。猫としては少し、ニブいかも。 いえいえ、ニブいのはわたしです。 飼い主としてダメダメなわたしは5年をすぎてやっと いなもとの気持ちに近づけたような気がします。 100パーセントの理解は無理だけど、すこしだけ。 はじめのいっぽです。 わかってもらうんじゃなくて、わかろうとすることから始まるんですね。 人とのつきあいとおんなじです。 今まで、ごめん。 もうすぐ6歳。 倍の時間が残ってると思うと、なんだかほっとするんです。 ↓いなもとの絵を描いてみました。 http://homepage1.nifty.com/jyk/js2/bbp034.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ・過去の作品からよりすぐり各8編。ぶんぶんセレクションはこちら。 http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel.html http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel2.html ・すべてのバックナンバーは下記URLでご覧になれます。 http://archive.mag2.com/0000037573/index.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ ご意見ご感想はこちらまで(直接JUNKOに届きます)。 rxe01422あっとnifty.ne.jp ←「あっと」を「@」に変えてください。 執 筆 者 ● 大山淳子 発行責任者 ● 吉永和夫 yoshinaga@mbe.nifty.com 連 係 HP ●『ぶんぶん館』 http://homepage1.nifty.com/jyk/ このメールマガジンは以下の配信システムを利用して発行しています。 まぐまぐ ID:0000037573 http://www.mag2.com/ melma! 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