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2012/02/12

[書評]のメルマガ vol.506

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■■ [書評]のメルマガ                2012.2.10.発行
■■                              vol.506
■■ mailmagazine of book reviews       [本屋さんが二軒ある 号]
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義~オッサン目線な漫画の地平~」/太郎吉野
→ヅラをキメたらバイクでGO!

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/大麦親父乳酸脂肪
→平田オリザが求めるもの(その3)

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→『エーミルはいたずらっ子』

★「人事なショヒョー~組織とコミュニケーションを考える」/庄司善彦
→『面接ではウソをつけ』

★献本読者書評のコーナー
→出版社の皆さん、献本募集中です!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 前回、このコーナーでも紹介しました『かわいいマスクがいっぱい! かん
たん手づくりマスク』(小学館)著者のアズマカナコさん、実はメルマガ配信
日前日の朝に、TBSテレビの「みのもんたの朝ズバッ!」に登場されていた
そうです。編集者の方に、情報提供いただきました。

 番組の中で、手づくりマスクも紹介されていたのですが、本については一瞬
も露出ナシだったそうです。

 この本の書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中の「献本読者書評」
巻末のコーナーで!

 出版社・著者の皆様からの献本も募集中です!

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■「漫画’70s主義~オッサン目線な漫画の地平~」/太郎吉野
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<26>ヅラをキメたらバイクでGO!

 のっけからワタクシゴトで恐縮なのだが、昨年暮れに引っ越した。

 「裏神戸」こと、神戸市唯一の積雪区、北区の六甲山中から、陽光降り注ぐ
大阪湾に面した平地の阪神へ越してきた。
 たとえて言えば、チロルからカンヌへ引っ越したような……そんなえーもん
ではないですか? そーですか。

 しかし、毎年冬になるたびに悩まされてきた「タイヤの履き替え」という経
済と心的負担から開放はされた。
 直線距離にすれば20kmほどなのだが、片や標高300メートル、こちら
はほぼ「0メートル」という、標高差ってのは、ごついものなのですね。
 引っ越してこちら、あまりに日中が暖かいので、びっくりしてしまった。

 まあ、年が明けてからは寒波が襲来し、この冬は、ここらあたりにも「十年
に一度」の雪が積もるかも…とは言われておりますが。
 でも、あちらよりは数段温かい、と痛感の今日この頃。
 夏が心配…でもあるのだが…
 北区では、真夏でもエアコンの稼働率は極端に低くて、夜にエアコンつけて
た記憶はまったくないのだが、今度は、そうはいかんだろうな、と今から覚悟
もしている。

 以前のところは、買い物やその他日常の用を足すのに、車がないとまず成り
立たないところだったのだが、今度は、徒歩圏内にスーパーや商店街、市場等
々、生活に必要なものはほぼそろっていて、考えてみると、こーゆー「まちな
か暮らし」というのは、東京以来で、とすると20と数年ぶり。

 とは言え、その商店街と市場は、ともにほとんどが「シャッター街」と化し
ている…とわかったのは、住み始めてからなのだけど… 

 しかし、その「ほぼシャッター街」の中で営業を続ける店の中に、個人経営
らしい小さな本屋さんがあって、最寄駅近くには古本屋さんもあり、新刊書店
と古本屋が徒歩圏内にある暮らしもまた、「20と数年ぶり」だな、と感慨も
新たなのであった。

 「♪だけどオイラの街には、本屋さんが二軒ある」
 なのである。

 古本屋さんは結構有名店らしくて、店先にはいつも客が見えるのだが、新刊
書店の方は、かなりの時間滞在しても相客のいたためしがないのが、若干心配
…ではあるのだが…
 がんばれ、M書店。

 引っ越しの準備に「わさわさ」していた昨年12月、竜巻竜次さんから、1冊
の漫画本を紹介された。

 その名も『KATSURA STYLE』、B6判120ページ、定価は税
込み1,050円。著者は「豆蔵(MAMEZO)」、版元はゼブラ出版。

 著者も版元も「きいたことがない」という人がほとんどだと思う。

 豆蔵さんは、今年33歳。
 20歳を過ぎてから漫画家をこころざし、数年前、某専門学校のマンガコー
スを卒業した。
 在学中から、積極的に作品を出版社に持ち込む活動を続け、卒業後も継続し
ていたそうなのだが、何年間もどこへ行っても門前払い。

 「ならば」と一念発起。
 彼は、自作を自費出版したのである。

 さらに、その出来上がった本を、愛用のバイクに積み込み、ヘルメットには
マンガのモチーフでありテーマであり「ネタ」でもある「カツラ」を装着した、
「ヅラ・ライダー」として、北海道から沖縄まで、日本列島を縦断しつつ、行
く先々の書店に飛び込んでは、自作を「置いてください」と営業してまわった
のである。

 自作漫画を自費出版する話は、よく聞く。
 けどもそれを、「コミケ」や同人誌即売会へ持ち込むのではなく、「普通の
書店に置いてもらおう」と思った、その根性が「えらい!」と思った。

 感動したので、早速、彼の「営業」先の1軒、著者地元の神戸のお店で、買
わせていただいた。

 一読、「やるな」と思った。
 彼を買わなかった編集の目は、「フシアナだ」とも思った。

 「カツラ」一本やりで120ページ、飄々とした「おバカ」ネタが満載である。
 巻末には、「おバカ映画の鬼才」、映画『ヅラ刑事』の河崎実監督との対談
までついて、「1,050円」は決して高くない。

 この『KATSURA STYLE』、造本にも凝っていて、表紙の真ん中
には、セロファンの張られた四角い窓。
 その中から、ヅラを被ったおじさんキャラが、読者に向かって深々とお辞儀
をしている。
 で、表紙をめくると、おじさんの頭からズラがとれ、はげ頭に「WELCO
ME TO KATSURA WORLD」の文字が現れる、という趣向。

 「ヅラ」は表紙窓のセロファンに描かれているのだけど、よく見るとこのヅ
ラ、マジックの手描き。
 1冊1冊に、著者自らが手描きしたそうで、だから、1冊ずつおじさんのカ
ツラは、その髪型が違っているという。
 わしが買った本では、黒々とした「真ん中分け」バージョンだったけど、ア
フロやリーゼント、さらには「金髪バージョン」も、何冊か混じっているそう
だ。

 豆蔵さん、昨年中に日本縦断営業ヅラ・ライダーの旅を終え、現在は今後の
展開を模索中、とのことだが、この2012年を、さらなる飛躍の年にしていただ
きたい、と願ってやまない。

 「豆蔵、KATSURA STYLE」、で検索すると、この本を紹介した
サイトや、「買える店」がわかります。
 皆様も、ぜひとも『KATSURA WORLD』へ。

 ちなみに、「アマゾン」では、取り扱っておりません。

太郎吉野(たろう・よしの)
元・漫画プロダクション勤務を経て元・本屋。ただいまの本職は「文筆業」の
はずなのだが、もっぱらは複数校掛け持ちにて漫画家を目指す若者たちに、え
ーかげんなこと教えては路頭に迷わすことで生計を立てている。神戸在住。

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/大麦親父乳酸脂肪
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第26回 平田オリザが求めるもの(その3)

 最近どうもはっきりしない。ぼんやりとした落ち着きのない気分。全体とし
て楽しくないのだ。読者諸氏諸兄は如何だろうか。天井がとても低く窓もなく
狭くて暗い部屋に閉じ込められている感じ。この焦燥感。閉塞感。不透明感。
手詰まり感。あるいは苛立ち感。要するにすべての問題が中途半端にごろごろ
と転がっているわけで、何も解決していない。何ひとつ終わっていない。震災
とか原発とか財政赤字とか消費税とか沖縄普天間基地とか何個所かある領土問
題とかTPPとか……。

 でも、やはり、だからこそ、今日も本を読んで、芝居を観て、映画を鑑賞し
て、演芸に興じる。読んで観て鑑賞して興じて、そして考える。日々、その繰
り返しだな。そうは云ってもこれは現実からの逃避かな?

 閑話休題。

 今月も平田オリザについて考えてみたい。

 『現代口語演劇のために』(平田オリザ 著)(晩聲社)
 (平田オリザの仕事1)(1995)

 昨年の12月10日号と先月10日号でご紹介した書籍が、この2書籍。
 『演劇入門』(平田オリザ 著)(講談社)(講談社現代新書)(1998)
 『演技と演出』(平田オリザ 著)(講談社)(講談社現代新書)(2004)

 そして、今月の本書は、最も古い時期に発行された本である。1960年生まれ
の平田オリザが35歳の時の文章だ。

 先月と先々月で紹介した講談社現代新書の2冊に比べると、文章の勢いがい
かにも若い。筆致の勢いがよく、筆が原稿用紙からはみ出してしまっているよ
うな処もあったりする。それが却って楽しい。面白いよ、平田くん。

 12月に紹介した『演劇入門』で、平田はこんなことを云っていたっけ。
 「“何を書くか”が初めにくるのではなく、“いかに書くか”が最初にある
のだ」と。そして、「テーマがあるのではなく、表現があるのだ」。さらに、
平田オリザは云う。「伝えたいことなど何もない。でも表現したいことは山ほ
どあるのだ」と。
 平田は、主題・テーマで芝居を書くのではなく、状況を表現するために芝居
を書くわけだ。

 そして1月に紹介した『演技と演出』では、演出について演技の方法を絡め
た上で、
 「人はそれぞれさまざまな「コンテクスト」を持っているから、せりふを云
う人と云われる人が持っているその「コンテクスト」を摺り合わせ、同じにし
ていく作業を「演出」という。」

 この場合の「コンテクスト」とは、生い立ちや環境で違ってくる言葉の使い
方や言葉のイメージの違い、をいうことだったから、この文脈で平田が云いた
いことは、違ったイメージの言葉を摺り合わせていくことが演出の作業である。
というわけだ。

 今月紹介する本書は、それらの原点になる。時代が違っても平田が主張して
いることに何ら矛盾する処はない。
 平田が主張する演劇のスタイルは、“現代口語演劇”と呼ばれている。これ
は平田が一方的に名付けた。この“現代口語演劇”とは何か? どういうもの
か? を説明するための文章が、本書である。
 平田は云う。“「現代口語演劇理論」は、単なる演技論・演劇論ではなく、
人間と世界の見方を示すある一つの普遍性をもったもの。”だと。彼は堂々と
胸を張って主張している。

 その理論に拠ると、現代のほとんどの演劇は押しなべて、ある主義主張を唱
え、それを声高に述べているが、もうそろそろそういう主張する演劇はやめま
しょう。……ということらしい。そして、あるがままの姿、人間や世界のその
ままの姿を、できるだけ分析的に写し出していこう、と云うのだ。いったいど
ういうことなんだろう?あるがままの姿を写し出しながら、主義主張を述べる
ことだってできるじゃないか。いや、どの劇団もそうやってるじゃないのかな
ぁ。と思いながら読み進める。この時点ではまだ、平田の云いたいことが読み
手であるやつがれにはわかっていない。ここまでが「第1章 演劇は可能か」。

 次の第2章では、演劇の言葉について考察している。従来の芝居の言葉はふ
つうの話し言葉ではない。と平田は現状の芝居の台詞について批判する。確か
に翻訳調ではある。実際にそんな風に喋るかぁ?と疑問を持つこともある。シ
ェイクスピアの芝居を思い起こせばわかりやすい。シェイクスピアの戯曲に出
てくる人物たちのなんと饒舌なことか。なんと説明的なことか。膨大な分量で
物凄い形容と修飾の台詞に観客は圧倒される。それは突き詰めて表現すれば、
「私はあなたを愛します。」というような台詞が延々と続くと考えてもいいだ
ろう。で、平田は云う。普段そんな風に会話しないでしょ、と。読者諸氏諸兄
は、好きな人に愛の告白をする時、どうするのだろうか? なんと云うのだろ
うか?

 それを実際に演劇で見せているのが、平田の芝居であるのだ。彼は好きな人
に「私はあなたを愛します。」とは絶対に口が裂けても云わない、と云う。

 このあたりから、平田の目指す演劇がどんなものかが朧気ながらにわかって
くるのだ。そうして、次の「第3章 演技について」に入る。この章では、芝
居を作る三者の役割から入るのだ。三者とは、戯曲家、役者、演出家のことだ。

 戯曲家は、言語化できるものはすべて語り尽くす。そこから生み出された戯
曲は世界を写す設計図。
 役者は、その設計図に従う者。そこに書かれていることのみを演じる。
 演出家は、役者の想像力を刺激し、作品を点検して責任を負う。
 いささか逆説的になるが、役者は“表現してしまう”のでその危険を乗り越
えなければならない、というのだ。つまり戯曲に書かれたことだけを演じるの
である。“「表現」を拒否し、「再現」に徹する。”と平田は云っている。

 平田の芝居を観ればわかるが、まさしく彼の芝居は「表現」ではなく「再現」
なのだ。舞台に登場している人物が、普通にてんでんばらばらに喋っている。
しかも観客の方を向かずに。平田の芝居を初めて観る人は、舞台上で台詞では
なくアドリブを喋っているのか、と唖然としてしまうのだ。こうして観客は彼
の芝居が「再現」である、ということを身を持って体験する。そこには、その
戯曲を書いた平田の世界が存在し、役者がその世界の中で(その限られた世界
の中で)自由に動いているのがよくわかる。役者は決して平田の構築したその
世界から踏み外さない。

 第4章で、平田の劇団である青年団と平田の関わりについて語り、そして最
終章である、「第5章 おわりに」に突入する。

 “世界の在りようを力強く示し”、“人の心の在りようを繊細に示す”。

 これが、平田の目指す演劇だ。そのために“現代口語演劇理論”を実践する。
自分がそこに存在している、ということの驚き、広大な世界の中でなにかしら
の座標軸で示されたその場所に自分がいる不思議さ。自分と他者や社会とを位
置づけ、まったく無前提に物語が始まっていく。それを平田は表現しようとし
ているのだ。

 最後まで読んで、ようやく平田オリザがめざすものがわかった気がした。

大麦親父乳酸脂肪(寒い日が続く。福島原発で放置された犬や牛たちはどうし
ているんだろう)

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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23 子どもらしさ

 いわゆる児童文学の古典というものをあまり子ども時代には読まないで過ご
してきました。どちらかというと一般的な文学全集を読んでいたので、子ども
の本を読み始めたのは中学生くらいからでしょうか。

 リンドグレーンの本も、そのほとんどを10代後半から読みました。
 ですから代表作である『長くつ下のピッピ』も心の底から楽しむには読んだ
時期が少し遅かったかもしれません。けれど、子どもの本を多く読むにつけ、
リンドグレーンはちゃんと読まなくちゃという思うようになりました。誰にす
すめられたわけでもないのですが、本に呼ばれている気がしたのです。

 それでも、心の底から物語を楽しめるようになったのは、自分の子どもとリ
ンドグレーンを読むようになってからでした。

 彼らは、リンドグレーンの話になると、それはもうおもしろくってたまらな
いというようにコロコロと笑い、文字通り転げ回ることもあるのです。一緒に
なって読んでいくにつれ、わたしもリンドグレーンの伸びやかな語り口が大好
きになっていきました。

 なかでもみんなのお気に入りはエーミルシリーズです。

 岩波書店からハードカバーのフルカラーで出ている

 『エーミルと小さなイーダ』
 『エーミルのいたずら325番』
 『エーミルのクリスマス・パーティ』(いずれもさんぺいけいこ訳)

 この3冊は、夜ねむる前にふとんの中で読むと、当時まだちっこい我が家の
子どもたちが笑いすぎて逆にまったくねむくならないほど。エーミルのとんで
もないいたずらっ子ぶりに、どの子も思いあたるところもあるのでしょう。笑
い転げる子どもたちと一緒にわたしも気づくと大笑いしていました。読んでい
てこんなに笑える本はそうそうありません。

 そのエーミルシリーズの尾崎義さんによる訳で刊行されていた『いたずらっ
子エーミール』がこのたび新訳で岩波少年文庫のラインナップに入ったのです
から、これは読まずにはおられません。

 講談社から出ていたときは読んでいなかったので、今回が初読み。

 『エーミルはいたずらっ子』
           アストリッド・リンドグレーン 作 石井登志子 訳
                        挿絵 ビヨルン・ベリイ

 わんぱくでいじっぱりのエーミルは妹のイーダ、お父さん、お母さんと農場
で暮らしています。本書ではエーミルがどんなにいたずらっ子かということを、
日付順のエピソードをつらねています。

 たとえば、スープ鉢に頭をつっこんで抜けなくなったときのこと。何をどう
しても頭から鉢は抜けません。お父さんとお母さんはお医者さんにつれていく
ことにしました。本当は鉢を割ってしまうという方法も考えられたのですが、
いいお値段のしたものだったので、お医者代をかけても鉢を割らない方法を両
親は選んだのです。そしていろいろあって鉢は頭からはずれたのですが、エー
ミルはまたも信じられないことをします。

 読んでいて思わず、ああとため息が出てしまうほど、親にとっては容赦のな
い奔放なエーミルを、物語として読んでいてもどうも人ごとには思えません。
ついつい親目線で、ああ、子どもってどうしてこうなのと、つい考えこんでし
まいそうになります。

 けれど、子どもってものは本来そうなのだと、我が家の3人の子どもたちが
大きくなっている現在、エーミルのいたずらがすとんと腑に落ちます。

 思う存分やってみたいことをやる。それはたいてい大人にとっては迷惑なこ
とが多いのですが、そうやってこそ、子どものときにしか味わえないおもしろ
い体験となるのでしょう。

 そう素直に納得できるほど、エーミルのいたずらぶりはたいしたものなので
す。だからこそ、子どもたちは笑い転げ、大人のわたしもなんだかとても楽し
い気持ちになるのです。

 こうした物語を多く書いてきたリンドグレーン自身も、とびっきりおもしろ
おかしく、のびのびと遊んだ子ども時代を過ごしたようです。訳者あとがきに
も作者の経歴が簡単に紹介されていますが、大人になってからは順風満帆では
なく、若くしてシングルマザーになり、さまざまな経験を経て作家になってい
ます。

 そんなリンドグレーンが書いたエーミルの物語を読んでいると、子どもらし
さが後の成熟した大人になるもとになっていることを感じます。子どもらしい
子ども時代を過ごせるのは、周りの大人の強く優しい愛情があってこそだとい
うことも。

 いい大人になるのは今からでも大丈夫。
 エーミルの物語は子どものためのものですが、心の底からおもしろいなあと
愉快な気持ちになれるので、大人のわたしもなんだか励まされるのです。

(林さかな)
会津若松在住。主に児童書の新刊紹介をネットで公開したり、出版翻訳データ
ベースのサイト( http://www.trs-data.com/ )にて、翻訳者のインタビュー
記事を書いたりしています。個人ブログ http://r2fish.cocolog-nifty.com/

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■「人事なショヒョー~組織とコミュニケーションを考える」/庄司善彦
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面接ハウツーにも、いろんなカタチがあるんだなぁと。

『面接ではウソをつけ』
 著者: 菊原智明
 出版社: 星海社新書
 ISBN-13: 978-4061385061
 発売日: 2011/11/25

2013年度の新卒採用が本格化してきました。

メディアでもよく耳にする話ではありますが、今年は企業側の採用活動の解禁
が例年よりも2か月遅れ、12月オープンとなっています。学生からすると実
質的な活動期間が制限されてしまうため、焦りの色が強いような感じを受けま
す(メディアが煽りすぎているような気もしますがね)。

中には衣料品大手のユニクロさんのように、「学生通年採用」を謳って、大学
1年生にも内定を出しちゃうような動きが話題になる企業があるものの、そん
な先進的な取り組みなんてまだまだ少数。学生側も例年より企業研究をする期
間そのものが短いからか、就職人気企業ランキングには、TVCMでお馴染み
の、知名度のある企業が例年以上に多いとの指摘もあったりします。

※不人気業界だけどCMでは有名企業、なんてところもランキングに入ってい
たりして。あぁ、ブランディングの恐ろしさ!

で、先日の話なんですが、とある私立大学さんから、学内で3年生を対象とし
た模擬面接会をやるから、面接官役としてご協力をいただけないか、というオ
ファーをいただいたのです。

企業人事としては、その大学さんとの強いパイプを作れるというメリットもあ
りますが、まぁ何より私自身、そういう場にいることが大好きな性分というこ
ともありまして(笑)さっそく日程を調整し、話をお受けすることにいたしま
した。

さて、その模擬面接会の場で学生さんに対し、人事として何を伝えるか、です。

もちろん、私はこれまで採用業務に長く携わってきている人間なので、学生さ
んにお話したいことは山ほどあります。だけど時間は限られていますので、こ
こで一度自分の考えを精査し、ポイントを絞り込んでみようかと思ったのです。
ちょっとその気付きになるような本があったらいいなと思い、久しぶりに就活
ハウツー系の本を、書店で手当たり次第に、あさってみたりして。

そんな中で偶然出会ったのが、今回の本でした。

まず、タイトルが秀逸です。面接ではウソをつけ、だなんて(笑)。

採用する側からすると、面接でウソつかれたらやだなぁと考えるのが普通です
よ。だけどもちろん、これはレトリックで、本当にウソをつくことを勧めてい
る本でありません。

著者は本の中で、面接では「演技をしよう」ということを繰り返し強調します。

あくまで輝かしいアピールポイントのない、二流大学の学生向けという前提で
はありますが「ダメな自分が自己分析に時間をかけたところで、結局自分のダ
メさを再認識するだけである」とか。うーん、手厳しい!だけどこんな視点、
これまでに読んだハウツー本で出合ったことはありませんでした。

その後著者は、それならば自己分析はせいぜい3日ぐらいで終わりにして、就
活がうまくいっている人、面接がうまい人の「他己分析」に時間をかけてみよ
う、そして自分のロールモデルが出来上がったら、面接の場を「舞台」と捉え、
モデルに沿って演技をしてみよう、と仰っているのです。

もちろん演技だからウソだろう、それは本当のあなたじゃないでしょ?と言え
なくもないのですが、そもそも100%の自分をさらけ出して、日常を生活し
ている人間自体、どれだけいるのか?とも言えます。

友達用の顔と家族用の顔で自分が異なることがあるように、企業向けの顔=今
後の社会人としての自分の顔を作り上げていく作業って、逆に有意義なんじゃ
ないの?とも取れるわけです。

自己分析って、就職活動の事前準備としては「業界/企業研究」と並んで取り
上げられる必須項目です。だけど、私も毎年の採用活動時に思う事なのですが、
自己分析に時間をかけすぎて、結果的に企業へのエントリーや面接をあまり受
けていない(というか受けられない?)学生さん、むちゃくちゃ多いんですよ
ね。3年生の秋から就活をスタートしたのに、4年の秋の時点で10社も受け
ていない、とか。

しかし、就職試験の際に面接は避けて通れないですし、また、大本命の企業の
試験だけを受けて他の企業は見向きもしないんじゃ、経験値は溜まりません。

面接が苦手な学生にとって最大の克服法って、場数を踏むことに尽きます。と
にかく多くの説明会に参加し、面接を受けてみる。その中で様々な気付きを得
ながら、次に進んでいく、と。

本の中で、就職活動を通して、自分自身をバージョンアップさせていこう、と
も著者は仰っています。そう、新卒での就職活動は一生に一度、そして自己成
長の為の有意義な期間でもあるのです。

私は自己分析を批判しない人間ですが、そういった対策だけに終始しないで、
限られた時間の中でどれだけ活動量を確保していくのかについても、ぜひ考え
てほしいところですね。

・・・と、書評を書きながら、自分の中で模擬面接で伝えるポイントもまとま
ってきました。某私立女子大学のみなさん、キャンパスでお会いしましょう
(笑)。

庄司 善彦
(財)生涯学習開発財団認定コーチ
IT関連企業に人事職として勤務する傍ら、パーソナルコーチングを実施。
ブログ「人事でコーチなわたしのつぶやき」http://ameblo.jp/coachshowz/

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本が欲しい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡ください。

『大阪船場 おかみの才覚 「ごりょんさん」の日記を読む』(平凡社新書)
 http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/browse.cgi?code=85_621

『かわいいマスクがいっぱい! かんたん手づくりマスク』(小学館)
 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784091022714

『ビジネス真実践』(アルマット)
 http://www.arumat.com/book/b97255.html

『連番禁止ナンプレ』(パブリック・ブレイン)
 http://www.publicbrain.net/books.htm

『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)
 http://www.seikatsushoin.com/bk/083%20america.html

『心に響く遺言書』(学研パブリッシング)
 http://hon.gakken.jp/book/1340482500

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社でも著者でもどちらでも結構ですが、献本を募ります。冊数は
 何冊でもOKです。メールで【読者書評用献本希望】とご連絡いただければ、
 折り返し、送付先をお知らせします。

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、熱意と販促効果優先で選ばせていただきます。

3)発行委員会はいただいたメールの中から、熱意がありそうな方をピックアッ
 プして献本いただいた本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に
 応募数が満たない場合には、100日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンやbk1、楽天などのオ
 ンライン書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。
 つまりは当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願
 いします。

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 さて、配信がだいぶ遅くなりました。実は今、中欧に来ているのですが、な
かなか無料でネットを使える環境が少なく、現在はウィーンのホテルから配信
作業をしています。

 今回は南ドイツからチェコ、そしてウィーンをまわっていますが、10年に1
度の寒さということで、どこも雪景色。寒いのは寒いですが、まるで粉砂糖が
かかったような、美味しそうな(?)街並みを楽しんでいます。

 今回はチェコ語にも挑戦しようかと思いましたが、これが世界でも有数の難
しい言語らしく、断念しました。チェコ語では名詞に単複それぞれ7つの格変
化に加え、男性名詞が二種、女性名詞、中性名詞があり、形容詞も動詞も変化
する上に、主語はしばしば省略される、とのこと。

 要はなかなか何を言っているのかわからない、暗号のような言語であるよう
です。

 何となく、カフカやミュシャ、フロイトやクンデラなどの、頭の構造が垣間
見えたような気がしました。(原口@ウィーン)

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