[Cinema Who & What No. 27]
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映画 2003年5月25日
あの人 第27号
この一本
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●目次━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・はじめに
・今回のこの一本 「死刑台のエレベーター」
・投稿のお願い
・おわりに
●はじめに━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは。
前回は監督のルイ・マルをご紹介しましたが、
今回はその作品から「死刑台のエレベーター」を取り上げます。
●今回のこの一本━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「死刑台のエレベーター」(Ascenseur pour l'残hafaud)
1957年 フランス
白黒 92分
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製作:ジャン・スイリエール,イレーネ・ルリシュ/ 監督:ルイ・マル/
原作:ノエル・カレフ/脚本:ルイ・マル,ロジェ・ニミエ/
撮影:アンリ・ドカエ/音楽:マイルス・ デイヴィス/
美術:リノ・モンデリニ,ジャン・マンダルー
主な出演:モーリス・ロネ/ジャンヌ・モロー/リノ・ヴァンチュラ/
ジョルジュ・プージュリー/ヨリ・ベルタン/ジャン・ヴァール
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・あらすじ
開発会社の技師ジュリアン(モーリス・ロネ)は、
カララ社長(ジャン・ヴァール)の妻フロランス(ジャンヌ・モロー)と
不倫関係にありました。
ある日の終業後、ジュリアンはバルコニーからロープを使って社長室に
侵入、カララを射殺し、死体の手に拳銃を握らせ自殺に見せかけます。
部屋を脱出し、何食わぬ顔で会社を出てきたジュリアン、
フロランスとの待ち合わせ場所に向かおうと車に乗り込みふと見上げると、
バルコニーから垂れ下がり風に揺れるロープが目に入ります。
あのロープを始末しないと完全犯罪が崩れてしまう…。
ジュリアンは慌ててエレベーターで上に引き返します。
しかし、もうみんな帰ってしまったと思ったビルの管理人は、
ジュリアンの乗っていることも知らず、エレベーターの電源を
落としてしまいます。
途中で止まったエレベーターの中に、 ジュリアンは ただ一人
閉じ込められてしまいました…。
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・コメント
この世にはエレベーターものと呼ばれる(かどうかは知りませんが)
映画が存在します。
「シークレット・オブ・ウーマン」(1952),「七つの大罪」(1964),
「不意打ち」(1964),「スイート・チャリティ」(1969),
「アウト・オブ・オーダー」(1984), 「怖がる人々」(1994),
「ダウンタイム」(1997),「エレベーター」(1999),
「ダブルス」(2000),「ショコキ!」(2001),等々。
共通するのは、登場人物がエレベーターに乗っている途中で
何らかの原因により止まってしまい、中に閉じ込められてしまうという
状況です。
この映画はエレベーターもののほとんどはしりと言っても良い作品で、
以後似たような映画が作られ、一つのジャンル(?)を形成するに至った
のは、止まったエレベーターという密室状況の設定が、
極めて効果的であったということが言えるでしょう。
物語はエレベーターの中で苦闘するジュリアンを描く一方、
ジュリアンを探してパリの街をさまようフロランスを映し出し、
更にはジュリアンの車を盗んだ若いカップルの行動を追うといった具合に
複線的に同時進行します。
この筋立てはなかなか秀逸です。
そしてラストシーンで全てを明らかにするある物とは…。
この作品はクストーの助監督などを務めていた当時25歳のルイ・マルが
私財を投入して製作した監督デビュー作です。
公開時には、これまでにない斬新な感覚の映画として驚きを持って
迎えられました。
その新しさを生み出したものは、上に示したプロットの巧みさも
さることながら、シャープで生々しい映像がまず挙げられます。
フロランス役のジャンヌ・モローが夜のシャンゼリゼを歩くシーンなどは
たいへん印象的な名場面です。
そしてマイルス・デイヴィスの音楽!
トランペットの即興演奏によるスロー・テンポのテーマは
映画全体の独特なけだるい雰囲気を醸し出し、
車の疾走場面にかぶさるアップ・テンポの曲はスピード感を表現するのに
効果満点。
モダン・ジャズを使おうというルイ・マルのアイディアも素晴らしい
ですが、それに見事に応えたマイルス・デイヴィスはさすがと言うしか
ありません。
映画監督とミュージシャン、2人の天才の出会いが生んだ
素晴らしい成功例と言えるでしょう。
この映画音楽の話はツアーのため単身ヨーロッパに来ていたマイルスに
急遽話を持ちかけて決まったとのことで、
録音セッションは音楽の入る場面のラッシュを見ながらの全くの即興演奏。
わずか4時間ほどで終了したそうです。
まずは大貫妙子の「地下鉄のザジ」の歌詞の一部をご紹介しましょう。
俳優では何と言ってもジャンヌ・モローでしょう。
疲れたような不安で寂しげな表情に大人の色気と倦怠感を漂わせ、
時折見せる情熱的な眼の光。
まさにこの映画の雰囲気そのものです。
その他では、刑事役のリノ・ヴァンチュラの渋い演技が光ります。
私がこの映画を初めて観たのは確か1985年の夏、
トリュフォーの「日曜日が待ち遠しい!」が公開された後の
札幌の二番館での二本立て上映の併映作として観た記憶があります。
当時の私はフランス映画を観るのは恐らく初めてで、
映画に関する知識もありませんでしたので、
「日曜日が待ち遠しい!」は1982年の作品ながら白黒だったこともあり、
2本は同じ頃の映画だと思っていました。
後になって考えると、製作年で25年もの違いがあるのです。
いくらトリュフォーがヌーヴェル・ヴァーグでは穏健な作品を作った
と言っても、四半世紀の差がわからなかったということは、
それだけ「死刑台のエレベーター」が新しさを失っていなかった
と言うことではないかと思います。
今ではこの映画はヌーヴェル・ヴァーグの発火点という位置付けを
されておりますが、そうした枠にとどまらず、独自の輝きを保ち続ける
作品ではないかと思います。
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「死刑台のエレベーター」のビデオ ・レーザーディスク・DVDは
カルチュア・パブリッシャーズから出ています。
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・参考文献
1)猪俣勝人,田山力哉:世界映画名作全史−戦後編−,現代教養文庫
2)映画史上ベスト200シリーズ・ヨーロッパ映画200,キネマ旬報増刊
3)細川晋監修/遠山純生編:E/M BOOKS Vol. 5, Nouvelle Vague:
1958-1963, ヌーヴェル・ヴァーグの時代,
エスクァイア マガジン ジャパン
4)死刑台のエレベーター[完全版]/マイルス・デイヴィス,
オリジナル・サウンドトラックCD解説書,PHCE-4181,
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
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・関連URL
http://www.pia.co.jp/cinemaclub/syosai.jsp?movie_cd=5800119
ぴあシネマクラブ
http://www.stingray-jp.com/allcinema/prog/show_c.php3?num_c=9674
allcinema online
http://www.walkerplus.com/movie/kinejun/index.cgi?ctl=each&id=12819
キネマ旬報DB/ Walkerplus.com
http://us.imdb.com/Title?0051378
Internet Movie Database
●投稿のお願い━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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になったこと等、何でもお気軽にEメールでお寄せ下さい。
また、皆様が劇場・ビデオ等でご覧になった映画についての投稿も
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です。このメールに直接返信して下さってもOKです。
頂いたお便りはできるだけ掲載したいと考えております。
掲載を希望されない場合にはその旨お書き添え下さい。
誌面への掲載は、ご返答を添えたかたちでいたしますので、
個々のメールに対する私からのご返事は省略させていただきます。
どうかご了承下さい。
●おわりに━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
第27号いかがでしたでしょうか。
前回から中1週間おいての配信となりました。
何とかこのペースを維持して行ければと思っております。
いい季節なので、休みの日などに映画館の暗い部屋にわざわざ出掛けて
行くのは勿体ないような気がしますが、それでも家でテレビやビデオなど
観ているよりはいいのではないでしょうか?
そんなことを考える今日この頃です。
では次回をどうぞお楽しみに。
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※本文中、敬称は省かせていただきました。
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発行者:熱田海之
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