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2008/10/23

[書評]のメルマガ vol.382

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■■ [書評]のメルマガ                2008.10.20.発行 
■■                              vol.382
■■  mailmagazine of book reviews [サッカーマニアが二人いると 号] 
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■コンテンツ
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★「こんな本をセンデンしたい」/小林圭司
→サッカーマニアが二人いると、話題になるのは……

★「ハタナカリエコの本日和」/畠中理恵子
→普段、日のあたりにくい営業担当の本を紹介します。

★「ベストセラーに背を向ける」/朝日山
→シビアーな業界の本を取り上げます。

★「本の周りで右顧左眄(うこさべん)」/蕃茄山人
→今回はお休みでーす。

★「どこでも読書」/オオウラウタコ
→今回はお休みでーす。

★「三ツ星☆☆☆・人情馬鹿の店」/大友 慶
→今回はお休みでーす。
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■トピック
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●秋のおすすめ心理学書フェア2008
紀伊國屋書店新宿本店心理学書棚にて「秋のおすすめ心理学書フェア2008」が
開催されます。
心理学書販売研究会(心販研)15社、各社おすすめの新刊が手製のポップ付
き!で集います。どうぞお立ち寄りくださいますようお願い申し上げます。

開催期間・・・2008年10月12日より11月30日(予定)
場所・・・紀伊國屋書店新宿本店5F心理学書エンド台

くわしくは→
http://shinpanken.blogspot.com/
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■「こんな本をセンデンしたい」/小林圭司
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西部本の決定版!
『サッカー戦術クロニクル』
西部謙司著 カンゼン刊 1575円

私が勝手に師と仰いでいる西部謙司氏の本は、何度も当コーナーでも取り上
げさせていただいているが、今売れているこの一冊は未紹介だった。

サッカーマニアが二人いればそこから生まれる会話のほとんどは「戦術が
……」から始まると言っていいであろうその「戦術」を、真っ向から取り上
げている。
「戦術」という言葉が本来意味するもの〜戦場における戦闘力の運用〜に照
らして考えると、サッカーにおいても、単純にフォーメーションだけではな
く、手持ちの選手を運用して相手チームに勝利するための手段が「戦術」で
あるので、様々な戦い方がある。
前線に長身の選手がいるのならばそれを活かすためにどんどん高いボールを
放り込んでいってもいいし、相手より攻撃力が劣るというのなら引いて守っ
てカウンターを狙うというのもアリだ。

ただしそれらは、サッカーの本当の魅力を体現した理想的な戦術とはいえな
い。
本書にわざわざ「トータルフットボールとは何か?」という副題が付いてい
るのは、西部氏が「1.現代的または未来的な印象を与える 2.優れた
チームプレーであること 3.攻撃的かつ魅力的であること」と定義してみ
せる「トータルフットボール」こそが理想のサッカーだという共通理解が、
サッカーをする人にも見る人にもあるからだ。
その戦術を74年のオランダ代表、80年代末のACミラン、82年のブラジル代
表などの歴史的なチームや、ヨハン・クライフ、ジョゼ・モウリーニョと
いった名監督のサッカーから解き明かしていく過程は、たまらないスリルと
興奮を味わわせてくれる。

これまでの西部氏の著作は、サッカーのある生活のすばらしさを洒脱なエッ
セイにまとめた『Eat foot』や、歴史的名勝負を迫真の小説に仕立て上げた
『1974 フットボールオデッセイ』、オシム監督のサッカーのエッセンスを
具体的な試合から抽出して分析した『イビチャ・オシムのサッカー世界を読
み解く』などバラエティに富んでいた。
本書はそのいずれの系譜にも繋がっていながら、全く新しい視座を提供して
おり、懐の深さは計り知れない。
寝ても覚めてもサッカー、という人でなければこういう本は書けない。

もう少し見方がわかるとサッカーも面白いのかも……と思っていらっしゃる
方にはぜひお薦めしたいし、ゴール裏あたりにいるサッカーファンは往々に
して自分のチーム以外への関心が薄かったりするので、熟読してサッカー観
を深めてほしいと思う。

(小林圭司 出版社宣伝部員 40歳 不惑を迎えてもサカヲタ)
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■「ハタナカリエコの本日和」/畠中理恵子
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『「本の雑誌」炎の営業日誌』杉江由次著・無明舎出版刊

 秋ですねぇ。涼しくなって、夜も長くなって本を読む時間がますます至福
のときになってきましたねぇ。来週から神田神保町も青空古本まつりです。
例年このお祭りが終わる頃寒くなっていて、年の瀬に向かいます。2008年も
早っ!

 さて、今回ご紹介させつ頂く本は、「本の雑誌」のwebで人気連載のあの!
「炎の営業日誌」です!2004〜2008年一冊にまとめ、秋田の無明舎出版さん
から刊行されました。

 本の雑誌社のひとり営業・杉江さん。
 ひとことで言うとスゴイ!
 何て熱いんでしょうか。
 本文中、「ぼくの燃えるのはレッズだけ。仕事はいたって冷静です。」と
おっしゃいますが、いえいえご謙遜を。レッズにはとてつもなく熱く、しか
し、仕事にもメラメラと燃え、家庭人としてもカッカぼーぼーと燃えてい
らっしゃいます。
 この熱、熱い「愛」が本書の魅力で、読み出したらカッカと興奮しあっと
いう間に読み終えました。

 後味は、スゴイ!
 この熱い興奮をぜひ皆さんも味わってください。


 出版社の営業さんがどんなことをされているのか、昔は全く想像できませ
んでしたが、この世界で働かせて頂き、彼ら彼女らがどんなに熱意を持って
本の情報を私たち書店へ運んでくださるかわかってくると、本当に毎々頭の
下がる思いでお迎えかします。
 書店という、外へ扉を開きながらもでもあくまで家の中で読者を待つ場所
へ、営業さんは外から新しい風を運んでくださるのです。 息がつまりそう
な気分のとき、書棚の間で少し呼吸し、また、営業さんのお話をお伺いする
と、他店の方のアイデアや本の話が栄養担ってなんかまたやる気が出て来て、
楽しくなっちゃうんですね。

 『「本の雑誌」炎の営業日誌』には、そんな書店員の日常や愚痴、思いを
救い上げ、ともに考えてくださる頼もしい杉江さんがいます。
 そして、何より本に対する杉江さんの「愛」は、書店員に元気を与えてく
ださいます。

 ここには彼のまわりの本当にたくさんの方が登場します。
 本の雑誌社の個性的な同僚(うらやましいくらい愉快です)、営業仲間と先
輩、書店員。そして、彼の柱、浦和レッズのひとびと。何より彼を支える家
族。友人。
 誰もみな彼の熱い情熱に惹かれ、彼とともにそれぞれの場所で一喜一憂し、
生きています。
 そう、本書を読んでいると、生きてるんだっ!ってしみじみします。
 本に関わりながら情熱を持って生きている、一男児ここに在り。
 
 妻に土下座し娘を置き去りにレッズへ向かう生。
 手弁当の本屋大賞の成功へ滅私で働く生。
 暑くても寒くても、靴をすり減らしながら書店の店頭へ向かう生。

 雨の日も風の日も晴れの日も、本を読者へ届けるため歩く毎日。
 そんな普通の毎日がどんなに楽しいのか、本書は教えてくれます。

 大好きな箇所。
 伊野尾書店さんと同行する仕入れの場面。

 お父様の話。旋盤屋さんの話。

 友人に勧められ初めて自分で買った文庫の話。その友人家族と海へ行く話。

 みんな、ぐっとくる。熱くてじんわり優しい気持ちになります。

 ちょっとウロウロしているあなた。
 秋の夜長、ガアーっと本書を読破してください。

 自分の足もととか、まわりとかが、フツフツと愛しくなる一冊です。

『「本の雑誌」炎の営業日誌』
杉江由次著
無明舎出版刊
1680円
9784895444880
(畠中理恵子 神保町の看板奥様)
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■「ベストセラーに背を向ける」/朝日山
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水商売の武装顔 
「FOXY」宇佐美游 文春文庫 

夜の繁華街で、女性を側に侍らせて酒を飲むのが好きな男は多い。私の周囲
にもそんな人は多いが、個人的には全く理解できない。酒を飲むのに、女性
が話し相手になってくれるのは単純にうれしいが、わざわざ女性と話すため
に少なくないカネを払う気にはなれないのである。  

「だからお前は遊びベタなのだ」とよく言われたし、今も言われている(笑)
が、んなことはどうでもいい。だが、そうした世界の人間模様はさぞ面白か
ろう。なわけで、久しぶりに紹介する小説は、銀座ホステスさんのお話であ
る。  

著者の宇佐美游氏は、アメリカ留学後、モデル、ホステス、ライターを経て
小説家という、わけのわからないキャリアを歩んできた人。版元の文藝春秋
の「自著を語る」のコーナーに、ご本人の作品紹介と写真があるが、この女
性ならと納得するご尊顔。  

美女には違いない。しかし、見目麗しいと花の顔と言うより、銀座仕様の武
装顔と呼ぶのがふさわしい。  
http://www.bunshun.co.jp/jicho/foxy/foxy.htm  

スタートは、モデルになりたいと上京してきた主人公、小沢千華がモデルク
ラブ詐欺に引っかかって大金を騙し取られたあと、銀座をさまよう所から始
まる。大金を騙し取られて、カネがない。カネを取られたと言って故郷に帰
れない。なんとかカネを作らないといけないと求人誌を持って銀座をさまよ
う千華の描写は類型的に見える。  

著者も青森出身で、本当はこれがリアルなのかもしれないが、買って失敗し
たかな?と一瞬思った。しかし、ひょんなところから銀座のトップクラスの
クラブ「セビリア」に入って、クラブNo1ホステス、川村繭子が教育係につ
いて修業の毎日。  

その繭子の仕事の流儀は、させずに男からカネを取ること。男に自分を惚れ
させて、どんどんカネをむしり取って行く。千華も仕事の席で出された課題
を必死になってこなして行く。そんな千華に繭子は自分のもつノウハウを惜
しみなく教えた。  

それでまず思い出したのは、以前紹介した「セックスエリート」というノン
フィクション  
http://back.shohyoumaga.net/?eid=43112  

これと比較して読むと、性を商品化することについて理解が深まると思うが、
話を小説に戻すと  

なんと「セビリア」に千華を詐欺に引っかけた武原が客としてやってくる。
武原は千華に気がついていない。警察に通報するかと考える千華に、繭子は
言う。あいつからも金を取れ!すなわち、させずに取られた以上のカネを取
るのだ!…千華は危なげながらも、武原を惚れさせて取られた以上のカネを
ふんだくる!戦果に、繭子も自分のことのように喜んだ。  

かといって、千華は芸能界の夢破れホステスとして生きる決心を固めたわけ
ではなかった。そんな千華に、繭子は言う。私の側にいなさい。女優になれ
るから……。  

繭子の言う通りだった。千華はモデル事務所の試験に合格、着々とスターへ
の階段を上がって行くが、そこから先はお読みいただこう。いやはや、これ
はハードボイルドですよ……銃も殴り合いも出てこない、女のハードボイル
ド。  

男でも女でも読んで楽しめる本だと思うが、個人的にはこの本、政治家志望
者に読んで欲しいな。というのは、舞台は違えど、政治の世界と、銀座ホス
テスの世界はよく似ていると思うからだ。  

最大の共通点は、えげつない世界でありながら、そんな世界で本当に尊敬さ
れる者には独特の美学があることだ。世間的常識では、そうした美学を開陳
すれば摩擦を引き起こす。ハッキリ言えば、やらせずにカネをふんだくる繭
子のように、たちの悪い人と見られる。  

しかし、その根底には、絶対に譲れない、守らなければならない生きざまが
あるのだ。それがないと、いざと言う時に踏ん張れない。ラクになりたいと
いう誘惑に負けてしまう。銀座ホステスなら客と寝ること。政治家なら有権
者におもねることだ。  

もちろん、そうした生き方には危険が伴う。しかし、そうした生き方をする
者にしか分からない甘美な人生の一部分を、この小説家は間違いなく知って
いる。  

「銀座ママの〜〜」なんてタイトルの本が面白くないと思っておられる方は、
ぜひご一読を!
(朝日山 烏書房付属小判鮫 好きなジャンル 何だろ? 最新刊『〈イラ
スト図解〉コメのすべて 生産、流通から最新技術まで』(日本実業出版社 
1500円税抜き)発売中。他に『最強!戦略書徹底ガイド』(ソフトバンク
1,600円税抜き)『農業に転職する』(プレジデント社 1,500円)『イラス
ト図解 農業のしくみ』(日本実業出版 1,500円)も好評発売中です)
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■あとがき
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>最近、英語の勉強をはじめたんです
>はあはあ
>空き時間に『DUO』のCDを繰り返し聞いているだけなんですが、年の
せいもあってか、なかなか覚えられずに苦労しています……
>それって、年のせいじゃなくて、もともとの能力の問題なんじゃないんで
すか?
>うるしゃーい、本当のことを言うな、プンプン(笑)受験生の頃は、『D
UO』に出てくるような単語、みんな覚えていたはずなんですが、きれい
さっぱり忘れているところも、なんとも時の流れを感じます。人間の記憶も
バックアップがとれて、随時復活できるようにならないかしらん……
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