2007/08/31
極める!ビジ法務2007/08/31(再送)
□◆□ 相続の承認・放棄とは?(再発行) □◆□ 相続の承認及び放棄について、以下のア〜オの記述のうち正しいものの 組み合わせを(1)〜(5)から1つだけ選んでください。 ア 相続の承認及び放棄は財産上の行為であるが、財産法上の行為能力 は必要とされないから、承認及び放棄をするには、相続人が未成年者 である場合でも、その法定代理人の同意を要しない。 イ 相続の承認及び放棄の効力は確定的なものであるが、放棄が強迫に 基づいて行われた場合は、それを取り消すことができる。 ウ 相続人が相続を放棄する場合には、家庭裁判所に対して放棄の申述 を行ってからその効力が生じ、その時から相続人としての資格を失う ことになる。 エ 相続人が相続を放棄した場合には、その相続人の債権者は、相続人 の無資力を要件として、自ら相続財産を差し押さえて、自己の債権の 弁済に充当することができる。 オ 相続人が数人いる場合、その1人が相続を放棄したときは、他の相 続人は限定承認をすることができない。 (1)アウ (2)イオ (3)ウエ (4)アイオ (5)イウエ 解説・解答 今日の問題は、相続の承認及び放棄に関する制度・効果についてのもの です。相続・・・、最近ワイドショーなんかでよく耳にする言葉ですが、 遺産相続によって揉めるケースは一般でも少なくないようです。 宝くじや相続によって、突然大金を手にしても、動じることのない強い 精神を持ちたいですね・・・。 さて、相続の承認・放棄には『単純承認』『限定承認』『相続放棄』と いう3つの制度が用意されています(民法920〜940条)。いざという時の ために、しっかりと理解してしておきましょう。 1、単純承認 単純承認とは、読んで字の如く、単純に被相続人の財産をそのまま相 続することです。財産がなくて借金がある場合は、その借金を相続する ことになります。また、相続人が相続財産を処分したり、相続放棄や限 定承認をした後でも、相続財産を隠匿したり、密かに消費するなどの背 信的行為をしたときも、はじめから単純承認をしたものとみなされます。 2、限定承認 限定承認とは、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務及び遺 贈を弁済するという留保付きの承認です。相続財産が全体としてプラス かマイナスが不明なときに、もしマイナスであれば、相続財産で債務を 弁済しますが、相続人固有の財産からは弁済しないという、相続人にとっ て都合の良い制度です。 限定承認をするには、共同相続人全員で、自分の為に相続が開始され たことを知った時から原則として3ヶ月以内に、財産目録を作成して家 庭裁判所に提出し、限定承認をする旨の申述をします。共同相続人のう ち1人でも限定承認に反対する者がいるときは、限定承認の申述はでき ません。この場合、他の共同相続人は相続放棄をするしかありません。 限定承認をした場合は、債権者にその旨を公告し、一定の期間内に請 求の申立をさせて、相続財産を換価して割合に応じて債権者に配当しま す。 3、相続放棄 相続放棄とは、相続について初めから相続人にならない旨の意思表示 をすることです。相続放棄の手続きも、限定承認と同様、自分の為に相 続が開始されたことを知った時から原則として3ヶ月以内に、家庭裁判 所に相続放棄をする旨を申述します。ただ限定承認と違い、理由や必要 性は審理の対象になりません。 相続放棄をすると、初めから相続人でなかったものとみなされます。 その効果は絶対的であり、登記や引渡しをしなくても、何人に対しても 相続人でなかったと主張できます。 ア 誤り。相続の承認及び放棄の性質は、財産上の法律行為ですから、行 為能力が必要です。したがって、未成年者が相続の承認・放棄をする場 合は、法定代理人の同意が必要となります。 イ 正しい。相続の承認及び放棄の効力は確定的なものであり、熟慮期間 中であっても“原則として”取り消すことはできません(民法919条1項)。 しかし、例外的に、放棄が強迫に基づいて行われた場合には、取消権の 行使期間について制限があるものの、取り消すことができます(同条2項)。 ウ 誤り。相続放棄の効果は遡及します(民法939条)。したがって、「放 棄の申述を行ってからその効力が生じ」というのは誤りです。 エ 誤り。相続するかどうかは、本人の意思に委ねられるべきものであり、 放棄がなされた場合、その効果は絶対的です。判例も、放棄した相続人 の債権者が遺産分割前に代位による相続登記をなし、この持分を差し押 さえて差押の登記をなしていたとしても、それは無効であるとしていま す(下記判例参照)。したがって、この場合、債権者が自己の債権の弁 済に充当することはできません。 オ 正しい。一部の相続人の限定承認を認めると、相続財産をめぐる法律 関係が複雑となり、清算を困難にすることから、限定承認に関しては、 共同相続人全員で行わなければならないとされます(民法923条)。 最判昭和42年1月20日 相続人は相続の放棄をした場合には、相続開始時にさかのぼって相続開 始がなかったと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は登記等の有無を問 わず何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべきであり、相続の放 棄をした相続人の債権者が相続の放棄後に相続財産たる未登記の不動産に ついて、右相続人も共同相続したものとして代位による所有権保存登記を した上、持分に対する仮差押登記を経由してもその仮差押登記は無効であ る。 以上により、正解は(2)です。 \(^o^)/【今日の押さえどころ】\(^o^)/ ・相続人が相続財産を処分した場合は単純承認したものとみなされる ・1人でも限定承認に反対する者がいると限定承認はできない ・未成年者が相続の承認・放棄をする場合は法定代理人の同意が必要 ・相続の承認及び放棄が強迫に基づいて行われた場合には、取消権の 行使期間について制限があるものの、例外的に取り消すことができる ・相続放棄の効果は遡及する \(^o^)/【今日の狙い撃ち条文】\(^o^)/ 民法第939条【放棄の効果】 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初から相続人となら なかつたものとみなす。 \(^o^)/【編集後記】\(^o^)/ また前回発行から半年・・・しかも再送・・・情けない。 申し訳ありません、怠惰です。 病気・怪我ではありませんのでご心配なく・・・ パロディ路線を貫くか、普通にするか、オリジナル小説 を題材に問題を出していくか・・・色々と検討中です。 -------------------------------------------------- このメールマガジンは厳正な校正を行っておりませんので、 ひょっとしたら間違い等があるかもしれません。 どうか、ご了承ください。m(__)m -------------------------------------------------- 発行システム:まぐまぐ( http://www.mag2.com/ ) -------------------------------------------------- 購読解除・変更は http://www.mag2.com/m/0000034321.html -------------------------------------------------- e-mail ZAN10214@nifty.com



