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2008/06/21

[書評]のメルマガ vol.366

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■■ [書評]のメルマガ                2008.6.20.発行 
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■■  mailmagazine of book reviews   [ハードボイルドの起源 号] 
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■コンテンツ
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★「こんな本をセンデンしたい」/小林圭司
→今回は、豪華三本立て!

★「ハタナカリエコの本日和」/畠中理恵子
→作家の場所へ連れて行ってくれる本の紹介です。

★「ベストセラーに背を向ける」/朝日山
→昔読んだ傑作を再読します。

★「本の周りで右顧左眄(うこさべん)」/蕃茄山人
→今回多忙につきお休みでーす。

★「どこでも読書」/オオウラウタコ
→今回はお休みでーす。

★「三ツ星☆☆☆・人情馬鹿の店」/大友 慶
→今回はお休みでーす。
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■「こんな本をセンデンしたい」/小林圭司
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ふああああ(のっけからあくび)。
毎日夜中にユーロ見てるから眠くて眠くて……。

なんてことを言ってみたいものですが、ウチはWOWOWに入っていないし、海外
サッカーよりJ2のが好きだし、近所で高校生とかの試合を観戦するのに忙しい
ので、実際はほとんど見ておらず、私のユーロについての知識は最低レベル、
みなさんより知らないに違いありません。
おまけにこのところサッカー本の新刊が多くて、それにすら追いつけていない
状況ではありますが、ちょっと前のよかった本をいくつかご紹介したいと思い
ます。

まずは売れているらしい『股旅フットボール 地域リーグから見たJリーグ
「百年構想」の光と影』(宇都宮徹壱著/東邦出版/1429円)から。
上から数えて4番目にあたる地域リーグからトップのJリーグへの昇格を狙って
いる地方クラブ10チームと、それらのチームが争う全国リーグへの昇格をかけ
た壮絶な大会について取材しています。
宇都宮さんといえばかつては『幻のフットボール王国』(勁草書房)や『ディ
ナモ・フットボール』(みすず書房)といった名著で、日本ではあまり知られ
ていなかった東欧のサッカー事情を紹介していたのですが、いつの間にか辺境
は辺境でも、日本国内の辺境にのめり込んでいたのでした。
しかしながら、下から上を目指すモチベーションは、変に上で安定しているJ
クラブよりも余程高いわけで、ここに現在の日本サッカーの一番熱い部分があ
ると言っても過言ではないでしょう。

続きましては私の尊敬する、前滝川第二高校監督、現在はヴィッセル神戸の育
成部長を務められる黒田和生氏の自伝『トモニイコウ。』(アートヴィレッジ
/1429円)。
滝二ファンとしては氏の座右の銘「怯まず、驕らず、溌剌と」を書名にして欲
しかったところですが、出版社員的にはそんな難しい漢字だらけのタイトルは
不可ですかね(加地でも書けるのに)。
黒田氏の人柄は、滝二時代の試合を見ていても伝わってきていました。
世の中にはベンチで怒鳴り声をあげてばかりで、選手には全く慕われない監督
もたくさんいるのですが、黒田氏は全く逆だったのです。
そんな氏の原点が、野球部の補欠で試合に出ることのできなかった中学生時代
にあることを本書で知ったのですが、若年層の育成という奥の深い仕事は、
様々な経験を積んだ人間にしか出来ないことをあらためて教えられます。

最後にご紹介する『サッカー監督の流儀 ジュニアからJリーグまで、指導者
22人の経験的育成論』(羽中田昌著/スキージャーナル/1600円)は、育成モ
ノの集大成のような本です。
今シーズンから四国リーグのカマタマーレ讃岐(すごいチーム名でしょう。
『股旅フットボール』にも出てきます)監督に就任した羽中田氏が、2005〜
2007年に週刊『サッカーダイジェスト』誌上で連載していた指導者インタ
ビューを一冊にまとめたもの。
まず、登場する監督たちのチョイスがとてもいい!
成立の宮内総監督とか、流経大の中野総監督、もちろん前出の黒田氏も含め、
育成に定評のある名だたる監督たちが並んでいます。
そして、みなさん発言が熱い!
それを引き出しているのは、インタビューイ・羽中田氏の熱さに他なりませ
ん。
韮崎高校で全国大会で活躍しながら、卒業後に交通事故で下半身不随となっ
た、悲運のエースとして知られる氏ですが、サッカーに対する情熱は全く衰え
ることがありません。
こういう本に出会って、こういう著者や登場する指導者のような存在を知る
と、いつもサッカーばっかり見ていて奥さんに怒られるけど、サッカー好きで
よかったな、と思えます。

それでは、ユーロで夜更かしのみなさん、どうぞ体調を崩さぬようにお気をつ
け下さい。
私は高校総体予選観戦のために早寝します。
(小林圭司 出版社宣伝部員 39歳 好きなジャンル:サッカーとカレー)
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■「ハタナカリエコの本日和」/畠中理恵子
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 こんにちは。
 鬱陶しい毎日ですね。
 緑が日に日に色濃くなり、空気も満っちりとしてきました。
 毎年経験しているはずなのに刻々と変化する季節に驚かされます。
 七月も楽しみだなあ。

 さて、今回ご紹介させていただくのは、扉野良人著『ボマルツォのどんぐ
り』晶文社刊 です。
 扉野さんは京都在住、sumus という雑誌の同人。
 本書は「sumus」「CABIN」「modern juice」や「虚無思想研究」などで書か
れた文章を編まれた初めての著作集です。

 タイトル「ボマルツォ」はイタリア田舎にある古城の庭園の名前。
 16世紀につくられたマニエリスムの庭園。
 「怪物庭園」として、マンディアルグが「ボマルツォの怪物」という本も書
いています。澁澤龍彦訳。
 巨人や怪物などちょっと無気味な怪しい石の彫刻が庭のあちこちにいる、不
思議な庭。
 ローマから80キロ、電車とバスを乗り継ぎひなびた山あいムラにうっそり
とあります。
 著者は、アクセスの悪い郊外の村へ同行者と苦労して出かけます。
 旅の友はマンディアルグや澁澤のことば。たぶん、何度も読み返し繰り返し
想像しかみしめた思いを胸に、電車にのりバスに揺られやってきた庭。
 そこには、あたりまえのように昔から在った、たくさんの人が訪れるわけで
もない、ただ領主が自分のためにつくった奇妙な空間、時間、場所が存在しま
す。
 庭にはいり、ひとけもなく木と草と石の彫刻しかないその場所で抱えるもの。
 遠くや近くにいりひと。時。何だか、永遠っていうか、終わってもまだある
ものっていうか。
 扉野さんがいた、その場所の空気を吸い込んだ気がしました。

 澁澤もそうしたように庭園のどんぐりを持ち帰ります。(澁澤のそれとはま
たちょっとちがった持ち帰り方がかわいいです)

 永田助太郎、寺島珠雄、辻潤。
 渡辺武信。
 田中小実昌、田畑修一郎、加能作次郎、川崎長太郎。

 彼は好きな作家のいた場所へ、本と本を読んだ気持ち、ことばを抱え訪ねて
いきます。
 そこはもう、作家の痕跡はほとんどなかったり、あるいは、まだ知人が残っ
ていたり。
 いったりきたり歩いて考え。
 でも、いつも、彼はそこで作家と出会うのです。
 本は、ことばは、なんて豊穣なものを与えてくれるのだろう、とたずねてあ
るく扉野さんの文章に驚かされます。
 もう忘れられてしまったかもしれない、でも、魅かれずにはいられない作家
の場所へ私たちをつれていってくれる一冊です。

 扉野良人著
 『ボマルツォのどんぐり』
 晶文社 1890円
 ISBN978−4−7949−6724−4

(畠中理恵子 神保町の看板奥様)
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■「ベストセラーに背を向ける」/朝日山
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こどもの頃、読んだ本を読み返す 

「恐怖の谷」アーサー・コナン・ドイル 光文社文庫  

うちの子供が、「名探偵コナン」にはまっている。殺しとか出てくる物語は大
嫌いというくせに、コナンや十津川警部などが出てくるテレビ番組を好んで見
るのがよくわからない。  

でも、自分たちの子供の頃は、名探偵と言えばホームズや明智小五郎である。
ポアロや、金田一耕助である。コナンにしたって、ミステリの古典を知ってい
ればニヤリとするような設定があちこちにある。警視の名前はなぜ目暮なのか
とか、子供が気づくのはいつかなぁと思いつつ読んだのがこれ。  

新訳シャーロック・ホームズ全集の一冊で、実はこの作品、私がこどもの頃最
初に読んだホームズだ。もちろん子供向けに仕立ててある本だったわけだが、
内容はすっかり忘れている。なもんで新刊を読んでいるのと全く変わらない。
ちなみに訳者は「日暮」雅通氏である。横棒一本惜しい(w  

犯罪王モリアーティ教授の調査を続けるホームズの元に、教授に近い筋から暗
号文のタレコミがあった。暗号を解くとバールストンのバールストン館に住ん
でいるダグラス氏に危険が迫っているという。しかし、間に合わなかった。暗
号を解いた直後に、ダグラス氏が銃撃されたとの知らせが入った。顔が分から
ないほどに潰されているという  

武器を片時も放さず、常に警戒を怠らなかったダグラス。周囲に水をためてあ
るバールストン館は夜になるとはね上げ橋が上がって、人が入れなくなる。殺
害現場の窓に残された足跡。ダグラスの指に二本嵌められていて、なぜか内側
のものだけ消えた指輪。なぜか一つしかないダンベル。そしてダグラスの腕に
残る、焼印と犯人が残したとおぼしき謎のメッセージ……。  

周囲から好かれていたが、以前アメリカにいたという以外、妻すら知らないダ
グラスの経歴。なぜダグラスは殺されたのか?  

そこに新たな事実が判明する。殺人が行われた当日、バールストン館に遊びに
来ていたアメリカ時代の親友、そして死体の第一発見者であるセシル・バー
カーは、ダグラスの夫人に心を寄せていた。しかも婦人とバーガーは、ダグラ
ス暗殺直後に人に隠れて談笑しているではないか……。  

ホームズは一夜、事件のあった部屋にこもった後、事件を解決する。さすがは
ドイル。どんでん返しが素晴らしい!そこから物語は第二部に移り、事件のを
呼び寄せることになったダグラスのアメリカ時代、すなわち過去にさかのぼっ
ていく。そして「恐怖の谷」のタイトルの意味がわかってくるという趣向だ。

で、その「恐怖の谷」とは何かは読んでいただくとして、昔は気がつかなかっ
たが、今読んで気が付くことがある。くだらないことは、ホームズはM字ハゲ
だったこと。というのもこの本、作品の初出であるストランド誌の挿し絵が使
われていて、そのように描かれているのだw。ついでにワトスンは千円札の御仁
みたいである。  

当メルマガの読者に興味深いであろうことは、この作品は本格推理の作品であ
ると同時に、第二部を根拠に世界最初のハードボイルド作品と言っても良いの
ではないかという印象を持ったことだ。だって、読んでいる最中にまず頭に浮
かんだのは、ハードボイルドの大御所ハメットの「血の収穫」(1929年初出)
だもん。いや〜ホントに似ている。  

ハードボイルドの発祥はアメリカというのが定説だ。1920発刊のパルプマガジ
ン「ブラックマスク」から始まったとされる。ハメットも、パルプマガジンか
ら世に出た。しかし、この作品の初出は1914年から15年、イギリスで発行され
た雑誌の連載なのである。  

そして、この作品の第二部がハードボイルドの雰囲気を伝えているのは、私な
どが指摘するまでもなく、シャーロキアンをはじめとした多くの人が知ってい
るのだ。  

にもかからわず、そうした意見というか、ハードボイルド・ドイル起源説が出
てこないのが解せない。私がそういう説があるのを知らないだけなのかも知れ
ないが、個人的には面白い発見であった。  

そんな経験をすると、昔熱心に読んだホームズ、また読むか?という気になる。
たぶんホームズは子供版でほとんど読んでいるはずだが、ストーリーを覚えて
いるのは「赤毛連盟」くらいで、あとは記憶の彼方にある。だから今読んでも、
たぶんトリックはわからないw。楽しめるはずである。  

(朝日山 烏書房付属小判鮫 好きなジャンル 何だろ? 最新刊『〈イラ
スト図解〉コメのすべて 生産、流通から最新技術まで』(日本実業出版社 
1500円税抜き)発売中。他に『最強!戦略書徹底ガイド』(ソフトバンク
1,600円税抜き)『農業に転職する』(プレジデント社 1,500円)『イラス
ト図解 農業のしくみ』(日本実業出版 1,500円)も好評発売中です)
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■あとがき
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>最近、できたばかりの副都心線に乗ったんです。
>はあはあ
>混んでいるのかとおもいきや、平日の昼はガラガラでしたねー。なんだか、
この線のために池袋、新宿、渋谷間の街とか百貨店の競争も激化しそうとかい
われてますが、まだまだ平日に限っていえば、これからって感じでしたねー。
>あら、交通費浮かそうと、都内をせっせと歩いている貧乏人のあなたには、
まるで無関係の話なんじゃないんですか?
>うるしゃーい、本当のことを言うなプンプン(笑)。最近は、年のせいか疲
れやすくなって、地下鉄くらいは結構つかってるんです、シクシク(笑)
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