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2008/11/20

[ほぼ日刊日々是映画] vol.2420 ★ 幸福

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===============================================2008/11/20==
                        -vol.2420--
  ほぼ日刊 日々是映画         発行:cinema-today
                http://www.cinema-today.net/
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2420号です。

いやぁ、急に寒くなりました。
九州でも雪が降ったりして大変だったようで。

寒いときにいいのはやはり、防寒のアンダーウェアでしょうね。
昔ならババシャツとかラクダなんつってイメージが悪かったん
ですが、最近はスポーツ用のものなんかが売れているようです↓
http://tinyurl.com/59jnmt
これなら、見えてしまっても防寒着というよりはトレーニング
ウェアという感じでいいですね。
パンツもあります。
http://tinyurl.com/5h2r2m
これからの季節にぜひどうぞ。

今日は先日BSでやっていたアニエス・ヴァルダの『幸福』です。
6年ぶりに観まして、レビューはほぼ完全に書き直しました。
やっぱりヴァルダはいいな。

ワンクリック投票実施中!
行間が少なくて読みにくいというご意見がありましたので、
あけてみました。よみやすくなったかご意見をお願いします。


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-------- 目次 --------

■ 今日の映画
 幸福

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■ 今日の映画 − 幸福


--cinema????------------

 幸福

 Le Bonheur
 1964年,フランス,80分

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<キャスト&クルー>

監督 アニエス・ヴァルダ
脚本 アニエス・ヴァルダ
撮影 ジャン・ラビエ
   クロード・ボーゾレーユ
音楽 W・A・モーツアルト

キャスト エマニュエル・リバ
     クレール・ドルオー
     マリー=フランス・ボワイエ

<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<プレヴュー>

 ひまわり咲き乱れる野原を手をつないで歩く家族。仲むつまじい
フランソワとテレーズには二人の子供があり、日曜日ごとに森にピ
クニックに出かける幸せそのものの家族。フランソワは叔父の建具
屋で働き、テレーズは家で洋裁の仕事をしていた。フランソワはあ
る日叔父から仕事を任されて近くの町に出かけてゆき、郵便局員の
エミリーと出会う…
 題名どおり、「幸福」とは何かということを考える映画。ヴァル
ダとしては初期の作品で、映像面での技巧に若さを感じる。


<レビュー>

 私はアニエス・ヴァルダの作品を見るときまずファーストシーン
に注目する。彼女の映画のファーストシーンはいつも秀逸で、目を
引く技巧が使われ、これから観る映画について強いイメージを観客
に与えるのだ。

 この作品ではまずタイトルクレジットでひまわりを前景にして向
こうから近づいてくる家族をピンボケでとらえる。そのタイトルク
レジットは、さすがという感じ。それに続くシーンはそれほど強い
印象を与えるわけではないが、家族で森を歩くところで使われる音
楽が非常に印象的で、彼らの“幸福”を言葉なしに見事に表現して
いる。

 このタイトルクレジットと森の中のシークエンスはこの映画全体
を予告している。タイトルクレジットに使われる短いインサートは
作品全体を通して効果的に使われる。時には何も映っていないオレ
ンジや青の単色のショットなのだが、意味のないそのショットが物
語の中に登場するさまざまな色彩と呼応して作品にテンポを与え、
作品の雰囲気を作っている。
 ただ、フランソワがエミリーとであったシーンの「誘惑」とか
「秘め事」といった言葉のインサートはあからさま過ぎて鼻白い感
じを受けるが、そこは若さゆえと言うことだろうか。

 そして森の中のシークエンスは題名でもある“幸福”ということ
を端的に示す。森で過ごす日曜日は彼らにとって幸福そのものであ
り、この作品が語ろうとする幸福の意味を映像で最初に表現してい
るのである。
 そして、さらにはこの作品はラストのシークエンスでもこの森で
過ごす日曜日を使っている。しかも使われている音楽もまったく同
じだ。しかしその音楽が与える印象はまったく違う。最初のシーク
エンスでは“幸福”を象徴していたその音楽が、最後のシークエン
スではどこかで不安感や後ろめたさを感じさせるものになっている
のだ。この構成が実に見事である。


 この見事な構成の作品が私たちに語りかけるのは題名どおり“幸
福”ということである。妻と、そして別の女性を同時に愛すること
になる主人公のフランソワが「幸せだ」というとき、その“幸せ”
とは何を意味しているのか。彼は同時にふたりの女性を愛し、愛さ
れるという幸せを感じているが、そのふたりの女性のほうはどうな
のか、言葉にならない彼女たちの感情こそがこの作品が描こうとす
るものであることは間違いない。

 幸福や愛というものが素晴らしいものであることは間違いないが、
それらは本当はどのようなものなのか。時には誰かを不幸に陥れた
り、愛といいながら独善に過ぎなかったり、誤解や妥協の産物であっ
たりするものなのではないか。当たり前といえば当たり前だが、そ
のようなことを改めて語りかけてくるように思える。

 そして、それに対する答えは用意されていない。映画の終盤に物
語の重要な分岐点となる、テレーズが姿を消すシーンがあるのだが、
ここでも短いカットが重ねられるシークエンスや、一瞬のインサー
トというのが使われる。それらのシーンの意味、そこに表れないフ
ランソワとテレーズの感情、その曖昧さが含蓄があって非常にいい。

 そしてそれはアニエス・ヴァルダという映画作家の特徴でもある。
何かいいたいことがあるのはわかるのだけれど、それを最後までは
言わず、最終的には観る者に考えさせる。その最後の最後に突き放
す感じがこの作家の魅力なのだと私は思う。
 「幸福とは」を通り越して「人間とは」なにかということまでつ
いつい考えてしまう。



□ ワンクリック投票

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□ DVD今日の買い!

<今日の作品:幸福>

 『幸福』
  http://tinyurl.com/5ojcgv


<今日のお勧め>

 アニエス・ヴァルダは素晴らしい

 『落穂拾い』
  http://tinyurl.com/5m94jg

 『5時から7時までのクレオ』
  http://tinyurl.com/6y7yfd

 『歌う女、歌わない女』
  http://tinyurl.com/5729f5

 『アニエス・v によるジェーン・b』
  http://tinyurl.com/5plxuq



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                     日々是映画第2420号
                     2008年11月20日発行
                     発行:cinema-today
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