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各地に残る近代建築、古い町並みなどを訪ね歩いた旅の記録。建物めぐりと鉄道旅行をミックスした紀行です。各地を訪ねた足跡を紹介することで、当時の状況などを記録として残そうと思います。

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2009/03/28

[The Loitering Report]2009/03/28

====== The Loitering Report =========================================

/// 足まかせ漫歩日誌 ///================================= 2009/03/28

          メールマガジン『漫歩通信』  

       □□□□□□□□□□□□□□□□□    第110回
==========================================================  R.Kuroda

●足まかせ漫歩日誌の概要●

大阪を起点にしての、漫歩の記録を、少しずつ書き起こしていこうと思い
ます。これからどうなるかわかりませんが、最後まで、お付き合いのほど
お願い申し上げます。

関係ホームページ 
    http://www.geocities.jp/kurysoft/


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◆ 冬の京都 ◆

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 京都駅前から5系統の市バスに乗って京終町バス停で下車する。この路線
は、整理券方式で、京終町バス停までが市内均一220円区間、500円の市バス
専用一日乗車券カードが使える。

 そこから西北西へ1kmほどのところにイズミヤ高野店があって、そこに立
ち寄ったあと、東大路通りと川端通りの中間あたりの道路を歩いていると、
集合住宅が並んだなかに煉瓦造工場の一部を保存して集会施設にでも使って
いるのを見かけた。このあたりを歩くのは初めてだったのだが、こんなとこ
ろに煉瓦造の工場遺構が残っているとは思わなかった。

 あとで、調べると、明治40年に建てられた鐘紡京都工場(前身は絹絲紡績)
だったようだ。鴨川東岸には、かつて繊維関係の煉瓦工場がいくつか建てら
れたようで、荒神橋の京都織物(本館の建物が京都大学の一施設になってい
たんじゃなかったかな)なんかもそうだが、京都の鬼門方向にあって、明治
時代には人家少なく広漠たるところだったことが工場地帯として格好の場所
だったのだろう。

 百万遍で早めに昼食を取ったあと、京阪出町柳駅から電車に乗って、伏見
稲荷に向かった。
 伏見稲荷駅で下車して伏見稲荷大社に詣でる。1月も10日であるが参道
は詣でる人で混雑している。

 今日から「京の冬の旅」キャンペーンが始まった。さまざまなイベントや
ふだん非公開の文化財が特別に公開される、という冬の京都の恒例行事であ
る。今回特別公開される文化財のひとつに伏見稲荷大社の「お茶屋」がある。

 この建物は、1641(寛永18)年後水尾院より下賜されたもので、御所の古御
殿の一部らしい。書院式茶室の遺構とされるもので、16世紀末から17世
紀初頭に建てられたと考えられている。

 「お茶屋」は、8畳の下の間と、7畳に1畳の床をもつ上の間があって、
床の右手には花頭窓のある付け書院、左手には違い棚がある。部屋の両側に
は縁がある。
 下の間の左手に、4畳間があって、東側の板戸をあけると広縁に出る。
書院形式の茶は、草庵形式のようにその場で茶をたてないで、別のところで
たてた茶を運んだようだから、ここで茶をたててもっていったのだろう。

 この「お茶屋」の建物の奥に「松ノ下屋」がある。明治時代の神主をやっ
ていた松本氏の邸宅だったというところで、ここの襖に棟方志功が絵を描い
ていて、これが公開されている。そして東側には稲荷山の斜面を活かした
「松ノ下屋庭園」がある。写真が撮れないのが残念。カメラを持つ人は、
傍若無人なふるまいをするように見られているのだろうな。

JR稲荷駅から奈良線の電車に乗って京都駅で新快速に乗り換え大阪に向かう。
(09.01.10)

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 京都駅で下車し、まず、京都国立博物館へ行く。七条通りを東に向かい
鴨川を渡り歩いて15分ほど。ひさしぶりに訪れた博物館の旧来の西側に
ある門は工事が行われていて、南側にチケット売り場とゲートが設けられ
ている。
 きょうは「京都御所ゆかりの至宝 甦る宮廷文化の美」という展覧会を
見る。この展覧会は、天皇御即位20年記念の特別展で、歴代天皇のゆか
りの品々、宸翰(天皇の直筆)、下賜品や御所の障壁画、屏風など、国宝、
重文を含む名品が集められている。なかなか盛況である。

 このあと三十三間堂のそばを通って東大路に出る。弓を持つ人を見かけ
るのは、三十三間堂の通し矢にちなんだ行事が行われているのだろう。
 東大路を下って東福寺へ行く。JR線を越えるところから南側はアーケー
ドのある商店街になっている。JR東大路駅設置を求める看板がかかって
いる。西大路駅があるから東大路駅、というのもわからないではないが、
どうなんだろう。

 きょうは、東福寺塔頭のひとつ退耕庵を訪ねる。今シーズンの「京の冬の
旅」キャンペーン、非公開文化財の特別公開されている社寺のひとつである。
 この寺は、臨済宗東福寺第43世住持性海霊見(しょうかいれいけん)に
よって1346(貞和2)年に創建されたが、応仁の乱の戦火で荒廃していたとこ
ろ、1599(慶長4)年安国寺恵瓊(あんこくじえけい)によって再興された。

 恵瓊、もとは安芸国安国寺の僧で、才知に優れ、毛利輝元に重用され、
豊臣秀吉と毛利氏との調停をなした。のちに秀吉に仕え、伊予国6万石を
領し、秀吉没後の関ヶ原の戦いにおいては、諸侯を説得して西軍の組織に
努力したが、戦後そのことから斬られるに至った。

 門をくぐって右手に小野小町が造ったとされる玉章(たまずさ)地蔵が
祀られたお堂がある。土でできているという高さ2mほどある大きな座像
である。胎内に小野小町に寄せられた恋文が収められているという。

 客殿は再興時、恵瓊によって建てられたもの。ここに「作夢軒」という
四畳半の茶室がある。策士の恵瓊のはからいで秀吉没後、ここで石田三成、
宇喜田秀家らによって、徳川討伐の謀議が行われたと伝えられている。

 客殿の南側にある茶室、それに続く伏侍の間の外から覗くようにして
しか見学できないのは残念。伏侍の間から茶室の天井裏が見えるように
なっていて、忍び天井になっている、などと案内の人が説明してくれる。

 南側には、全面杉苔で覆われた「真隠庭」があり、大きな石が点在する
枯れ山水庭園である。青々とした苔庭のやや右手に樹齢三百年という霧島
ツツジが枯れ木のような姿で立っている。室町初期、開山性海霊見の作庭
という。

 北側に本堂があり、客殿との間に荒粒の白砂を敷き詰め、そこに筋目を
立てた庭がある。亀をかたどった石組みは、それとすぐわかる。その東側
には池が配された池泉庭園となっている。 

 本堂には、小野小町が作ったという「小町百才の像」というのがある。
絹本性海和尚像などもかけられ、案内の人が朗々と紹介してくれる。

 退耕庵をあとに、せっかくなので東福寺を訪れてみようと思う。塔頭寺
院の建ち並ぶ界隈を南に行くと、洗玉澗(せんぎょくかん)と称する渓流
にかけられた小さな臥雲橋という木橋がある。上手には橋上に屋根のかか
る通天橋が見える。両岸にはモミジ多く、紅葉の名所として名高い。

 東福寺は、臨済宗東福寺派の本山で、京都五山のひとつ、鎌倉時代の
なかごろ、関白九條道家の発願で創建され、1255(建長7)年落成、洪基を
南都東大寺に鑑み、盛業を興福寺に擬して東福寺と名づけた、と伝えられ
る。円爾(えんに/聖一国師)を請じて開山とする。開創以来、公家、
武家の擁護を得て華麗な七堂伽藍を誇ってきたが、1881(明治14)年仏殿、
法堂、方丈を焼失している。

 境内だけを散策するのには拝観料はいらないようだ。門をくぐると禅堂
の横に出た。その先に再建された大きな本堂がある。禅堂は、桁行9間、
梁間6間、重層屋根切妻本瓦葺の大建築で、寺伝によると1346(貞和2)年
の再建という。僧侶たちが禅道修行をなすところで、本堂が焼失したとき、
仮本堂として使われていたらしい。

 本堂の南側には高くそびえたつ壮大な楼門がある。禅宗寺院三門のなか
では最古のものという。唐様を主とした様式だが、桝組に挿肘木を用いて
ることに天竺(大仏)様の手法も加味している。

 境内をあとに、東福寺駅に向かう。京阪電車とJR奈良線の駅がいっしょ
になっている。もとは京阪の駅で、JR駅(当時は国鉄)のほうは1957年
に設けられた。いまは、奈良線と京阪電車の乗り換え案内のチラシを作り、
乗り換え客の便をはかっている。奈良線が電化されて運転本数が増えたか
ら、そんな案内もできるのだろう。京阪電車に乗って三条に向かう。
(09.01.17)
  
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〇電子メールマガジン「漫歩通信」第110回 2009/03/28
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