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不動産金融アナリストの井出保夫が、難解とされる不動産証券化のしくみを基礎からやさしく解説します。ビギナークラスの不動産、金融、建設セクターに勤めるプレーヤー向きの内容です。大学生も歓迎します。

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2006/07/06

井出保夫の不動産証券化教室 第127回

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井出保夫の不動産証券化教室 第127回 平成18年7月6日


今月のゼロ金利解除はあり得るのか

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1.日銀のゼロ金利解除のタイミング

日銀の福井総裁は、先月20日に行った講演のなかで、今後の金融政策運営につい
て「早めに、小刻みに、しかし、ゆっくりと政策対応していくという、非常に難しい
局面に我々は差し掛かっている」と述べた。


さらに、利上げの時期について、「市場の中で短期的にいつごろ利上げがあるという
観測がある中で、一番早めという次元の話ではない」と語った。これは言葉どおりに
解釈すれば、「利上げは近々必ず実施するが、2回目以降の利上げはすぐには行わ
ない」という意味なのだろうか。


ブルームバーグ社が主要エコノミスト15人の予測を調査したところ、9人が今年7
月にもゼロ金利の解除があり得るという見方を示したという。多数のエコノミスト
が、<1>今後1カ月間の景気、物価の流れをじっくり観察すること、<2>株価が
落ち着き、景況感の大幅な悪化が見られないこと、<3>2回目の利上げを急がない
ことを市場に強くアピールすること、の3点が7月ゼロ金利解除の条件になると答え
ている。


今のところ、日本の景況感に不安材料はほとんど見られない。先月12日に発表され
た今年1〜3月の実質成長率の改定値は、前期比年率3.1%と、1次速報
(1.9%)から上方修正されるなど、景気の先行き堅調を示唆する統計が増えてい
るし、1〜3月の法人統計季報でも労働分配率の下げ止りがはっきりと確認できるこ
とから、消費の堅調も揺るぎそうにない。加えて設備投資もかなり強気の予想が出て
いる。


となると、最大の問題は株価ということになる。ここ数ヶ月の株価下落が一時的な
需給調整を背景としたものなのか、それとも米国経済の減速懸念を織り込んでいるも
のなのか、前者であればゼロ金利解除にさほどの問題はないと思われるが、後者の
場合は、世界の景気が減速する中で日本だけが積極的かつ早急な利上げ姿勢を見せ続
けることになり、これがBRICsを中心とする新興諸国の信用収縮に拍車をかける
危険性が残る。日銀の判断ミスが世界の株価暴落につながるリスクを完全にヘッジす
ることは難しいのではないか。


福井総裁は世界経済の動向については、「引き続き注意深く見ていく必要があるが、
今後とも拡大が続く可能性が高いと考えている」と指摘。その上で、日本経済につい
ては「内需と外需、企業部門と会計部門のバランスが取れた形で、息の長い成長が続
くものと見ている」と語っている。


また、株価の下落については、「株価は申し上げるまでもなく、経済や物価の先行き
についての情報を含む重要な指標の1つだ。したがって、今後ともその動きの指し示
すところは、十分読み取る努力をしていかなければならない。こうした株価の動きは
、企業や家計のマインド面などへの影響を通じて、経済全体に影響を及ぼす可能性が
あるためだ。この点は引き続き注意して見ていきたい」と語っている。



2.J-REITに海外投資を解禁

新聞報道によれば、国土交通省は2007年度にも、J-REITが海外不動産を購
入し、運用資産に組み入れることを解禁する方針だという。報道をそのまま丸呑みす
れば、解禁の狙いは「国内外への分散投資を可能にし、安定的に収益を出せるように
すること」だが、実現させるためには障害も多い。例えば、海外不動産の評価方法や
情報開示義務をどの程度まで求めるか等の問題だ。


現行法では、J-REITの運用資産は、全て収益性を判断するために不動産鑑定士に
よる鑑定評価が義務付けられているが、この点を海外不動産ではどう適用させるの
か。国交省は近く金融庁や東京証券取引所など関係機関、有識者らをメンバーとする
検討委員会を設置して、REITの海外投資の解禁に向け、海外不動産の鑑定評価方
法などについての実務的な指針の作成に着手するとしている。具体的には、国内の
不動産鑑定士が、補助員として海外の弁護士らと契約し、海外不動産を鑑定すること
を義務付けて、国内投資よりも厳しい情報公開を求める方針だという。


筆者の私見だが、J-REITの海外不動産投資解禁の裏には、香港REITが予想外
に早く海外解禁に踏み切ったことが、多分な影響を与えていると思われる。
香港REITは当初海外投資をほとんど認めていなかったが、なぜか突然規制を緩和
した経緯がある。その理由はおそらく、中国大陸の物件を組み入れたREITを香港
市場で上場させるビジネスモデル、すなわち、「物件は中国、市場は香港」という組
み合わせでグローバルマネーを集めようという、中国政府サイドの意図が隠されてい
たのだと思う。


このままでは、REITを嗜好するグローバルマネーが日本ではなく、香港に流れて
いってしまいかねないため、その対抗措置としての意味合いが強いのではないか。


ちなみに、J-REITは制度上、海外不動産投資を規制する縛りはほとんどない。
投信法上も、投信協会の自主規制ルール上も、そして証券取引所の上場基準でも明確
な規制は存在しない。投信法は特定資産として不動産および賃借権等の関連する権利
や信託受益権、匿名組合出資持分等の実質的な不動産を投資対象に認め、投信協会
自主ルールも不動産であれば外国の法令に基づく不動産(賃借権や地上権を含む)に
投資することを妨げてはいない。上場基準も不動産、不動産同等物、現金および現金
同等物を投資対象として認めている。


≪ 講演会のお知らせ ≫

テーマ:転換期を迎えた不動産ファンドビジネスの今後
日 時:7月20日(木) 18:00〜19:45
場 所:大阪・心斎橋 ハートンホテル
参加費:5,000円
大阪の不動産投資顧問会社
(株)ジェイ・アムズ主催の不動産証券化ビジネスセミナーで井出が講師を務めます。
お申込/お問合等は、同社ホームページ http://www.j-ams.jp  
Tel 06−6243−5115 までどうぞ。

         
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本教室のバックナンバーは井出不動産金融研究所のHP上で公開しています。
URL http://www.hi-ho.ne.jp/idex/

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http://www.kaijo.com/

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