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自分のアタマで考えるというシンプル手法を貫き、ぶんぶん頭をフル回転。文職人JUNKOの職人芸を御賞味ください。常識のウソ、社会の矛盾、笑いと元気と、ついでに自分も、発見しよう。映画紹介や記者会見レポもあります。

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2009/06/09

ぶんぶん便 No.432(訂正)

     bunbun-bin ha tanosiina kyoumogenkini bunbunikou sore!
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■■■    「ぶんぶん便」  2009/6/9 No.432
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  作/者/か/ら/

最近、なにを食べてもあんまりおいしくないんです。

まずくはないのですが「やばい、うますぎ」という感動はありません。

半年前まで、何を食べてもおいしかったんです。

おいしく感じないのは体調不良だと思われます。

疲れかもしれないし、病気の前触れかもしれません。

倒れる前に、そう今のうちに、

自分らしい物語を書いておこうとどんどん書いています。

基本、料理は好きです。が、

おいしく感じないのでモチベーション下がります。

「いいや、たまにはさぼろ」とスーパーのお弁当を買いました。

さぼろ意識でそぼろ弁当を買いました。600円なり。

と!

おいしいの!

ひさしぶりの「やばい、うますぎ」の感動です。

そうか。体調不良ではなくて、わたしの料理がまずかったんです。

娘が家を出て夫婦ふたり。夫は味にうるさくないどころか、

シリアルとぶどうパンさえあれば三食足りるという賢夫(オロカモノ)です。

モチベーションが下がり→いいかげんにつくり→おいしくなくなり

→おいしくないから→モチベーションが下がる

というめぐりあわせだったようです。

気付いたら急にモチベーション・アップしました。

わたしは今日もキッチンに立ちます。

わたしの舌をうならせる料理めざして。

打倒、マイ舌!

そうそう、先週予告したコラムのタイトル『便利攻め』ですが

今週は見送り、別のコラムになりました。

いいかげんで、ごめんなさーい。



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□ たそがれどきのたちんぼう

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郵便物を出す必要がありました。
なにかのついでに。というわけにもいかず、今日中に出しておきたい。
そう思ったのが、ある日のひるさがり。

わたしは郵便物を手に持ち、玄関を出ようとしてふと引き返し
お財布を手にします。
お財布をてさげに入れて、ついでに何か買い物でも、と思います。

ポストはマンションを出て50メートル先にあります。
さらに50メートル歩けばコンビニやドラックストアがあります。
ボディシャンプーやお菓子などをついでに買おうと思います。

わたしは抜け目ない人間です。
出る時、郵便物をてさげに入れたりはしません。
ここでてさげに入れると、帰宅したときもてさげに入ってる。
なんてことがありますもの。
わたし、わたしとの付き合いが長いので、短所も知り尽くしているんです。

てさげに財布、手には郵便物を持ち、それから履く靴を少し迷って
ようやく家を出ました。
エレベーターで一階に着いたらふと、郵便受けを覗きたくなりました。
帰りにすればいいのに、そういうことってありませんか?

郵便受けを覗くと、意外な人から葉書が。
2年ほど前に1度会話しただけの人なんですけど、
その時の印象は鮮明で、なつかしく、うれしくなりました。
その人とは娘の通う大学の大学祭で出会ったのです。

大学祭って怒濤のニギヤカさですよね。
でもその教室は静かでした。美術部の学生たちの展示品があって、
わたしはそのうちのひとつの作品に強く心惹かれました。
そのまま通り過ぎることができずに、ぐじぐじ悩んだ挙げ句、
「売ってくれませんか」と作者に声をかけたのがきっかけです。
両手でかかえるのがやっとな大きさのオブジェです。

学生の展示品です。「売ってください」なんてどのクチが言う?
ってほどの愚行です。
わたし自身、そんなことを言うのは初めてだし、ぶんぶんの読者さんなら
わたしがそこそこ常識人だということや、
ものを買うのにどれだけ慎重かをご存知ですよね?
お金が無いんですからそもそも慎重なところへ、学生さんの作品です。
売り物ではないんです。
失礼を承知で、「展示会が終わったら、譲って欲しい」という旨を伝えました。

作者はとても驚いていました。
そんなことを言われるのは初めてだそうです。
言い出したわたしも初めてなので、お互い金額とかも決められず、
考えに考えてわたしが出せる金額を提示するなどしてみました。

素材は新聞紙ということで、材料の値段ではありません。
その作品の魅力への値段なので決めるのが難しい。

彼女は困っていました。困っている彼女を見て心から申し訳ないと
思った記憶があります。
おとなのくせに未成年を困らせてる。だめなわたし。

「今答えをいただかなくても、ゆっくり考えて、お返事ください。
結果だめでも気にしませんから」と名刺を置いて帰りました。
帰ったあとも、「人を困らせてしまった」という罪悪感でいっぱいでした。
あんなこと、言い出さなきゃよかったなと。
はしたない行為だったかなと。

すると何日かしてお返事をいただきました。

「欲しいと言っていただけたことがうれしく、自信ができました。
この作品は作品展に出してみようと思います。
なので売ることはできませんが、写真を送ります」

彼女が傷ついてないとわかり、ほっとしたのを覚えています。
そのお返事のしばらくあとに、手作りの写真集が届きました。
心のこもったすばらしい写真集です。

↓写真集の装丁(作品の写真は著作権があると思い遠慮しました)
http://homepage1.nifty.com/jyk/js2/bbp033.html


その彼女が作品展を行うということで、このたび招待状をいただいたのです。
わたしはとてもうれしくて、招待状を読みながら歩きました。

彼女もがんばってる。
わたしもがんばろう。

ここからわたしの残存する記憶に沿ってお話しますが、
ドラッグストアでボディシャンプーを買い、
コンビニでチョコレートを買い、
さて帰ろうとしたときに、ふと寒気を覚えました。

郵便物どうしたっけ? 出すはずの。

手に持っていません。てさげには例の招待状があります。
出したっけ?
ポストの前を歩いてきましたが、入れた記憶はありません。
出したっけ?

だいじな郵便物です。ボディシャンプーやチョコレートよりだいじな
外出の主たる動機です。

とりあえず家に戻ることにしました。
そうだ、玄関だ。靴を選ぶ時にいったん手を離した。
それで玄関に置いて家を出たんだ!

家に戻りました。
ところが玄関にはありません。
どこにもありません。
やはり持って出たようです。

さて。
通常はここで「記憶にないけど出したんだな」と無理に思い込んでおしまいにします。
でも、だいじな郵便物なんです。
出さないと、わたし以外の人が困るんです。

わたしはしかたなくポストのところに戻りました。
次の集配は「4時半ごろ」と書いてあります。
今は4時ちょっとすぎです。
ごろ、つーことは、今もごろの範囲内かもしれない。
そのまま集配のひとを待つことにしました。

「ごろ」が気になりますが、たぶんあと30分は時間があります。
その間に集配の人にどう申し出ればよいかを考えます。

「わたしは郵便物を出しましたか?」ではいかにもあやしいです。
「わたしは郵便物を出したはずなんですけど、記憶があいまいで、
出したかどうか確認したいので、待っていました」と言うべきでしょう。

そして「見せろ」はいけません。
コンプライアンス的に許されないでしょう。
郵便関係はプライバシー厳守でしょうから。

わたしは出したかどうか忘れたくせに、貼った切手の種類を覚えていました。
ン円切手とン円切手とン円切手。
まず差出人の名前(じぶん)を告げ、封筒の色を告げ、切手の種類を告げ、
その封筒があるかどうかを相手に確認してもらう。この方法ならだいじょうぶかも。
身分証として運転免許も所持しています。
あれ写真うつりヒドいけど、しかたない。必要とあらば提示しましょう。

投函したものを取り返すには手続きが必要でしょうが、
確認してもらうだけなら許されそうな気がしてきました。

考えがまとまるとホッとして、たそがれどきのたちんぼうを楽しみました。
それは四角いタイプのポストです。口がひとつの小さめのポストです。
いつもぽつんとひとりで立っているけど、今日はおばさんが一緒だからね。
なーんて恩を売ってみたりして。
おばさんじゃいやだよねぇ。

わたしが以前書いたラジオドラマ『届けてレッドマン』は丸いポストが主人公です。
あのお話がきっかけで貴重な出会いがありました。
世に出たとたん、作品はわたしのものでなくなり、
聴いたり読んだりする人のもとで大きく成長するものだなあと感じます。

親子もそうですね。
娘を生んだときは「わたしのもの」と感じましたが
大きくなるにつれどんどん娘は娘のものとなってゆきます。
ですが娘は娘だけのものではなく、わたしのものでもあり友人のものでもあり
社会のものでもあるんですね。

さて今、「記憶が無い」という失敗でこうしてポストの横に立ち、
顔を知らない集配人を待っている時間も味わい深いものです。
やっかいな時間とは思えません。
断られても人生だし、受け入れられても人生。
このあとわたしは悲しむか、喜ぶか。さてさて?

以前、絶望して人生を投げ出そうとした時もあったけど、
生きてさえいれば、ナニかがある。嫌なことも含めて経験です。

50分ほどして、集配の人がやってきました。
大好きなイッセー尾形に似ています!
わたしがさきほど頭で整理した内容をしどろもどろに説明すると
イ・尾形似さんはとてもおだやかに話を聞いてくださって
袋の中を確認し「ありますよ」と。

「あったー!」わたしは思わず大歓声。
するとイ・尾形似さんは「ホラ」とチラッとわたしに見せてくれました。

そう、それそれ! やったー!
記憶にないけど、出したんだ! ばんざーい!

ふかぶかと頭を下げお礼を言いました。
イ・尾形似さんはやさしい人でした。
一番のやさしさは「変なおばさんが変なこと言ってる」って顔を
一瞬たりともしなかったことです。ありがとう、ありがとう。
こういうひとにわたしもなりたい。

記憶をなくしたことはショックだけど素敵な人を見つけたし、
「意識がなくてもちゃんと正しく動いてる」自分に感心(しとこ)。
今後は出す時にポストをぽんぽん叩き、「よろしくね」と声をかけよう。
『届けてレッドマン』の少女がしてたように。
そうすれば記憶に刷り込まれることでしょう。


さて、わたしの記憶をトバした魅力的な作品展のご案内です。
わたしが買おうと思った作品も展示されています。

『ほっとてぃーたいむ』6月5日〜6月16日まで。
↓東京は吉祥寺のA.KLaboというお店でやってます。
http://www.aklabo.com/

わたしが欲しかった作品は当時『赤いまなざし』というタイトルだったけど
今も同じタイトルかは不明。
全速力のトカゲが急に立ち止まった瞬間!みたいなオブジェです。
お近くの方はどうぞ。期間内にわたしも行きます。

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・過去の作品からよりすぐり各8編。ぶんぶんセレクションはこちら。
     http://homepage1.nifty.com/jyk/bbsel.html
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